Fate/GrandOrder 円環支配国家アメストリス 作:零崎妖識
イーストシティへは徒歩で向かうことになった。メドゥーサの宝具ならひとっ飛びだろうが、この人数を連れて行くのは難しいし、汽車で行くにしても、この国の金が無い。
「今夜は野営のようだな」
「そうですね。アーチャー、護衛は私たちがしますから、狩りをお願いできますか?」
「了解した。
ーーいや、その前に客のようだ」
エミヤの一言で、皆が身構える。
林の奥から出てきたのは、黒尽くめの女だった。ドレスの胸元は開いており、何かの紋章が見える。
「ドクター、あの入れ墨のマークは何?」
『少し待っててーーうん、若干アレンジが入ってるけど、ウロボロスだね。円環の蛇、自らの尻尾を呑み、世界を囲う大蛇。
入れ墨には、その中に六芒星が入ってるけど、何か意味があるのかな?』
彼女は近づいてくる。何を考えているのかわからない微笑みで。
「こんばんは、坊や。こんなところで野宿だなんて、危ないわよ?」
「……あなたには言われたくないですけど?女一人、それもドレスだなんて」
「あら、心配してくれてるの?でも、大丈夫よ。それよりもーー」
あなたたちの安全を考えなさいな。
ギィン!
マシュが何かを防ぐ。ーー彼女の指が伸びていた。鋭く、長く、硬く、伸びていた。
『みんな、遅くなってごめん!魔力感知が鈍くなってた!
その女性はサーヴァントだ!』
「気付いちゃった?私は色欲のラスト。ランサーとして現界したわ。
お父様の目的のためにもーーあなたたちを殺す」
「っ!戦闘準備!!」
赤倶の声で全員が武器を抜く。
「女一人に五人がかり?もうちょっと期待してたのだけれど」
「念には念を、と言うでしょう?それよりも、一人で殺しに来た方が驚きなのだけれど。そんな売女みたいな格好だし、頭イカれちゃったのかしら?」
ジャンヌ・オルタの挑発に乗ったのか、サーヴァントーーラストが攻撃してきた。鋭く伸びた爪による刺突。全員が避けるが、メディアが少し傷ついてしまった。
「……速いな。それが、お前が出せる最高の攻撃、というわけではないのだろう?」
「もちろん。私の宝具はこんなものではないわね。もっとも、あなたたち相手で出せるかどうかは微妙だけれど?」
ラストが笑う。まだ余裕なのだろう。ーーだったら、吠え面かかせてやる。
「ジャンヌ、宝具使える?」
「一発だけならね。貴方が倒せと言うなら、私はいつでもあいつを倒すけど?」
「なら、頼んだ」
ジャンヌが笑みを浮かべる。そして、ラストに突撃していった。
「あっははははは!」
旗槍による刺突や叩きつけ、炎。着実にダメージを与えている。
「これは憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮……『
ジャンヌが旗を展開する。同時に、彼女から業火が走り、ラストを焼き尽くそうとする。
「な……ぐっ!」
そして、何本もの漆黒の槍が彼女を串刺しにする。その内の一本は、ウロボロスの入れ墨を真正面から貫き、何だろうか、赤い石をその先端から落としていた。
「……ここまでやられるなんてね」
そう言って、彼女の体は灰になった。ーーあれ?
「……エミヤ、サーヴァントの消え方って……」
「ああ、光に溶けるように消える。全員、まだ警戒は解くな」
周りを見渡す。すると、槍から溢れた赤い石が気にかかった。ほんの少し、赤い電を出してーー
「あの石だ!」
「あら、ばれちゃった」
ラストが石を中心にして、肉体を再生させていた。
「それがお前の宝具か」
「まあ、似て非なるものよ。あなたたちの実力の一端も知れたし、今回はここまで。またいずれ会うことになるわ」
そう言うと、彼女は林の奥へ消えていった。追撃しても良かったが、ジャンヌの疲労もあるから、追いかけられない。
この特異点発のサーヴァント戦は、一応勝ちに終わった。
敵サーヴァントその一
真名:ラスト
クラス:ランサー
スキルやらステータスやらはご想像に。
宝具
賢者の石
対人宝具
ラストの霊核そのものとも言える宝具。これが壊れない限り彼女は死なない。その内には幾万もの人間の魂が封じられ、彼女が死ぬたびにそこから一つずつ無くなっていく。全て消えると、復活できなくなる。