Fate/GrandOrder 円環支配国家アメストリス 作:零崎妖識
『まずは召喚サークルを設置した方が良いね。一番龍脈が通ってるのはその場所からさらに西──セントラルの方だけど』
「セントラルの中心部は敵の巣窟だな。召喚サークルなんて作ったら確実に気づかれる。
それならば、東の砂漠を渡りクセルクセス遺跡に向かうか、もしくは国土錬成陣の交点か円周上に設置するのが一番楽だろうな」
「国土錬成陣、ですか?それは一体……?」
「この国全土を覆い尽くす、巨大な錬成陣だよ。我々が止めるべき錬成陣であり、敵の最終目標でもある。
以前はクセルクセスに作られたそうだ。そして、錬成陣は発動してしまった。クセルクセスは一晩で滅び、遺跡となってしまったんだ。……この話はやめておこう。敵の目的が何なのか、何を求めているのかはいずれわかることだ」
マスタングは一口酒を呑み、また話し始めた。
「国土錬成陣には龍脈の力が流れている。もちろん、一番強いのはセントラルの中心部、錬成陣のど真ん中だが、交点でも十分だろう。ここから一番近い交点はリオールの町。安全かつ強い協力者が欲しいのならブリッグズ要塞へ向かうと良い。どちらにしろ、君たちにとっては嫌なものを見ることになると思うがね」
「先輩、私たちにとって嫌なものって何でしょうか」
料理屋を出た赤倶たちは宿に戻っていた。この後どこに行くかを話し合うために。
「嫌なもの、か。マスター、君はこれまでの特異点で何を見てきたのかね?」
「エミヤ?」
「私たちが来る前のカルデアでは爆発が起きたのだろう?冬木では大火災が、オルレアンではジャンヌ・オルタによる殺戮が、ローマでは戦争が、それぞれ起こっていた。ならばそれに類すること──死人が出ることが起こっている可能性が高いということだ」
確かに、赤倶やマシュは人死にを見るのが嫌いだ。だが、うじうじしてもいられない。
「決めた。俺たちはブリッグズに向かおう。今は戦力が欲しいからね。オリヴィエさんに手伝ってもらおう」
「マスタングの口ぶりでは、鋼の兄弟とやらが鍵を握ってそうなのだけれど?」
「どこにいるかわからないのなら、道中で探していけばいい」
話し合いを終え、赤倶たちはそれぞれ準備をする。追加で食事を取りに行く者もいれば赤倶に抱きつきにいく者もいる。朝食と弁当の準備をしてさらに投影の確認をする忙しい者もいる。こうして夜は更けていった。
翌朝、赤倶たちは宿の前でマスタングと合流した。
「どこに行くのか、決めたようだね」
「はい。俺たちはブリッグズに向かいます」
「あそこは良いところだぞ。兵たちの結束力が強い。仲間と認められればすぐに打ち解けられるだろう。私の紹介状を持って行くと良い。幸運を祈るよ」
『その前にすこーしだけ良いかな?』
カルデアから通信が入る。ロマンではなくダ・ヴィンチちゃんだ。
「君は?」
『私はレオナルド・ダ・ヴィンチだ。ダ・ヴィンチちゃんと呼びたまえ。
さて、私が聞きたいのは敵の目的についてだ。私たちが戦った敵──ラストは赤い石から再生した。あれが何なのか。万能の私でも通信越しじゃわからない。君なら知っているんだろう?』
「……そうか、ラストと交戦していたのか。彼らはホムンクルス──造られた人間だ」
「ホムンクルスですか!?私たちもロンドンで出会いましたけど、ロンドンのは人形みたいでしたよ?」
「核が違うんだろう。ロンドンのは魔術的な核だったが、こちらでは赤い石だった」
「そう。その石を破壊すればホムンクルスは死ぬ。石の正体については私から話すのは遠慮しておこう。敵の目的についても。
だが、敵が本格的に動き、私たちが反旗をひるがえす日は教えておくとしよう。次の日蝕の日、その日が『約束の日』だ。その日までにはセントラルに来てくれ」
マスタングは赤倶に紹介状を渡すと車に乗り込み、基地へ行ってしまった。
『有益な情報はあまり得られなかったけど、次の日蝕までにセントラルに行けばいいってことがわかっただけ僥倖だろう。さあ、北へ向かうんだろう?頑張りたまえ』
通信が切れる。相変わらず自由なダ・ヴィンチちゃんだった。
赤倶たちは北へ向かう。その先で、敵の一人が待っているとも知らずに。
アメストリス国土錬成陣の状況
円を描き終わり後は血の紋を刻むだけ。
色々矛盾があってもグラトニーの腹の中のような広い心で見逃してください。