RE:ぼくらのウォーゲーム   作:ひょっとこ_

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夏がきたので。


sortie!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クロ……!」

 

 歓喜の声が、抑えきれず、溢れ出た。

 

「ア、アグモン!? どこだ!? アグモン!」

 

 太一さんも己のパートナーデジモンの姿を探して、立ち上がってまでしてそこかしこを見渡す。

 しかし、周囲はどこも変わりない八神家の一室のままで、今しがた俺たちの名を呼び返してくれたあいつらの姿は見当たらない。

 

「太一さん、要君、こっちです!」

 

 その所在にいち早く気づいたのは、やはりというべきか、光子郎さんだった。

 光子郎さんの声のままに、彼のノートパソコンのほうを見やると、なんとそこには、選ばれし子供たちのパートナーデジモンたちが、デフォルメされた姿で、全員揃い踏みしていた。

 そして、彼らの傍には、デジタルワールドでさんざ世話になったゲンナイさんの姿もあった。

 

「アグモン! ジジイ! それにみんなも!」

 

 喜色満面の太一さんが、ノートパソコンの画面に飛びつく。

 

『太一ぃ!』

 

『ほっほっほ、久しぶりじゃのぅ。壮健にしておったか、子供たちよ』

 

「そっちこそ!」

 

『元気してましたか、光子郎はん』

 

「テントモン……」

 

 交わされる再会の挨拶。

 その中には、もちろん、俺の相棒の声も。

 

『あら、要。ふふっ、随分と情けない顔つきになったみたいね?』

 

 懐かしい。

 鈴の転がるような調子で、相棒――クロはそう言った。

 こちらをからかうような、労わるような、そんなどっちつかずの声音が、妙に耳に馴染んで。

 ああ、やっぱりこいつがいないとなぁ、なんて気分になる。

 

「ほっとけ……」

 

『もう、久しぶりだっていうのに、相変わらずそっけないのね』

 

 なんだ。

 変わらないのはそっちも同じじゃないか。

 そう言ってやりたいけど。うん。でも、今はそんなことをしている場合じゃない。

 

『さて、奴のことはすでに知っておるかのぅ?』

 

 再会を喜ぶ俺たちとデジモンたちとの会話をゲンナイさんが、制止する。

 そう、今はただ、あのクラゲのことをなにより優先すべきだ。

 

「ネット上の、新種デジモンですね」

 

『ほっほ、さすがじゃのぅ』

 

『危険だよ、太一。そいつはとっても凶悪なデジモンなんだ』

 

『ほっといたら、とんでもないことになりまっせ』

 

『端的に言って、前の一件と同等かそれ以上にまで被害が膨らむ可能性があるわ』

 

 クロの言葉に、俺たちも頷く。

 先ほどテレビをちらと見たが、早くも全国各地のスーパーやコンビニで、ネットワークシステムの暴走によるPOSシステムの故障事件が頻発している。

 今はまだその程度だが、あらゆるシステムがネットワークを介したものに移行し始めているこのご時勢だ。

 もはやなにが起きても不思議はない。

 

「それは、わかってる。だけど、どうやってあいつを倒したらいいか……」

 

 言い淀む太一さん。

 さっきまで、アグモンがいれば、なんて言ってたわりに随分な弱気である。

 けど、それも仕方ないことかもしれない。

 クロが溢した先の一件(・・・・)、二つの世界が失われかけたあの夏の一件よりも、被害が大きくなるという言葉。

 それに、怖気づいてしまったのだろう。

 でも、それでも。

 

『太一。ボクたち、戦うよ』

 

 きっと、クロたちがいればっていうのは、間違ってなんかない。

 なんてことを思う俺とは反対に、アグモンの言葉に太一さんは、しかし、一歩食い下がった。

 

「アグモン、でもさ、」

 

『オレたちが、ネットの中に入り込む』

 

 けれど、それを掻き消すようにガブモンが台詞を被せる。

 

『太一たちがデジタルワールドを救ってくれたみたいに』

 

 パタモンが、続いた。

 

『今度はワテらが、光子郎はんらをお助けする番ですわ』

 

 そして、テントモンが締める。

 言葉を発していない他のみんなも、気力十分やる気満々の様子で、太一に視線を送っている。

 その視線を受けた太一さんが、一つ息を吐く。

 次の瞬間には、太一さんの顔は勇気に満ち満ちていた。

 

「わかった。……頼んだぜ、みんな! お前らだけが頼りなんだ!」

 

 これだ。

 太一さんのこの勇気。これがあったればこそ、太一さんは俺たち選ばれし子供たちのリーダー足りえている。

 

「光子郎、要! デジヴァイスは?」

 

「もちろん、持ってきてます」

 

「俺も、当然」

 

「よしっ。俺たちがお前らを進化させてやる!」

 

『オッケー!』

 

 そうして、太一さんの言葉で状況はまた目まぐるしく、しかし、着実に前へと進み始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「き、切りやがった……」

 

 俺と光子郎さんを除く他の選ばれし子供たちに連絡を取るため、太一さんが受話器片手に一人奮闘をしているのを他所に。

 

「こんな、感じですか……?」

 

「もうちょっと細かく動かす感じだよ、光子郎さん」

 

「やっぱり、要くん、お菓子作るのは上手よねぇ」

 

 俺たちは裕子さんのケーキ作りを手伝っていた。

 太一さんのためにケーキを焼こうとしていた裕子さんが、それを俺たちにも食べていってほしいというので、それならば手伝いをといった具合に話が転んだ結果である。

 小麦粉を篩にかける光子郎さんの横でバター等の計量をしていると、対面にドカっと太一さんが腰かけた。その表情はあまり芳しくない。

 

「なぁ、その、お前らさ、空んちに電話してくれねぇか……?」

 

 捻り出された声もどこか弱々しい。

 投げて寄越された受話器を光子郎さんがキャッチする。

 

「空さんですか? 太一さんがやったほうがいいんじゃ、」

 

「とにかく、お前らでやってくれ」

 

 言葉を切って告げられた光子郎さんは、一つ息を吐き、番号をプッシュして受話器を耳に当てた。

 

「なぁに、他のお友達も呼ぶの?」

 

「俺も烏龍茶!」

 

「もう、返事くらいしなさいよ」

 

 交わされる親子の会話はやはりどこか気安かった。

 けれど。

 

「太一さん、裕子さんに当たるのはよくないですよ」

 

「……わかってるよ」

 

「一応、さっき空さんにフォローのメール送りはしましたけど」

 

「ほ、ほんとか? なんて返ってきたんだ?」

 

「返事はまだ」

 

「そうか……」

 

「それで、ヒカリのほうは?」

 

「……なんか、友達の誕生日会、抜けられねぇんだと」

 

「そう、ですか……」

 

 これは少し、まずいかもしれない。九人のうち三人でしか協力しあえない状況というのはどうしたものだろう。いまいちまとまりないもんな、俺たち。

 と、そのとき、空さん宅との通話を終えて受話器を机の上に置いた光子郎さんがため息を吐いた。

 

「太一さん、また、ケンカですか。こんなときにやめてくださいよ」

 

 落ち着き切った、冷静極まりないその台詞に、太一さんは油の切れたブリキのようにぎこちない動きで動揺してみせた。

 

「ケっ、ケンカじゃねぇって! そ、それよりほら、そろそろ時間じゃねぇか?」

 

 その言葉に時計を見やる。

 たしかに、ゲンナイさんが指定した時刻が今かと迫っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「要くんからだけ、ね……」

 

 椅子に深く沈みこみ、ヘアピンを片手でいじる。

 開かれたラップトップに表示されるメールボックスには新着一件の文字のみ。

 

「……太一のバカ」

 

 少しだけ、期待していたのに。

 いつもなら、返信の文面を考えているであろう頃なのに。

 光子郎くんと要くんには悪いけど、今は誰とも言葉を交わしていたくなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「転送成功。完了です!」

 

 どうやら無事、クロたちはネットの中に入り込めたらしい。

 ネットの中の事態という一点において手をこまねいているしかなかった俺たちに代わり、データの塊であるデジモンたちならばその内部に突入し、新種デジモンに対抗し得ると踏んでの今回の作戦であったが、上手くいってくれたようだった。

 

「ごめん、クロ、アグモン、テントモン。ほかの皆は、どうにも都合悪いらしくて」

 

「でも心配すんなよ。俺たちだけでも、きっと切り抜けられるさ」

 

 太一さんが力強い言葉で皆の背中を押してくれる。

 

『じゃあ、行くよ!』

 

 アグモンが先頭を切って走り始める。

 ネットの中を新種デジモンのいるアドレスまで走り抜けて移動するのだ。

 

『ねぇ、要。ヒカリとテイルモンは今回はいないのよね?』

 

 アグモンの後ろにぴったりはりついて移動中のクロが不安げに問うてくる。

 

「うん、そうだ。今のところ、俺と太一さんと光子郎さん、それとお前ら三人でどうにかするしかない」

 

『……そう。わかったわ』

 

 心配性も相変わらずかな、クロのやつ。

 しかし、その不安もわかる。相手は新種デジモン。どういう進化をして、どういうデジモンになるのかまったく判別がつかない。

 それに、俺とクロは、ヒカリとテイルモンがいないと、なんというか、真価を発揮できないのだ。まったく戦えないというわけではないし、俺だって紋章の力でクロを進化させてやることはできる。しかし、本気も本気の大勝負となってくると、やはりあの二人がいないことには始まらないというのも確かなのだ。

 

「そんな事態にならなきゃいいんだけど……」

 

 そう一人ごちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから少しの間ネット空間を移動して、クロたちは新種デジモンがいるであろうアドレスに辿り着いていた。

 

「やつは……?」

 

 広い空間に、データが飛び回っている場所。

 行き交う情報の波間で、やつは可視化したその情報を思うさま食らっていた。

 

「いました、やつです」

 

 いちはやく、光子郎さんが気づく。

 その言葉に、クロ、アグモン、テントモンも戦闘態勢を整える。彼らもあの無機質で狂気染みた新種デジモンの姿を捉えたのだろう。

 

「よし、やるぞ」

 

 太一さんの声に、デジモンたちが攻撃を開始する。

 アグモンのベビーフレイム、テントモンのプチサンダーが新種デジモンを襲い、クロの近接攻撃が連携の最後をつなぐ。

 あの新種デジモンはデジタマから孵り、幼年期Ⅰ、Ⅱを経て成長期へと進化している。アグモン、テントモンは同じ進化段階である成長期だし、クロはその一つ上のステージ、成熟期のデジモンだ。

 同格の相手が複数に格上も混じっているというのに、しかし、あの新種デジモンはやはりおかしかった。

 

 

 ――――アソブ?

 

 

 こちらのアドレスに送られてきたそのメールは、やつからのものだろう。

 

「なにが、遊ぶかだ。やっちまえ!」

 

 太一さんが憤る。

 もろに食らった必殺技のダメージがあるのか、ないのか、不規則にデータの世界を飛び交って、アグモンたちを翻弄し、けらけらと笑う新種デジモンの姿に無邪気なまでの狂気を見る。

 

「やつはまだ成長期のはずです。太一さん!」

 

 戦況を見守っていた光子郎さんが、デジヴァイスを取り出す。

 

「成熟期三体で一気にやりましょう!」

 

 そうだ。そのほうがはやく戦況をこちらに傾かせられる。

 デジモンの進化には条件が必要だ。時間であったり、データであったり、経験であったり、思いであったり。それは様々ある。そして、通常のデジモンは個々にその条件を満たし、長い時間をかけて進化を行う。しかし、俺たち選ばれし子供たちのパートナーデジモンたちは俺たち人間の力を借りて任意に進化を行うことができるのだ。

 ゆえに、成長期のやつを進化した成熟期のパートナーたちの力で倒してしまうというパワープレイも可能になってくる。

 

「わかった! アグモン、みんな。進化だ!」

 

 太一さんがデジヴァイスをかまえる。

 光子郎さんも。

 うちのクロはすでに成熟期だ。アグモンとテントモンの隙を埋めるように、けらけらと笑うばかりの新種デジモンを相手取っている。

 そして、太一さんと光子郎さんが願う。アグモンに、テントモンに、力あれと。

 その瞬間、デジモンたちを進化の光が包み込んだ。

 

 

『アグモン――――、

 

 

『テントモン――――、

 

 

『――――進化!!』

 

 

 光が晴れると、二人の姿は一回り大きなそれへと変わっており、アグモンはグレイモンへ、テントモンはカブテリモンへとそれぞれ進化が行われていた。

 そして、その光景をやつは興味深そうに見ていた。やつは俺たちの進化を観察していた。そのことに気づいた俺は、一人、寒気を覚える。やつの無機質なあの瞳がに映りこむ俺たちの姿は、やつにとっていったいどんなふうに見えているのだろうか。

 

「いけえ!」

 

 しかし、その俺の不安を掻き消すように、太一さんが咆えた。

 その号令にグレイモンたちが飛び出す。グレイモンのメガフレイム、カブテリモンのメガブラスターに加えてクロも必殺技を繰り出すが、それでもあの新種デジモンはけらけらと笑い、余裕を見せる。

 そして、グレイモンの一撃がクリーンヒットする。

 

「よしっ」

 

 拳を握る太一さんとなにかパソコンで作業を行いながらも戦闘の様子をしかと見守る光子郎さん。俺は、その二人の隣で、得体の知れない不安にまたも襲われていた。

 なんなのだ、この不安は。

 まるであのときのような。そう、かつての旅で出くわした暗黒のデジモンたちとまみえたときのことを思い出すような。

 思わず、固唾を呑む。

 攻撃の余波で生まれた煙が晴れる。そこには、変わらずやつがいた。倒されることも、ダメージを負うこともなく。

 いや、むしろ。

 

「――――進化、してる……」

 

 白と赤のコントラストで蜘蛛のようなフォルムを染めたその姿は、間違いなく進化した状態のそれだ。

 

「グレイモン、気をつけろっ」

 

 太一さんが叫ぶ。そのとおりに若干の警戒を見せつつも先ほどと同じようにパートナーデジモンたちは技を繰り出す。

 しかし。

 

『まったく効かへんで!? どないなっとんのや、あいつ……』

 

 カブテリモンが思わずその疑問を口に出す。

 さっきから、こちらの攻撃がやつに通用していない。倒せないまでも、有効打たりえていたものがまったくのノーダメージになってしまっている。

 

「どういうことだよ!?」

 

 驚愕する太一さんを横目に、考えられる状況として仮説をたてる。

 やつが成熟期の状態で発揮できるポテンシャルがとてつもなく高い場合。

 これは、俺たちと同じようにどうやら任意のタイミングで進化できるらしいやつの場合、非常に厄介なことになる。現状が成熟期だとして、完全体、究極体にまで至ってしまったときの力は想像すらできない。間違いなく、今まででにない凶悪なデジモンになってしまうだろう。

 そして、やつの先ほどの進化がワープ進化だった場合だ。

 デジモンの進化は段階を踏んで行われるのが普通だが、まれに段階飛ばしで、たとえば成長期から究極体にまでいきなり進化を行えてしまう個体もいるのだ。もしやつがその例にあてはまるのならば、今のあの姿ははたして、完全体か、究極体か。

 しかし、どちらにせよ、こちらも進化をしなければ太刀打ちできないであろうことはたしかだ。

 

「クロっ」

 

 相棒に、呼びかける。

 パソコンの画面越しに目が合って、それでこちらの考えを読み取ったのか、相棒はひとつ頷いた。

 

「進化だ!」

 

『わかってる!』

 

 

『ブラックテイルモン――――超進化!!』

 

 

 デジヴァイスと紋章の輝きが、成熟期を越えた進化を可能にする。

 完全体。デジモンたちにとって一つの到達点であるこの段階の秘める力は非常に強力なものだ。それをもってして、やつを止める。

 

 

『――――レディーデビモン!!』

 

 

 漆黒をまとう、堕天使型デジモン。

 闇の力を秘めしその乙女こそ、俺のパートナーであるクロこと、ブラックテイルモンが超進化した姿だ。

 

「わかりました! 太一さん、そいつは完全体なんです!」

 

 そして、そのタイミングで光子郎さんが事態を把握したのだろう。

 先ほどのやつの進化が二段階進化であることと、現在やつが完全体であることが説明された。

 

「要くん、このことをわかっていたんですか……?」

 

 先んじてクロをレディーデビモンに進化させた俺を見て、光子郎さんが問うも、俺は首を横に振る。

 

「その可能性も考えましたけど、確証はなかったです。でも、これで正解だった」

 

「そのようです……」

 

「やべえぞ。光子郎、オレたちも進化だ!」

 

 太一さんの言葉に光子郎さんも頷く。

 二人が再び、願いを込める。力あれと。

 すると、デジヴァイスと紋章の輝きが、グレイモンとカブテリモンを包み込んだ。

 

 

『グレイモン――――、

 

 

『カブテリモン――――、

 

 

「レディーデビモン、やれそうか?」

 

 二体が進化行う間、またも俺たちが新種デジモンと相対する。

 

『要、それ、愚問だわ』

 

 力強いその返答に、俺はこの状況にも関わらず、笑みが漏れた。

 やっぱりこいつがいると、違うなあ。

 

『さっさと終わらせましょう』

 

 美しい堕天使が、挑発的に笑う。

 しかし。

 

「進化中に、攻撃……!?」

 

 光子郎さんが呆然と、呟く。

 馬鹿な。その言葉の意味を理解するのに、一瞬時間をとった。

 画面の中のやつの様子を注視する。

 やつは、進化途中のグレイモンとカブテリモンに攻撃をしかけようとしていた。

 

「くそっ! レディーデビモン、止めろっ!」

 

『わかってる……! ダークネスウェーブ!』

 

 咄嗟にレディーデビモンに指示するも、彼女も状況に数瞬遅れており、放たれた必殺技はむなしく空を切る。

 そして、やつの放った攻撃が進化中のグレイモンとカブテリモンに直撃した。

 

「グレイモン!?」

 

「カブテリモン!?」

 

 隣の二人が叫ぶ。

 

『このおおお!』

 

 レディーデビモンは、冷静さを失った状態で、そのままやつに突貫した。

 グレイモンとカブテリモンが動けない今、戦えるのは彼女だけだ。

 しかし、その状態でやつに近づくなんて、危険すぎる。

 

「だめだ! 下がれ!」

 

『プワゾン……!』

 

 左腕を細く、鋭利なまでに尖らせたレディーデビモンが、そこに黒いエネルギーをまとって、突進していく。

 プワゾン。相手のエネルギーを利用する、敵が強ければ強いほど技の威力が上がるという凄まじい技だ。

 けれど、それも今の冷静さを失った状態で繰り出すのは悪手も悪手だ。

 新種デジモンは、愚直なまでのその攻撃を軽やかにかわし、そして至近距離でレディーデビモンに必殺技を叩き込んだ。

 

『きゃあっ!?』

 

「レディーデビモン……!?」

 

 三体、撃墜。

 進化の隙を狙うという手段、そして同格の相手をこうも簡単に撃墜するという驚異的な戦闘力を見せつけた新種デジモンは、やはりけらけらと楽しげに笑い、そして、姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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