君の名を。-After Story of Your Name-   作:メカブ

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うおお、UAが増えている…!?こんな小説を読んでくれている人がいるなんて…あなた方が神か。

さて、亀の歩みですが、やっと続きできました。
途中で全消しとかやっちゃいつつ、なんとか書き上げました。
ところどころ改行や自分でも変だなーと思う部分もありますけど、とりあえずどうぞ!


2

その日、立花瀧は盛大なため息と共に、本来いるべき時間を大幅に過ぎて自席に着いた。

なんのことはない。先程まで、遅刻についてこってりと上司に絞られていたのだ。

「どうした瀧ぃー。珍しいじゃないかお前が遅刻なんて。心配したんだぞ?」

「…そんな顔して言っても説得力がありませんよ、先輩。」

ニヤニヤと、隣に座る男・・・木村 遼がからかってくる。

自分の教育担当でもあるその男を瀧はジロリと睨んだ。

「ありゃ、顔に出てた?いやあスマンスマン。」

口ではそう言いながらも全く悪びれないその男を、瀧は嫌いではない。

なんというか、人を不快にさせないラインを見極めるのがうまいのだ。

その上、その軽口は人の為に叩く。今だって、きつい説教で沈んでいた瀧の心を、

あっという間にニュートラルに戻した。

「で?なんで遅刻したんだ?ただ寝過ごしたって訳じゃないんだろう?」

「あ、いや…それは…」

その一言で、瀧の頭の中に今朝の出来事が思い出される。

 

 

 

 

その言葉は、どちらからともなく、殆ど同時に紡がれた。

 

「「君の名前は。」」

 

「「…」」

 

「「あ、あの!」」

 

「「あ、ど、どうぞ!」」

 

「「…」」

沈黙。気まずさ。そんな一瞬。

 

「…ぷっ、ふふ、ふふふふふ」

「あは、あっはははは!」

不意に訪れた間に、どちらからともなく笑いだしてしまう。

「あはは…はぁ、じゃ、じゃあ、俺から…んんっ!

えっと、俺の名前は、立花 瀧って言います。」

「瀧、くん…あの、私は、宮水 三葉です。」

「三…葉。三葉。」

お互いの名前。初めて聞いたはずのその名前が、自らの内に自然に馴染む。

ずっと探していた何か。忘れてはいけなかった、だけど忘れてしまった何かをやっと見つけた。

名前を呼ぶだけで、2人の間になんとも言いようのない幸福感を感じる。

「あの、いきなりこんな事言うと、変に思われるかもしれないけど…

俺、君をずっと探してた気がするんだ。今日、君と会うために、ずっと…ずっと!」

伝えたい思いが溢れて言葉になる。いきなり変なことを言う奴だと思われただろうか。

だけど、そんな瀧の不安は杞憂だというように。

「私も…あなたを探してたんやと思う…きっと、絶対。」

「あ…。」

 

「「…」」

 

そうして二人はお互いの瞳から目が離せなくなった。

 

 

 

どれくらいそうしていただろうか。ふと、自分の状況に思い至り、

「…あっ、ああああああっ!?しまった、会社!!」

「あっ、私もっ!」

手元の時計を見ると、無情にも時刻は9:03。大抵の企業はとっくに始業している時間であった。

スマホを確認すると、びっしりと会社と同僚からの着信履歴。

青褪めた顔で二人はそれぞれの会社へと電話をかける。

上司のお怒りの声に、謝りながら電話を切って。

お互いの目が合い、思わず苦笑してしまう。

 

急いで駅に、となったところで、

「あっ!立花くん、もしよかったらなんやけど…連絡先を教えてくれやん?」

そう言われて、俺はお互いの名前しか知らない事に気付いた。

もちろん、とばかりにお互いのスマホを軽くぶつけ合い、連絡先の交換を済ませ、

「三葉さん…っと、それじゃあ、後で必ず連絡しますから!」

そういって別れようとする俺を、

 

「あ、まって!」

 

彼女の声が引き止めた。

 

「あ、その…ごめん、急に大声出しちゃって…」

そういう彼女はなぜかすごく儚げで。

「なんだか、急に不安になって…別れたら、二度と会えないんじゃないか、

 こうやって出会えたことも、全部消えちゃって、忘れちゃうんじゃないかってそう思ったら…」

まるで、今にも消えそうで。

「…なんてね!ごめんね、そんなわけないのに。なんでそんなこと思っちゃったんやろう…」

思わず。俺は彼女をギュッと抱きしめた。

「…っ!」

息をのむ声はどちらのものか。自分で自分の行為に驚愕する。

ただ、初めて抱きしめたはずの彼女の感触は、何故だろう、寧ろ懐かしく感じる。

忘れたくない人、忘れちゃいけない人。だから、

「…忘れないよ。絶対に、忘れない。たとえ忘れたって、何度でも思い出して君に出会う。

 だって俺は、三葉に出会うために生まれてきたから!」

心が吐き出すままに、言葉を紡ぐ。

…言うだけ言って恥ずかしくなった俺は、逃げるように駅へと走り出し。

 

 

 

そしてその場には、真っ赤になった三葉だけが残されたのだった。

 

 

 

 

「…い、おーい、たーきー?生きてるかー?」

「はっ!?」

しまった、思わず自分の世界に入り込んでしまった。

「なーんか今日の瀧君は変だねぇ?心ここにあらずというか…ははーん?」

嫌な予感がする。こういうときの先輩の嗅覚は本当に鋭い。

エスパーなんじゃないかと疑っているくらいだ。

「ほうほうほう…なるほどなるほどー」

「…なんですか。」

先輩はいつも以上にニヤニヤしながら、一人で勝手に頷いている。

よくわからない人だなぁと訝しんでいると、

「ズバリ、女だな?」

「ブッフォ!?」

核心ど真ん中の答えが返ってきた。

「ゴホゴホ・・・かはっ!ちょっ、ちょちょちょ先輩!いきなりなんですか!」

「その反応…どうやら正解のようだなぁ!さーあ周りに黙ってて欲しかったらキリキリ吐けいっ!」

「い、いや、勘違いですよ!そんなんじゃありませんって!」

「ほーう、まだシラを切るつもりか?瀧くんが女と会うために遅刻しましたーって課長にいうぞ?言っちゃうぞ?」

「くっ、なんて低レベルながらも嫌な攻撃を…!」

小学生かこの人は!くっ、どうすればこの窮地を…あ。

「さあ、観念したら洗いざらい全て話s」

「き・む・ら・く・ん?」

「ハ、ハイッ!?」

瞬間、絶対零度の声がその場を支配する。ギギギギと、油の切れたゼンマイ人形のように

振り向いたその先には、ーーにこやかな顔の課長。

「いやあ楽しそうだねえ木村君。後輩との交流大いに結構。とてもいい事だと思うよぉ?…勤務時間中じゃなければねぇ?」

しかしその目が全く笑っていない事は、誰の目にも明らかだった。

「あ、そのー、課長、これはですねっ」

「木村君、続きはあっちの会議室で聞こうか。なぁに、ちょーっとお話しするだけだよぉ…」

「イヤーッ!ヘルプミー!!」

冴えない見た目とは裏腹に、一度掴まれたら逃げ出せない程の力を持つ課長に引きずられて、木村先輩は扉の向こうに消えていった。

 

「…さて、仕事を進めなくちゃな。」

周りの同僚と共に、何事も無かったかのように仕事に戻りつつ、三葉さんの事、今朝の出来事を果たしてどう説明すれば良いのかと、俺は頭を悩ませるのだった。

 

 

 

「ギャーッ!!!」

 

ーー合掌。

 

 

 

 

 




こんな先輩や職場、あったら良いな…あ、一応瀧君の業種は建築系って事だけ決まってます。イラストや他の二次創作の方もインテリアやデザイナーって意見が多いですね!自分もデザイナーかな、とは思っています。就活中の描写もそんな感じでしたしね!
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