暖かい目で見てやって下さい
月の光が静寂した水面に写る二人を照らしていた。
「行っちゃうんだね…」
「うん……。自分が世界にどこまで通用するか試してみたかったんだ」
「何となく、そうだと思ってた。どうせ世界一になるまでは帰らないんでしょ」
「はは、ハルカちゃんは何でもお見通しだね」
「すごいなぁ…ユウキ君は。私はずっと見てるだけ。グラードンとカイオーガが衝突した時も、隕石が落っこちて来そうな時も、ユウキ君は世界を救って…私は見てるだけだった」
そのハルカちゃんの顔は悲しそうな顔だった。
「そんなことないよ。僕が戦えたのはハルカちゃんのおかげだから」
「どういうこと…?」
「この世界を守りたいって思えたんだ。何回も挫けそうになったけど、その度にハルカちゃんの顔が浮かんできたんだ。そして力をくれた。お礼を言うのは僕のほうさ」
ちょっとかっこつけすぎたかな?
「ありがとうユウキ君。でも、それって…」
ハルカちゃんの顔が赤くなっていく。どうしたんだろう?と思ってた矢先、さっきの自分の言葉がとんでもない事を言ってたことに気づいた。
「いや!その!ハルカちゃんの他にもほら!パパやママとかミツル君とかダイゴさんとか」
自分の顔から火が噴き出すように熱い。明らかに動揺してるのはバレバレだろうなぁ…。話題を変えなくちゃ。
「ほら、ハルカちゃんはポケモン博士になるために勉強してるんだよね?優秀な若い人達でポケモンを研究する」
「ああ、あの研究会ね。まだ、名前は決まってないけど今後世界の危機を予測できるようにポケモンを通じて研究するの」
「僕がやったことよりもそっちの方がすごいよ!僕はがむしゃらに戦ってただけだ」
「ううん、ユウキ君は皆に希望を与えてたよ。私もね、ユウキ君みたく人の希望になれるような事がしたかったんだ」
「正義のヒーローみたいに、勇気を貰えるような存在に、なりたかったんだ……」
「出来るよ!ハルカちゃんならきっと出来る!」
僕は小指をハルカちゃんに向けた。
「約束、しよう。お互い自分の夢を叶えるために努力するって。それで、夢を先に叶えた方の勝ち」
ハルカちゃんも笑顔で小指を結んでくれた
「今度こそユウキ君に負けないからね!」
「望むところさ!」
ハルカちゃんとなら何だって乗り越えられる。僕はこの約束を胸に世界一になることを誓った。
「あ、そーだった!ユウキ君にプレゼントしなきゃね。目、瞑って!」
「え、ええ?」
いきなりの事に困惑しながらも僕は目を瞑った。
……その時自分の唇に柔らかいものが当たる感触が…………え?
「ハ、ハルカちゃ…」
「ずっと待ってるから。ユウキ君が帰ってきた時、私はきっと変わってる。ユウキ君に追い付いてみせるからね!」
そして小声で
「ユウキ君が帰ってきたらもっとすごいことしようね」
……今までで一番高いモチベーションを持つことが出来そうだ。
そうして僕達は103番道路を南下してミシロタウンに戻った。
ガイアに変身するのはしばらく後です。