登場
今までの怪獣で一番の被害をもたらしたコータス。人々は未来に不安を覚えるのと同時にウルトラマンガイアという希望を持っている。
ウルトラマンガイアが何者なのか?何故地球を救ってくれるのか?人々はまだ知らない。
ユウキはアグルの存在を確かめるためにカイオーガに会うことにした。しかし、わざわざ海底洞窟まで足を運んでもカイオーガは何処にもいなかった。ひとまず休憩するためにユウキはキナギタウンに訪れる。町が妙に騒がしいと思い、人の集まっている所に行くユウキ。
「なんだこれは…!」
キナギタウンに流れ着いていたのはホエルオーの死骸だった。しかも三体も。
「こいつはひでぇ…。食いちぎられてるやがる」
「こっちはハサミで切られてるみたいね。シザリガーの仕業かしら?」
町の人々がそれぞれ思っている事を口にだす。噛み跡もハサミの傷もとてもポケモンとは思えない大きさである。だとすれば当然考えられるのは…
「怪獣か…」
また新たな怪獣が現れてしまったのだろうか。ユウキは地球の怪獣の仕業なのか?と考えたがキナギタウン付近には地球の怪獣の生体反応が無かったとミツルに言われたはずだ。
ユウキはカイナシティまでの海底を調べることにした。カイナシティのクスノキ館長も何か知ってるかもしれないし丁度良いだろうと考えた。
「マリルリ、ダイビングだ」
海底は暗いがポケモン達の楽園かと見間違うほど、目の前にびっしりとポケモンがいた。何故か一つの場所にポケモンが集まっている。
「これは……まさか!」
なんと怪獣の死体に群がっていたのだ。ハサミも大きな口も無いためどうやらホエルオーを亡きものにした怪獣ではないみたいだ。ユウキが見たことがない怪獣だったので、ポケモンに倒されたのかもしれない。いや、もう一人のウルトラマンがいるではないか。
「こいつを……アグルが?」
かつて自分を救った巨人。海の化身としてカイオーガから力を貰った人間が何処かにいるはずだ。
「アグルも地球のために戦っている。僕もやり遂げないとな」
すると、見覚えのあるポケモンがユウキの目の前に現れる。このポケモンは確か…
「ハルカちゃんのサニーゴ!?」
サニーゴはユウキを導くようにカイナシティに向かう。ユウキはマリルリにサニーゴを追うよう指示した。
「本当に会えるのか……ハルカちゃんと」
ユウキは期待と裏腹に説明出来ない不安を抱いていた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「………くる。ユウキくんも……怪獣も……」
カイナシティ上空をラティアスで飛んでいる少女はスーパーコンピューターを遥かに上回る性能を持つ特別なポケナビを使って怪獣の場所を予測していた。
カイナシティ南の砂浜に降りる少女。周りには家族連れやカップルで海水浴を楽しむ人々がいる。
「これから何が起こるのかも知らずに…」
少女はカイナシティに向かった。心なしか、緊張した面持ちで。
僕はサニーゴに導かれカイナシティに着いた。カイナシティ中を走り回りハルカちゃんを探す。いつもより手に力が入り、心臓もドクドク鳴っている。
カイナシティ灯台前に知的でクールな雰囲気を醸し出している少女がいた。まさかと思い灯台に向かう。
それは行方不明になっていたハルカちゃん本人だった。
「ハルカちゃん…」
「久し振りね、ユウキくん」
六年前の元気溌剌とし、いつも笑顔だった彼女の面影はない。物静かながらも眼の奥には熱いものが燃えている、僕はそういう印象を抱いていた。
「みんな心配していたんだよ!今までどこに行ってたのさ!?」
「何をしてたと思う?」
ハルカちゃんの事だ。根源的破滅招来体と戦うために、∞エネルギー以外の物を探していたに違いない。僕はそう言うとハルカちゃんはフッと小さく笑う。
「それも合ってるけど、本当にしたいことではないわ。それに、もう見つけたのよ。新しい力を」
「何だって!?」
その時だった。カイナシティ南の砂浜に怪獣が現れたのだ。その怪獣は大きなハサミを持っており、恐らくホエルオーを殺した怪獣に違いないだろう。
「あいつの体は海水で出来てるの。体温も海水と変わらない。だから怪獣の生体反応を探知する機械だけではあいつを見つけることが出来ない。体が海水だからといって蒸発させようとすればカイナシティは焼け野原になる。人間やポケモンが太刀打ちできる相手ではないわ」
ハルカちゃんは怪獣の出現に何も驚かずじっと怪獣を見つめ解説する。逃げ惑う人々に目もくれない。
「ハルカちゃん、ここは逃げてくれ。僕があいつの気を引き付けて時間を稼ぐから」
「その必要はないわ」
ハルカちゃんはそう言うと腕に着けていたリング『アグレイター』をかざし光に包まれる。
「デェヤアァァァァ!!!」
砂浜に降り立った青い巨人。
海の化身アグルがそこにいた。
「まさか、ハルカちゃんがアグルだったなんて…」
僕は未だに目の前にある光景を信じることが出来ない。カイオーガから力を授かったのはハルカちゃんだった。
怪獣がアグルに向かって突進をしてくるとアグルはジャンプして後ろに回り、重い蹴りを連続して入れる。怪獣はバランスを崩して倒れると、アグルは尻尾を掴み振り回し海岸付近の岩場に叩きつけた。怪獣が苦しんでいる隙にハサミの付け根を引きちぎるアグル。
「強い…」
恐らく海底で見つけた怪獣もアグルが倒したのだろう。僕がガイアの力を手に入れるずっと前から侵略する根源的破滅招来体と戦っていたに違いない。
アグルは自分のエネルギーを右手に集め、光の剣『アグルブレード』を発現させる。そしてそのまま怪獣を切り刻む。
「シュワアァァ!デヤァァ!」
「圧倒的じゃないか…」
僕がアグルの勝利を確信しかけた時、怪獣の体は再生した。アグルに切り刻まれた傷も引きちぎられたハサミも元通りになっていた。
「ハッ!?」
アグルが驚いた一瞬の隙を怪獣は見逃さない。ハサミでアグルの首を締め付けるとアグルのエネルギーを吸いとり始めた。
「グオアァァァ……!」
「ハルカちゃん!」
とうとうアグルのライフゲージが点滅し始める。僕はボールを取りだし光となってガイアに変身する。
「ガイアァァァァ!!!」
赤い光が強さを増しガイアが砂埃を舞わせて着地した。ガイアは怪獣に向かって走りだす。
「デュア!」
ガイアは手から小さな光線を出し、アグルの掴んでたハサミの根本を切り落とす。アグルは怪獣の拘束から解かれハサミを首から外した。
「ハァ!デヤッ!」
ガイアは怯んでいる怪獣に連撃を浴びせる。そして相手の頭に回し蹴りを喰らわせると怪獣の頭が飛んだ。しかし、首が無いまま突進でガイアを押し倒すと体が再び再生し始め大きなハサミでガイアを拘束する。そしてハサミからガイアのエネルギーを吸収し始める。
「グアァァァ!」
ガイアのピンチにアグルは自分の体に光を集め始める。そして大きな光球『リキデイター』を作り出し怪獣にぶつけた。
「デエエヤァァ!!」
リキデイターを受けると怪獣はガイアの上で爆散した。
アグルはガイアをしばらく見つめた後、空の彼方へ消えた。ガイアもアグルを追うように消え、カイナシティに平和が訪れた。
赤い夕日がカイナシティ南の砂浜を照らす。そこには二人の人影がある。
「ハルカちゃん、君がウルトラマンだったなんて…」
「ユウキくんがガイアの力を手に入れるずっと前から私はアグルとして人々の影で戦っていたわ」
少なくとも失踪した時点ではアグルの力を持っていたんだろう。僕はハルカちゃんと共に戦う事が出来るのに嬉しくなる。
「一緒に戦おう!根源的破滅招来体も二人の力を合わせればきっと倒せるよ」
「元よりそのつもりだったわ。でもねユウキくん、私が本当にしたいことがあるって言ったのを覚えてる?」
「え…?」
ハルカちゃんはそう言うと、彼女が言ってるとは思えない言葉を僕に向ける。
「私は根源的破滅招来体の根絶と人間の破滅、この二つを貴方に手伝ってもらいたいの」
僕の聞き間違いだろうか?
「地球にとって人間はガン細胞よ。増殖し続けいろんな所に転移しては地球を汚し他の生物のエネルギーも奪う。根源的破滅招来体に対抗できるのは人間なんて愚かな生物ではない!」
「ハルカちゃん!何を言ってるんだよ!」
「ユウキくん!私に協力することが貴方のすべきかことよ」
「それが君の本当の意思なのか!?」
ハルカちゃんは少し間をおいて
「その通りよ。ユウキくんも予言の壁画を見たはずよ」
「確かに二人の巨人が現れると書いてあったけど、人類の破滅なんて書かれていなかった!」
ハルカちゃんは少し考え込むと何か答えを見つけたみたいだ。
「魂の祠の壁画は古いものなの。海底洞窟にある壁画の方が新しく、言わば最新の予言なのよ」
海底洞窟の予言の壁画にはそんな事が描かれていたなんて……
「予言に従って人類を破滅させるなんて間違ってる!確かに人間は間違うことはあるけどそれを反省して未来に向かって行くことも出来るんだ!」
「予言だけではないわ……。詳しい事はマグマ団のアジト跡地を調べることね」
マグマ団のアジトの跡地?ミナモシティにあるあそこに一体何が?
「大体人類を破滅させるだなんて…。それじゃあハルカちゃんも滅びるということじゃないか!」
ハルカちゃんは僕のこの言葉を待っていたと言わんばかりに笑顔になる。
「何を言ってるの?私達、もう人間じゃないわ」
ハルカちゃんの言葉に心臓が跳び跳ねる。
「光を受けてウルトラマンになれる……普通の人間に出来る?私達は選ばれた生命よ」
「選ばれた生命……?」
「ユウキくん、私は貴方とずっと、いつまでも一緒にいたい。ポケモンと地球の怪獣、私達だけになった世界で永遠に暮らすのよ」
僕は頭の中が混乱していて、まともな思考を出来る状態ではない。ハルカちゃんもそれに気づいたようでラティアスを繰り出し背中に乗る。
「いきなり答えてとは言わないわ。今度会ったときに答えを聞かせて」
ラティアスはそのまま上空へ姿を消した。
ハルカちゃんとの折角の再会。こんな気持ちになるなんて想像もしなかった。唯ーつ、心の中でずっと思っていたことがある。僕はその思いを海に向かって叫ぶ。
「君の考えは絶対に間違ってるぞ!」
多分読んでる人はハルカがアグルだとわかってたと思います。