登場
「これが破滅の脅威だというのか……!?」
ミツルはエントツやま付近に現れた巨大生物を見て、ただただ圧倒された。それこそ、伝説のポケモンが人里で暴れているような錯覚を起こすほどのエネルギー量を感じたのだ。
ミツルを含めた『アルケミー・スターズ』は強いエネルギー反応を見つけたためエントツやまへ調査をしていた。すると、ワームホールのようなものがそのエネルギー源だということがわかった。さっそく解析しようとした矢先、ワームホールから巨大生物が出現して暴れまわっているのだ。
「破滅の脅威の予言…。こんな……こんなことになるだなんて…」
ミツルの隣にいた『アルケミー・スターズ』の同僚は呆然としていた。目の前にいる人間でもポケモンでも無い生物こそが、自分達が倒すべき根源的破滅招来体なのかと。
「ミツルくん!」
「ダイゴさん!」
リーグ元チャンピオンであるダイゴが現場に駆けつけたのだ。
「これが君達の言っていた…」
「前兆に過ぎないのかもしれません」
「前兆……こいつが前兆に過ぎない?」
『Cosmic Organism-vangard』通称コッヴは激しく暴れまわる。そしてエントツやま付近にある一軒家に向かって動き始めた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「お婆さん、急いで!」
ヒカリはこの家を脱出しようとお婆さんを家の外へ連れ出した。
「ムクホーク、お婆さんを安全なところへ」
ムクホークはヒカリも一緒に乗るよう促したが、足腰の弱いお婆さんの安全を考え、ヒカリは断った。元はといえば世界大会で仲良くなり恩人でもあるユウキのお見舞いのついでにしばらくホウエンにいようと思い、まずはフエンタウンの温泉を目指してエントツやまを目指していたが道に迷ってしまい、クタクタになったところをこのお婆さんに助けてもらっていたのだ。
「大丈夫!エンペルトやガブリアスもいるから!でも、早めに帰ってきてね」
ムクホークは主人の言うことを断れずそのままお婆さんを乗せて飛んでいった。
「やっば、怪獣がこっちに向かって来てるじゃん…!」
その時、3つの戦闘機がヒカリの上を通ってコッヴに向かって行った。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「あれは…戦闘機?」
ダイゴは空を指差して言った。
「あれは『アルケミー・スターズ』が極秘で開発していた戦闘機です」
「……じゃあ、あの戦闘機を動かしているのは」
ミツルはぐっと手を握りながら
「……∞エネルギーです」
と、一言だけ呟いた。
「そうか…地球の危機とはいえ、∞エネルギーを使わざるをえないとは…」
そう言うとダイゴはエアームドをボールから出して、
「僕やポケモンの力じゃ何も変えられないかもしれないけど、やるだけやってみるよ」
「ダイゴさん!」
そのままダイゴはエアームドに乗ってコッヴに向かって行く。
三機の戦闘機はコッヴの顔面目掛けて∞エネルギーを使った強力な光線を放つ。コッヴは光線を受けると苦しみだしたため、ダメージを確実には与えている。だが、すぐに回復してしまいコッヴは腕についてる鎌で不用意に近づきすぎてしまった戦闘機を一つ落とす。その光景を見た他の二つは一旦遠くに離れようとしたが、それを待っていたと言わんばかりにコッヴは角から光線を放ち残りの二機も撃墜してしまう。
「そんな…∞エネルギーを搭載した戦闘機が…」
ミツルは絶望した。自分は∞エネルギーに反対はしていたが∞エネルギーがあれば少なくとも破滅の脅威に対抗できると考えていた。しかし、現実は∞エネルギーを使っても全く歯が立たなかった。もっと沢山の∞エネルギーを使うとしてもそんなことを繰り返していくうちにホウエンからポケモンはいなくなってしまうだろう。
根源的破滅招来体に対する術はもう無くなってしまったのか?
「メガメタグロス!ありったけのパワーで電磁浮遊をするんだ!」
メガメタグロスは高く浮き上がりコッヴのちょうど顔の辺りまで浮いた。
「そのままコメットパンチだ!」
「メターッ!」
メガメタグロスパンチはコッヴの顎を捉え、倒れはしなかったもののダメージが入ったようだ。コッヴが鎌で攻撃しようとしたところで、ダイゴはメガメタグロスをボールに戻す。
「危なかった…いくらメガメタグロスでもあれを受けたらひとたまりもない」
コッヴがダイゴに向かって光線を放とうとした時、ダイゴはネンドールとボスゴドラを繰り出し
「まもるだ!」
ネンドールとボスコドラは二人がかりでまもるがコッヴの光線に耐えられず、受け流してしまう。その光線が一軒家、ヒカリのいる場所に流れてしまったのだ。
「しまった!」
ヒカリはエンペルトとガブリアスとともにムクホークの帰りを待っていた。あの怪獣がこっちに来ていたのはわかっていた。こんなところ早く抜け出したいと思っていたその時、流れ弾がこっちに向かってくるではないか。
「ひっ…!」
エンペルトとガブリアスはとっさにヒカリを庇った。しかし、彼らはその光線を耐えきれず瀕死になってしまう。
「エンペルト!ガブリアス!」
二匹とも世界大会で勝ち抜けるほど屈強なポケモン達だ。しかし、コッヴの光線の前にいとも簡単に倒されてしまう。
「くそっ!」
一軒家に人影を見つけたため、少なくとも無事だというのがわかったダイゴだったが、コッヴは容赦なく光弾をダイゴに放つ。
「ぐわあぁぁぁぁあ!」
ダイゴとポケモン達はそのままハジツゲタウンの方向に飛ばされてしまった。
コッヴは暴れる事を止めずにあちこちに光弾を乱射する。そして光弾がヒカリのいる方向へ放たれた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「早くエントツやまに……!」
ユウキは双眼鏡に目を通し、コッヴの様子を見ていた。だがダイゴの善戦も束の間、ダイゴは吹き飛ばされてしまう。コッヴが激しく暴れ始めエントツやま付近はいよいよ地獄絵図になってきた。しかし、ユウキは見つけてしまった。地獄の中にヒカリの姿があるのを。
ラティオスはこれ以上スピードが出ない。手持ちのポケモンをメガ進化させてもこの距離じゃ意味がない。
すると、怪獣の光弾がヒカリに向かっていくではないか。このままだとヒカリが危ない…!
「どうしたら…どうしたらいいんだぁーー!!!」
ユウキが叫んだ瞬間、周りが時が止まったかのように静止する。
「何だ…これ」
すると、バックが光輝く。べにいろのたまが眩い光を放っているのだ。ユウキはべにいろのたまを取り出すとたまは一層輝きを増していく。そしてついにべにいろのたまは砕け散ってしまう。だが、その光は失われることなくユウキを優しく包み込んでいく。
「大地の化身……ガイアの力なのか?だったら僕に力を貸してくれ!ヒカリを……この世界を守りたいんだ!」
その時ユウキは強い光の中に消え、それが光の速さでヒカリのいるところに向かって行く。
ヒカリは恐怖で足がすくんでいた。自分の今までの事が走馬灯のようにおもいだされた。ポケモンと一緒に旅がしたいと言ったが両親に反対され、逃げるように家を出たあの日。リーグチャンピオンになっても家に帰れぬまま、世界大会へ行ったあの日。ユウキに会って、心が救われて本当に楽しかったあの日。もう私の人生が終わっちゃうんだ。
コッヴが光弾をヒカリに放った次の瞬間強い光がそれを遮った。
「え……?」
ヒカリは目を疑った。光が弱くなったかと思うとそこには
信じられない光景があるのだから。
「光の……巨人…」
巨人はヒカリの安全を確認するかのように見つめると、コッヴの前に立ちふさがった。
コッヴは鎌で巨人を斬りつけようとするが、巨人は飛び上がってコッヴの後ろにつける。そしてコッヴをエントツやまに向かって投げ飛ばす。投げられたコッヴは苦しみだし、巨人がすかさずコッヴに馬乗りして殴り付ける。コッヴの悲鳴がホウエン中に響き渡ったと思えば角からビームをだして巨人を吹き飛ばす。しかし、巨人はすぐ立ち上がりドロップキックをかました。
「す、すごい……」
ヒカリの口から思わずでる言葉。さっきまで地獄だったこの場所が光と希望に満ち溢れている。
巨人はコッヴを肩に担ぐように持ち上げエントツやまに向かって投げた。コッヴもすぐに立ち上がり光弾を放つが巨人に避けられてしまう。巨人は再び飛び上がったかと思えばそのままキックを繰り出しコッヴの顔面を捉えコッヴは再び悲鳴を上げる。
しかし、コッヴはありったけのパワーを使って巨人に光線を放つ。巨人は手をクロスさせ防御をするが防ぎきれずに強力な光線を体に直接受けてしまう。巨人は倒れ、胸にある光が点滅する。
「まさか…ピンチ?」
ヒカリは思わず最悪の状況を思い浮かべてしまった。巨人が怪獣に倒されてしまうシナリオを…。
それでも巨人は力強く立ち上がると光が巨人に集まっていく。巨人はその光を頭に集めるように体を屈ませ一気に力強く光線を放つ 。その光線はコッヴを捉えるとその巨体は爆散した。
「勝ったの…?」
巨人はそのまま空に消えていった。
「ハァ…ハァ…」
僕がやったんだよな?ガイアになって…僕があの巨大生物を倒したんだ。
ガイアの力…本当にホウエンを、この世界を救ってくれるかもしれない。この世界は滅びたりしない。この、ガイアの力が有る限り…!
「…………ユウキ?」
「ヒカリ!良かった、無事だっ……うわ!?」
ヒカリはユウキを見つけたかと思うとユウキの胸にとびつき泣きじゃくった。
「怖かった…本当に、怖かった…」
ユウキはヒカリの背中を優しく撫でながら
「もう、大丈夫だから…本当に頑張ったね」
ヒカリが泣き止むと光の巨人について語り始めた。光の巨人に助けてもらったこと、怪獣を倒したこと。
「名前、何て言うのかな?」
「さ、さあ…」
「あのね、いい名前思い付いたの!」
「ウルトラマン!光の巨人ウルトラマン!」