登場
コッヴの出現の後、テレビは根源的破滅招来体と光の巨人の話題で持ちきりだった。『アルケミー・スターズ』の目的、根源的破滅招来体についてもテレビ番組で討論されていた。光の巨人の特集も組まれ、あの巨人は味方なのか?敵なのか?しばらくはどのチャンネルを回してもどれかの話題しかやらないだろう。
ユウキはそんなことも知らず、朝帰りで帰宅した 。……ヒカリと一緒に。前もって連絡したから大丈夫なはずだと思っても、ドアを開ける時に一応深呼吸をした。
「ただいま」
「おかえりなさい!あら、友達ってヒカリちゃんのことだったのね!」
「お邪魔します!おばさま」
「あ、あれ?知ってるの?」
僕は予想外過ぎて困惑してしまう。
「何言ってるの!あなたが気を失ってる間にお見舞いに来てくれてたのよ」
ああ、そう言えばそんなことも言ってたっけ?でも、接点はそのくらいしかないのに随分と仲が良い気がするけども。
「ヒカリ、ホウエンに来て間もないから家を拠点にしてあげてもいいかな?」
「お願いします!」
「モチロンよ!きゃー、娘が出来たみたい」
「ありがとうございますぅ!」
そういってヒカリと母さんは抱き合う。調子の良い二人組だ。そう言えば父さんがいないな。ジムの仕事に行ってるのかな?あ、お茶がある。母さん、注いでくれたのか。いただきます。
「しかし、こんな可愛くて器量の良いお嫁さんが来るなんて幸せ者ねユウキは」
僕はお茶を吹き出してしまった。
「いやいや、そういう関係じゃないから!」
こういう話題は苦手だ。冗談だとわかっていても顔が熱くなってしまう。
ヒカリは「お母様ったらお上手なんだから」と満更でも無さそうに言っている。て、お母様って…
「あ、ユウキにはハルカちゃんがいるもんね。はっ、まさか二股!?ママはこんな子に育てた覚えは…」
「ああーー!もういいでしょ母さん!」
僕が怒ると「やり過ぎちゃったかしら?」と言って引いてくれた。ふぅ、やっと落ち着けるな。
「へぇ、広いねー!」
母さんの決定によりヒカリは僕の部屋を使うことになった。…………落ち着けるか!
「はぁー、なんか疲れちゃったよ…」
「あ、着替えるからこっち見ないでね」
僕は音の速さで机に顔を突っ伏した。
そういえばヒカリの家族ってどんな人達なんだろう?ヒカリの両親なんて本人に似て底抜けに明るいんだろうなぁ。僕は突っ伏したまま聞いてみることにした。
「ねえ、ヒカリの両親って…」
「私、親の話はしたくないから」
ヒカリは冷たい声で拒絶するように喋った。どうやら、聞いちゃまずいことだったみたいだ。
「顔あげてもいいよ」
顔を上げるとヒカリはTシャツに短パンとラフな格好をしていた。ボディラインが妙に強調されていて直視し辛い。
「ねぇ、ハルカちゃんって隣に住んでた子なんでしょ?どんな女の子だったの?」
ヒカリの興味はハルカちゃんに移ったみたいだ。
「明るくて元気の良い子だったよ」
でも、たまに連絡を取り合うくらいで6年も会ってないんだ。見た目も印象も僕との繋がりも全てが変わっていてもおかしくはない。
「彼女?好き?」
「あ、あのねぇ…。別にそういう関係じゃないから。ただの友達だから」
「………本当に?」
嘘を言ってもしょうがないとヒカリに言うと、突然ニヤニヤして僕の顔を見始めた。また何かからかうつもりか?
「ねえ、ウルトラマンってどこから来たのかな?」
「ウルトラマン?ああ、ガイアのことか」
思わず口にしてしまった"ガイア"という単語。ヒカリはすぐにツっこんできた。
「ガイア?あの巨人はガイアって名前なの?」
「い、いや!僕なりの呼び方なだけだよ。ヒカリのウルトラマンと一緒さ」
必死に嘘をつく。少し苦しいか?
「ウルトラマンにガイア……。そうよ!あの巨人はウルトラマンガイアよ!」
ビビっときたと言わんばかりにはしゃぎだすヒカリ。
『ウルトラマンガイア』か……悪くない。むしろかっこいいかも…
その時、ミツル君からポケナビでモニター電話がかかってきた。『アルケミー・スターズ』がガイアの事についてどう思っているかを知りたい僕は電話をでることにした。
「ユウキさん、突然電話してゴメン。あの怪獣と光の巨人のことで話をしたいことがあるんた」
「ちょっと!光の巨人じゃなくてウルトラマンガイアだよ!」
ヒカリが突然電話に乱入してきてしまった。
「あ、ごめん。邪魔しちゃったかな?」
「全然してない!そういう関係じゃないから!」
今日何度目の台詞だろうか?ミツル君は小声で「そういう関係じゃないのに部屋に連れ込むなんてさすがユウキさんだ」と言っていたような気もしたが無視した。
「それより、あの巨人はウルトラマンガイアって名前なのかい?」
「いや、僕達二人が勝手につけた名前だけどね」
「うん、中々いい名前だと思うよ。もうすぐ会議があるからその時に提案してみるよ」
ヒカリは後ろで喜んでいたが僕は早く情報が欲しかったので、まずはミツル君に怪獣の事についてのデータを出すよう頼んだ。
「あの怪獣の名はコッヴ。僕達の今の技術力だと歯が立たなかったけど、破滅の脅威の予言としてはあれが前兆だと考えてる。ウルトラマンガイアが来てくれてなかったらどうなってたか…」
あれが前兆だとは根源的破滅招来体の恐ろしさを改めて思い知る。
「それにあの怪獣が暴れたことで各地で不審なエネルギー反応が発見されているんだ。もしかしたら、ホウエンに眠る脅威を呼び覚ますための刺客だったのかもしれない」
コッヴで小手調べといったところか。コッヴの出現で新たなポケモンや怪獣が目覚めてしまうのかもしれないとは根源的破滅招来体はいよいよ地球に本格的に攻撃してくるということか。
「ウルトラマンガイアは恐らく僕らの味方なのだと思う。あの無限にも感じるパワーはまさしくこの世界の救世主だと言っていい。」
僕はこの説明を聞いて改めてガイアの力隠し通そうとおもった。『アルケミー・スターズ』はポケモンに変わるエネルギー源を探しており、自分達の力になるのであればガイアもその対象に入るだろう。元が人間だと知られたらしつこく交渉してくるに違いない。
すると、ミツル君のモニター側が騒がしいことに気付く。ミツル君はゴメンと謝ると通信を切ってしまった。
「もしかして…また怪獣が?」
そうかもしれない。ミツル君の言っていた事が正しかったらこれから怪獣が続々と現れる。しかも、地球産だ。
ゴウウウゥゥゥウウンン……!
またあの地響きがホウエン中に伝わる。僕とヒカリは急いでテレビ速報を確認したところ、またしてもエントツやま付近に怪獣が現れたというのだ。
「ヒカリと母さんは家に居て!」
僕はそういうと家を飛び出しラティオスを呼んでエントツやまに向かう。
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ヒカリは自分も行くと言うことが出来なかった。怪獣を目の前にした恐怖が頭をよぎるだけで足がすくんでしまう。すると、その様子をみたユウキの母がそっとヒカリの肩にポンと手を置いた。ヒカリはだんだん安心していくとともに自分の母親と比べている自分に気付き自己嫌悪に陥った。
ユウキは上空に行くとすかさず輝くモンスターボールを取り出す。そのモンスターボールにはガイアに変身する際に使う光があるのだ。 そのモンスターボールを開けるとユウキは光に包まれていく。
「ガイアーーーーーッッ!」
ユウキが叫ぶとウルトラマンガイアに変身し、エントツやまに向かって行く。
しかし、ユウキは気づかなかった。尾行している影に。
「やっぱり……あなたが力を授かったのね」
ラティアスに乗った人影はそのまま反対方向へと消えた。
次回、ギールとの戦闘。
ガイア以外の怪獣も出現。