超古代怪獣 ゴルザ
登場
連日テレビを賑わせているのはやはり根源的破滅招来体の"忠告"だった。
人間とポケモンのどちらかを絶滅させたら地球侵略を止める。きっと奴らは僕達人間だけでなくポケモンにも問いかけていたのだろう。テレビの討論番組では人間もポケモンも根源的破滅招来体と戦うべきだという声が多数だ。しかし、ポケモンを絶滅させよという意見も少なくない。
根源的破滅招来体と戦うべきという意見は一番最善かもしれないが、コッヴやギールに人間やポケモンの力が及ばなかったのは事実だ。ウルトラマンガイアがいなければ今頃どうなっていたかわからない。ガイアの力の及ばない生物が現れたら地球の終わりだ。全滅するよりかはポケモンの絶滅を選ぶという意見が少なくないのは必然かもしれない。しかし、ポケモンが絶滅したところで根源的破滅招来体が地球侵略を本当に止めるとは考えづらい。
ただ、ひとつとして人間が絶滅するという意見はなかった。人間だから当たり前かもしれないがポケモン達からすればたまったものではない。特に野生のポケモンは人間が絶滅しても今まで通りに生活できるからポケモン側から見れば人間が絶滅してもいいと思うポケモンもいるのではないか?
こんな時、ハルカちゃんはなんて言うんだろう。きっとハルカちゃんもポケモンと人間が戦うことに賛成するだろうな。いや、ポケモンも人も傷つけない方法を探してくれるに違いない。
「ねえ、ユウキ」
「どうしたのヒカリ?」
「ガイアってなんで私達を助けてくれたんだろうね?テレビじゃ救世主なんて言われてるけどさ、どこから来て何をしに来たんだろう?」
ヒカリの素朴な疑問。僕は少し考え込んでそれらしい言葉を見つける。
「きっとガイアも地球に住んでいたんだよ。自分の星が危ないってわかったから僕達の前に現れたんじゃないかな?」
グラードンに連れられ、壁画に描かれていた予言。地球自身が自分を守るためにガイアがいるのだろうか?
「ガイア、きっと地球が好きなんだね」
ヒカリはそう呟くといきなり元気になり始めた。
「ユウキ!わたしミナモデパートに行くんだ!一緒に来てくれる?」
ヒカリは僕を誘ってくれた。
「ごめん、ミツル君とトクサネで会う予定なんだ」
「なーんだ、つまんないのー。確かミナモにはポケモンコンテスト会場があるしそっちにもよろうかな」
「それがいいよ。じゃあ僕はトクサネに行くからついでに乗ってく?」
「うん!ありがとう」
僕達はラティオスに乗って家を出た。……ヒカリにくっつかれて少し恥ずかしかったけど。
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ヒカリをミナモに送った後、僕はトクサネシティの宇宙センター前に来ていた。六年前とは比べ物にならないほど大きくなっている。埋め立て地により土地は広くなったが、トクサネの敷地の半分以上が宇宙センターになっていた。
僕は中に入り、待ち合わせ場所のロビーに行くとミツル君が待っていた。
「ユウキさん!待ってたよ」
ミツル君は僕に会うなり『アルケミー・スターズ』の近況を報告し始めた。∞エネルギーの開発は結局止められなかったこと。怪獣が現れたときにデータを解析できるプログラムを作っていること。ついでにダイゴさんの無事が確認されたことも。
「僕ね、ウルトラマンガイアが現れたとき神様が僕達を救ってくれたとおもったんだ。でも、昨日の根源的破滅招来体の忠告で救いを求めるだけじゃだめなんだってわかったんだ」
ミツル君は目を輝かせ
「昨日、ウルトラマンガイアとギールの戦闘でヒントを得られたんだ。ギールの胸に水晶体があるのは知ってるよね?」
ギールの水晶体はマグマエネルギー弾を発射する場所でありながらギールの弱点でもあった。まあ、ガイア本人は勘で攻撃しただけなんだよね。
「どんなにパワーのあって大きい生物でもポケモンのように弱点があるんだ。その弱点を見つけて大勢のポケモンが力を合わせて攻撃すればきっと倒せる!開発中のデータ解析のプログラムはその助けをしてくれるんだ」
ミツル君は力強く言葉を言い放っていく。
「僕達はウルトラマンガイアに頼ってばかりじゃダメなんだ。ポケモンと人間とウルトラマンガイアが力を合わせて脅威に立ち向かうんだ!」
僕がミツル君に初めて会った時の印象と大きく違っていた。男の子なのにどことなく守りたい雰囲気にさせる子だったのに、今は地球の危機に立ち向かう一人の立派な男だ。
「だから、僕に協力してくれるかい?ユウキさん」
ミツル君の覚悟が伝わってくる。快く承諾したかったがガイアの事があるので保留にしておいた。ミツル君はすでにダイゴさんや他のジムリーダーの協力を得ているらしい。
「ミツル君、きっと君の思いはホウエン、いや全国中に伝わるはずだ。怪獣のデータ解析のプログラムが出来るまではきっとガイアが地球を守ってくれる」
僕はそうミツル君に告げて宇宙センターを後にした。
ミツル君のように勇気のある人間がいる限り、ウルトラマンガイアがいる限りこの世界は滅びたりしない。
ガイアの力が僕に授けられたように、海の化身アグルの力を授かった人がどこかにいるはずだ。ハルカちゃんの行方もわからない今、僕のやるべきことはアグルの力を持つ人間に会うこと、ハルカちゃんを探すこと。まずはカイオーガに会うために海底洞窟に向かおうかな。
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「いやー、いっぱい買っちゃった。このエネコドール、ユウキの部屋に置いたら怒られるかな?」
ヒカリはホクホクとした顔でデパートから出た。シンオウにはこんな広々とした海が見える町は少ない。海岸で景色を楽しもうとした時、一人の少女が海を見つめていた。
「あのー、あなたも海の景色を?」
ヒカリが訊ねると小さく頷いた。
「私、シンオウから来たんです。ホウエンって良い所ですよね」
少女は空を見上げた後、ヒカリに質問をしてくる。
「もし、ポケモンだけの世界と人間だけの世界があるとしたらどっちが平和だと思う?」
突拍子もない事を訊いてきたが、ヒカリは
「両方いる世界が一番平和だとおもうなぁ」と答えた。
「今が本当に平和だと思う?根源的破滅招来体抜きに考えても今の地球は人間によって様々な問題を抱えてるわ。地球を汚し、増殖し続けたと思いきやポケモンからエネルギーを無理矢理奪う。人間はポケモンとの共存を謳いながらポケモンを利用することしか考えていない愚かな生物よ」
「そんなことないよ!そういう人達もいるかもしれないけど少なくとも私や友達はそんなことしない!」
「じゃあ人間の存在理由が解る?」
「存在理由?」
ヒカリはなぜ少女がこんな事を訊いてくるのか分からなかった。 だが、ヒカリは彼女の質問に真剣に答えなければいけない気がしたため自分なりの答えをだす。
「具体的なものはないけど…これから見つけていくっていうのはダメなのかな?」
少女はその答えを聞くと、ただ一言
「人類はそんなことを言うには過ちを犯しすぎたのよ。到底償いきれるものではないわ」
その時、おくりびやま付近にワームホールが出現し、金属生命体が現れた。すると海の中から一匹の怪獣がヒカリ達の目の前に現れた。
「か、怪獣!?」
「……………」
少女はその怪獣を確認するとラティアスに乗ってどこかに行ってしまった。ヒカリは少女の行方も気になったが今はミナモシティにいる人を避難させる事が第一だ。
「あの時は何も出来なかったけど…私は自分に出来ることをする!」
ヒカリは手持ちのポケモンを繰り出し住民に避難を呼び掛けた。
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ユウキはポケナビでミツルと通信をしていた。
「あの怪獣達は!?」
「一匹は宇宙からワームホールでやって来た金属生命体、もう一匹は地球の怪獣だ!」
ワームホールでやって来たということは根源的破滅招来体なのだろうか?
「ごめん、ユウキさん。プログラムが完成していない今、僕は…」
「大丈夫さ。きっとガイアがミツル君の思いに応えてくれる」
通信を切り、僕は光が入ってるボールを開ける。
「ガイアァァーーッ!」
ユウキは光に包まれウルトラマンガイアに変身した後、おくりびやまに向かう。
おくりびやまの前にあるサファリゾーンでアパテーが何かを待っているように辺りを見回してる。地球にはない金属で覆われている体を除けば、人のような姿や胸にビームランプがあるためどことなくガイアを彷彿とさせる。
するとガイアは空から現れ着地の際に土埃を舞わせた。アパテーは待っていたと言わんばかりにガイアに向かってくる。
ガイア向かってくるアパテーを受け止め背負い投げを見舞わせる。しかし、アパテーはすぐに立ち上がり距離を取りはじめる。
「デェア!」
ガイアが構え直すとアパテーも構え直す。まるでガイアをコピーしたかの如く立ち回るアパテー。
その時、ミナモシティ方面からゴルザが現れた。ガイアはゴルザとアパテーに挟み撃ちにされてしまった。
「グオオォォン!」
ゴルザは突進をしてきたため、ガイアはそれを受け止める。するとアパテーの腕がサーベルになり、がら空きになったガイアの背中を切りつける。
「グワァァ!」
ガイアは切りつけられて力が緩んでしまったためか、そのままゴルザに倒されゴルザに身体を踏みにじられる。
(くそっ、二対一じゃ上手く戦えない!)
するとゴルザは身体中のエネルギーを頭頂部に集め、アパテーに光線を放った。アパテーはサーベルを盾に使うが弾かれて光線を受ける。
(どういうことだ?仲間割れか?)
ガイアは隙の出来たゴルザを蹴りあげ挟み撃ちにならないよう離れた。アパテーは立ち上がるとゴルザを滅多刺しにし始める。
「ギャァァアア!」
ゴルザの轟音のような叫び声がホウエン中に響き渡る。ガイアはアパテーにドロップキックを喰らわした後、頭頂部にエネルギーを集めて放つ光刃ーフォトンエッジーを放った。
「デュアアアァァ!」
アパテーはフォトンエッジを受けると爆発と共にその場に倒れた。ガイアはエネルギーを使ったためビームランプが赤く点滅し始めた。ゴルザは地中に穴を掘り逃げていったようだ。
ガイアが膝をつくと、アパテーがサファリゾーンの砂地エリアの砂を鎧にして復活した。
(くそっ!奴も限界に近いハズなのに…!)
ガイアは膝をついたまま動く事が出来ない。連日の度重なる戦いによってガイアのエネルギー量が少なくなっていた。
「グウゥゥ…!」
アパテーがサーベルをガイアに突き刺そうとしたその時、サファリゾーンの北の海から青い光刃が一直線に飛んでくる。砂を纏ったアパテーは今度こそ爆散した。
ガイアがサファリゾーン北の海を見ると、青い巨人が海の上を立っていた。
(青い巨人……まさか!あれが海の化身アグルなのか!?)
アグルはガイアを一瞥するとそのまま海に消えて行った。ガイアも大空に飛び上がり消えた。
この戦いをミナモデパートから見ていたヒカリは驚愕していた。ウルトラマンは一人ではなかった。あの青いウルトラマンは何者なのか?
「きっと…ガイアの仲間よね…!」
ヒカリはあのウルトラマンの名前を考えながらミシロタウンに帰ることにした。