復讐者慟哭。幕上がるは復讐歌劇   作:鎌鼬

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27日に追加をしました。こうしないと駒王協定に参加する理由が無くなってしまう+ゼノヴィアが教会から追放されないので……




エクスカリバーと復讐者・5

 

 

イザイヤの魔剣が黄金の光を宿す。迸る閃光は稲妻染みていて、それから放たれる熱力は対峙しているフリードどころか離れているバルパーにも異常の域にあることを感じさせる。

 

 

そして、対峙しているフリードは、勝利を得るためにひたすら死線を潜り抜けてきたフリードは自身の第六感と経験則にてあの光の危険性を理解する。

 

 

本能が叫ぶーーー()()()()()()()()。触れた瞬間、終わるぞと。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

そして、全てを飲み込む様に極光斬は放たれた。当然フリードがとった行動は形振り構わずに全力での回避。直進する絶光は射線上から逃れたフリードを掠め、校庭に無残な爪痕を残しながら結界にぶつかる。

 

 

回避に成功した、普通ならそう考えるだろう。見ていたバルパーもそう思った。だが、フリードは回避出来なかったと理解していた。

 

 

「ガ、ァッ……!!この、痛みは……!?」

 

 

ほぼ回避したにもかかわらす、フリードの身を恐るべき怪異が蹂躙する。たった一筋、擦り傷にも満たない様な小さな傷、そこから内側へと、()()()()()()()()()()()

 

 

ただ掠めただけの残滓であるというのに、光は死なず、フリードの体内で泡の様に弾けて細胞の一つ一つを破壊していた。まるですべての仇を滅ぼすまで、復讐は終わらないと言うように。

 

 

明らかにだだの熱エネルギーでは無い。この光はそれ自体が生き続け、主から離れても敵の体内で不滅の行軍を継続するのだ。いわば光の猛毒。この死の輝きを前に、すべての命はその生存を許されない。

 

 

「クッ……!!」

 

 

ほんの数量ですらこれだけの威力、あの光は文字通りに必殺そのもの。直撃を喰らうどころか受け止める事すらも危険だと先の一撃に伴う衝撃波を体感して判った。数分前まで頼もしかった統合された聖剣が、ただのガラクタに思えてしまう。

 

 

「察したようだね……」

 

 

太陽のように燦爛と輝く2本の魔剣を携え、イザイヤが前進する。

 

 

「この光は物質を構成する最小の核が壊れる際に放出する皆殺しの光。ただ爆発的に衝撃を発し焼き尽くすだけでは無く残留し続けて敵を蝕む、ゆえにその名は放射性分裂光(ガンマレイ)。ゆえに天神の雷霆(ケラウノス)……分かりやすく言ってあげよう。この能力はーーー核分裂だ」

 

「なーーー」

 

 

イザイヤの言葉に唖然とするしかない。核分裂……つまりイザイヤは生身の状態で全人類を複数回鏖殺出来る核兵器と同じであるということ。

 

 

もはや、その力は人間の領域を超えている。

 

 

そんなことはどうでも良いと言う風に、イザイヤはフリードの呼吸を盗み、縮地にて間合いを踏破。極光の斬撃が射出され、躱す間も無くフリードを襲う。

 

 

まるで宇宙的距離の尾を曳く大彗星……そんなものさえ思わせる途方も無い重質量を纏った輝きがフリードの存在へ殺到した。

 

 

「オォーーーおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

 

退けばその瞬間に両断される。そう判断してフリードは死の極光を踏み止まって受けた。受けている聖剣ごと叩き斬られかねないその大威力、閃光はそれ自体が発せられる瞬間には高熱と共に爆発的な衝撃波を発していた。いわば、命中する事に炸裂する爆轟を至近距離で受けているようなもの。

 

 

まさに燃え盛る太陽そのものを叩きつけるかの斬撃に、フリードは立ち向かいーーー

 

 

「ーーーさらばだ、フリード・セルゼン。君の生を、そして君たちの死を決して無駄にはしない」

 

 

4本の統合した聖剣ごと両断された。最後の言葉どころか呻き声すら出す事もせずに、フリードは死の極光に飲み込まれる。そうしてそこに残ったのは破壊の爪痕だけ。フリードも、聖剣も、欠片どころか塵すら残さずに消え去った。

 

 

「ばかな……!!ありえない!!なんだその力は!?そんなものを、私は知らない!!」

 

 

イザイヤの力を見て取り乱しているのはバルパー。彼はエクスカリバーの欠片を統合するに当たって様々な魔術を調べた。その中には異能の力とも関わっているものがあり、当然の事ながらそちらも調べている。結果としてバルパーは現存する大抵の魔術異能の知識を得た。

 

 

だが、イザイヤの力は知らない。現存する魔術異能では無く、失われた技術でもない、まったく未知の力。そんなものが御都合主義のように降臨すれば誰であろうと混乱するだろう。

 

 

「お前に話す必要などどこにある?さぁバルパー、報復の時だーーー」

 

 

バルパーに近づいて放たれる死の斬撃。それも一太刀では無い。二の太刀、三の太刀、四、五、六ーーー実に十の太刀が一息の間に放たれて、バルパーを斬り刻む。

 

 

「死して詫びろーーーお前の理想(もうそう)の犠牲になった者たちに」

 

 

痛みも感じる間も無く、死の極光がバルパーを飲み込む。消し飛ばされる間際にバルパーが見たものはーーー自分の計画で、死んでいった者たちが、死に間際の姿で手招きをしている光景だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスティアンが己が星を宣し終えた瞬間に地面が一際大きく波打ち、コカビエルの周囲全方向から暴力の津波が襲いかかる。引力にも似た強烈な重圧がコカビエルを襲い、挙動とその自由を遍く奪い取る。

 

 

「これはーーー」

 

 

このままではマズイと悟り、全力でその場から逃げる。だが、それでも重圧は振り切れずにコカビエルの身体に纏わりつきーーー

 

 

「グギィ、ッ!!」

 

 

コカビエルの両腕を一気に()()()()()。まるで内側から勝手に動かされたかのように一人でに腕は捩り、可動域の限界を超えて骨が砕け、それを超えて肉がブチブチと千切れた。

 

 

噴き出す血を止める事も拭う事も出来ないがそんな事はどうでも良い。問題は、先程の力が不可視で見えない事。そしてーーー魔法では無い事だ。

 

 

神器(セイグリッド・ギア)とも、魔法とも、そして現在確認されている異能ともまったく異なる未知の能力。それが力の方向性すら読み取らせずに、襲い掛かってくる。

 

 

故に選んだのは距離を開く事。この手の能力は距離が近ければ近いほどに力を増す事を先の大戦から学んでいる。駒王学園を覆うように張られている結界の天蓋付近に飛びーーー

 

 

「逃さんぞ、烏がーーー」

 

「ギィッーーーアァァァァァァァァァァ!!!」

 

 

ーーー不可視の力にて、墜落させられる。コカビエルの全力の抵抗も物ともせずにまるで巨大な手に掴まれて引っ張られているかのように全身を拘束されて、高速で校庭に落ちる。

 

 

「ーーー死ね」

 

 

上がった砂埃がクリスティアンの一睨みにて吹き飛ばされ、現れるのは両腕を無くして砂まみれになったコカビエル。その姿に喜ぶ事も無く、憎悪と殺意を向けて星の力を行使。

 

 

「ーーーーーー死ね」

 

 

校庭から()()()が渦を巻き、鋭い穂先の形状へと凝固する。その数は十や二十などでは効かず、百や二百を優に超えて千の域まで達していた。

 

 

「ーーー死ねッ烏!!」

 

 

クリスティアンの指揮と同時に黒い鏃が一斉にコカビエル目掛けて襲来する。その鏃は全てがコカビエルの急所を()()()()()。喉笛、眼球、鳩尾……1つでも命中すれば容易く絶命させられるであろうそれを、クリスティアンは敢えて外していた。

 

 

これはクリスティアンの妻子の死因に起因する。クリスティアンの妻子は散々に弄ばれた上で殺されていた。なら、こちらも弄んで殺してやろう。お前たちがそうしたのだからと、彼は堕天使を弄んで、甚振って殺す。

 

 

そうしてわずか数秒で出来上がったのはコカビエルの磔。まるで昆虫のように全身を黒い鏃で貫かれたコカビエルは地面に縫い付けられ、その上で生きていた。生きる上で必要な臓器を綺麗に避けた上で貫いているのだから人間よりも頑丈な堕天使なら生きていられるだろう。

 

 

生きていた……そうコカビエルが思った瞬間に、全身の血液が異常を起こす。心臓の働きによって循環させられていたはずの血液が突然意思を持ったかのように動き出す。それは加速し、逆流し、はたまた血管を突き破って外に出ようとする。

 

 

「そう、か!!わかった、この力はーーー」

 

 

それがコカビエルの最後の言葉。この力の正体を理解した瞬間に内側から自分の血液によって殺された。血管と心臓が破裂し、全身から血液を撒き散らして、聖書に名を残す堕天使は呆気なく死に果てた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やったぞリリィ、レオナルド……」

 

 

死に果てたコカビエルの躯を前にして涙を流すクリスティアン。彼はいつも堕天使を殺して泣いていた。それは妻子の仇を討ったと実感して。無論復讐は終わっていない、だがこれで堕天使(あいつら)にも2人が味合わされた苦痛を与えられたと思うとどうしても涙腺が緩んでしまう。

 

 

「クリスさん、退きましょう。もうじき魔王がここに来る。その前にーーー」

 

「……あぁ、分かっている」

 

 

もう少しこの余韻を味わいたかったがイザイヤの言葉に頷いて涙を拭う。リアスとソーナはコカビエルとの戦闘の前に魔王を呼んでいた。2人が戦っていた時間は10分程度だが、いつ魔王が来てもおかしく無い。

 

 

目的は果たせた。黒歌が戦闘が終わった事を察してくれたのか、結界は解除されている。故に彼らはこの場から立ち去ろうとするがーーー

 

 

創生せよ天に描いた星辰をーーー我らは煌めく流れ星

 

「ーーーオォォォォォォォォォォォォォォ!!!」

 

 

二つの影が彼らに斬りかかった事で防がれる。イザイヤが前に出てその影を止める。影の正体はーーーさっきまで結界に閉じ込められていたリアスの眷属の1人、マキナ・クルールと教会から派遣された退魔師(エクソシスト)の1人ゼノヴィア・クァルタだった。フリードと戦っていた時の無表情とは違い、牙を剥き出しにして唸る獣を思わせる表情でマキナは2人を睨み、ゼノヴィアは怒りの籠った目でイザイヤを睨み付けていた。

 

 

「ーーーどうして、どうしてお前たちがその力を!!星辰光(アステリズム)を使っている!!」

 

「何故!!エクスカリバーを破壊した!!答えろ!ー」

 

 

マキナは2人が使っていた力の正体に気づいていた。何故ならそれは、彼女も使っている力で、他に使えるのは1人しかいないはずで。

 

 

ゼノヴィアの怒りはイザイヤにエクスカリバーを破壊された事。刀身が壊れる程度ならば核さえ残っていればまだ修復が出来た。しかしイザイヤの放射性分裂光(ガンマレイ)によって塵すら残さずに消し飛ばされてしまった。

 

 

「答えろよ……!!」

 

「斬り捨てる……」

 

 

彼らはマキナの言葉を聞いて心当たりがあった。だが、こんな顔をーーー憎悪で満ちた表情をされるとは意外だった。ゼノヴィアに関しては、言われる覚悟はしていた。イザイヤが個人的な恨みを晴らすために教会が神聖視している聖剣を消し飛ばしたのだ。

 

 

どうするかとイザイヤが視線で尋ねればクリスティアンは溜息を吐き、コカビエルにした時のように、不可視の力にてマキナとゼノヴィアを縛りつけた。

 

 

「知りたいのならば待て、時期に機会は訪れるからな」

 

「それに教会の君も頑張るね……もう、信仰する神は居ないっていうのに」

 

 

そう言ってクリスティアンは魔法陣を展開、イザイヤは聖書の神の不在を仄めかす言葉を残して転移でこの場から去っていった。

 

 

 






復讐完了……なお、2人にとっては復讐の一部に過ぎない模様。彼らの復讐は、これからだ!!

そしてマキナ……もう訓練された読者なら、わかるはずだ!!彼女の正体に!!

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