復讐者慟哭。幕上がるは復讐歌劇   作:鎌鼬

19 / 45
まともなリアスに対する感想が多すぎて草不可避。




復讐歌劇の幕開け

 

白龍皇を名乗る銀髪の青年ヴァーリと出会い、神社で熾天使ミカエルと出会って聖剣【アスカロン】を与えられたりと一誠は忙しい日々を過ごしていたのだがついに悪魔と堕天使と天使の三大勢力による会談が行われる日になった。

 

 

リアスとソーナは眷属たちを引き連れて開始の1時間前から待っている。この会談に参加する者たちの中で一番身分が低いのは自分たちだと理解して、上の者を待たせる訳にはいかないと早く来ていた。

 

 

「ーーーおう、もう来てるのか。感心感心」

 

 

最初にやって来たのは装飾の凝った黒いローブ姿のアザゼルだったがリアスたちの知るアザゼルとは異なっていた。まずは乱れた髪を整えて、伸びきった無精髭が剃られた事でかなり清潔な風貌になっているし、酒も飲んでいないのかアルコール臭が全くしていない。

 

 

アザゼルの後を護衛のヴァーリが続く。今代の白龍皇で赤龍帝である一誠には何かと思う事があるのか一誠を見て笑っている。それを見て一誠は睨むのだが側に立っていた小猫に肘打ちをされて辞めさせられる。

 

 

そしてアザゼルたちがやって来てから数分後、ミカエルとガブリエルの天界陣営がやって来てアザゼルの変貌に驚いていた。アザゼルの堕落は各陣営でも有名な話でもう立ち直れないと判断されていたからだ。

 

 

その時にゼノヴィアとアーシアが何かを言いたそうな顔をしていたが、ミカエルはそれを無視して席に着いた。ガブリエルはそんなミカエルの姿を見て申し訳さなそうな顔をして席に着く。

 

 

紅い髪の青年サーゼクスと魔法少女の姿をしたセラフォルー、サーゼクスの妻で眷属の女王(クイーン)でもあるグレイフィアもアザゼルの変貌に驚いていたが一瞬だけで、すぐに落ち着いて席に着いた。

 

 

「全員が揃ったところで会談の前提条件の一つ、ここにいる者は最重要禁則事項である神の不在を認知している」

 

 

サーゼクスのその一言から三大陣営による会談が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会談はサーゼクスとミカエルが中心で行われた。それぞれが悪魔の方針や天使の方針を口にし、セラフォルーが要らないことを言って場を掻き乱し、それをガブリエルが修正する。ソーナは姉の奇行に頭を抱えたくなった。

 

 

そんな中、アザゼルは興味無さげに口を閉ざしていた。振られれば話す辺り話す気はある様だが、自分から進んで発言をする気は無いようだ。

 

 

そして会談の議題がコカビエルの件に移る。サーゼクスから当事者であるリアスとソーナにその時の事を話すように求められて、2人は自分たちが体験した事を話した。

 

 

ソーナはコカビエルの被害を最小限にする為に眷属たちと結界を張ったが支配権を簒奪された事を。リアスはコカビエル、バルパー、フリード、それと乱入してきたイザイヤとクリスティアン、そして2人が使っていた謎の力の事を。

 

 

「そうか……ありがとうリアス、ソーナ。やはり彼が動いたか……」

 

「サーゼクス、貴方はその乱入してきた2人が使っていた力に心当たりがあるのですか?」

 

「ある。その力は魔術師と錬金術師の夫婦と我々で開発していた力だからね」

 

 

その言葉にサーゼクス以外の陣営のトップの顔色が変わる。ミカエル、ガブリエル、セラフォルーは驚愕。アザゼルは興味深そうな顔になっている。

 

 

「サーゼクスちゃん、私そんな話知らないんだけど?」

 

「私とアジュカ、それとその夫婦だけでの極秘計画だったからね、セラフォルーが知らなくても当然だ。15年前にその力の開発には成功したんだが……夫婦の子供の1人がその力を奪い、2人を殺したんだ。そしてもう1人の子供が手にかかる直前で私が駆け付けた……その時の子供がリアスの眷属のマキナ・クルールだ」

 

 

サーゼクスの言葉に全員の視線がマキナに向けられる。視線を向けられたマキナは平然としていたが、その目には強い憎しみが宿っていた。

 

 

「彼女は守れたんだが、その子供には逃げられてしまったよ……これが、その時に負った傷だ」

 

 

そう言ってサーゼクスが首元を露わにする。そこには小さく抉れたサーゼクスの首筋があった。もう少しズレていたら頸動脈に当たっていただろう辺りで、塞がっているのだが見ていてとても痛々しいものだった。

 

 

「幸か不幸か、彼女にもその力は宿っていてね。彼女の協力の元でその力を研究している」

 

「へぇ成る程。つまり、ここ数年で()()()()()()()()()()()()()()()その研究の為か?サーゼクス」

 

 

そこで、アザゼルが初めて自分から口を開いた。サーゼクスは心当たりがあるのか眉を上げるが他の者たちは分からないらしい。魔王であるセラフォルーもだ。

 

 

「どういう事ですか?」

 

「シェムハザの奴が転生悪魔の数が増えてるって言っててな、これがその資料だ。時期的にもサーゼクスがその子を保護した辺りから転生悪魔の数が急増してるんだよ……中には村一つが丸々転生させられたってのもあるな」

 

 

アザゼルが懐から投げた資料には確かに転生悪魔の数が増えているグラフと、その証拠らしき文章と写真が載せられている。それを見てセラフォルーは明らかに動揺していた。

 

 

「嘘……私、こんなの知らない!!」

 

「という事はサーゼクスとアジュカの仕業ですか……なんという事を……」

 

「オイオイ、何被害者面してんだよミカエル。お前んところも似たようなものだろうが」

 

 

アザゼルの矛先が自分に向けられた事でキョトンとするミカエル。アザゼルはさっきと同じ様に懐から資料を取り出して投げる。それを見たミカエルはこれの事かと納得し、ガブリエルは顔を真っ青にしていた。

 

 

「聖剣計画に超人計画、それに退魔師(エクソシスト)への強引なスカウトと、信者に異端の烙印を押し付けての追放……俺からすればお前たちもサーゼクスと変わらないぜ?」

 

「ミ、ミカエル様!!これは一体どういう事なのですか!?」

 

 

セラフォルー同様に知らなかったのか混乱しているガブリエル。そんな彼女を無視して資料を一通り読み終えたミカエルはようやくガブリエルに向き直りーーー

 

 

「どういう事と言われても、これにある通りですが?」

 

「なーーー」

 

 

何故ガブリエルが動揺しているのか分からないという顔でそう返された。そのミカエルの姿にガブリエルは絶句する。セラフォルーも同様、サーゼクスは特に表面上の変化は見られず、アザゼルは不愉快そうに顔を顰めている。

 

 

「良いですかガブリエル、私たちは今は亡き聖書の神に仕える天使です。つまり主の教えを広め、異端を滅ぼし、魔を滅する事こそが我らの使命。この資料に書いてあるのは、その為に必要な犠牲なのです。追放に関しては、最重要禁則事項である神の不在を知った、察した、あるいはその証拠になりかねないからです。あぁ、そこにいる異端者の2人がそうですね」

 

「ーーー」

 

 

ガブリエルは何も言えない。ミカエルは自分が間違っているのかと言外に尋ねている。確かに、ミカエルが言った事は天使たちの使命である。だが、だからと言ってこれは間違っている。この資料が正しければ総勢で1万人以上が死んでいる。

 

 

ミカエルに異端者と言われた2人ーーーアーシアとゼノヴィアは身を強張らせた。教会に所属していた彼女たちは狂信者と呼ばれる神の教えに妄執的な信仰を捧げている人物と会った事がある。ミカエルはその狂信者と何も変わらなかった。

 

 

神の為に、神の為に。そう言ってあらゆる非道を行い、神の為だという免罪符で自分に罪は無いと信じている狂人たちと同じだった。

 

 

「彼らもきっと満たされているでしょう、主の為に命を捧げられたのですから」

 

 

そう言って満足気に頷くミカエルを見て、ガブリエルは崩れるように席に座った。ガブリエルのその姿を見てアザゼルはこうなるだろうと予想はしていた。

 

 

「にしても聖剣計画ねぇ……はっ、バッタもんのエクスカリバーの為に被害にあった連中が哀れてでしゃーねぇよ」

 

「待て……偽物のエクスカリバーとはどういう事だ?」

 

 

その言葉に反応したのはゼノヴィアだった。彼女はコカビエルの騒動の時に砕けたエクスカリバーの欠片である破壊の(エクスカリバー・)聖剣(デストラクション)を使っていたのだ。それを偽物だと言われれば当然反応する。

 

 

「はぁ、まったく最近のガキはアーサー王伝説も知らないのかよ。いいか、エクスカリバーといえばアーサー王が使っていた剣だ。そしてアーサー王は死にかけた時に部下の騎士に命じてエクスカリバーを湖の乙女に返却させたんだ……分かるか?エクスカリバーは湖の乙女が持っているはずの物なんだよ。それに、お前たちが読んでる聖書に一節でもエクスカリバーに関する文章があったか?」

 

 

それを聞いてゼノヴィアは繰り返し読み続けた聖書の、幼い頃に好奇心から読んだアーサー王伝説の内容を必死に思い返し……アザゼルの言っている事が正しい事を理解した。

 

 

「そんな……」

 

「分かってくれたみたいだな。んでミカエル、なんで偽物のエクスカリバーを用意した?」

 

「いいえ、あれはエクスカリバーで間違いないですよ……選定の剣と言えば分かりますかね?」

 

「っ!?砕けたカリバーンか!?」

 

 

エクスカリバーといえばアーサー王の剣だが、初めからエクスカリバーを使っていたわけではない。アーサー王が初めに使っていたのは王しか抜けないとされていた選定の剣カリバーン。アーサー王が騎士道に反する行為をした為に砕けて紛失したとされている聖剣だ。その後アーサー王は湖の乙女からエクスカリバーを授けられるのだが、天界が密かに砕けたカリバーンを回収して鍛えなおしたのだろう。

 

 

「ところでアザゼル、君は一体どういうつもりなんだ?この場で我々の事を暴露する様な真似をして……君の所だって神器(セイグリッド・ギア)保持者を殺したり抜取ったりしてるじゃないか」

 

「それに関しては何も言う事はねぇよ。コカビエルの件と合わせて謝罪する。本当に済まなかった」

 

 

サーゼクスの言葉に対して、アザゼルは立ち上がって頭を下げた。その行動に全員が驚愕する。一組織のトップが躊躇わずに頭を下げたからだ。

 

 

「それぞれに賠償は払ったが……それとは別にだ」

 

 

頭を上げ、言葉を区切ってアザゼルは真剣な表情で全員を見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーー俺は神の子を見張る者(グリゴリ)の総督の座を辞任させてもらう」

 

 

アザゼルがそう言った瞬間、時が止まった。




パパゼル復活!!復活!!パパゼル復活!!なお身体は鈍っているので原作よりも弱い模様。でも頭の回転は原作よりも早い。

そしてようやくマキナの正体が出せた……よく訓練された読者なら、当然分かってたよね?

パパゼルの暴露大会悪魔編、転生悪魔の増加について指摘。数的には倍以上転生悪魔の数は増えています。なおセラフォルーは知らなかった模様。

パパゼルの暴露大会天使編、天界被害者とエクスカリバーについて指摘。計画と強引なスカウト(マッチポンプ)、異端認定からの追放でエラい人数の被害が……なお、計画被害者だけで1万人以上。なおガブリエルは知らなかった模様。それと教会のエクスカリバーは折れたカリバーンを鍛え直して作られた物としました。一応これでエクスカリバー名乗れるぞ!!

暴露大会の資料はすべてシェムハザさんが揃えました。シェムハザ有能、パパゼル穀潰し。

そしてパパゼル、このタイミングで神の子を見張る者(グリゴリ)の総督の辞任を宣言。果たしてその真意とは……!?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。