「ーーーオラオラオラオラッ!!!」
「ーーーグゥッ……!!!」
レージがサーゼクスと、ジャンヌオルタとイザイヤがミカエルと戦っている時に別の場所では現れたアスラを一目見て息子だと気付いたアザゼルが
アザゼルは堕天使としての特徴である翼も、光力も使わずに地面に足を付けてアスラと殴り合っている。これは使えないのでは無く、使わないから。
「元気そうで何よりだよクソッタレ!!」
「呵々ッ、そう言う親父殿は格好良くなったじゃないか!!あの頃と同じようによぉ!!」
アスラの拳がアザゼルの顔面を捉える。幸いに手は抜かれているのか打撃による痛みはあれど骨に異常は見られない。反対にアザゼルの拳はアスラには届かない。接近戦が得手では無いということもあるのだが、アスラが居なくなってから堕落したアザゼルの実力はすっかり衰えてしまったのだ。目では追える、思考も追いつく、されど身体が間に合わないという何とも歯痒い状況。アザゼルは絶対に鍛え直す事を誓った。
「どうして堕天使の力を使わない!!舐めてんのかよぉ!!」
「うっせぇ!!
「呵々ッ、よく言ったぁ!!!」
放たれるアスラの裏拳を受け止めながらアザゼルは叫んだ。そう、これは親子の喧嘩なのだ。突然行方不明になったと思えばテロリストと連んでいた
それをアザゼルは食らいながらも歯を食いしばって耐え忍び、アスラの一挙一動を観察する。そして食らった打撃の数が100を超えたところでアザゼルが動いた。
「ーーーお?」
アザゼルの顔面に放たれた拳が、捌かれた。一切の淀みなく綺麗に。マグレかと思い狙いを顎に変えて下から突き上げるように放てば、それすら捌かれた。
アザゼルの身体は衰えている。だからこそアザゼルはこの衰えた身体でもアスラに追いつけるようにアスラの一挙一動を観察し、それを元にアスラの挙動を予想した。何処から何処に放たれるのかさえ分かれば衰えたアザゼルの身体でも捌くことは容易い。アザゼルの並外れた観察眼と頭脳があったからこそ出来る擬似的な未来予知だった。
それにアスラは歓喜する。だったらこれはどうだと、捌かれたのならこっちはどうだと乱撃裏拳貫手に崩脚を矢継ぎ早に放ちーーーその全てがアザゼルに躱され、捌かれ、受け止められる。
「呵々ッ!!!あぁ凄え凄えよやっぱり親父殿は最高だぁ!!!」
星辰を使っていないにしてもアザゼルに適応されながら、アスラは気落ちするどころか更にヒートアップした。あぁ良い良いぞ、それでこそ俺の父親だと、歓喜し絶賛し笑みを浮かべる。父親の凄さを再認識して、アスラは無邪気な子供の様にアザゼルを誇った。
「ーーーそこぉ!!!」
そして防勢だったアザゼルがここに来て攻勢に回った。アザゼルを誇りに思ったことで出来た一瞬の気の緩み、それを卓越した観察眼にて感じ取って逃さずに穿った。
「ガハッ!?」
アザゼルの拳がアスラの顔面を撃ち抜く。殴られたアスラは校庭をバウンドし、何事も無かったかの様に跳ね起きる。顔にはくっきりと殴られた痕が残っているがダメージは無さそうだ。
「お前の目的は……バラキエルへの復讐か?」
アザゼルが尋ねるのはアスラが
「あぁそうさ!!バラキエルをこの手で殺す、それが俺の復讐だ!!でないと殺されたお袋が、何より生きている親父殿が憐れで憐れでしょうがねぇ!!」
「……」
戦友であるバラキエルがそんな事をするとは考えたく無い、だが涙を流さないで泣いている様に叫ぶアスラの姿を見るともしかしたらと思ってしまう。
「だから殺す!!あのバラキエルを人間の力で殺す!!それが俺の誓った俺の復讐だ!!例え親父殿でも邪魔はさせねぇ!!」
そう叫びながらアスラは足元に弧を描きながら構え直す。親子の語らいはここまでだと、星辰は使っていないものの行動で示していた。
「そうか……」
アスラの決意の固さを知ってしまったアザゼルは残念そうに溜息を吐き、アスラに向かって構え直した。
「だったら殴って無理矢理にでも連れ帰ってやる!!!」
「ハッ!!上等ぉぉぉぉ!!!」
突貫は同時、校庭に深い足跡を残して2人は走り出す。片方は復讐を果たす為に、片方は息子の愚行を止める為に。
「ーーーぐぉぉッ!?」
「ーーーはっ?」
そしてそれは横槍によって台無しになった。横合いから突然放たれたのは高密度の魔力が込められた魔弾。アスラにのみ集中をしていた為にアザゼルはそれに気付かずに直撃、蹴られたボールの様に校庭を弾んで動かなくなった。
「親父、殿?」
さっきまで自分と殴り合っていたアザゼルが動かなくなってアスラは呆然とする。アザゼルはさっきの魔弾のせいで右腕が皮一枚繋がった状態。出血も酷く、ドクドクと鮮血が流れ出している。
「ーーー復讐派の、アスラ=ストレイドだな?」
そして魔弾を放った下手人が悠然と現れる。それは銀髪の青年、アザゼルの護衛として連れてこられたはずのヴァーリだった。
「ヴァーリ……テメェ……ゲホッ!!」
「ッ!?動くな親父殿!!」
起き上がろうとしたアザゼルを止めて着ている服を破り、腕を縛って止血を試みる。その一連の行動の意味が分からず、ヴァーリは首を傾げた。
「何をしているんだ?」
「そりゃあこっちのセリフだ!!知ってるぞ、テメェは親父殿に拾われて育てられたんだろうが!!親に何してやがる!!」
何とか止血に成功したアスラはヴァーリに噛み付く。それは当然だろう。アスラはアザゼルに負の感情を一切抱いていない。だからきっと、アザゼルに育てられたヴァーリも自分と同じようにアザゼルを父親として誇りに思っているのだと思っていた。
それを聞いてあぁ、と納得した様に頷き、
「
納得した上で、一蹴した。
「俺は強い奴と戦いたいんだ。
そう言ってヴァーリは地面に倒れたアザゼルを見下す。それはとてもでは無いが親を見る子の目では無く、
「堕落して弱くなったアザゼルに何の価値がある?シェムハザの方が魅力的に感じられる……だからこうしたんだ。さぁ、戦おうじゃないか!!アスラ=ストレイド!!」
『Vanishing Dragon Balance Breaker!!!』
そう言いながらヴァーリは白龍皇と呼ばれる所以である
ヴァーリは戦闘狂である。強者と戦いたい、それがヴァーリの望みである。だから、ヴァーリにとってこの世界は生き辛くて仕方がなかった。この時代に生まれてきた事を残念だと思うほどに。強い奴がいないつまらない世界になど興味は無く、そうなれば死ぬと公言する程に。
ヴァーリが
今のヴァーリの興味はアザゼルでは無く、目の前に立つアスラに向けられている。サーゼクスがアジュカと人間と共同で開発したと言われる
「……あぁ、あぁあぁあぁあぁそうかよ」
事前にアスラは曹操からヴァーリがどんな人物なのかを伝えられていたがここまでだとは思わなかった。
なら、躾は必要だろう。殺すつもりだが手足の1、2本で済ませてやると誓いーーー
「天昇せよ、我が守護星ーーー鋼の
怒りに燃える眼差しと共に、
「森羅万象、天地を握る老いさらばえた支配者め。古びた玉座がそれほどまでに恋しいか? 何故そうまでしがみ付く 。
憤怒に歪み血走る
天に唾するかのような内容の
そう、だからこその
「その大口で我が子を喰らい飲み下すのが幸福ならば、いずれ破滅は訪れよう 。汝を討つは、汝の継嗣。血の連鎖には抗えない 。
鎌を振るい暴威をかざした代償が、積もり積もって現れる。かつて御身がそうした如く、他ならぬ血縁に王位は簒奪されるのだ 。
産着に包んだ石塊を腹へ収めたその時に、逃れられない運命は約束された未来へ変わる 」
アスラの心は飢えている。それは母親の愛を失ったから。与えられていた愛を奪われた悪童は母親の母性溢れる愛を恋しがり、それを奪った者へ、そして生きている父親を傷付ける者への殺意を滾らせる。
「刮目せよ、これぞ予言の成就なり 」
さぁ味わえよーーーこれが
「
アスラVSパパゼル。最初はボコボコ、中盤耐えて、終盤で反撃。観察したデータをもとにアスラの行動を予測してパパゼルはアスラの攻撃をすべて捌いてました。どっかの漫画でこんなのがあった様な……
ヴァーリの離反。原作とは違いアースガルズとの戦闘では無くて、三大勢力と戦ってみないかと誘われたので離反しました……こいつ本当に狂犬。強者と戦いたいからって育ての親を裏切るとか……
その結果、左右の違いは原作と同じ様に隻腕になりました。そしてアスラがブチ切れました。
どうしてか?それはアスラがマザコンでファザコンだからです。