復讐者慟哭。幕上がるは復讐歌劇   作:鎌鼬

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復讐歌劇の幕開け・9

 

 

「ーーーよっと」

 

 

そしてレージは何事も無かったかの様に立ち上がった。服こそ役目を果たせない程にボロボロになっているが身体は()()。さっきまであったはずの抉れた傷は一瞬で消えて無くなった。

 

 

「おいおい大将、何やってんだよ」

 

「サーゼクスの実力読み間違えた。クリス、黒歌に蜂を下げる様に言っといて。邪魔にしかならないし、悪戯に消耗するだけだし」

 

「了解した。こちらに被害を出すなよ?」

 

「努力させて頂きます」

 

 

そんな殺し合いをしているとは思えない呑気な会話を切り上げて、レージは滅剣を肩に担いで立っているサーゼクスに突貫した。全身がボロボロになったが剣はまだ折れていない。

 

 

そんなレージを見てサーゼクスは演伎掛かった仕草で両手を広げてレージを出迎える。

 

 

「ハハハッ、やっぱりまだ終わらないか!!」

 

「うっせぇよ」

 

 

自分の行動がサーゼクスを喜ばせている事に吐き気を催しながらレージはサーゼクスとぶつかる。全身から放っていた分解のオーラをすべて剣に集束する事で滅剣との衝突を可能にする。お互いに移動し、ぶつかり合うだけで空間が削れ、大気が砕ける。レージの分解とサーゼクスの消滅は類似しているが故に、互いが及ぼす影響も類似しているのだった。

 

 

ただ違いがあるとすれば衝突の度にサーゼクスは無傷、レージは抉れた様な傷を作っている事か。

 

 

「チッ……」

 

 

その結果に舌打ち一つ。それはサーゼクスが()()()()()()()()()()()。大戦を生き残った一種族のトップだと聞いて大凡どの程度の強さなのかは予想はしていた。しかもまだ余力がある様に見える。それはレージも同じだがもしも全力を出したとしたら、流石にオーフィスよりも劣っているが、下手をすれば主神であるゼウスを超えるかもしれなかった。

 

 

サーゼクスの戦い方は種族の力を主力に置いたもの。身体能力はレージを上回り、魔力は消滅という規格外の性質を持って掠っただけでも被害は甚大。滅剣を使っているが武の心得など無く、ただ振り回しているだけ……それだけでも触れずに消滅させる滅剣の性質上、必殺の剣技となる。そしてサーゼクスは星辰奏者(エスペラント)では無い。何故なら、必要無いから。ただ純粋に強いから必要性を感じ無い。悪魔という種族を超越した強さを持つサーゼクスだからこそ許される傲慢だった

 

 

対してレージは身体能力は追いつけてはいるがサーゼクスに劣っていて、魔力は持っていない。剣技だけは優っているが、それも滅剣と身体能力と魔力に阻まれてしまい必殺にはなりえない。総合してーーーレージの方が不利となっていた。

 

 

「考え事かい?」

 

「ーーー」

 

 

レージの剣がサーゼクスの身体能力によって弾かれて万歳の体勢となり、滅剣が胸に突き立てられた。刀身に触れること無く消滅する胸部。間違いなく即死級の傷だが……()()()()()()()()()()()。痛みはある、だがそんな物では止まらないと何事も無かったかの様にレージは立っていた。

 

 

「ふむ……それも星辰光(アステリズム)の力かな?不死身とはね……だったら」

 

 

そう言ってサーゼクスの背後に、()()()()()()()()()()

 

 

「全身を消し飛ばしたらどうなるかな?」

 

 

手を振り下される動作と共に射出される滅剣の剣群。ある物は直線的に迫り、ある物は弧を描いて側面から迫り、ある物は背後から迫って来る。

 

 

「ーーー」

 

 

必死の攻撃を目の前にしながらレージは無表情。目の前から来る滅剣の剣群を剣で弾いて脱出口を作り、側面と背後から来る剣群を回避。追加で放たれた滅剣を弾いてーーー地面を這う様に放たれた滅剣によって足を消滅させられて体制を崩す。

 

 

そこに上空から滅剣の豪雨が降り注いだ。隙間無く放たれた滅剣の豪雨は必殺。再生した脚で地面を蹴って逃げようとすれば、いつの間にか足元の地面が消滅していた。直径10mほどのクレーター。そこにも滅剣が切っ先を上に向けて待ち構えている。

 

 

「ーーー」

 

 

上下から滅剣の剣群が降り注ぐ。レージに回避できる手段は無し。消滅させられ、再生するがそれ以上の速度で消滅させられる。レージの体積はドンドン減っていき、最終的にはクレーターに叩き落とされて、姿が見えなくなった。

 

 

「……死んだか?折角面白い人間だったのにな……まぁ良いや。人間たちを捕まえてアジュカにあげよう。きっと彼も喜ぶだろうしね」

 

 

レージが死んだと思い、サーゼクスの興味はレージが連れてきた5人にへと移る。15年かけてやっとの思いで量産できた星辰奏者(エスペラント)、それと同じ力を振るうことが出来る魔星とも呼ぶべき人間が5人もいるのだ。星辰光(アステリズム)を強化する事も可能だろうとサーゼクスは考える。

 

 

そう思い、クレーターに背を向けて近くにいたアスラとクリスティアンに向かおうとするサーゼクスだったーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーー何を考えているんだ?()()()、まだ俺は生きている」

 

 

死んだはずのレージの声とクレーターから立ち上る異常な量の分解のオーラによって足を止めさせられる。

 

 

ザクリザクリと、地面を踏みしめる音音を立てながらクレーターより現れるのは深い闇を従えた復讐者。言葉が、視線が、何より気配が殺意と憎悪に満ちていてサーゼクスに突き刺さる。

 

 

「ーーー」

 

 

サーゼクスの絶句、それはレージが生きていたからでは無くレージの身体に起こっている異常を見て。先程とは桁外れの星光を纏うレージの身体は、()()()()()()()()()()()。分解し、再生し、また分解して再生する……そんな不毛なループが繰り返されていた。

 

 

レージがやっている事はイザイヤと同じ()()()。滅剣の剣群を防げないと悟るや否や、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。その結果、滅びの魔力さえ分解する程の出力を得ることが出来た、だがその代償として自身の身体が崩壊している。不死性があるからこそ成り立っているのだが、それは狂気の行いに他ならない。

 

 

「ーーーアハッ、アハハハ、アハハハハハハハハハ!!!凄い!!凄いよカミシロレイジュウロウ!!まさかそんな方法で防ぐだなんてーーー」

 

「もう良い、()()()()()()()()()()

 

 

サーゼクスの言葉など聞くに耐えぬとレージは一蹴して突貫した。握る剣は分解の星光に晒されて剣の形をしているのが奇跡の状態。だから、レージはもう終わらせる事にした。

 

 

どういう事情があるかは知らぬがサーゼクスは明らかに手を抜いている。人間だからと見下しているだけかもしれないが、そこを突かぬ手はなかった。

 

 

再び迫り来る滅剣の剣群。密度は先よりも厚く、壁となって押し寄せる。その消滅の壁を前にしてレージは全星光を剣に集束、それに耐え切れずに剣が分解されるがーーー最後の働きとして、()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「何ーーー」

 

 

出来上がったのはサーゼクスへと続く一本道。その奥には、こうなるとは予想していなかったのか、阿呆面を晒しているサーゼクスの姿。

 

 

「そこだなーーー」

 

 

レージの脚力に耐えられず、足元が爆ぜる。全力での突貫は音さえ置き去りにしてサーゼクスへの最短距離を駆け抜ける。残った剣になけなしの星光を集束する。そしてサーゼクスとレージが交差しーーー

 

 

「……チッ」

 

「グガァ……ッ!?」

 

 

直前でサーゼクスが身を捩った事で狙いが外れて右腕を斬りとばすだけで終わってしまった。宙を舞い、分解されるサーゼクスの右腕。本当なら本体も同じ様に分解されるのだが、サーゼクスが咄嗟に滅びの魔力で傷口を消滅させた事でそれは叶わない。

 

 

武器は喪失した、星光は尽きた。だが五体満足でサーゼクスを殺せる余力はある。痛みから立ち直れないサーゼクスにアスラから習った崩拳を放とうとしーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーうぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

旧校舎からやって来た一誠に阻まれた。レージの目の前に現れたその全身に纏うのは赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)禁手(バランス・ブレイカー)赤龍帝の(ブーステッド・ギア・)(スケイルメイル)

 

 

実は一誠だが、これは正式は禁手(バランス・ブレイカー)では無くて擬似的な物だった。敷地内を飛び交っていた機械蜂が居なくなり、リアスの兄であるサーゼクスが殺されそうになっているのを見て咄嗟に右腕を対価にして擬似的な禁手(バランス・ブレイク)をしたのだ。

 

 

以前リアスの結婚騒動の時に行われたレーティングゲームでも左腕を対価にして擬似的な禁手(バランス・ブレイカー)に至っている。その代償として対価になった腕は龍となり、制限時間は10秒しか与えられないが、膨大な力を得る。

 

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!』

 

「ドラゴンショットォォォォォォォォォォォォ!!!」

 

 

一息で上がる12度のブーストという声。赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の効果は所有者の力の倍加、それもスペックに応じてその倍加の限度は上がっていく。12度のブーストにより一誠の力は4096倍に跳ね上がる。その倍加した力をすべて魔力にへと回して放つのは必殺の一撃。かつて合宿の時に使った際には山一つを吹き飛ばした技だ。至近距離で避けられまいと一誠は考えてーーー

 

 

「ーーー危ねぇぞ、糞悪魔が」

 

 

ーーー()()()()()()()姿()を見せつけられて甘かったと思い知らされる。レージは一誠の一撃を受けた訳ではなくて、()()()()()()()()()()()()。流石に今の軌道で放てば結界を貫通して街に被害が出ると考えたからだ。上に逸らしたことで結界の頂上には穴が空いているが人的な被害は出ていない。

 

 

そしてレージの復讐の邪魔をした報いを受ける。

 

 

サーゼクスに放たれる筈だった崩拳、それがそのまま一誠目掛けて放たれた。星光も纏わぬ一撃、耐えられると一誠は全身に力を込めて腕をクロスさせて受けの姿勢に入りーーー塵芥の様に吹き飛んだ。

 

 

「ガァッ!?」

 

『相棒!?』

 

 

たった一撃で鎧は粉砕され、校舎にぶつかってようやく止まる。赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)に宿っているドライグは人間の一撃で鎧が粉砕された事実が信じられなかった。

 

 

レージの足元に赤龍帝の(ブーステッド・ギア・)(スケイルメイル)に着いていたコアが転がっている。それを代償だと拾い上げて無事だったズボンのポケットにしまい、サーゼクスへと向き直った。レージの中での一誠への関心は無くなっている。

 

 

「ちく……しょぉ……」

 

 

何が神滅具(ロンギヌス)だ、何が赤龍帝だと、一誠は自分に背を向けてサーゼクスに向き直っているレージの背中を見ながら意識を闇へと落したーーー

 

 




レージVSサーゼクス。実力はサーゼクスに軍配が上がる。だって超越者で、大戦生き残って、実力社会の悪魔社会でトップに立てるんだから弱い訳がない。でも舐めプしていたので割と勝ち目があった。

レージの〝まだだ〟、そこから星光の暴走で消滅の魔力を分解する程の出力……復讐に堕ちた光の魔人は主人公属性を得ているのだ!!(錯乱)

一誠乱入。今作では一誠はフェニックスとのレーティングゲーム内で禁手(バランス・ブレイク)して勝った事になっています。伏線です。

そしてパパゼルが神器(セイグリッド・ギア)の研究をしていなかったので神器(セイグリッド・ギア)を抑える腕輪は存在しません。なので残った腕を対価にして擬似的な禁手(バランス・ブレイク)しました。


堕ちる、堕ちる、赤龍帝を宿した青年の意識は深い闇へと堕ちていくーーーそこで、彼が出会う者とは?

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