「ーーー飯……ッ!!飯だ……飯を持ってこい……ッ!!」
「足りない……ッ!!早く、早くお代わりを……ッ!!」
「あ、すいません。メニューの上から下まで3人前ずつお願いします」
「キッチンを回せェ!!ありったけの食材持ってこい!!」
「コンロが足りん!!ガスコンロ持ってこい!!」
「盛り付けは考えるな!!皿に乗せて運べぇ!!」
「食材が無くなりそうだ!!誰か補充行ってこい!!」
ドイツにある料理屋で俺とジャンヌオルタとジャンヌダルクはひたすら飯を食っていた。
ドイツの理由?ビールが美味いからだってさ。
「いやぁ、ウチの健啖家たちはえらい勢いで食べすすめるね……あ、ビールお代わり」
「こっちも、樽で頼むわ」
「酒ッ!!飲まずにはいられない!!」
「ほら白音、バランス良く食べないと大きくなれないわよ……私みたいにね!!」
「黙れこの駄乳が……ッ!!」
この場にいるのは曹操、ヘラクレス、アスラ、黒歌、白音だ。他のメンバーは食いに行く気力も無いらしく本拠地で死屍累々の状態である。
「いやぁ、それにしても
全メニューを5人前ずつ貪ってようやく腹5分目ほどになって落ち着いて来たところで温くなったビールを飲みながら今回の戦いの感想を口にする。
「本当にそうだったな……事前に資料で分かってた気になっていたけどまさかあれ程だったなんてね……」
「全長が1Km超えの巨体だったからあちらからしてみれば身震い程度でもこっちからしてみれば一撃必殺だったし」
「まさか削っても空間自体を食って回復するとはなぁ!!」
「ただの回復能力持ちならともかく、食べたものを使って来ましたしね……」
「イザイヤの
「最終的には全身から
「俺は
「ジャンヌ姉妹に至っては聖剣魔槍投げつけても食われて100mサイズにされて返されてたしな」
「例外は大将の
「俺のは分解だから食えないだろ。食ったとしてもそこから分解される訳だし……でももし食われてたらえらい事になってたな……」
「しかも削った肉片が小さい
「それのせいで一度戦線崩壊しかけたからな……」
「それにあれはヤバかった……まさか自分の力を暴走させて小型の太陽になるとか……」
「ゲオルグとクリスが対抗の術式を作ってくれなかったら詰んでたな……」
「しかも結局倒せなかったし……俺と曹操で再生不可能なまで粉々にしてもまだ生きてたし……」
「亜空間ごと封印するしかなかったな……ゲオルグが次元の狭間にたたき込もうとしてたけど下手したらグレートレッドを超反応起こして戻って来そうだから止めた」
「うわぁ……その光景が想像出来る……」
「対人外の切り札にしようかと思ったが駄目だな。危なすぎて扱いきれん」
ビールを飲みながら愚痴を吐くように今回の戦いの感想を思い思いに口にする。それにしても
被害は重傷者こそいるのだが奇跡的に死者はいない。その重傷者も英雄派のナイチンゲールの子孫だという殺してでも救うガールがいるからそのうち復帰出来るだろう。
そんなこんなで適当に駄弁りながら料理とビールを消費していると、店の中に軍服を着た集団がやって来た。肩の辺りに縫い付けられている国旗を見る限り、当たり前なのだがドイツの軍人らしい。その先頭に立っているのが隊長格の人物と思われるのだが、そいつに俺は見覚えがあった。
「テンチョー、団体なんだけど入れる?」
「すいません、食材の方が少なくなってて十分な量が提供出来ませんが……」
「大丈夫だと思うけど……あれ?」
店を見渡していたそいつと目が合う。白いサラサラの髪に中性的な顔立ち、それに右目を狼の刻印が刻まれた眼帯で隠している……うん、見覚えがある訳だ。俺はこいつを知ってる。
「レェェェェェェジィィィィィイッ!!」
「オゴッ!?」
「レージが死んだぁ!?」
「「「「この人でなし!!」」」」
テーブルが目の前にあったというのにそいつは真正面から突っ込んできて俺の腹に猛烈なタックルを仕掛けてくれた。鍛え抜かれた腹筋のおかげでそれほどダメージは負わなかったが、それでも食事中に腹部への衝撃はやめて欲しい。
「うげぇ……ひ、久しぶりだな、シュライバー」
「うん、久しぶりレージ」
喉から名状し難い物が込み上げてくるのを必死に抑えながらタックルをしてくれた人物……ドイツ軍対人外部隊銀狼の隊長のアンナ・シュライバー。過去に北欧神話の関係でドイツに来た時に出会って悪魔と堕天使のイザコザを協力して解決し、懐かれたのだ。
実はシュライバー、中性的な顔立ちであるが性別は女性である。女性が軍人で、しかも隊長だなんて驚くかもしれないが対人外部隊となるとどの国でも性別は関係無かったりする。ただ人外に対抗出来る実力があるか否かだけで測られるからな。
「オエップ……にしてもなんでシュライバーと銀狼がここに?何かあったのか?」
「うん、実はこの近辺にはぐれ悪魔がいるって報告があって黒兎と一緒に駆逐しに行ってたんだ」
腹をさすりながら椅子に座り直したらシュライバーは上機嫌に俺の膝の上に座ってここにいる理由を話してくれた。ちなみに銀狼の隊員たちは現在進行形でアスラとヘラクレスと飲み比べをしている……打ち解けるの早いなぁおい、お前ら初対面じゃ無かったっけ?
「はぐれ悪魔ねぇ」
「ホンット最悪だったよ……冥界のネズミを改造して眷属にしたらしいけどポンポン数増やして最終的には四方八方がネズミだらけ……うぅっ思い出しただけで寒気してきた……!!あっためて!!」
「ハイハイ」
「……ねぇレージ、その、彼?彼女?とは知り合いなの?」
ネズミの群れに囲まれた時の事を思い出して震え出すシュライバーをギューと抱き締めているとジャンヌオルタが不機嫌そうに聞いてきた。
「シュライバー、自己紹介」
「はーい。ボクはアンナ・シュライバー、ドイツの対人外部隊の隊長だよ。ちなみに性別は女だからね?レージとの仲は……裸であっためあった仲、かな?将来の夢はレージのお嫁さん!!アテナは恋敵にして親友!!」
「……私はジャンヌオルタよ。呼ぶならそのままかオルタって呼んで頂戴。レージの正妻を狙う愛人よ」
「私は黒歌よ。私もレージの正妻を狙ってるわ」
「……」
「……」
「……」
それだけ言うと何か通じ合ったのか3人はテーブルに身を乗り出してガシィッと腕を組んだ。ちなみに裸で温め合った仲と言ったがやましい事はしてない。ただびしょ濡れになったから暖を取る為に引っ付いていただけだ。シュライバーには手を出してない……だけどこのままだとジャンヌオルタと黒歌みたいに襲われそうなんだよな。
「修羅場?ん?修羅場か?」
「修羅場じゃねえから!!そんなワクワクしながら聞くんじゃねえよ曹操ぉ!!」
ビールジョッキ片手に聞いてくる曹操の目にマスタードを飛ばすがソーセージで塞がれてしまう。ケラケラと笑いながらそのソーセージを飾るがマスタードがキツかったのか床に転げ回る。ザマァ。
そして何故か俺の性感帯について話している3人に居た堪れない気分にならながら、ビールを飲み干した。
「ーーーん〜あそこだね?」
「ーーーえぇ、調べによればあそこにいるはずですよ……姉を、殺したあの男が……!!」
レージたちがいる街を遠く離れた山から見下ろしている2人の人影があった。1人は中年の男性で興味深そうに、そしてもう1人の銀髪の青年は憎しみと殺意の篭った目で街を、正確にはそこにいる数人を見ている。
「仕込みの方は?」
「済ませてあります。街の住民に〝種〟を植え付けて放っておきました。発芽は1時間前でそろそろいい頃合いです」
「さっすがユーグリット君!!仕事が早いね!!」
「ですが、本当にこれで良かったのですかリゼヴィム様?この程度生温いと思いますが……」
「良いの良いの、今回は
「出来ています。ここらを領地としていた上級悪魔ですね。専属は同様に〝種〟を植え付けて放ってあります」
ユーグリットと呼ばれた青年は足元に転がっていた瀕死の状態の悪魔に目を向ける。その悪魔の目は虚ろで、身体の至る所から
「ーーーさぁレージ君、君の力を見せてくれぇ!!アヒャッヒャッヒャッヒャッ!!」
そしてリゼヴィムと呼ばれた男性はこれから目にするであろう未知の出来事に心を踊らせ、街にいるレージに向けて期待を込めた賛辞を送った。
くぅ〜疲れました!!いやぁ、
ドイツから新キャラ登場。アンナ・シュライバーちゃんです。イメージは無論のことDies iraeのシュライバー。ドイツ軍非公式対人外部隊銀狼の隊長で階級は少佐です。なおアテナとは宿敵とかいて友と読むような関係。ジャンヌと黒歌とは機会が無くて顔を合わせてません。
そして動く二人組……ヤバい、どちらとは言わないけどヤバい。