復讐者慟哭。幕上がるは復讐歌劇   作:鎌鼬

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しばらくは悪魔サイド。とは行ってもリアスたちの視点がほとんど。原作の五巻の辺りです。


demon・I

 

 

駒王学園は例年よりも早くに夏休みに入った。その原因は先日の会談の時の禍の団(カオス・ブリゲード)の復讐派と魔王派の襲撃により校舎が半壊した為だが一般生徒にはそれを知らさずに、不発弾が爆発して校舎が崩壊したと伝えられてなんとか無事だった体育館で早めの終了式をしたところだ。

 

 

その為に学校での部活動は全て中止、大会などがある部活は学校から資金が出て町民体育館やグランドを借りて部活に励んでいる。そんな駒王学園の旧校舎で、1つの部が活動していた。

 

 

オカルト研究部と銘打ったリアス・グレモリーたち悪魔の活動だった。先日の禍の団(カオス・ブリゲード)の襲撃を一誠の活躍により撃退出来たとサーゼクスは大々的に伝えていたが、実際には彼らはやる事をしたから退いたに過ぎない。このことにリアスが頭を抱えて、朱乃が励ますまでが最近の流れだったりする。

 

 

そしてこの場には悪魔では無い人物が1人いた。黒い喪服を思わせるようなシックな衣装に身を包んだ少女がソファーに腰掛けながら紅茶を楽しんでいる。彼女は一誠が禍の団(カオス・ブリゲード)の襲撃後に意識を失ってから現れた少女だった。ヴェンデッタかマキと呼んで欲しいと言っていたがもっぱらヴェンデッタの方で呼ばれている。彼女を見てマキナと何かしらの関係がある事を考えたリアスの指示によりヴェンデッタは保護の名目で部室にいる。

 

 

マキと呼ばれないのはヴェンデッタの事を敵意と警戒の眼差しで見ているマキナが原因だろう。ヴェンデッタとマキナは姉妹かと見間違う程によく似ている。マキナを幼くすればヴェンデッタに見えるし、ヴェンデッタが成長すればマキナの様になるだろうと簡単に予想が出来る。

 

 

だが、2人の仲は決して良好とは言えなかった。先も言った通りにマキナはヴェンデッタの事を警戒している。突然現れて当たり前のように居座っていれば当然だろう。そしてヴェンデッタもマキナには辛く当たっていた。と言っても辛いのは言い方だけでは内容は間違っていないのだがマキナ以外に対する姿勢と比べれば相当に強かった。

 

 

「ヴェティさん、どうですか?」

 

「……えぇ、美味しいわよアーシア。また腕をあげたわね」

 

「ヴェティさんの言う通りにしただけですよ」

 

「それでも美味しくなったことには変わらないわ」

 

 

そんなヴェンデッタはマキナの視線を無視しながらアーシアと仲良さげに話していた。その手にはヴェンデッタのアドバイスの元に作られたアーシアお手製のケーキがある。ヴェンデッタと一番仲の良いものはと聞かれれば誰もが迷わずにアーシアと答えるだろう。基本的に敵意と言うものを持たないアーシアは誰とだって仲良くなれる。それにヴェンデッタも含まれていたのだ。

 

 

「ギャスパーも段ボールに篭ってないで出て来なさい。一緒に食べましょう?」

 

「ボ、ボボボ僕は良いですぅ!!ここの中で食べますからぁ!!」

 

「ダメよ、そんなところで食べたら作ってくれたアーシアに失礼でしょう。他人と関わるのが怖いのは知っているけど引きこもってるだけじゃ改善されないわよ」

 

 

ヴェンデッタの足元でカタカタ震えている段ボールの中にはギャスパーが入っている。対人恐怖症である彼は封印されていた部屋から出る事が出来る様になったものの、こうして段ボールに引きこもっている事が多いのだ。

 

 

治したい、でも他人が怖い。ギャスパーからしてみればこうして部屋から出る様になっただけでも大進歩だ。ヴェンデッタもそれを分かっているのか怒鳴る様な事はせずに優しく注意する程度で済ませている。

 

 

そしてそれを面白く思わないのはマキナだ。リアスと朱乃が外出して部室に待機する様に言われているが正直な話、ヴェンデッタと同じ部屋にいる事は不快で不快で仕方がない。

 

 

まるで、◼︎◼︎◼︎い自◼︎を見ている様でーーー

 

 

そして湧き上がった考えはすぐに塗りつぶされる。リアスの言う事は聞かなければならない。そう幼い頃から教育されていたから。

 

 

「……大丈夫ですか、先輩」

 

「……問題ありませんよ。それより兵藤君も大丈夫ですか?まだ病み上がりですが」

 

「俺は平気ですよ。むしろこれまでよりも身体の調子が良くなったくらいで……」

 

 

そう言う一誠だが、確かに身体の調子は倒れてからーーー正確には倒れる前からーーー良くなっていた。

 

 

以前までは大量に倍加しなければまともに戦えなかった筈なのにあの襲撃の際にはたった三度の倍加で戦える様になっていた。多分それは今でも変わらないだろう。

 

 

()()()()()。まるで自分の身体が全く別の何かに作り変えられている様で。まるで、襲撃してきた復讐派と同じ魔星に変えられている様で。

 

 

それに一誠は赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を宿しただけの脆弱な転生悪魔にしか過ぎなかった筈なのに、いつの間にか星辰光(アステリズム)を使える様になっていた。あの時の身体を作り変えられる感覚が怖いのであれから使っていないが、きっと使おうと思えば使うことが出来るだろう……星辰光(アステリズム)殺しの星辰光(アステリズム)を。

 

 

それに怯えているのが分かったのか、マキナはヴェンデッタへ向けていた敵意と警戒を軟化させて一誠に微笑みかけた。

 

 

「空元気はやめてください。怖いなら怖いと、言ってください。私は先輩なんですから頼ってくださいね」

 

 

マキナの星辰光(アステリズム)は親から与えられたもの。それをアジュカぎ解析したことで他の者も然るべき施術を行えば星辰光(アステリズム)を使える様になったのだが、正直に言ってマキナはそれが不快で仕方がなかった。親が遺してくれた物が辱められている様だったから。だが、そんな事は死んでも口にする事は出来ない。だって、アジュカとサーゼクスはマキナにとって()()()()だから。

 

 

しかし一誠が星辰光(アステリズム)を使う事には然程不快感を覚えなかった。寧ろボロボロになりながらも立ち上がって戦った姿には好感を持つ程だった。特に親の仇(レージ)を殴ったと聞いた時には思わずハグをしてしまいそうになった。

 

 

「あ〜……はい」

 

 

そんなマキナを見てどこか恥ずかしそうに、バツが悪そうに一誠は頬を掻きながら返事をした。マキナの微笑みに見惚れてしまったからだ。

 

 

マキナは学校内では殆ど無表情だ、一時期マキナを笑わせたり驚かせたりしようという企みが上がるほどに。だからこうした表情の変化が新鮮で、それでいてとても似合っていて一誠は見惚れてしまったのだ。

 

 

「ーーーゴメンなさい、空けてしまった」

 

「お帰りなさいませリアス様、朱乃」

 

 

その変化もリアスと朱乃が戻ってきた事で元の無表情に戻ってしまう。さっきの微笑みは夢だったのだろうかと真剣に考えてしまう一誠だった。

 

 

「……なんとまぁ、どう評価して良いのか分からん部屋模様だな」

 

「オカルトと銘打ってあるから誤魔化しには丁度良いのよ」

 

 

そして出た時にはリアスと朱乃の2人だった筈なのに戻ってきた時にはそこに1人増えていた。部屋の様子を見て呆れているのは炎を思わせる朱髪の青年。衣服は髪と同じ様な朱色の唐装衣装でカンフーズボンという出で立ちだった。

 

 

「部長、そちらの方は……」

 

「新しい眷属よ。前々から悪魔に転生したいと相談されていてね、決意が硬いようだったから転生させたわ」

 

「お初にお目にかかる。此度、戦車の駒で転生した李書圭(リショケイ)と申す者だ。悪魔としては若輩で至らぬ所もあるだろうがよろしく頼む」

 

 

書圭が戦車の駒で転生したと言った時に、リアスと朱乃を除いたメンバーにある考えが浮かび上がった。もしかしたら書圭ははぐれ認定をされた小猫の後釜では無いかと……

 

 

「先に言っておくけど、書圭は小猫の代わりじゃ無いわよ。魔王様たちは小猫の事をはぐれ認定したけど、私は認めてないわ。何か事情があるにしてもちゃんとした形で別れるまではね」

 

 

そう言われて、リアスは小猫を見捨てていないと分かって安心する。会議室での黒歌との会話から、小猫に何かしらの事情がある事は簡単に予想が出来る。一部の魔王を始めとした上層部の悪魔たちは小猫の事をはぐれとして始末するように言っていたが、リアスは小猫を始末するつもりは欠片も無かった。それどころか納得出来る理由ならばそのまま眷属から離れる事を認める気でいる。

 

 

ともかく、小猫にどうして何も言わずに出て行ったのかを話すつもりだった。

 

 

「それと突然で悪いけど……今から一週間後に冥界に行くわよ」

 

 

そして本当に唐突に、リアスは冥界へ向かう事を告げた。

 

 





ヴェンデッタはほのぼの、マキナはギスギス、これが今の状況。

ニュー眷属、戦車の李書圭。前々からリアスに悪魔に転生したいと言い続けてようやく転生した青年。転生した理由は、武を極めるには人の時間はあまりにも短すぎるから。イメージはFate/extraの李書文。

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