おならが奏でる恋のアリア   作:おたけ

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ブリブリブリブリ。

原作ガン無視して適当にかこうとおもたり


1.ブッ

 ブッ。

 

「臭っせぇ」

 

 このニオイは。間違いなく。

 

「誰だ屁ェこいたの!」

 

「オレだ」

 

「・・・・・・」

 

 ・・・・・・。

 

 ・・・・・・・・・・・・。

 

 その場にいる人間、全員がフリーズした。

 

 それどころか、大気中に浮遊している窒素までもが凍った。

 

 ちなみに酸素と二酸化炭素はちゃんと動いていた。

 

 ・・・・・・。

 

 今、この教室で一体何が起こったのか、三文字以内で説明しよう。

 

『おなら(3文字)』

 

 三文字以内で説明できてしまった。日本語とは偉大な言語である。

 

 ただし、さすがにこれでは説明が不十分だからもう少し詳しく説明することにしよう。

 

『授業中におならをしたとある男子生徒が、それを冷やかしたクラスメイトの「誰だ」という声に対して「オレだ」と自ら名乗りでた』(59字)

 

 ……。

 

 普通の人間なら、自分がおならをした事はなんとしてでも隠したいと思うはずだ。だがこの男子生徒は、 そんな常識を軽々と吹っ飛ばしてしまった。

 

「恥ずかしくないの……?」

 

「やだー」

 

「あいつかっこいい……!」

 

「くさい」

 

 この状況を受けてクラスの人間はみな思うことを口にしていた。オレは黙っているけどな。

 

ただ唯一、この中でカッカカッカと腹のマグマを煮立てている人物がいた。授業をして

いた現代国語の教師だ。自分の授業がおならに中断されていい気分であるはずがない。

 

「廊下に立ってろ!! 塚原!!」

 

 教師の怒号が飛び、ざわついていた教室はしんと静まり返った。が……。

 

「なぜです?」

 

 おならで授業を中断させ、さらにおならをした事を自首(?)した塚原が、まさかの反論に出た。

 

「ッ……」

 

 教師はまさか口ごたえされるとは思っていなかったのか、一瞬たじろいだような表情を見せたが、そこはやはりプロである。大きく息を吸い込んで、

 

「屁をこいて授業を妨害するなど聞いたことない!! こんな生徒は初めてだッ!!」

 

 と塚原を一喝した。

 

 それに対し塚原。

 

「放屁は生理現象のはずでは? それに授業を妨害しているのはガヤガヤと騒ぎ立てている他のクラスメイト達だとワタシは思いますがね」

 

塚原はかなりきつい口調でまた反論した。それもかなりの正論である。

 

「塚原、お前は高校生にもなって屁の一つも我慢できんのか!! まったく、そんなんじゃ社会に出てやってけないぞ」

 

 教師は教師で完全にスイッチが入っていた。目が完全に獣のそれである。

 

「塚原、とりあえず放課後私のところまで来なさい」

 

 教師はお決まりの文句を吐き捨て、教室を出て行ってしまった。まだ授業時間が十五分ほど残っていたのだが。

 

 授業中の放屁より、職務放棄の方が罪が重いと思ってしまったのはオレだけだろうか。

 

 ……。

 

 …………。

 

 

 塚原という人物を説明するには、このエピソードが最も適任なんじゃないかとオレは思う。自分の信じる事(例えばおなら)を誰に対しても貫くその姿勢は、そこらの高校生とは明らかに一線を画している。

 

 オレは嫌いじゃない。そういう人間は嫌いじゃない。

 

 だって、オレにはどうやったってそんな生き方を真似する事はできないからだ。周りの様子を伺い、できるだけ波を立てずに生きるのがオレのスタイルだ。

 

「授業中だというのに、のんきに考え事かしら」

 

 オレの隣の席の金髪が話しかけてきた。授業中だというのに何を考えているのか。

 

「……」

 

 とりあえず無視する。

 

「ちょっと」

 

 無視。

 

「寝ているの?」

 

 オレの目、おもいっきり開いてるんだけどな……。

 

 いや、これはもしやオレが一重まぶたであることをバカにしたブラックジョークなのか。目が細くて悪かったな。

 

 ムカつくのでまた無視。

 

「……!」

 

 向こうも怒りを殺しつつオレに話しかけるのをやめた。

 

 その様子を見たオレはよし、と勝利を確信した(なんの勝負だよ)。

 

 だか、オレは甘かった。

 

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