「な、ん……で?た、くま」
「うざいんだよ」
剣を引き抜かれ血が噴出し……倒れる
「な、何やってるんですか!タクマ君」
「あぁ?なんだよ友理」
声を張り上げて友理が叫ぶタクマが俺を突き刺したことに怒ってくれているのだろうか?
「お腹を刺すなんて!タクマ君は1人だけでコレを殺す気ですか!」
「ぇ……」
コレを殺す?コレって俺のことか?1人だけ?どういう意味だ?
「全く、『ヒール』」
刺されて貫通していた腹が塞がる、でも痛みで俺はまだ動けない
「ふぅ、簡単に死なせたらつまらないでしょう?」
「あー!そっかそうだな!」
「ぁんで……」
「ん?なんだよ」
「なんで、こんなこ……とすんだ、よ」
痛みで上手く発音ができないが伝わったはずだ
「なんで、ですかぁ?強いていうならお前に生きている価値が無いからですよ」
「そうそう、無能の癖に第三王女と仲良くしやがって」
「まじでムカつく」
「それに、ルーヴェさんとも仲が良いですし」
「そ、れだけの理由で?」
「それだけじゃねぇよ、女神様に言われた」
女神……エヴァンクディンのことか?それともほかの女神?いや、俺のことを知ってる女神はあの性根の悪いエヴァンクディンだけだ
つまりタクマ達が言ってる女神はエヴァンクディンのことか……
「なんて……言われた」
「簡単に言うと、お前はいつか魔王側に寝返るその前に殺してほしい無惨に……ってね」
「寝返るわけねぇだろ!」
「ふん、女神様の言うことは絶対だ」
「恩恵を得られなかったのがいい証拠よ」
「アイツが渡さずに俺の勇者としての力を奪ったんだ!」
「はっ、言い訳とは醜いな!」
「あぁ、そういえば女神様は私に恩恵とあと魔核と言うのをくれましたね」
「魔核だって、あの女神!俺の……俺の!」
「っぷははははは、マジかよ」
「ねぇ、どんな気持ち?自分の力をクラスメイトに奪われた気持ちは?」
「く、そが」
エヴァンクディンの奴俺の力を友理に渡していたのか……そして俺の目の前で言って反応を伺う、ふざけんじゃねぇ
「ま、話はこれ位にして痛めつけて殺すか」
「おっ、げぁ」
脇腹を蹴られ俺は地面を転がり、蹴られた衝撃で肺の空気が一気に抜けた
「ぁっ……か…………」
上手く呼吸が出来ない息を吸おうとしてもヒューヒューとほんの少ししか吸えない
「レン、お前はさ自分の立場を考えて行動や発言をしろや!勇者じゃねぇんだろだったら俺らに敬語を使えや!タクマだぁ?タクマ様だろうが!!」
何度も何度も蹴られる、頭、腕、足、みぞおちを執拗な程に蹴り続ける
「あ、がっ!ゔぇっ!」
「次は私の番ですよタクマ君」
「まだやり足りないんだけど?」
「剣で刺したんだから良いでしょ?」
「ちっ、しょうがねぇな」
「さて、私は魔法が得意なので魔法で行かせてもらいます」
「『ファイアボール』」
ボムっと小さな抜発音と共に俺は吹き飛んだ
「ッ!!!!!!」
熱い、とにかく熱い体にまとわりつくような熱気を体に受けた
「あ……っが」
たった1発の火魔法、ファイアボール…………初級魔法でも勇者が撃つとこうも威力が違うのかと思う
皮膚が軽く焦げ、肉が見えていてとても生々しい
「おいおい、友理お前の方が酷いじゃねか」
「うっわぁ、凄く手加減したのに……弱すぎ」
「ま、ゴミらしくなったじゃねぇか」
「い、ぎぃ……がぁぁ」
「熱そうですね、冷やしてあげますよ」
やめてくれ、もうやめてくれ死にたくない……こんな所で死にたくない
「『アイスボール』」
「あ、ぁぁ……」
今度は体の芯から冷えるように……ドライアイスに触れているかのような冷気を感じる
「冷やしすぎだろwww」
嘲笑と共に俺を蹴ってくるタクマ……あぁ、もうどうでもいいや
「外側が駄目なら内側から熱するにしましょう」
内側?内側から熱する?…………どういうことだ……熱する?内側、熱する……まさか、体の中に火魔法!?
「さぁ、口を開けてください」
「あ、ぁぁイ……やだ」
「わがままですね、タクマ君」
「しょうがねぇなぁ」
「イヤだ!止めてくれ!それだけは…………」
「『ファイアボール』」
「っ………………!!!!!!!」
「1回じゃ、無理ですよね」
イヤだ!やめて!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
「『ファイアボール』」
「あ、が」
呼吸が出来ない、したくても熱く気管が焼け空気が通ると物凄く痛い
「『ファイアボール』」
痛みで暴れてもタクマの拘束を振り払うことなど出来ない
「や、やめ……て」
死ぬ気で絞り出した声に対して友理は
「ダメです『ファイアボール』」
にこやかな笑顔で言った…まるで欲しかった物を買ってもらった子供のような顔で
「『ファイアボール』」
気を失いたくても痛みで気を失うことすら許されない、動きたくても指1本動かせない……離せ!離せ!離せ!!
「暴れんなよ……」
「なんか反応が薄くなってきましたね」
「だな、もう暴れようともしねぇし」
「飽きました、潤君あとは好きにしていいですよ」
「俺はいいや」
「なんでだ?」
「そこまで傷ついて壊れ掛けなんか殴ってもつまらない」
「それもそうか」
「じゃ、ヒールをかけて傷を癒してから崖から突き落とすって言うのはどう?」
「死の恐怖ってやつか?」
「それはいいな」
「い、やだ……じに、だくない…」
「ダメです、ココで死んでもらいます」
「さっさとヒールかけて落として帰ろうぜ」
「そうだな、友理早くしてくれ」
「はーい、『ヒール』」
肩を掴むな離せ、嫌だ死にたくない!
「おいおい、暴れてくれても構わないんだぜ?」
「もうそんな気力すらないのか」
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ死にたくない!なんでこんな目に!
「じゃあな、レンお前と一緒にいた事すら恥ずかしいわ」
「気安く私の名前を言ってきた時は、何コイツ?って思ったけど楽しかったよ」
「一つだけいうとしたら、崖から落ちて生き残ったんならより苦しんで死ね」
そう言って俺の体を放り投げた、内部は焼けて皮膚は焦げ付き右半身は壊死寸前、足や腕肋骨などは確実に折れている
助かるはずがない……俺は諦めた
「あ、やかぁ……ご、めん……な」
最後に綾香に謝罪をして、俺は暗闇に消えた