悲劇の女神   作:ユーセー

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もう片方の作品も随時更新いたします!


1話 友達

この日女子校に転入してきた軍人のジェム・クロウ。

 

 

女子校に男子が来たら、普通は大騒ぎだ。

質問攻めにあうのが漫画やアニメでは当たり前なのだろう。

 

だが、この男の周りに誰かが寄ってくることは無かった。

 

戦争の原因、地球防衛軍の人間である上に

近付いてはいけない雰囲気を醸し出しているのだ。

 

 

 

 

それにもかかわらず、ジェムに興味を示している1人の女の子、高海千歌は何度も声をかけ続けた。

 

 

 

千歌「ねぇねぇ!お友達になろうよー!」

 

ジェム「なぜ?その必要はないだろ?」

 

千歌「だってぇ、1人でつまらなそうにしてるから〜」

 

ジェム「お前らといても楽しくなるとは思えん」

 

千歌「むっ…そんなのわからないじゃん!とりあえずお昼一緒に食べるだけでも!」

 

ジェム「食事くらい1人でできる。余計なお世話だ」

 

千歌「もう!本当に頑固だよね!!いいもん!そっちが何と言おうとも曜ちゃんと梨子ちゃんと君の隣で食べてやるから!!」

 

ジェム「……勝手にしろ」

 

千歌「勝手にそうさせていただきますーだ!寂しくなったって謝らなきゃ話に入れてあげないんだからね!」

 

 

 

 

 

そして昼休み

 

千歌「おーい!曜ちゃん梨子ちゃーん!今日はここで食べようよー!ジェム君の隣でー!」

 

曜「げっ!まじ…?やめておこうよ…ちょっと怖いし…」

 

梨子「うん……一応軍人さんなんだよ…?」

 

千歌「でも!私がしつこく話しかけても怒らなかったよ!きっと大丈夫!!仲良くなれそうな気がする!今は……かなりムカつくけど…」

 

曜「千歌ちゃん……顔に出てるよぉ…」

 

梨子「とりあえず…今日だけよ?何かあったら関わるのやめてね?」

 

千歌「うん!2人ともありがとう!と、いうことで…ジェム君!隣しつれーい!」

 

ジェム「勝手にしろ」

 

曜(うっ…やっぱり…怖い…)

 

 

千歌「ねぇねぇ!ジェム君何食べてるのー?」

 

ジェム「なんだっていいだろ」

 

千歌「良くない!気になる!!」

 

梨子「ちょっと…千歌ちゃん…」

 

ジェム「……きんぴらごぼうと生姜焼きだ」

 

千歌「おぉ!!美味しそう!少しもらってもいい?」

 

曜「千歌ちゃん!いきなりそれは失礼だって…!」

 

ジェム「勝手にしろ…」

 

そう言うとジェムは弁当箱を千歌に差し出した

 

千歌「ありがとー!!……うーん!美味しい!これはジェム君が作ったの?」

 

ジェム「冷凍食品だ」

 

千歌「あ、あはは……最近の冷凍食品は良くできてるんだねぇ…」

 

ジェム「あぁ、そうだな」

 

曜「か、会話してるよ……?」

 

梨子「う、うん…ちゃんと会話してる…」

 

ジェム「俺だって生きてる。会話くらいするさ」

 

千歌「ジェム君……なんだか仲良くなれそうだよ!友達になろうよ!」

 

ジェム「それだけは遠慮しておく」

 

千歌「えぇ!?なんでぇ!?そこは勝手にしろ!でしょ!?」

 

ジェム「悪いな…これ以上仲良くする気はない」

 

千歌「えぇー!?ジェム君絶対友達いたことないでしょ!?」

 

梨子「千歌ちゃん!?」

 

ジェム「……友達…あいつは俺をそう思ってくれてるのかな…?」

 

ジェムは初めて表情を変えた。

千歌達が初めて見たジェムの真顔以外の表情。

 

それは…どこか寂しげだった…

 

千歌「何か……あったの…?」

 

曜「あまり聞かないほうが……」

 

ジェム「そうだな、聞いても特にはならん」

 

千歌「嫌だよ……なんか…凄く辛そう…」

 

ジェム「俺は軍人だ。感情なんて…もっちゃいけないんだ…」

 

ジェムの表情は次第に強張りを無くし、自然な物になってきていた。

 

千歌「ジェム君は…軍人かもしれないけど…ちゃんと生きてる人間なんだから…無理しちゃダメだよ?」

 

ジェム「……お前、本当変なやつだな…こんなやつに構ってくるなんて」

 

千歌「だって!お友達になりたいんだもん!!」

 

梨子「私も……辛いことがあるなら…皆で分かち合わなきゃダメだと思う…」

 

ジェム「……お前らは…今回の防衛軍の発表で、これから戦争をする。と聞いているのか?」

 

千歌「え?そ、そーだけど…いきなりどうしたの?」

 

ジェム「実は……既に俺たち地球防衛軍とノーアース、ピースクローバーの戦争は始まっているんだよ」

 

曜「そうなの…?そんなのニュースで聞かなかったけれど…」

 

ジェム「戦争を吹っかけた理由が理由だ……表に出せるはずがないだろ……だが…隠しきれないと考えた防衛軍は、それらしい理由をつけて火星への反乱を発表したんだ」

 

梨子「確か…ノーアースの人達が地球にいる生命を滅ぼし…新たに作り直す…それを阻止するために防衛軍が動いたのよね?」

 

ジェム「そんなのは防衛軍のやつらが勝手に作った話に過ぎない。本当の理由は、火星の支配下に置かれてるのが許せなかったかららしい。プライドの問題らしいんだ。俺も聞いた話だから詳しくは知らないが…。戦争なんてしなくても…幸せに暮らせてたんだ…」

 

千歌「そんな勝手な理由で……どうにかしてやめられないの…?」

 

ジェム「それを…俺は…唯一の友だった人物と話してたんだ…」

 

千歌「どうなったの……?」

 

ジェム「今防衛軍のトップにいるメタクに話を持ちかけたんだが…始まった戦争はもう止めることはできない……戦いを終わらせたいなら敵を全滅させるしかないんだと…それを聞いたあいつは……この戦争を終わらせるべく戦場に出て……帰ってこなかった」

 

千歌「そ…んな……」

 

ジェム「俺はあんな悲しい思い二度としたくない。だから…友達なんて作らない……失うくらいなら…ないほうがいいんだ」

 

千歌「………ごめん…」

 

ジェム「俺も飯の時間なのに悪かった…気分悪くさせたな…」

 

千歌「でも…私はそれでも友達になりたい!」

 

梨子「千歌ちゃん……」

 

ジェム「さっきの話聞いてたか……?俺は…」

 

千歌「大丈夫、私は絶対離れないから。ジェム君の辛い気持ち…1人で抱え込ませない。私も…貴方の力になりたい」

 

ジェム「………後悔しても……知らないからな…?」

 

千歌「後悔なんてしない。だから……今日から友達ね!」

 

ジェム「……勝手にしろ…」

 

曜「ジェム君、顔赤いよぉー!」

 

ジェム「ほっとけ!」

 

梨子「なんだぁ〜ジェム君も…ちゃんと人間なんだね。ちゃんと笑えるんだ…あ!もちろん私ともお友達になってもらうからね?」

 

ジェムは……笑った。

皆のように声に出して笑ったわけではないが…微笑んだ。

 

ジェム(人って…暖かいんだな…)

 

 

 

 

そしてお昼も終わり午後の授業が始まろうとしていた時…

 

 

 

ピーピー!!

 

 

警報が街に鳴り響いた。

 

 

千歌「え!?何!?」

 

ジェム「おそらくピースクローバーだ。まさか地上までせめてくるとは……俺も出るから、皆の指示に従って避難してくれ」

 

 

 

 

とうとうこの地上も…戦場になるのだ…。




ちなみに弁当のオカズに出てきた生姜焼きときんぴらごぼうは主の中学時代のお弁当のメニューでした!
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