悲劇の女神   作:ユーセー

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4話 選ばれし者

こうして千歌達9人は地球防衛軍に所属することになった。

 

 

ジェム「…9人か…中々多いな。お前ら部屋のことは何か聞いてるのか?」

 

曜「千歌ちゃんがジェム君と相部屋だそうでーす!」

 

千歌「やっぱ私なのー!?」

 

ジェム「4人部屋とは言え、5人が寝れるスペースが無いわけではない。お前も皆と一緒の方がいいだろ?そっちにしろ」

 

千歌「えぇー!!そう言われるとなぁ…ジェム君と同じ部屋にする!」

 

ジェム「俺の部屋だって元はと言えば1人部屋なんだ…そんなに広くはない。皆と一緒の方が今後楽だと思うぞ」

 

千歌「嫌だ!もう決めたもん!!」

 

ジェム「…勝手にしろ」

 

曜「出た!勝手にしろ!」

 

ジェム「…お前は嫌いだ」

 

曜「ごめんなさーい!!」

 

ジェム「それじゃあ各部屋に案内する。ついてこい」

 

ジェムは9人を連れて各部屋へと案内した。

 

4人部屋は2つ隣り合わせである。

組み合わせは

曜、梨子、鞠莉、果南

花丸、善子、ルビィ、ダイヤ

になった。

 

皆を部屋に送り届けた後、ジェムは千歌と一緒に部屋に戻った。

ちなみにジェムの部屋と他の8人の部屋は少し離れている。

 

 

ジェム「いいのか、本当にこの部屋で」

 

千歌「うん!これからよろしくね♩」

 

ジェム「…はぁ…唯一平和だった部屋での時間が崩された…」

 

千歌「なにそれ!?酷くない!?」

 

ジェム「こんなうるさいのと一緒じゃ疲れも中々取れない…」

 

千歌「うるさくて悪かったですねぇ!!」

 

ジェム「悪いと思ってるなら静かにしてくれ。俺は今からシュミレーターを使った訓練をしてくる。頼むから部屋は荒らさないでくれよ」

 

千歌「待って!!私も行く!!」

 

ジェム「お前はどこまで俺についてくるんだ……いい加減うざいぞ」

 

千歌「だって!私も戦いたいんだもん!!訓練受けたい!!」

 

ジェム「まぁ…1度受けてみるといい」

 

ジェムは千歌を連れてシュミレータールームへ向かった。

 

 

 

軍人A「あ!ジェム大尉!ご苦労様です!」

 

ジェム「あぁ、今ここ使えるか?」

 

軍人A「大丈夫ですよ!大尉も随分熱心に訓練なさるんですね…!」

 

ジェム「まぁな、正直この戦争の黒幕がどれだけ大きいものなのか…想像できたもんじゃないからな」

 

千歌「ねぇーねぇー、“たいい”って何??」

 

軍人A「おい!貴様!!大尉に向かってその口の利き方はなんだ!!」

 

千歌「え!?あの…ごめんなさい……」

 

ジェム「すまない、こいつは今日からここに入る新人でな、あまり軍に詳しくないんだ。許してやってくれ」

 

軍人A「ですがあまりにも軽率な態度では…?」

 

ジェム「こいつは俺の“友達”なんだ。許してやってはくれないか?」

 

軍人A「友達!?大尉がそのような存在を連れてくるとは……大尉の友人でしたか!先程は急にすいません!」

 

千歌「へ!?いやいや…こちらこそごめんなさい…」

 

ジェム「俺はいつも通りやらせてもらう。こいつの指導頼んでもいいか?」

 

軍人A「わかりました!それでは大尉の友人殿…こちらへ!」

 

千歌「ジェム君とは別々なんですか?」

 

軍人A「えぇ…大尉は他のパイロットとの差がありすぎる…」

 

千歌「パイロット??」

 

軍人A「モビルスーツを操縦する人のことですよ。大尉を基準に考えるのはやめたほうがよろしいですよ?しかし…大尉が友達を作るなんて…」

 

千歌「ジェム君ってそんなに友達いないんですか?」

 

軍人A「えぇ…大尉は人と馴れ合うのを好まない人なんです……ノーアースである親に捨てられて……人を滅多に信用してこなかったんです…そんな彼が唯一心を許した人だって……本人は知ってるかわかりませんが、裏切って…」

 

千歌「え…親に捨てられたとか……聞いてなかった…」

 

軍人A「彼がノーアースだということも?」

 

千歌「はい…地球人だと思っていました……」

 

軍人A「そうか……そうだと知っても、君は友人を続けますか?」

 

千歌「ジェム君がノーアースだって地球人だって関係ないです!!大切な友達ですから!」

 

軍人A「……絶対に裏切らないであげてくださいね?っと、無駄話が続いてしまいましたね。それでは、まずモビルスーツの動かし方について説明していきます」

 

 

 

千歌は軍人Aに操縦の仕方を教えてもらった。

色々なことが初めてである千歌にはとても難しいことだった。

結局この日は歩いて前進をするだけで終わってしまった。

 

 

千歌「だあー!難しすぎるよぉ…」

 

軍人A「でしょう…。戦場に出るまでにはかなり時間がかかるのですよ…?」

 

千歌「ジェム君は一体どのくらいで乗れたんですか??」

 

軍人A「私も聞いた話なのでわからないんですが…戦場で初めて操縦したらしいです…」

 

千歌「普通なら死んじゃうよ!?」

 

軍人A「そうですね……彼の動きとか見てみますか?見学する分には怒られないと思うので」

 

千歌「見てみたいです!」

 

千歌と軍人Aはジェムのいるシュミレータールームへ向かった。

 

 

シュミレータールームにはコクピットである球体とその横にモニターがある。

モニターから訓練の様子が見れるのだ。

 

 

軍人A「わかりますか?あのピンク色のモビルスーツ、サクラーレがジェムの機体です」

 

サクラーレは敵を討ち、右に行き左に行き、それこそ自由自在に動き回っていた。

 

千歌「こんな風に動かせるんだ……」

 

軍人A「こんなことできるのも大尉くらいですよ…」

 

千歌「そうなんですか??」

 

軍人A「大尉の機体の武装のほとんどは普通の人間には扱えないんです。生まれながらに持っていた何かがなければ動かせない機体。つまり、選ばれた者にしか扱えない機体なんですよ」

 

千歌「じゃあ…ジェム君は生まれつき戦いの才能があったってこと…ですか?」

 

軍人A「大尉の性格も……まるで戦争するために生まれた兵器のような存在なんです…」

 

千歌「そんなの……悲しすぎます……」

 

 

そんな話をしていると、ジェムがコクピットから出てきた。

 

ジェム「なんだ、お前ら。来てたのか」

 

軍人A「えぇ、相変わらず進化し続けてますね」

 

ジェム「当たり前だろ、どうだった?このうるさい奴は」

 

千歌「前進しかできませんでした……」

 

ジェム「どうだ、これでわかったか?お前は戦場には立てないんだ」

 

千歌「それでも……これからも頑張って訓練して、いつかは!!!」

 

ジェム「まぁ…その決断は俺が出すさ、じゃあ俺達は部屋に戻る。急にすまなかった」

 

軍人A「いえいえ!いつでもお待ちしてます!」

 

 

 

ジェムと千歌は部屋に戻った。

 

 

千歌「ねぇ…ジェム君……」

 

ジェム「なんだ?帰りたくなったか?」

 

千歌「ううん…違うの…ちゃんとお姉ちゃん達には事情は説明したし…大丈夫だよ…」

 

ジェム「じゃあなんだよ」

 

千歌「ジェム君は……ノーアースなの…?」

 

ジェム「………聞いたのか」

 

千歌「…うん、ごめん……」

 

ジェム「あぁ…俺は地球人ではない……親に…売られてこの地球に飛ばされたんだ……」

 

千歌「そう…なんだ……」

 

ジェム「地球につき、俺は幼くして奴隷として扱われる予定だった。それが嫌で必死に逃げたんだ。それを拾ってくれたのがメタクなんだ」

 

 

千歌「それで……この防衛軍に…?」

 

ジェム「あぁ…生まれつきの何かがあったらしいから、力を貸したんだ。恩を返すために……。黙っていてすまなかった…」

 

千歌「うん……ちゃんと言ってほしかったよ……」

 

ジェム「……すまない…」

 

ジェムが謝ると千歌はジェムに抱きついた。

 

ジェム「なっ!?お前何してる!?」

 

千歌「私は離れないから!捨てないから!裏切らないから!!ずっとずっとずーーーーっと友達だから!!」

 

ジェム「………」

 

千歌「だから!!何かあったらすぐに言って!!友達なんだから!!」

 

ジェム「わかったから……離れろって…!」

 

千歌「こうやって抱きしめられたことも無いんだよね…?だから…私が今日はたくさん抱きしめてあげるから…」

 

ジェム「本当……大丈夫だから…」

 

言葉とは裏腹にジェムの抵抗は段々弱まっていった。

ジェムの目には…涙が溜まっていた。

 

気づいた時には、ジェムも千歌を抱きしめていた。

 

 

曜「千歌ちゃーん!ジェムくーん!ご飯食べたいんだけどぉ……、し、失礼しました……」

 

突然曜がドアを勢いよく開けた。

すると見てはいけないものを見たような表情を見せ、曜はドアを閉め、走り去っていった。

 

 

千歌「曜ちゃーーん!!これ違うからぁぁ!!!」

 

千歌の悲痛な叫びは曜に届くことはなかった。

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