長い夜が明けた……。
ジェム「……千歌、起きろ。もう朝だぞ」
千歌「えぇ…やぁだぁ……もう少し寝てたい…」
ジェム「ダメだ……飯の時間があるんだ」
千歌「ん…じゃあおはようのぎゅーして…」
ジェム「はぁ…!?じゃあ起きなくてもいいわ」
千歌「なぁんでぇ〜!だめ、ぎゅーするのぉー」
ジェム「…少しだけだからな?」
ジェムは駄々をこねる千歌をそっと抱きしめる。
すると千歌はさっきまで眠そうにしてたのが嘘のように元気になり、ジェムを離さないようにしていた。
千歌「ふふ〜♩」
ジェム「……いい加減離してくれないか…?」
千歌「ごめんごめん♩じゃあ、食堂いこ?」
ジェム「……あぁ…」
ジェムと千歌は2人で食堂に向かった。
昨日までの賑やかな雰囲気は…伝わってこない…。
中に入ると千歌以外の8人とクリアがいた。
とても…重い空気だった。
クリア「ジェム様……本当に申し訳ありませんっ…!!」
ジェム「なぜ、いつも冷静なお前があそこで前に出た?らしくないぞ」
クリア「それは…その……ジェム様に…認めてもらいたくて!!」
ジェム「…は?俺はお前のこと認めている」
クリア「そんなの口ではいくらでも言えますよ!!私は……助けてもらったあの日から…貴方だけを愛して…貴方のために何かしたくて……」
梨子「助けてもらった…?」
ジェム「その気持ちはわかっている。前からずっとそうだったろ?でも、お前は戦場に立つときは常に冷静だった。何より小隊の事を考えて行動してきたお前がなぜ?」
クリア「ジェム様が……離れていってしまったように感じて…。貴方はそこにいるオレンジ女のそばを離れなかった!!なぜ!?なぜなの!?私はずっと前からその貴方の隣に居たかった!!なのに!!なんでそんな急に現れた馬鹿そうなオレンジ女に取られなきゃいけないの!?ねぇ!ジェム様!?」
千歌「え?私?」
クリア「そーよ……あんたみたいのがジェム様の隣にいていいはずが無いんだわ!!この方の隣は……私のものなのよ!?」
ジェム「おい、お前落ち着け。それと昨日のミスの何が関係あるんだ?」
クリア「この女よりも私の方が隣にふさわしいと証明したかった……だから、焦ってしまったのです……申し訳ありませんでした…」
ジェム「そんな……くだらない理由か!?」
クリア「えっ!?」
ジェム「そんなくだらない理由で部下を殺したのかって聞いてるんだよ!?」
ジェムは今までに出したことのない怒りの表情を見せた。
梨子「ジェム君!!落ち着いて!?彼女だって、気持ちが抑えられなくなって…」
ジェム「なんでだよ!?だから俺はいつも言ってたよな!?私情は戦場に絶対持ち込むなって!!それが守れなかったからこの結果を招いたんだろ!?」
クリア「ジェム様が……普段私達には冷たいのに…あの馬鹿女には優しく接していたのが……悔しかったんです…!」
クリアの目には涙。
ジェム「俺は部下は甘やかさない、戦場で…死なせたくないからな……もちろん、お前もだ。死なせたくないから、厳しくしているんだ。俺への忠誠も大事だとは思うが、お前は誰よりも頭が回る。それを活かしてほしいから…今まで俺に甘えることがないよう、冷たくしていたんだ!!」
クリア「ジェム様……!私の失態を……許してくれますか…?」
ジェム「起こってしまったものはしょうがないんだ……お前は俺に謝る前に…死んだジョージ達に許してもらえ……」
クリア「ごめんなさい……モリ、ダリル、ジョージ……」
クリアとの話が終わると、ジェムはいつも座っている、皆とは離れた席に向かった。
珍しく千歌はついてこない。
千歌「あの……クリアさん……ごめんなさい……」
クリア「…いいのよ……。ジェム様の態度を見ればわかるわ…あんたには敵わない……。私はあんたよりも長い間ジェム様といるのに…少ししかいないあんたへの信頼の方が強いわ…。ジェム様、あんたのこと凄く頼りにしているのがわかったの……悔しいけど…ジェム様、よく1人で無茶してるの知ってるから……支えてあげて…?」
千歌「クリアさん……」
ジェム「なんだ、千歌?今日は珍しくついてこないのか?」
クリア「ほら……あんたのこと待ってるわよ…?」
千歌「あ、はい…。待って!すぐに行くー!」
千歌はジェムの元へ向かった。
クリア「はぁ……私なんて…任務以外で名前呼ばれたことなんてないのに…」
梨子「クリアさん、1つ聞きたいことがあるんですが……」
クリア「ん?なによ?」
梨子「ジェム君に助けられたって言ってましたよね…?」
クリア「あぁ…それね。そうよ、私はノーアースの人間なのよ。私はノーアースの両親に奴隷として売られ地球に来たの。そこを助けてくれたのが…ジェム様なの…」
曜「え!?クリアさんノーアースなんですか!?」
クリア「えぇ、私達ジェム隊の人間は皆ノーアースよ?と言っても…今は私とジェム様だけだけど…」
ルビィ「じゃあジェムさんも!?」
クリア「あんた達もそこまでは聞いてなかったのね…。まぁ…あの千歌って子だけは知ってると思うわよ?」
善子「でも、なんでノーアースであるジェムさんも、ノーアースと戦っているの?」
クリア「ジェム様も…拾われた身だから…。きっと、大佐に恩返しのつもりなんでしょうね…」
梨子「じゃあ…ノーアースと戦う理由は…逆襲?」
クリア「そんな理由なんてないわ。私は…ジェム様が戦うから。あの方についていってるのよ…」
果南「でも…クリアさんも…ジェムさんも…こうしてここに住んでいるわけだし…ノーアースの人と一緒に生活ってできないんですかね…?」
クリア「私達の先祖がしたことを……まだ許してないんでしょうね…」
梨子「なるほど……。あと…千歌ちゃんが…本当すいません…」
クリア「いいのよ……正直かなり悔しいけど…ジェム様のあんなに落ち着いた表情見れたの…初めてだから……」
曜「きっと…何か通じ合うものがあったのかもしれませんね……ここに来る前には既に仲良かったですから…」
クリア「何か通じ合うもの……もしかして…彼女も…?」
ダイヤ「ん?どうかなさったのですか?」
クリア「いや、なんでもないわ」
クリアと8人は話をしながら朝食を済ませた。
曜「千歌ちゃーん!私達先帰ってるねー?」
千歌「あ、うーん!わかったー!」
食べ終わった皆は食堂を出た。
ジェム「……すまなかったな…。俺の部下がキツくあたって…」
千歌「ううん…私も……隣にいるの迷惑だったら…ごめんね…」
ジェム「そんなことない……あいつも…頭を冷やせば元に戻るさ…」
千歌「うん…そうだね……」
千歌にはいつもの元気が無かった。
さっきの言葉が効いているのだろう。
ジェム「なんだよ……元気出せよ?」
千歌「うん……」
ジェムは悲しそうな友達の顔を見て…
何もせずにはいられなかった。
ジェム「笑顔の方が……好きだ」
千歌「え、え!?//」
急に衝撃的なセリフを聞いた千歌は顔を赤くせずにはいられなかった。
ジェム「笑顔の千歌の方が好きだって言ってるんだ」
千歌「ふぁ、ふぁい…///」
面向かって好きと言われた千歌の顔は凄く赤かった。
ジェム「お、おい?顔赤いぞ?大丈夫か?」
千歌「だ、大丈夫大丈夫!!早く食べちゃお!!」
そう言って千歌は話を逸らした。
この2人の距離は…次第に縮まっていった。
なぜ…人は憎み合うんですかね?