Creatures.E   作:駿駕

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あらすじ
初めてのLost戦。
結果は圧殺による勝利だったが、目的である情報収集は失敗してしまった。

そしてチームOは雪の溶けていく蛍ノ島で一週間の訓練を始めた。


メビウスプログラム

洞窟前・・・

 

俺たち三人はまた山を登って洞窟に向かった。

洞窟の前には、玲華が立っていた。

「久しぶりに太陽見たわ~。・・・お、やっとお迎えが来てくれたか」

「玲華。」

「なんだ?」

「これからここを下りるにあたって、一つ言っておきたいことがある」

 

私たちと共に戦うことはできるか?

 

四津野のいつもとは違う冷静な声色が、玲華の軽々しい口調を攻撃する。玲華はそれを聞き、その口を閉ざしてしまった。

「な、なんだよ。共に戦う?・・・じゃあ、一つ聞いてもいいか?」

 

アタシを『武器』ではなく『仲間』として見てくれるか?

 

四津野の声色に対して、玲華も声色を変えてくる。

さっきまでの強気な玲華が一歩だけ後ろに下がった。

まだ、強気な口調が抜けきれない玲華の頼みに四津野は

「私たちなら、お前をそんな見方で見たりはしない。むしろ、仲間や友達として接する」

と優しい声で言った。

「・・・なら、着いていくよ。それに・・・こんなところに一人ぼっちも嫌だからな」

こうして蛍ノ島での一件は終わり、俺たちチームOは緑色の大地が戻ったこの島で予定通り、特訓を始めることになった。

玲華はまだ、この空間に溶け込めそうにはない。四津野は玲華を無理矢理でもその空間に入れようとしていた。

そして、とうとう俺は・・・

「お、やっと完成か」

タマの妖術の一つ、狐火を使えるようになった。

 

 

メビウスプログラム 成功。

 

「どうだい?アリス。この部屋も前よりは快適だろ?」

ウサ耳フードの女に話しかける狐の面を付けた男。

そして薬品臭いこの研究室では、ある実験が行われていた。

「まぁ、前の居心地の悪い空間よりはね。それに私の実験も成功したしね」

アリスと呼ばれた女は男に『研究成果』を見せた。

「おぉ、もう片方だね?」

研究成果。そう書かれた大きめの瓶の中には一つの心臓が入っていた。

「これであなたたちもいつかは、そんな物騒な物を捨てて、能力を使えるようになるね。まぁ、あと一年はそれを使ってもらうかな」

「・・・てことは、俺は無理か」

「卒業したらやってあげますよ。・・・まぁ、学生じゃないから、それなりに値段しますけど」

「辛いこと言うねぇー」

アリスは瓶の持つと頬擦りをした。

「ん?何をしてるんだい?」

「まぁ、愛ですね・・・。」

「・・・。それじゃ、頼むよ」

男はそう言って部屋から出ていく。

アリスは瓶をそっと机の上に置くと、パソコンの近くに飾られた写真立ての写真を見た。

「あの子は今何してるのかな・・・」

 

赤井 ルナさん・・・。

 

 

一週間後、ようやく俺たちはあの島から帰ってきた。

久しぶりの自分の部屋はとても安心する。

俺は帰ってくると吸い込まれるようにベッドへと倒れた。

(この一週間で、私の妖術のほとんどはお前に伝授した。だが、ほとんどはだ。あと少し、この少しを使えるようになるかは私にはわからない)

「ゲームだとな、そういうのは終盤に覚えるもんだ。まだ俺はちゃんとした戦場で戦ってすらいない。だから、俺が本当にヤバイと思ったら頼む」

(それで間に合うのかい?・・・天国で後悔しても遅いよ)

「まぁ、 そのときにでも考えるさ」

携帯の通知音がなって画面が明るくなる。

「ん?どうした?」

俺は携帯を取り、画面を見た。

 

From:ルナ

助けて。

 

俺はすぐに部屋から飛び出した。

 

「アリス副隊長、チームO1年の赤井ルナを捕まえました。」

「連れてきて」

鉄のドアが開いて、ルナが二人の男と部屋に入る。

両腕を二人の男に捕まれ、手首を後ろで手錠によって固定されている。

「今度はなんですか・・・」

「どこか痛いところとかない?例えば・・・心臓とか?」

「特にないと、・・・どうしてそんなことを?」

「そうか、ならいいんだけどさ」

アリスはフードの中でにっこりと笑うと、ルナのみぞおちを触る。どちらかというと、それよりも上の方を。

(それ以上は、俺が許さんぞ)

「おやおや、本人登場ですか」

ルナの身体を突き破るかのように現れたクロードはその透明の手でアリスを殴ろうとする。だが、透明の手はアリスの身体を貫いて、空を切った。

「どう?新しい身体の居心地は」

(何を言う?この身体はルナの物だ。俺のものではない)

「そう考えてるならそれでいいんだけどさ。」

アリスはルナの腰に付けた刀を撫でる。

「クロードの魂はここにはない。あなたの身体の中に存在する。付喪神とは存在が違うしね」

(何が言いたい)

「つまりだ。君たち二人でその身体の魂ってこと。ルナの魂の半分と、クロードの魂の半分が合わさって存在するということ。」

アリスはそう言い、二人の心臓を左右片方ずつを合体させたものが入った瓶を出した。その二つは同じ動きをしている。

ルナはそれを見て気持ち悪くなったのか、おもわず嘔吐しそうになる。

目の前で自分の心臓が動いている。そう考えると、そうなっても仕方ないことだ。

「クロード。君の内蔵のほとんどは機能停止していた。だが、心臓だけは辛うじて動いていた。逆にルナは心臓以外はほとんど傷ついていなかったが、心臓だけは完全に止まっていた。・・・私に感謝した方がいいと思うよ」

アリスは瓶をそっとしまい、膝をついて絶望するルナに近寄る。

「・・・ろす」

「ん?」

「殺す・・・殺す(殺せ)殺す(殺せ)」

二人の魂は混ざりつつある。そして二人の魂に溢れ出た殺意はクロードの魂を動かした。

「剣よ!」

クロードの剣はアリスの顔の横を通過し、奥にあったパソコンの画面を破壊した。剣は付着した血によって操られていた。

「クロードの能力を完全に使えるようになったか」

剣はパソコンの画面から抜かれると、アリスの首を狙うように横に回転しながら飛んでいく。アリスはそれをポケットに入れていた短刀で跳ね返す。

跳ね返すときの威力でどちらも反動を受ける。

「剣よ!私(俺)の血を使い、あの敵(ヤツ)を倒せ(殺せ)!」

剣はルナのところに戻り、ルナの手首にはめられた手錠と共に、手首を少しだけ切る。

手首から流れ出た血は剣のなかに吸い込まれていき、少しずつ赤く染まっていく。

「これが私の運命!」

 

 

チームZのある部屋から火が上がった。

オルガはそれを聞いて「よくあること」と言っていた。

チームZは能力を持たない者で形成され、超能力、異能力が好きな人間や、未成年の罪人が集まる。

彼らは自分達のみで実験を行い、対能力者専用の武器を作って戦闘を行っている。

相手の能力値で威力、殺傷力が上がる銃弾や、重さが気にならない太剣などは特に最高傑作と言われ、国に送られているものもある。

実験をしているなかで、失敗して火が上がったのだろう。

「柊、ちょっといいか?」

俺が炎を見ていると、オルガが話しかけてきた。

「どうしたんスか?」

「赤井を見なかったか?火災時はメンバーが全員いるか確認しなければならない」

俺はそれを聞き、脳裏に何かが過った。

「おい!どこにいくんだ!」

そのときにはもう俺の足は動いていた。

ルナからの『助けて』というメールと目の前の火災。あの炎のなかにルナはいる。

「ルナーーーッ!」

俺はガラスを割って校舎のなかに入った。

少しずつ部屋のなかは煙に満たされていく。

「タマ、この前覚えた分身、使えるよな」

(もうそれは君が習得した"能力"だ。君が念じればできる)

俺はタマの言うとおり、分身したたくさんの俺を念じる。すると、目の前に俺と同じ格好をした分身が四人現れた。

(今じゃこの人数が精一杯。でも、これだけあれば充分でしょ?くれぐれも自身が燃えないように)

「了解。」

分身に一階と二階を任せ、俺は一番ルナのいる確率が高い三階を調べることにした。

三階は一階以上の炎と煙に包まれている。

そんななか、俺は炎に向かって走り出した。

「ルナ!いるんだろ!返事をしてくれ!」

カツンと、何かが俺の足に当たる。

そこには画面の割れたルナの携帯が落ちていた。

そして、その携帯から血のようなものが、すぐ手前の部屋に向かって走っていた。

「ルナ!」

俺は扉を当てる。

 

そこにはなぜか、クロードが立っていた。

 

 




能力者解説

アリス(本名?)
能力: ?
チームZの副隊長をしている。メビウスプログラムの研究をしており、四年になってやっと完成した。
今のところ判明しているのはこのくらい(だと思う)。
後々、彼女については明かしていくつもりだ。
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