Creatures.E   作:駿駕

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あらすじ
見事、天使軍の一角、クロノスを倒したチームO。
その間、勅使河原はこの学校の秘密を知る。

そして天使軍の船を破壊した勅使河原は、天使軍の隊長であるザザエルから情報を聞き出そうとするが、ザザエルはアリスによって殺されてしまう。

少しずつだが、この物語は足踏みをやめ、終わりに向かって走り始めた。




月夜

「隊長、お茶が入りました」

「どうも、ありがとう。ロカさん」

 

天使の戦艦の落ちたその日の夜、久しぶりに月が見えていた。きっと、あの戦艦がこの学校を囲うバリアを破壊したのだろう。透明な他の世界の者からの侵入を防ぐためのバリアを・・・。

「今回の天使の討伐のために、LOST討伐部隊の隊員のほとんどが亡くなったみたいですね」

「そうだな・・・。まぁ、あの部隊の志願者は多いものだ。いずれ、いつも通りの人数になってるだろう」

「はい・・・。それにしても月が綺麗ですね」

「それは私への告白かい?ロカさん。この年になると女の子でも美人さんならいいかなって・・・そんな雰囲気じゃないね」

私が振り向くとそこには、三日月のヴェールが発動した状態のロカが立っていた。

「いつからお気づきに?」

「今回のーからかな。君の声のトーンが違うからさ」

私は机の引き出しからナイフを取りだし、ロカに向かって投げる。あのヴェールはナイフを受け流す。何事も無かったかのように。

「やっぱりそのヴェール厄介だね」

「ありがとうございます。」

「でも・・・そのナイフにとある仕掛けが施されていたのに気づかなかったみたいだ」

「・・・なんのことでしょうか?」

ナイフを受け流し、ロカの後ろにある扉に刺さることまでは私の予想通り、そしてナイフのソングホールにワイヤーが縛ってあったことにロカは気づいてないみたいだ。

「戦闘経験は私の方が上みたいね」

私はワイヤーを下へと無理矢理下ろす。

ロカのちょうど肩の上を通ったワイヤーはヴェールに関係なく、ロカの腕を切り落とした。

「な!?」

しかし、私の考えはすでに読まれていた、というよりは最初から体に細工がされていた。

「知ってしまいましたね。私の秘密を・・・」

私はすぐに自身の能力で、異空間の中へ姿を消した。

 

「あの子、まさかアンドロイド?」

 

 

『チームA 隊長、東条 アキネ。一週間も行方不明!』

新聞の大きな見出しが俺たちの視線を釘付けにした。

情報によると、アキネが一週間前の夜、チーム内の会議が終わったあと、隊長事務室にて姿を消したらしい。

事務室では争った痕跡として、ドア付近に刃物で切ったような跡が確認されているようだ。

(どうしたんだろうね・・・アキネさん)

「・・・気になるな」

俺はすぐにチームAの教室のある校舎に向かう。

(あまり口を出さない方がいいと思うよ。上の人間が暗殺されるなんて良くあることだし)

「アキネさんがそう簡単に殺されると思うか?」

(そう言われると・・・思わないね)

きっと何か裏がある。そう思いながら俺は曲がり角を曲がった。その先にいたのは、

「ロカさん!?」

「あ、あなたは!」

アキネの隊長補佐のロカだった。

 

「心配です・・・。何も言わずにいなくなってしまい」

話を聞くと、ロカがトイレに行ってアキネから目を離した隙に部屋から消えてしまったらしい。そのときすでにナイフを刺したような跡があったと言っていた。

「普段ならどこかに行くときは書き置きをしていくのですが、その夜は何もなくて・・・。最初はイタズラかな?とか、書き置きを忘れたのかな?とか、そんなことを考えていたのですが、さすがに3日過ぎたところから不審に思い始めまして。そこで新聞部の方に依頼したんです」

「ロカさん・・・」

ロカは今にも泣きそうだった。顔はずっと下を向き、俺の目を見ることなく、ベンチに座っていた。

「アキネさんを探すのはどうですか?」

「チームメンバー全員で探しました。でも、隊長の『た』の字も出てこなかったんです。・・・ごめんなさい、こんな話聞いて貰っちゃって・・・。また全員で探してみようと思います」

ロカは立ち上がると、静かに教室へと歩いていった。

その後ろ姿はとても小さく感じた。

(・・・海都はなんとも思わないのかい?)

「何がだよ。俺だって人間だ。ロカさんを見て、同じ思いになるよ」

(ほぉ・・・それは「アキネが死んだ、ばんざーい」って思いか?)

「な、タマ!何てことを!」

(私にはわかる。彼女が犯人だってね)

「どうしてだ?」

(まぁ、一つしか証拠は見つかってないけどね・・・

 

ロカの説明は新聞記事と違う部分が一つあったんだ。これは記者の確認不足や、記入ミスかもしれないけどね。新聞には壁のキズについて、『刃物で切ったような跡』と書いてあった。でも、ロカは『ナイフを刺したような跡』があった、って言っていた。

 

「なるほど・・・確かに刃物で切ったと、ナイフで刺したじゃ全く別になる・・・のか?」

(実際にやってみるかい?)

そう言って、タマは幻想のナイフを出し、近くの木にキズをつけた。

一回目はナイフを上から下へとキズをつけ、二回目はその横にナイフを刺すようにキズをつけた。

確かにその跡は別物だったが、それはあくまでもタマがつけたキズだ。壁についたものを見ていないからなんとも言えない。

「うーん、判断できないな・・・」

(まぁ、次尻尾を出したとき、問い質してみるってのはどう?・・・まぁ、標的になるのは海都だけどね)

「それってリベンジマッチって聞けばかっこよくないか?」

(負けたら恥ずかしいけどねー、フフフ)

「言ってろ。」

 

「今の話聞いたぞ、柊。」

 

声は木の上から聞こえた。

「あ!」

そこにはキラが座っていた。

「寝てたら可愛い女の声が聞こえたからな、何かと思って見てみればお前とロカが話てんだ。そして、そのあとのお前の狐さんとの会話。なかなか面白いこと話してんじゃねぇか」

「いやー、これはですね・・・ハハハ」

俺はそっぽを向いて誤魔化すが、キラは目を輝かせながら、俺の両肩を掴む。

「その予想が当たってたら、チームAはどうなる?」

「どうなるってのは・・・?」

「簡単だ。戦争勃発だ。スパイのロカ率いる相手チームとチームA全員の戦争だ。とても面白いことになりそうだな」

キラはこれまでにないような悪い顔を見せる。それは本当の悪魔のようだった。

「まぁ、今となっては味方。もしものときはチームA側について戦わないとかもなー。ま、戦争の準備でもしとけや、四津野から剣術でも教わってさ」

(剣術って・・・。私、無視されてる?)

キラはそう言うと、両手をポケットにしまって町の方へとがに股で歩いていった。

(また面倒なことになりそうだね)

「俺、一年生だよな」

(もう秋も終盤だし・・・ね?)

「・・・」

俺はその日、ずっとベンチで横になっていた。

ルナがやってきたのはその数時間後の話である。

 

 

「・・・ここは?」

私はやっと異空間から出て、とある場所に辿り着いた。

高い草が生えた草原。私は木の生い茂る林の方へと草を掻き分けて進む。

「寺・・・」

そこには古びた寺があった。

寺の壁にはたくさんの札が貼られ、出入り口と思われる部分は札が切られていた。

「ここってまさか、タマの?」

ここは柊君に憑いている妖狐、タマがいた寺だと思われる寺。昔、元チームA隊長のエースが書いた日記帳を読んでいるなかで出てきた昔飼っていた狐を閉じ込めた寺と似ていた。

「ん?なんだ?客人か?」

「あ、あなたは・・・!」

そこにいたのは私の空間に吸い込まれて消えた男だった。

「エース。チームAの元隊員だが?そうだよな?チームA隊長の東条アキネさん?」

 

囲炉裏の中で燃える薪がパチパチと音をあげる。

鍋のなかには味噌汁があった。

「エース隊長・・・」

「隊長?隊員はお前だろう?」

「・・・エース。聞きたいことがある」

「なんだ?」

「ここはいったいどこだ?」

「ここは大黒八尾寺(だいこくのはちびでら)。ここには八尾狐がいた。稲荷神、九尾になれない狐がな。だが、若い男にあってその狐はその男に憑くことに決めたんだ。だが、その男はその狐をここに捨てた。それは八尾狐よりも九尾狐の方が強いからだ。まるで強い武器を持った瞬間、弱い武器を捨てるようにな」

「その若い男ってのは、エースですか?」

「そうだ。恥ずかしながらな」

エースは私の前で出来立ての味噌汁を啜る。そして熱そうな仕草をする。

「その後、九尾を憑けた男はその九尾に魂を喰われ、九尾のなかで九尾の一部になった。とても気持ち悪かった。ニキビとかイボとか、そんな気分だった。・・・続き聞きたいか?」

「・・・はい。」

「なら、何かを恵んでくれ。そうだな・・・、もう一度あの世界に戻るためのチャンスとかな?」

「・・・わかりましたよ。話を聞いてからですけどね」

「ありがたいな。で、続きか。あるとき男は捨てた八尾に助けられた。そして今、記憶を取り戻してここにいる。エース、いや

 

柊 山岳・・・としてな。

 

 

 

 

 

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