釘宮円で葛藤   作:NANA@

26 / 26

 お待たせしました。

 どうにも試験が近く、予定がつまりにつまり大変なことになっていまして、ここからは亀更新を通り越してクマムシ更新となってしまいますのでご了承ください。

 それではどうぞ


第三話「牛頭鬼で分断」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔法世界の原住民である獣人。

 

 旧世界からわたってきたとされる旧世界人。

 

 彼らの中の対立は年々ひどくなるばかりで、それは数百年単位で続いている。

 

 そんな中、百年前にある戦争が起きる。

 

 “帝都侵略戦争”とよばれるそれは、メガロメセンブリアで反獣人派が政権を握ったさいに起きた。

 

 はじめはグレートブリッジ付近で起きた小競り合いから発展したものだが、勢いを得たメガロメセンブリアの軍勢は帝国の都、ヘラスまで軍をすすめた。

 

 帝国はメガロメセンブリアの連合国からの攻撃を受け、地方にも戦力を導入せざるをえなかった。

 

 兵力差はメガロメセンブリアに軍配が上がり、兵器も当時開発された機龍を導入していた連合が優っていた。

 

 しかし、そこで帝国上層部が重い腰を上げた。

 

 守護聖獣“古龍・龍樹”(ナガーシャ)の導入である。

 

 神にこそ劣るものの、最強種でも上位に君臨する“古龍・龍樹”(ナガーシャ)の力は凄まじくメガロメセンブリアは3時間ほどで壊滅状態にまで追いやられることになる。

 

 人々は恐怖し、最強種を畏れ、欲した。

 

 メガロメセンブリアはその翌年、“古龍・龍樹”(ナガーシャ)の肉体の一部から“亜龍樹”(プレ・ナガーシャ)を生み出すことに成功する。

 

 しかし、それは人間の手で干渉できるものではなかった。

 

 一度自由を得ると暴れまわり、ただひたすらに破壊をもたらす。

 

 しかし、その力は圧倒的。

 

 人々はその力を管理する方法を探した。

 

 そうして発案された計画こそ、“光の神殿計画”である。

 

 理念は、「人間に“亜龍樹”(プレ・ナガーシャ)の肉体の一部を埋め込むことにより、“亜龍樹”(プレ・ナガーシャ)と人間の合成獣を産み出し、その管理は人間の脳によるものにする」

 

 そんな非人道的な実験の中、被検体の多くは最強種を拒絶し、あるいはその魔力に耐え切れず死に絶えていった。

 

 そんな実験の中、唯一脱走した者がいた。

 

 第三試験体“桜”。

 

 旧世界のとある種族出身の猫耳少女だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 背後からの攻撃に最も早く反応したのは釘宮だった。

 

 これは釘宮の反射神経が他の面子に比べて早かったというわけではない。

 

 アーウェルンクスである彼女は思考、取捨選択、そして行動決定をその場の損得勘定のみで行う。

 

 圧倒的に思考が早いのだ。

 

 事実、これに一番驚いていたのは釘宮だった。

 

 即座に十手を召喚し、十字に構え、攻撃を受け止める。

 

 相手の得物は斧だ。

 

 それだけ確認すると、斧に十手の鈎を引っ掛け、両手を回して絡め取る。

 

 「いきなりご挨拶だなおい……惚れちまうぜ!!」

 

 「相手の顔を見てから言ったほうがいいですよ」

 

 そんな気の抜けた言葉とともに、柿崎が敵の懐につっこみ、拳を入れた。

 

 相手は軽く数メートル吹っ飛んだ。

 

 ズンという鈍い音が響く。

 

 カンナ・アルカナが懐から二丁の拳銃を取り出し、対象を射撃する。

 

 そこになって、ようやく彼女たちは状況を完全に理解する。

 

 「エンちん、下がって!!」

 

 椎名は全員を守るように前に出た。

 

 柿崎は拳を確認する。

 

 先ほど殴った時に感じた、圧倒的な硬さ。

 

 柿崎の魔力で強化された拳は、メガロメセンブリアの戦艦の魔法障壁をたやすく貫く程度の威力がある。

 

 相手はそれ以上の魔法障壁を張る化物。

 

 おそらく、椎名と釘宮は気がついているだろうと勝手に結論付け、椎名の横に並び、体を水精霊化させる。

 

 アルビレオと釘宮は戦闘を三人に任せ、周りの遺跡に傷を付けないように結界を張ることに集中する。

 

 「グギャアゴバァ……」

 

 彼女たちが確認した襲撃者の姿は、胸に大きな傷を持つ牛の頭を持つ人型の怪物だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女たちは遺跡の内部で戦わなければならなくなった際の役割分担を決めていた。

 

 敵の制圧を担当するのはこの中でも最も戦闘に長けた二人、椎名と柿崎だ。

 

 カンナは援護、アルビレオは結界を張る釘宮の護衛と回復。

 

 釘宮は防護結界を張って、遺跡の損傷を防ぐとともに敵の退路を断つ。

 

 一応、全てうまくいったことになる。

 

 しかし、これでは狭すぎる。

 

 そう判断した釘宮は空間の拡大を行った。

 

 結界内部の空間縮小、密度の増加といってもいい。

 

 そして、用意できたのは70m四方の空間。

 

 高さもそれなり、これ以上広くすると、釘宮の魔法障壁に回す魔力がなくなるので、ここまでが限界だ。

 

 「アルビレオ、あれはなんだ? どうなってやがる?」

 

 釘宮はアルビレオにそう聞いた。

 

 答えを期待してではない。

 

 椎名桜子と柿崎美砂の力をもってして、瞬殺できない時点で相当に強い魔物であることは間違いないのだ。

 

 更に言ってしまえば、先程から釘宮の第六感が警報を鳴らしている。

 

 あれはヤバイ……

 

 「……わかりません……“牛頭鬼”(ミノタウロス)という怪物によく似ていますが、細部が異なりますし……」

 

 「“ばんぶうきゃのん”!!」

 

 椎名の腕から発射される無数の弾丸が風を切る。

 

 いくつかは着弾した。それは間違えようがない。

 

 しかし、種が敵を傷つけた様子はない。

 

 カンナも砲撃を続けているが、効果はない様子。

 

 それならばと、柿崎が接近戦を試みた。

 

 足に魔力を纏わせ、一歩一歩瞬動による加速を行う直線高速移動術。

 

 そのまま柿崎は怪物に激突する。

 

 ピシャッという音を立てて、水精霊化した柿崎の体は崩れた。

 

 それも一瞬のこと、散った水はすぐに集結し、女らしいフォルムを取り戻していく。

 

 「魔法障壁を貼っていない……ですか……」

 

 柿崎はそう言うと、椎名と入れ替わるようにして後ろに下がった。

 

 椎名は“樹”による牽制とフェイントで牛頭の怪物の気を引く。

 

 柿崎を確認して、生半可な攻撃は通用しないことは理解できた。

 

 カンナの援護射撃も効果を見せていない。

 

 「うーん……さて、どうしようかな……」

 

 とりあえず、決着は柿崎に任せ、椎名は自分に出来ることをやるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 柿崎は椎名の戦闘を確認していた。

 

 椎名桜子が押されている。

 

 というより、あの牛の化物の歩みを全く止めることができていない。

 

 まるで、椎名を無視して歩いているような、そんな違和感があった。

 

 何はともあれ、何かしらのネタがあることには間違いないだろう。

 

 そして、怪物に体当たりした時の異様な熱。

 

 熱くもなければ冷たくもない。

 

 それはつまり、牛の怪物と柿崎の体温がほぼ一緒だったことを指す。

 

 水精霊となった柿崎の体温は約15℃だ。

 

 牛の怪物の温度もそれほどなのか……

 

 牛にしても人にしても違和感のある温度だった。

 

 しばらくすると、椎名が後ろに下がる。

 

 それを確認すると、柿崎は再び前に出た。

 

 同時に、怪物は柿崎に突進する。

 

 柿崎も迎え撃つべく、最大の魔力を込めて怪物に突進する。

 

 二人の人とは言えない怪物がぶつかり、押し負けたのは柿崎だった。

 

 「クソッ!! まだわからないなんて、“水の泡”(クラッシャー)も落ちたものです!!」

 

 柿崎は怪物に向けて水の鎗を放つ。

 

 確かに当たった。

 

 しかし、まるで無傷というように、怪物は釘宮に近づいて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 釘宮の決断は早かった。

 

 目の前の怪物めがけ、煙幕をいくつか投げつけると、叫ぶ。

 

 「散れ!!」

 

 その言葉が聞こえるやいなや、釘宮たちは一斉に逃げ出す。

 

 煙幕の中で敵前逃亡なんて完全に悪役の仕事であるのだが、そんなことに気を配っている暇なんてなかった。

 

 釘宮にはプライドもへったくれもない。

 

 なんだかよくわからない奴に突然襲われたからといって、相手をしてやる道理なんてないのだ。

 

 そして、すぐさま結界に仕掛けられた仕組みが発動する。

 

 半径500m以内のランダム転移魔法。

 

 これであの怪物が砂に埋もれてくれれば僥倖。

 

 しかし、釘宮はみんなとはぐれてしまった。

 

 一応周りを見渡す。

 

 走った方向は椎名とアルビレオ、柿崎とカンナがそれぞれ同じ方向に走っていった。

 

 おそらく逃げることを前提にすれば、そうそう死ぬようなメンツでもないだろう。

 

 と、こんな感じで楽観的な結論をつけると釘宮は立ち上がった。

 

 傷らしい傷もない。

 

 咄嗟に地面に穴を開けて退散したのは正解だったらしい。

 

 「さてと、とりあえずみんなと合流しなきゃならねえんだが……どうにも嫌な気配が多いな……一応隠れるか……」

 

 そう言って、釘宮はとりあえず身近な部屋に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 扉を開け閉めする音さえも、嫌になるくらいに響く。

 

 それほどまでにその遺跡は静かなのだろう。

 

 足音すら聞こえることはない。

 

 釘宮の目に入ってきたのは何かの死体。

 

 肉の腐った匂いを感じた釘宮は嗅覚をOFFにした。

 

 その死体に近づく。

 

 もうすでに数ヶ月も経ってしまっているのか、かなり腐敗が進んでいた。

 

 古い死体、いや、この場合、新しいのだろうか。

 

 蠅が群がり、皮膚はただれている。

 

 釘宮は少しだけ顔をしかめると、その死体に近づいていく。

 

 気になることがあったのだ。

 

 「うっわ……」

 

 ひとつの死体の胸に不自然な傷跡があった。

 

 銃痕のようにも見えなくもないが、半径は約3cm、傷が治りかけているのはどう考えてもおかしい。

 

 そんな急所に弾丸を受けて、生き延びられるはずがないのだ。

 

 確認してみれば、胸、背中、頭、足など、傷のある部位は違えど、すべての死体に傷があった。

 

 そこまで確認した釘宮は流石に死体をこれ以上触ることに抵抗があるのか、その死体から離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 椎名とアルビレオは行動を共にしていた。

 

 (どうも、黒鞭さんの様子がおかしいですね……)

 

 何やら植物の蔦が生い茂る遺跡の中で、アルビレオはそんなことを思った。

 

 黒鞭の様子がおかしい。

 

 親しみ易くそれなのに隙がない、お調子者だからこそ安定している。

 

 それがアルビレオが黒鞭という少女に抱いていた印象だ。

 

 それが崩れ初めてきたのは、この遺跡に向かうことになってから。

 

 なにかを焦っているような雰囲気はあった。

 

 それでも、表面上は平静を保っていたし、きちんと落ち着きもあったはずだ。

 

 それが今の彼女はどうだろう。

 

 表情からは隠しきれていない焦燥感が滲み出て、歩くペースは明らかに早い。

 

 それは先ほどの牛を見たからだと、アルビレオは推測していた。

 

 ではなぜ、彼女の様子はおかしくなったのか?

 

 牛の怪物を倒せなかったからか?

 

 そうかもしれない。

 

 しかし、彼女は目的とそれ以外の線引きができている女性だ。

 

 戦闘して勝つ必要は欠片もない。

 

 敵前逃亡も生き残るための一つの手段であることくらい、わかっているはずである。

 

 しかし、よくよく考えてみれば、遺跡の中、ここまで先導してきたのは彼女だ。

 

 まるで何かを探すように、焦りを見せながら。

 

 そして、釘宮の推理でここに来た。

 

 本来なら一旦遺跡の外に出て、みんなと合流するのが正解であるはずなのに、椎名は先程から地面を確認し、より深く潜っている。

 

 ここまで来たら、彼女には目的があってここに来たと考えるのが自然だ。

 

 おそらく正攻法では答えてくれないだろう。

 

 そこまで考えを巡らせて、とりあえずアルビレオは椎名にカマをかけてみることにした。

 

 「それにしても、先ほどの“牛頭鬼”(ミノタウロス)は予想外でしたね……」

 

 「……っつ……そうだね。あのパワーには肝を冷やしたよ……アハハ……」

 

 これで確信がついた。

 

 彼女はあの“牛頭鬼”(ミノタウロス)らしき何かを知っている。

 

 アルビレオがもう一声かけようとした瞬間、椎名に押さえつけられた。

 

 壁に押し付けられる形になるアルビレオ。

 

 椎名の柔らかい太ももとか胸とか、一瞬浮かんだそんな劣情は、椎名の切羽詰った表情で全て吹き飛ぶ。

 

 直後、彼らがいたところにいくつもの物体が飛んできた。

 

 金属でできた斧だった。

 

 ゲルマン系フランク族に伝わった投擲用の斧、その名もフランキスカ。

 

 数十飛んできたそれは不規則にバウンドし、一つが椎名の背を抉った。

 

 「……んぁはん♪」

 

 なんで背中をえぐられてそんな色っぽい声が出せるのでしょう……

 

 アルビレオがそんな不謹慎なことを思ったのは彼の名誉のためにも黙っておくことにしよう。

 

 椎名は壁を蹴っ飛ばし、斧が飛んできた方向を睨みつける。

 

 背中は既に再生していた。

 

 アルビレオもそれに続き、攻撃をした者を見つけるべく、目を凝らす。

 

 表情が歪んだ。

 

 歪ませざるをえなかった。

 

 そこに現れたのは、“牛頭鬼”(ミノタウロス)の大群だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さらに一方、柿崎とカンナはゆっくりと地下に潜っていた。

 

 「砂鳥、ここは一旦上まで戻るのが定石だと思うのだが?」

 

 カンナは魔力を抑えてそう言った。

 

 もともと隠密行動を得意とする柿崎に、数多の戦場を生き抜いてきたカンナの二人だ。

 

 魔力など使わなくても、そこらへんの魔物やトラップは驚異となりえない。

 

 そもそも先ほど襲撃があったのだ。

 

 そんな中で魔力を流せば敵が寄ってくるに決まっている。

 

 柿崎はカンナに答えるべく口を開く。

 

 「黒鞭がどんどん地面に潜っています。今、彼女は冷静ではない。無視できません。それと、エン様はどうやら中で動き出したようです。先程から、部屋をめぐってはしばらく滞在するというよくわからない行為を繰り返しています。聡明な主のことです。何か目的があって中にいるのでしょう。だとすれば、私たちが二人逃げ帰るわけにも行きませんので……」

 

 柿崎は一息で言い切った。

 

 どれだけの肺活量があるというのだろう。

 

 先程から出会う小型の魔物は柿崎が一瞬のうちに切り捨ててしまっている。

 

 「やはり、ここの魔物は人工的なものを感じますね……」

 

 「だな……こんなところに食べ物があるとは考えづらい。自然繁殖の線は薄いだろう」

 

 「そうですね……先ほどの魔物も、とても美味しそうには思えませんでした」

 

 「……」

 

 「なぜ牛なのでしょう? やはり豚肉こそ最高の肉です」

 

 「そんな話だったかい?」

 

 「ええと、程よい豚トロの焼き加減の話かと……カンナさんの太ももは美味しそうですね♪ コラーゲンが多そうですし」

 

 「余計なお世話だ!!」

 

 カンナが銃を片手に構えながらそう言った。

 

 柿崎は地面を叩くと、そこを丸く切り取り、警戒しながら下の階に進んでいく。

 

 「やはり、黒鞭の魔力が大きすぎますね……」

 

 柿崎は堂々と歩き出す。

 

 「敵の注意を引いているのではないか?」

 

 「エン様も私も、そこまで信用ないですかね?」

 

 「ククク……なるほどな」

 

 カンナはすこぶる楽しそうに笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 釘宮は相変わらず、逃げ腰だった。

 

 壁に転移魔方陣を張り、そこに入り込み、そして敵がいないことを確認してから、下の階に転移する。

 

 完全にビビってるだけだが、椎名や柿崎のような魔力運用ができない釘宮は一戦一戦が命取り。

 

 戦わないで済むに越したことはないのだ。

 

 そんなわけで、彼女は本当にこそこそと、まるで逃げ惑うゴキブリのように、図太く生きていくのだ。

 

 まぁ、ただこそこそと移動していただけではないのだが……

 

 釘宮は集めた資料に目を通す。

 

 そこにあったのは何かの研究資料。

 

 ゴミ箱の中に入っているものもあったので、おそらく破棄されたものだろう。

 

 きちんと処分していないあたり、よほど神殿を隠している魔法に自信があるのか?

 

 おそらくそうなのだろう。

 

 釘宮が全く関係ない方向からといてしまったので全く関係ないのだが……

 

 しかし、ゴミ箱まで漁るとはどうも……図太すぎる気はしないだろうか……

 

 先ほど釘宮がその手を突っ込んだ箱にはやたらと白く輝くクシャクシャのテッシュが詰まっていたのだが……何を拭ったものかなんて考えたくもない。

 

 どこかの青髪紳士が喜びそうな光景である……

 

 とにかく、本人は気にしていないのだから、そんなことは忘れてしまおう。

 

 釘宮が見ている書類は流石にゴミ箱に捨てられていただけあるのか、詳しいことはわからなかった。

 

 わかったことは、

 

 「“光の神殿計画”……かぁ……」

 

 その単語と先ほどの牛人間。

 

 どうしても情報が足りない。

 

 釘宮は役に立たない情報の書かれた書類を一通り暗記すると地面にぶちまける。

 

 「まぁ、すぐにわかるような情報でもないか……とりあえず、もっと潜ってみるしかないな」

 

 釘宮は地面に穴を開け、飛び込んだ。

 

 そこにあったのは異様な空間だった。

 

 今までの建物と同じとは思えない程の巨大な空間。

 

 きっと他の階の総面積よりもこの部屋の方が広いのではないだろうか?

 

 これほどなら、あの“氷原と不動の王(ニーズヘッグ)”ですら、入れてしまうのではなかろうか?

 

 少なくとも、そう思える程には大きな空間だった。

 

 釘宮はしばらく天井から顔を出し、キョロキョロと見わたす。

 

 敵がいないことを確認すると、釘宮は地面に一人、降り立った。

 

 そして、仲間の魔力を探す。

 

 「椎名はかなり進んでんな……柿崎はもうしばらくしたらこの階に着く。なんかフロアブチ抜きみたいだし、ここで待ってたら会えるだろう」

 

 そう言って釘宮は地面に座り込んだ。

 

 瞳を閉じ、周りの魔力を感じる。

 

 そして、地面に転移魔方陣を出し、すぐさま5mほど横に転移した。

 

 となりで、地面が砕けたのを感じる。

 

 釘宮はすぐに立ち、瞬動で距離を取り、自分を攻撃してきたであろう相手を見据える。

 

 そこには、椎名桜子と同じような猫耳を持ち、腹に傷を持った、3人の少女がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 釘宮の行動は早かった。

 

 3人のうち適当に一人に目をつけると、そいつめがけて突進。十手で横薙ぎに攻撃する。

 

 相手は避ける素振りを見せない。

 

 十手が肉を打ち付けた。

 

 その隣の二人が攻撃してくるよりも早く、釘宮は再び距離を取る。

 

 攻撃は完全に入ったはず。

 

 しかし、釘宮の予想が正しければおそらく……

 

 釘宮が相手を確認する。

 

 やはりというべきか、相手の腹部は既に再生していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。