釘宮円で葛藤   作:NANA@

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 基本的な知識が抜けていたんですね・・・・・・

 今回はある程度ましにしたつもりですが・・・・・・

 とにかく、読んで頂ければ幸いです。


第五話「黒髪少女で絶望」

その翌日

 

城の中のとある研究室。

鼻につーんと染みる薬の臭いと、様々な花壇に植えられた得体の知れない植物の数々。

 

お伽話の魔女あるいは科学者の部屋をそのまま持ってきたような部屋だった。

 

普段この場所は研究者黒鞭桜桃(くろむちゆすら)が様々な魔法薬やその他研究のために使われている部屋なのだが、今日は普段とは違い、黒鞭以外に一人の少女がやって来ていた。

 

腰まで伸びた艶やかな黒髪。

 

藍色の仁平を身につけ、腰には十手を差し込んだ少女。

 

城の姫の娘、エンその人だった。

 

彼女は今、黒鞭による魔法学の講義に耳を傾けていた。

 

その表情は真剣そのもので、頑張りやな彼女に黒鞭は軽く笑みをこぼす。

 

「魔法薬学でいうところの“樹”というものは自然界の木とは違って、DNAを持たないんだ。簡単に言うと、命をもつ魔法そのものなんだよ」

 

エンに植物魔法を教えるため、自分の知識を伝わりやすいように、できるだけかみ砕いて黒鞭は伝える。

「つまり、魔法を生み出すのと同じように“樹”を生み出すことが出来るんだよ」

 

「魔法を生み出すってのはわかるんだけど、命ってのはわからねぇな……そんなに簡単に作れるものなのか?」

 

そんなエンの質問に、黒鞭はうーんと唸って、

 

「エン様はそもそも命というものを定義するさいに何が必要かわかるかな?」

 

「わかりません」

 

「正直でよろしいんだよ」

 

黒鞭は素直な主をくすりと笑った。

 

「脳っていうのは沢山の電気信号によって動き回るコンピュータみたいなものでね。つまるところ魔法でシステムとメカニズムを構築しちゃえば命の定義にのせることができちゃうんだよ」

 

まぁ、あんまり複雑すぎるとうまくいかないんだけどね……、とはにかみながら言って黒鞭は座る。

 

「なるほどな……少し複雑な罠を張るくらいに考えれば良いのか?」

 

「まぁ、そういうことだよ」

 

「それで、どうして魔法薬学と“樹”が絡むんだ?」

 

エンは再び黒鞭に疑問をなげかける。

 

それに対して、黒鞭は変わらない笑顔で、

 

「生物を作れるといっても、完全なものを作れる人はいないんだ。大元は種を使って、メカニズムのほうには魔方陣とかを当てるんだけど、呼吸や食事、生命力や体の一部の不備がある場合がほとんどなんだよ」

 

「つまり、それを肉付けするのが、魔法薬ってことか」

 

「そうだね」

 

黒鞭の言葉に、エンは少し考えるそぶりをみせると、

 

「その理屈だと、動物も作れることになるんだよな?」

 

「一応、理論上は可能だよ。ただ、それをやるとなると莫大な量の魔方陣が必要になるし、それを維持するのも大変な作業なんだよ」

 

それを聞いたエンはにやりと笑う。

 

「体の一部だけを作るっていうのは?」

 

「それは出来るよ。今は移植のための魔法生物も存在するんだ」

 

移植ができるってことは人間の体の一部に“樹”を埋め込み、動かすこともできる。

 

エンは誰にも気がつかれることなく、いたずらっ子のように笑った。

 

「それでは、魔法薬と魔方陣の詳しい説明に入るんだよ」

 

黒鞭はえへんと胸を張るとペンを走らせていくつかの記号を書き上げる。

 

「召喚魔法だと円形の魔方陣一つで事足りるんだけど、複雑な術式になるとね……、どちらかと言えば数式とか、文章を刻み込む形になるよ」

 

「何だかコロコロスタンプみたいだな」……

 

「なにそれ? おいしいの?」

 

「いや、こっちの話だよ」

 

 

 

 

 

 

さて、講義の後は実戦と相場は決まっている。

 

定理を習えば演習

 

単語を覚えれば文章の中でそれを使えるかを確認する。

 

つまり、何がいいたいのかというと……

 

「生まれて九日で怪物に教われる俺ってかなりレアなんじゃねぇのぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

エンは絶賛逃亡中なのだ。

 

えっ、何からって?

 

「あのクソビッチは何を考えていやがる!! 気も魔法も十分に使えない奴にあんなもんをけしかけるなんて馬鹿なんじゃねぇの!!」

 

「ハッハッハ!! 私のNYW(なんだかよくわかんないの)26号から逃げられると思うな!!」

 

エンの切実な悲鳴を、黒鞭はわざとらしく笑い飛ばした。

 

もはやサラブレッド顔負けの馬鹿みたいな速度で爆走するエン。

 

それを追っているのは、まさに異形の二文字が似合う化け物だった。

 

(つた)が絡まりあい、何かの形をなしている。

 

それは例えるなら蛇とか蛸とか……

 

そういえば海中でゴンズイという魚が群れになるが、丁度あんな感じだろうか。

 

エンは後ろから洒落にならない速度で振り下ろされ、薙ぎ払われる蔦を奇跡的にもかわしながらも、この現状を打開する方法を探る。

 

(使えそうなものは昨日お詫びの印にルーから貰った“短距離転移魔法符”が二枚と十手だけかよ。間違いなくたりねぇじゃねぇか!!)

 

“短距離転移魔法符“はその名の通り、短距離を転移するための魔法符で、6、70メートルくらいしか一度に飛ぶことができない。

 

エンの後ろに張り付いているダンプカーくらいの大きさを誇るゴンズイもどきにとってはそんな距離あってないようなもので、

 

「エン様ぁー!! 捕まっても全身隈なくもみしだかれるだけだから大丈夫だよ!!」

 

「全然大丈夫じゃねぇじゃねぇか、このクソビッチ!! うおっ!!」

 

二本の蔦が左右から襲い掛かる。

 

エンはそれを上に跳躍して逃げた。

 

その高さは3メートルをゆうに越えた。

 

無心のうちに気を扱えていることに、このエンはまだ気づいていなかった。

 

木の槌に槍、地面から足を絡めとろうとする根、それらを気による身体強化でかわしきる。

 

「やっぱり、倒すしか無いのか?」

 

何も考えずにこの世界に飛んだ過去の自分を少しと、いつかの金髪ロリータをかなり怨みながら、そんな絶望的なことを呟いたエンは、

 

後ろを覗き込んだ。

 

そこには、なんだかよくわからない粘液を纏った触手が待ち構えていて……

 

「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理ぃぃぃぃいいいいいい!!!!」

 

キモい!!キモすぎる!!と、悲鳴を上げながら人間の限界を越えた速度で爆走する。

 

「いっけー!! NYW(なんだかよくわからないの)26号!! エン様を捕まえてなめ回せー!!」

 

「なめ回すんじゃねぇ!!!!」

 

エンは叫び、もはや地面にはいつくばるくらい前倒しになりながら全力で地面を蹴る。

 

(ビッチは確か、脳の中にある魔方陣でシステムとメカニズムを組むって言っていたような……それなら!!)

 

 思考をしながら走り、攻撃をかわし、交わしきれないものには十手を叩きつけて応戦する。

 

(さあて、“転移魔法符”二枚でどこまでやれるかなっ!!)

 

エンは動かし続けている体を叱咤しなおし、気合いを入れる。

 

そして、

 

百八十度方向転換し迫りくる化け物に向かって走り出した。

 

ヌチャヌチャと湿っぽい音を出しながら進むゴンズイもどきに少し嫌悪感を覚えながらも、無理矢理体を動かす。

 

やはり、どこに魔方陣があるかはわからない。

 

人間と怪物との距離が迫る。

 

そして、ぶつかる直前に

 

エンは空高く跳んだ。

 

怪物の体高はおよそ四メートル。

 

その背中すれすれのところで、怪物とすれ違う。

 

(どこだ!? どこにある!?)

 

エンは上空から怪物を確認し、その核となる魔方陣を探す。

 

そして怪物の体に一カ所、異様に蔦の絡まった、球状の物体を見つけた。

 

と、思ったのもつかの間で

 

ドスンと言う鈍い音を立てて、エンの体が地面に落ちた。

 

怪物の観察ばかりにきをとられ、自分が空中に入ることを忘れていた。

 

そうこう言ってるあいだに怪物は方向を変え、エンに向かっている。

 

(やっべ!!)

 

エンはすぐさま走り出した。

 

下半身ばたばたの状態で、転移魔法符を十手に巻き付ける。

 

それも二枚重ねて

 

エンは一瞬だけ振り向いてゴンズイもどきを確認した。

 

「うまくいってくれよ……」

 

切実にそう願い、魔法符に魔力を込め、放した。

 

 しかし、それを確認することはかなわず、巨大な衝撃によって、少女は意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 黒髪の少女のもとに、猫耳の白衣の少女が降り立った。

 

 猫耳の少女はすやすやと眠る黒髪の少女を見つめて、先ほどの戦いを思い出す。

 

 (まさか……、私の“樹”を倒しちゃうなんてね……)

 

 少女の背後に広がるの巨大な樹木のかたまりを眺める。

 

 その塊は二つに分かれ、一つは巨大な大木、もう一つは未だ十手に絡みつき、うねうねと動き回る、小さな木の(つる)

 

 (“転移魔法符”で核である魔方陣を奪ったのね……)

 

 エンのしたことは簡単だ。

 

 “短距離転移魔法符”は魔力を込められたさい、それに接する物を短距離に、空間的に転移させる簡単な魔法具だ。

 

 それをエンは十手に巻きつけて、魔力を込めた。

 

 それにより、両方の“転移魔法符”に魔力が行き渡る。

 

 ただし、ここには“札”一枚分だけ、内側の“転移魔法符”には遅れて魔力が送られる。

 

 そのかすかなインターバルにエンの狙いはあった。

 

 エンはあらかじめ確認しておいた蔦の(かたまり)の中に魔方陣が存在すると考え、距離を計算して魔力をこめ、巻きつけられた十手ごと、塊の真ん中に飛ばした。

 

 その命令は微かなインターバルをもって、二枚の札には同じ命令がくだされる。

 

 それはすなわち、

 

 《札に触れる固、液体の最大容量を巻き込み、後方73m、上方1mに転移》

 

 と言うものだ。

 

 それによって、一枚目の札で十手と札が塊内部に転移され、微かなインターバルの結果、二枚目の札で最大質量である120kgの植物を奪い、転移。

 

 魔方陣の干渉を受けなくなった怪物の体の大部分は活動を停止し、転移させられた蔦の塊は足を奪われ、行動不能。

 

 (本当におもしろい子だね……)

 

 黒鞭桜桃は微笑むと、下唇を噛み締めながら、なぜか悲しそうな表情でエンを見つめた。

 

 

 

 

 

 砂の城にあるとある一室

 

 (あかり)はただ一つの蝋燭だけだった。

 

 その微かな光がその部屋を照らし、玉座にすわる人物の緑をかすかに照らす。

 

 彼女は星空を見ていた。

 

 カタン……

 

 そんな静かな音を立てて、その部屋の唯一のドアが開いた。

 

 入ってきたのは青い瞳の青年。

 

 服装は白のタキシードで、暗いこの部屋でもその姿が確認できるものだった。

 

 玉座に座る女性は扉の方に向くことはなく、青年に背を向けたま話す。

 

 「来たか……」

 

 青年はいつものように機械的な礼をした。

 

 「ここに来るのも、久しぶりでしたもので」

 

 「その外用の胡散臭い笑顔とハキハキした話し方はここではしなくて良い」

 

 「左様でございますか」

 

 青年は数回咳をすると、服装を整える。

 

 そして、少女に向けて跪いた。

 

 「ルーよ、エンの調子はどうじゃ?使えそうか……」

 

 「ええ、いい感じに育っています。あれなら十分、“器”として機能してくてるかと」

 

 「そうか……、これからも監視を頼むぞルーよ……いや、“一番目(プリームム)”よ」

 

 「仰せのままに、“創造主(あるじ)”よ」

 

 夜はだんだんふけてゆく。

 

 そして、朝を迎え、夜をもてなす。

 

 黒い“(エン)”を中心に物語は回りだした。




 フラグを立てようと頑張ったんですが、どうですかね?

 しかしこれでは伏線な気が・・・・・・・

 未熟ですいません・・・・・・

 こんな駄文でも、楽しんでいただければ幸いです。
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