“冥府の炎王”コロナ・ティミル   作:冥府の炎王

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第13話

 

 

 

 新暦75年9月12日。地上本部公開意見陳述会の日になりました。皆さんと一緒に私は地上本部へと出向いて来ています。というのも、私にも招待状が来たからです。しかし、おかしいです。フォワード陣は居ますが、なのはさんやフェイトさん、はやてさんが居ません。そして、私のエスコートはシグナムさんでした。彼女の腰には新しい剣が存在しています。私はドレスコードで、シグナムさんは制服のままです。フォワード達は外で護衛をしています。

 

「どうやら、ここのようですね」

「何故、VIP席……」

「仕方ないでしょう」

 

 案内された席に座った私は急いで逃げます。こういうのはイクスが担当です。

 

『コロナ~っ』

 

 何かを言っていますが、知りません。って思ったら、逆に引っ張り出されました。くっ、やるつもりですね、いいでしょう!

 

「こんにちは」

 

 こんな事をしていると、隣に座っている三提督さんが挨拶をしてきました。こちらも無難に返します。

 

(イクスっ)

『コロナ、私がサポートしますので頑張ってください。この身体はコロナの物です。私はあくまでも同居人ですから』

「こんにちは」

 

 イクスのサポートを受けながら、どうにか話をしていきます。その内、レジアス中将が出て来て演説を開始しました。こちらにも一応、会釈をくれました。

 

「続いて現在、地上本部にて新しい試みである、配備したゴーレム兵についてです。機械化されたゴーレム兵は魔導師ランクBからAまでの実力が存在しています。魔導師一人を指揮官として運用する事で、一人でありながら小隊の運用が可能となった。これにより、地上本部の兵力は増大し警備部隊の増員が可能となった。また、試験運用であるが、魔導師ではなくてもゴーレムの魔力を地上本部から供給する事で指揮できる事が判明している。これで管理局の戦力不足が解消される事となるだろう」

「こちらが魔導師隊との模擬戦の映像です」

 

 作られた画面には数機の機械兵が魔導師を容赦なく撃ち落としている姿が映し出されています。魔力弾を放つライフルと魔力で出来た剣を装備し、連携して魔導師を封殺していきます。それはまるでロボットアニメのような光景です。もっとも、機械兵自体がアニメを参考にして作っているので、大きくするだけでロボットアニメになります。

 

「しかし、これでは指揮官の育成が急務になりませんか?」

「ええ、ですが、現状の小隊長を指揮官に、その配下の隊員に5体ずつ与えれば事足りる事です。これらのゴーレムはある程度の命令を与えれば自動で戦闘行為を行う事が出来ます。また、地上本部や戦艦のブリッジより直接操作も可能です。何より、危険な任務に投入したとしても人が死ぬ事もなく消費するのはコストだけとなります。魔導師の訓練相手も務められる事から、非常に便利となっております。何れは民間の護衛機として貸し出しも視野に入れております」

 

(どうですか、イクス。私のゴーレム技術は凄いでしょう!)

 

 えっへんと胸をはります。

 

『大変素晴らしいです。ですが、コロナ。悪用するのは駄目ですよ? 私は知っています。あの子達の中に機密保持という理由でマリアージュのコアがある事と、彼等が得たデータは全てコロナにも送られているという事。そして、最上位権限を管理局にも黙ってコロナが握っているという事です』

(当然ですよ。もう用は無いと殺されては敵いませんしね)

 

 イクスと色々と話していると、スピーチが続いていきます。

 

「以上で地上本部の現状を説明しましたが、私は皆様にお伝えしなければならない事があります。まず、私は退陣し、後を譲ります」

 

 レジアス中将の話に場が驚きに包まれました。私もそうです。何故、辞めるの?

 

「理由はこれから告発し、刑罰を受けるからです。私は管理局本局、最高評議会の犯罪行為についてこの場で告発する事にしました。これらがその証拠です」

 

 全国中継されている中、管理局の最高評議会の悪事が証拠と共に暴露されて次々とネットに拡散していきます。それは他の世界もです。

 

「かの有名な次元犯罪者、ジェイル・スカリエッティも最高評議会が作り出し、コントロールしていました。彼が犯罪者でなければ、いったいいくらの人が救えたでしょうか。生体工学に通じ、数々の技術を開発してきた彼が人々を救う手助けをすればいくつもの難病と言われる物が解決します。私は彼に接触し、実際に作って貰いました」

 

 薬のデータも提示されていく。そんな時、急に回線が割り込んできた。

 

『貴様、何をしているのかわかっているのか!』

 

 現れたのは脳みそでした。

 

「もちろんだとも」

『ならば、これから起こる事もわかっていよう!』

「管理局の権威の失墜から始まる数々の事件だろう」

『ならば、なぜこんなバカな事をっ!』

「馬鹿な事をしたのはお前達だ。それにこの私が対策をとっていないとでも思っているのか?」

『なに?』

「さて、皆も三提督の横に居る少女が誰かわからなかったでしょう。いや、一部の人は理解しているでしょうが。彼女がゴーレムを運用するシステムを作り出した者です」

 

(急に振られた私はどうすればいいのですか! 助けて、イクス!)

『取り敢えず、立って挨拶です。任せてください』

(ユーハブコントロール)

『アイハブコントロール。これ、必要ですか?』

(気分です)

 

 私の身体が立ち上がり、スカートの裾を掴んで優雅に挨拶します。同時に威厳たっぷりです。威圧も出ています。魔力量からして重圧と感じているかも知れません。

 

『貴様っ、祖奴が何者か理解しているのか!』

「当然です。コロナ嬢、管理局の魔導炉を使いどれだけの機械兵を瞬時に量産できますかな?」

(これはコロナの仕事です。ユーハブコントロール?)

 

 帰されたので、身体だけ預けて口は頂きましょう。

 

「地上本部の魔導炉なら、約一万機。私の魔力を使えば百万機であろうが、一瞬です」

「ありがとう。これらを戦艦に搭載して全世界に送り込めば問題なく暴徒は鎮圧可能です」

『正気か!? 相手は世界を幾つも破壊し、滅ぼしてきた存在だぞ!』

『この世界を終焉に導く気か!?』

『冥府の炎王の歴史は禁忌といっていいものだぞ!』

 

 失礼な人達です。殺しちゃいましょうか。

 

『コロナ、物騒な事を考えていますか? ダメですよ。私の為に怒ってくれるのは嬉しいのですが、その思考は……』

(イクスは優しいですね。感謝するがいい、愚民ども)

『実は遊んでますよね』

(もちろんです。もう、好きにやっていいですよね?)

『どうぞ』

 

 決定しました。もう、好き勝手やってやりましょう。

 

「あの、冥府の炎王とは?」

『ベルカの時代に存在し、それより数千年の時を生きた歩くロストロギアだ! 確認されているだけで数十個の世界が滅ぼされている』

『それもたった一人の小娘が原因でな!』

「酷いですっ、言いがかりですっ」

 

 涙を流しながら顔を手で覆って泣きます。六歳の幼い少女を泣かせればどうなるか、わかりますよね? 少なくともほとんどの人は泣かした人を悪だと思います。

 

「私は彼女が何故、そんな事をしたか理由を知っています。貴女達のような人に無理矢理、嫌なのに言う事を聞かされて、仕方なく泣きながらやってきたんですっ」

『出鱈目だ!』

『そうだ! そうだ!』

「貴方達は……知って、いるんですか? イクスヴェリアが辿ってきた地獄を……」

『貴様自身だろう!』

「違いますっ。私はイクスとは友達ですが、本人じゃありません。この身体の持ち主です。イクスは確かに私の中に居ます。でも、それは私が望んだからです」

『出鱈目だ! 事実だとしても操られているからであろう!』

 

『こんなコロナ、はじめてみたんですけど……違和感が……』

(黙っててください)

『ごめんなさい』

 

「操られてなどいません。私は私の意思でイクスに身体を明け渡したりしています。貴方達はわかりますか? 出会った当初、彼女を起こした私に殺してくださいと願った彼女の気持ちが」

『ダウト、ダウトです! 私は起こさないでといいました。でも、コロナが無理矢理……』

「ですが、そんな事は嫌だったので、彼女の事を知るために私は彼女に自らと融合して貰う事にしました。少なくとも、これで彼女が死ぬ事はできないからです。そして、昏睡状態になった私は彼女が辿って来た歴史を追体験しました。そこで彼女は王として生まれる為に様々な人体実験をされ、数々の同胞を失ってようやく完成しました。しかし、イクスヴェリアは優しすぎました。その為、兵器の生産装置として監禁され、永遠と兵器を産みだし続ける事を強要されました。拒否すれば酷い拷問をされ、最後にはイクスヴェリアの身体と力をコントロールするための装置まで取り付けられました」

「そ、それは本当なのか。それが事実ならとても兵力を出してくれなどとはたのめん……」

 

 レジアス中将、やっぱりいい人ですね。

 

『コロナとは大違いですね』

(私はいい人じゃないのですか! イクスに身体を明け渡したりしているのに……)

『コロナは欲望に忠実なだけでしょう』

 

 反論できませんっ。

 

『そんなコロナも私は大好きですが』

(私もイクスが大好きです)

 

「レジアス中将、大丈夫です。イクスも世界の平和の為なら納得してくれます」

『出鱈目だ! すべて出鱈目にすぎぬ!』

『作り話でない証拠がどこにある!』

「では、証拠を見せましょう。ただし、精神的に死んでも……しりません。私はあの地獄を見て、性格がかなり変わりました。皆さんも精神崩壊する覚悟があるなら、お見せします。た、多分大丈夫です。ベルカの、ガレアの事を知るくらいですから」

 

 皆さん、一斉に距離を取りました。

 

「やめろ、本当にやめてくれ。あの時代をこの時代の者が知れば……精神汚染が発生してもおかしくない」

「ああ、ここに生き証人もいましたね。彼女はベルカの戦乱の時代を生きた騎士です。夜天の書という魔導書のマスターを守護するための騎士として選ばれ、魔導書に取り込まれてました。そんな人体実験や悪逆非道がまかり通っている世界です。ぜひ、一緒にみてみませ……」

「駄目に決まっているだろ!」

「私は見てみたいです」

「俺も!」

 

 おっと、記者の中の人からまさかの参加希望。いいでしょう。その願い、聞き届けてあげます。

 

「正気か、貴様等……」

「望まれたのならば、やらねばなりません」

 

 高台から降りて、その記者さん達に近付きます。

 

「では、しゃがんでください。目を合わせないといけないので」

「わかりました」

 

 しゃがんでくれた人に瞳をあわせ、額も合わせます。そして、魔法を発動。さあ、地獄へようこそ。

 

「ぎゃあぁああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁっ⁉」

「一人目、発狂しました。では、次ですね」

「え、いや、ちょっとまっ……」

「貴方の勇気に感謝します」

「うわぁああああああああああああぁぁぁぁぁっ!!」

 

 悲鳴をあげて、痙攣しながら倒れる人達。でも、直ぐに起こします。

 

「どうでしたか? 古代ベルカで繁栄したガレアは」

「地獄だ……なんだあれ」

「あんなの、子供にするもんじゃねえ……」

「しかし、それが実際にされていました。では、次の人……」

『信じぬ。信じぬったら信じぬ!』

「いや、もはや議論は必要あるまい。既に時間稼ぎは終わりだ」

『何?』

 

 画面を見ると、壁が破壊されて小さな女の子達が入ってきました。

 

『時空管理局、機動六課所長八神はやてや。拉致監禁、殺人教唆などそのたもろもろで逮捕させてもらうで』

『機動六課所属、執務官フェイト・T・ハラウンです。抵抗は無意味です』

『私は高町なのはです。既にあなた達の子飼いの部隊は殲滅しました。大人しく投降してください』

「おい、待て。なんだその恰好は!?」

『文句はそこの女の子に言ってな! 無理矢理若返らされたんやから!』

『うぅ、恥ずかしいよぉ~』

『大丈夫だよ。フェイトちゃんは可愛いから』

 

 ロリっ娘の皆さんが最高評議会の人達を逮捕する場面で、ほっこりです。

 

「なお、彼女達に使った物とは違いますが、姿を若返らさせる変身魔法を自動で使ってくれるバッテリーつき、デバイスを販売します。更に細胞も活性化させて若い姿で元気に過ごせるデバイスも販売します。こちらの難点は魔力の消費が少し多いので少しお値段が高くなります」

「ぜひ売ってください!」

「何時から販売ですか!」

 

 女性記者が一斉にくいついてきました。若さは大事ですよね。

 

「ただし、反乱や暴動を行う地域には販売しませんので、皆さん仲良くしましょう」

 

 この数日後、驚いた事に反乱や暴動はほぼ起きなかった。女性陣が徹底的に反対したようでした。美容は何時の時代でも、女性にとって有効な戦略兵器ですね。

 

 

 

 

 

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