“冥府の炎王”コロナ・ティミル   作:冥府の炎王

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第4話

 

 

 

 魔法の実験が管理局の人にバレたために、怒られてデバイスを取り上げられました。まあ、デバイスはあれば便利ですが、本当に強くなる為の基礎を鍛えるのには必要ありません。そもそも、こちらにはイクスヴェリアという強い味方が融合していますしね。

 そんな訳で、普段よりも難易度が格段に増加した操作魔法を使って色々とやります。しかし、それよりもやらねばなりません。

 

「コロナ、コロナ、バナナはおやつに入りますか?」

「入ります。ちなみに300円で収めるのなら駄菓子系や自分で作った方が安上がりです」

「では、駄菓子を持っていきましょう。うまい棒なら30本です!」

「好きにしてください。あ、一応着替えを持っていきますよ。川で遊ぶかも知れませんし」

「楽しみです!」

「どうぞ楽しんでください」

 

 私は使いたくもない可愛らしい女の子用のリュックサックに、イクスは楽しそうに荷物を積めていきます。これは明日、初等科で行われる遠足の準備です。

 

「お弁当も楽しみですね、コロナ」

「そうですね」

 

 私はどうでもいいのですけど、イクスが喜んでいるのでよしとしましょう。私はフェアリーソード以外の攻撃手段の考案に入ります。今度は圧倒的な物量による砲撃戦が好ましいです。

 

 

 

 翌日。私は次元船に乗って別の管理世界へとやって来ました。そこは自然豊かな世界でした。ハイキングコースを皆で歌を歌いながら進んでいき、山の頂上につく頃にはお昼の時間になりました。頂上はお花畑で、沢山の蝶が舞っています。

 

「凄いです。あっ、蝶々さんですよ」

 

 はいはい、わかっていますから怪我をしないように。

 

「むぅ、これがどんなに凄い事か、わかっていますよね? ベルカとは大違いですよ?」

 

 あの世界は灰色の分厚い雲に覆われ、太陽の光が届かずに大地を血と屍で埋め尽くし、そこら中にクレーターが作られている世界ですからね。動植物なんてほとんど消されています。

 

「コロナもたまには息抜きを……」

 

 イクスが楽しんでくれているなら、それでいいので私はこのまま寝ています。それより、友達を作ったらどうですか? 私はいりませんけど。

 

「うっ……何故か皆さん、私を避ける上に敬語になるのですが……」

 

 王様だから仕方ないです。カリスマです。かりちゅまかもしれませんが。

 

「まあ、いいです。それよりもご飯です」

 

 イクスが木の陰に入ってレジャーシートを広げ、その上に座ります。リュックからお弁当を取り出して並べていきます。どのおかずも明らかに力を入れているだろう、美味しい料理です。

 

「お母様の作ってくれる料理は好きです」

 

 私も好きです。でも、イクスは宮廷の料理も食べた事があるんですよね?

 

「あれはただの栄養補給です。そんな贅沢をするくらいなら軍備に回すようにされていましたから」

 

 流石はベルカです。まあ、それでしたら堪能してください。

 

「もちろんです」

 

 味覚とかも共有しているので、イクスが食べても私が食べた事になります。なので、食べながら研究できるのは良い事です。

 

 

 

 

 

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「対象を確認。反応からコロナ・ティミルと判断」

『冥王陛下の反応は?』

「確認できます」

『トレディア・グラーゼの依頼だ。確保してくれ』

「了解しました。まずは現地の生物で様子をみましょう。お嬢様にお願いしましょう」

『頼めるかい?』

「任せて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 食事が終わり、イクスが楽しそうに野原を駆けまわったり、日向ぼっこをしたり堪能した後、休憩時間が終わって写生の時間になりました。王様なだけあって、しっかりと習っていたのか、無駄に綺麗な絵を描き上げたイクス。山と湖の綺麗な絵は先生も褒めています。というか、どう考えても売り物になるレベルです。だからこそ、皆さんは離れていくのですけどね。

 

「ねえねえ、あれなんだろ?」

「なんだか、湖に……」

「どうし……っ⁉ みんな、逃げますよ!」

 

 湖を見た先生を見ると真っ青な顔でそう叫びました。湖からは大きな蛇みたいな生物が出て来て、こちらに向かってきているのです。その速度は明らかに速く、このままでは大惨事でしょう。

 

「なんで……事前にしっかりと調べたのに……」

 

 先生はそんな事を呟きながらも、生徒を急いで逃がしています。自分から逃げないとは、いい先生です。

 

「コロナ」

 

 わかっています。変わってください。

 

「はい」

 

 イクスと私が入れ替わり、私は蛇に向かって歩いていきます。

 

「コロナちゃんっ!?」

「先生は避難させてください。イクスが楽しみにしていた遠足を台無しにした罪は重いです」

「え? 何を言って……」

 

 魔力の負荷を解除して、地面にしゃがみ込んで両手をつきます。

 

「大地よ、我が意に従い姿を我が矛へと変えよ。汝は材質は鋼鉄。重量1,350トン。全長47.3m。銃身長32.48m。全幅7.1m。全高11.6m。口径800mm。初速 820m/s。最大射程48km……」

 

 大地が陥没して、巨大な物が作り出されていく。膨大な量の魔力が消費されていくので、足りない分は周りから集める。収束魔法と同じ原理で、回りの自然から魔力を、生命エネルギーを徴収する。これぞベルカの魔法なり。

 

「セットアップ」

『怒られたばかりですけど、いいのですか?』

「問題ありません。守るための戦いですから」

『コロナは実験したいだけでは?』

「否定はしません」

『はぁ……わかりました』

 

 服装が某軍服に変わる。やはり、これを使うなら親衛隊の服でなくてはなりません。

 

「こ、コロナちゃん!?」

「先生、早く逃げないと……巻き込まれますよ?」

「っ⁉」

 

 完成した巨大な列車砲。動かすのに必要な人数が砲操作で約1,400人。支援要員として4,000人以上というとんでもないこの人数はゴーレムになっている事で問題ありません。

 

「射角調整。目標は前方の敵。放て」

 

 轟音と共に発射された弾丸は高速で目標の蛇に飛来し、着弾する。同時に大爆発を起こし、内部に込められた可燃性の液体燃料がさながらナパーム弾のように広がって延々と焼き尽くしていく。回りは昼間だというのに、まるで黄昏のようです。

 

「あははははは、ベルカ(ドイツ)の技術は世界一ですっ」

 

 蛇は苦しみもがきながら、ブレスを放ってくる。

 

「全速後退! 次弾装填、放て!」

 

 回避し、次弾を放ちます。連射がどこまで持つかも試さないといけません。

 

「延々と撃ち続けてください。限界まで」

『コロナ、もう死んでますよ?』

「知りません。見えませんから」

 

 手帳を取り出して砲身が持つ回数を記入するためにひたすら高速で放たせる。

 

『ああ、ベルカの世界が……あ、何か追加で回り込んできます』

「?」

 

 振り返ると、青いスーツに身を包み、両手と両足に羽を生やした女性が機械と一緒に突撃してきています。

 

「……貴女達ですか。なるほど」

『コロナ?』

「実験は止めです。実戦を始めましょう」

 

 フェアリーソードを大量に作り出して、背後に浮かべます。

 

「ころ……」

「殺されるつもりはありません。死んでください」

「いや……」

 

 手を振るって容赦なく解き放ちます。

 

「問答無用か。いいだろう。だが、この程度の攻撃でこの私を落とそうなど…片腹痛い」

 

 彼女は両手を振るってフェアリーソードγを斬りました。その瞬間、大爆発を起こします。

 

「がぁあああああああああああああぁあぁぁぁぁぁぁぁっ⁉」

『不用意に剣に触れるとか、愚か者ですね』

 

 私はちゃっかりとドーラの中に入っています。ついでに残りの生徒も回収しておきました。

 

「きっ、貴様っ」

 

 ボロボロの戦闘機人さんは怒り心頭なようなので、焼き尽くしてあげましょう。といっても、やるのは私ではありませんが。

 

「トーレ、後方より大部隊が我々を包囲するように接近している」

「なに? そんなに早く管理局がこれるはずは……」

「違う。ドクターが言っていたイクスヴェリアの玩具だ」

「なん、だと……」

 

 彼等の背後、私からは前方ですが、そちらからは沢山の動物や虫が集まって来ています。それらの共通点は全て焼き爛れている事。冥府の炎王を継承したこのコロナちゃんが、ただの砲撃で終わらせる訳ないじゃないですか。このドーラだけだったら破壊されるでしょうけど、これだけのマリアージュに囲まれて生きてられますか?

 

『コロナ、準備が出来ました』

「では、いきましょう」

 

 私は人型を詰め込んだ砲弾を遠くにドーラで発射して、脱出します。先生達と皆で逃げます。後はドーラを盛大に自爆させたら私の勝ちです。

 

 

 

 遠く離れた地点に()()きた私達は、遠くでドーラの爆発とマリアージュの引火していく様子を見ます。それをレポートに書いてから後ろを振り向くと……何かビクッとされて皆がガタガタ震えて、中には失禁している子もいます。先生もかなり怖いようで震えています。

 

「無事に脱出できましたね。後は管理局の到着を待ちましょう……いえ、面倒なので六課の人を呼びますか」

 

 携帯を取り出して、昨日渡されたアドレスへと連絡する。通信封鎖をされていたけれど、そんな物はこの特級ウィザードのコロナちゃんには無意味です。いえ、ぶっちゃけ操作魔法とウイルスを使った力押しなんですけどね。

 

「もしもし、八神はやて司令ですか?」

『コロナちゃんか。昨日の今日でなんかやらかしたんか?』

「失礼ですね。ちょっと、そちらの不手際のせいで管理世界の自然を燃やし尽くしただけです」

『それはちょっととはいわん。まじで逮捕すんで。って、こっちの不手際?』

「はい。私、ジェイル・スカリエッティの手の者に襲われたんですけど。昨日の今日で。今までなかったのに。報告、上にあげてませんか?」

『あげたわ。ちょっとそっち急いでいくから場所は?』

「場所は自然保管世界、第七世界です」

『了解や。フェイトちゃんとシグナムに行って貰うわ』

「あ、怪我人もいるかも知れないので、治療班もお願いしますね」

『任せとき。それで、一人なん?』

「学校の行事です。今、先生にかわりますね」

『了解や』

 

 先生に携帯を渡すと、恐る恐ると電話で話していく。私はこのままここに居ても怖がられるので、現場を見に行きましょう。回収したい物もありますし。

 

 

 

 

 燃える大地の中を悠然と歩く。この焼き爛れた肉や木々の臭いに加え、大地が黒く焼け焦げた姿はベルカの世界を思い出させる。私は追体験をしただけだけど、これはこれで感慨深い。

 

「イクス、どうしよう。生まれてくる時代を間違えたかも知れません」

『コロナがベルカの時代に生まれていたら……生きられるかどうか、半々でしょうね。一定以上の地位があれば、おそらく有名にはなれたでしょう。私がコロナだったら、そうですね。焼けて全てが無くなった土地にいるか、微かに残った土地を統一しているかじゃないですか?』

「おお、褒められました」

『褒めていません。まあ、マリアージュの力を使わない普通のコロナぐらいでしたら、あの時代には使い捨てに出来るくらいに大量にいましたから、やはり地位次第ですね』

「ベルカ怖いです」

 

 人の命がとっても軽い世界なのです。世紀末ですよね、ベルカって。

 

『コロナ、狙っていた物がありましたよ』

「ありがたいですね」

 

 私は落ちていた腕を拾います。機械仕掛けで出来たそれは一部が融解していますが、まあ問題ありません。

 

「他にないですか?」

『多分、ないようです』

「そうですか、やってみたい技があったんですけどね」

『はい。頑張ってください、コロナ』

「もちろんです。コロナはその名の通り、太陽となるのですから」

 

 収集魔法を発動して、撒き散らかされている大量の魔力を集める。それらを集めた膨大な魔力を全て身体に取り込んでいく。直ぐに排出してまた取り込んでいく。リンカーコアを強制的に成長させるこの方法で魔力を強制的に増やすします。この方法は操作と限界を見誤れば簡単に身体が爆発してしまいます。精密な魔力操作が必要です。それと同時にマリアージュのコアを作って、そこに魔力を溜めておきます。

 

「これ、一つ思ったんですけど……怨念とか集めたら強力な力になりませんか?」

『やめてください。ネクロマンサーにでもなるつもりですか』

「え? 冥府の炎王ってネクロマンサーみたいな物ですよね」

『あっ、本当です……そんな、私は……』

「大丈夫です。どんなイクスでも私は好きです。それに私も一緒に堕ちていきますから」

『待ってくださいコロナ! それは駄目です!』

「そうですか、やってみたい技があったんですけどね」

『ころなぁ~』

「あははは」

 

 やってみたい技。それは闇落ちしたジャンヌ・オルタの宝具です。アレも火ですからね。

 

「しかし、まだまだ魔力が集まりますね。どれだけ死んだんでしょうか?」

『えっと、ここは生物の宝庫でしたらか……数百以上ですね』

「やっぱり、この術式、どう考えてもネクロマンサーですね」

 

 生命力を魔力に変換したり、マリアージュ化した者達が自爆して巻き起こした熱量も吸収して魔力に変換しています。熱量を考案したのは私です。リサイクルは大事ですから。

 

『あうっ』

「可愛いですね、イクスは。それはそうと、龍脈や気脈といった物はベルカでご存知ですか?」

『知りませんけど』

「そうですか。星のエネルギーが通っている場所らしいんですが……」

『コロナ、まさか……』

「何れは使ってみたいですね」

『死にますから、本当に止めてくださいね』

「わかっていますよ」

 

 そんな話をしながら、焼け焦げた大地を歩いていると向こうから桃色の髪の毛の人と金髪の人がやってきた。

 

「コロナちゃん、無事?」

「ええ、大丈夫です」

「お前……いや、貴殿はベルカの騎士か」

「シグナム?」

「彼女の足運びや身体の動かし方はベルカの物だ。完全ではないようだが」

「記憶継承が関係しているのかな?」

「おそらくそうだろう。そうだろう?」

「そうですよ。それよりもう限界なので寝ていいですか?」

「え?」

「いや、普通に考えてこんな所に居たら死にます」

「あ、急いで運ばないと!」

 

 周りの温度は無茶苦茶高いですからね。まあ、熱を吸収してエネルギー、魔力に変えたのである程度は大丈夫ですが。取り敢えず、フェイトさんの柔らかい胸にダイブして眠るとしましょう。

 

 

 

 

 




さぁ、皆さんご一緒に、ドイツの技術は世界一ぃぃぃぃっ!
ただのネタです。
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