“冥府の炎王”コロナ・ティミル   作:冥府の炎王

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第5話

 

 フェイト・T・ハラオウン

 

 

 

 私達は六課にある作戦会議室で会議をしている。居るのは私となのは、はやてにシャーリィ。それにシグナム。そして、特別に聖王教会から騎士カリムと護衛のシスター・シャッハ。

 

「さて、カリム達の紹介も終わった事で本題や。先の管理世界、自然保護世界第七世界で起こった事や。当時、St.ヒルズの初等科一年が野外実習……遠足にきとった。ここまではええな?」

 

 皆が頷く。配られた資料は現場に行った私が作成した。

 

「その初等科の生徒がジェイル・スカリエッティの一味だろう連中に襲撃を受けた。これは回収されたドローンやガジェットから確実や」

「中にはAMF搭載型も確認されています」

「これを倒したのは例のあの娘、コロナちゃんなんだよね?」

「そうやで、なのはちゃん。コロナ・ティミル」

 

 はやてがそう言うと画面に幼いの可愛らしい少女が映し出される。その子の全体像が立体的に映し出され、全身がしっかりと見れる。眠っている事から、気を失ったので運び込んだ病院で取られたデータみたい。身体の内部のデータもあるけど、そこで見たデータは絶句するに値する。

 

「本人は眠っているんやけど、ご両親の許可をいただいて精密検査をさせてもらったんや」

「はやて、質問ですが……このコロナという少女は虐待をされているのですか? そうならば我が聖王教会で引き取らせていただきますが……」

「いや、そんな事はしておらんよ。念の為、ご両親からデバイスを提供して貰って録画映像を見せて貰ったんや。ご両親は叱るくらいはしとったけど、問題ないくらいや。むしろ、相当あまやかしとるな」

「なら、なぜ……」

 

 表示されたコロナ・ティミルの内部はボロボロだった。打ち身や捻挫は当たり前。酷い所では軽度の骨折すらしている。

 

「原因は五体の完全操作か」

「シグナムは知っとるんや」

「ベルカの時代、それを得意とする人が居た。彼女は強かったが……まさか、それを子供の身体で再現するとは……」

「はっきり言うなら、コロナちゃんの身体の中はボロボロや。常に外部から操作して動いているから普通に見えるんやろうけど……」

「それ、かなり不味いんじゃ……」

「注意してもきかんらしいねん。それでも、変な動きはなくなったから、両親はそんな事をしてへんと思ってたみたいやけど」

「ただ上手くなっただけなんだね」

「せや」

 

 普段の生活と同レベルに操作に熟練したんだ。確かにそれほどならヴィータが操られたというのもわかる。

 

「まあ、こっちはなんかの術式が動いとんのか、急速に強化して回復されとるそうや」

「ベルカでは負傷兵によく使われた戦士育成法だ。一度、徹底的に壊した身体を強靭に再生させる手段だ。ただ、大量の魔力が必要になるが」

「その魔力ですが、おそらく今回の事件で手に入れたようです。これを見てください」

 

 シャーリィが現場の映像が表示させる。一面の焼け野原とクレーター。美しかった自然は皆無で、戦場跡といった方が納得できる飛散な光景。

 

「まず、自然界に存在する魔力の濃度が約86%も消失していました」

「っ⁉」

「彼女が使った魔法は強制的に回りの魔力を収集する物のようです。それに加えて、生命力を魔力に変換する魔法も使われていました」

「それって危険なんだよね?」

「そうですよ。操作を誤ったら術者も干からびます。とりあえず、これで木々や大地などから魔力を吸い上げたんでしょうね。一部が砂漠化していました」

「それで作り上げたのが、これ?」

 

 写真には巨大な列車砲の姿が映し出されている。その近くに居る小さなコロナちゃんは軍服を着ている。これ、確か地球の第二次世界大戦でドイツが使っていた服に似ている。

 

「これは先生や生徒の一部からデバイスを回収して、見せて頂きました」

「シグナム、これ知っとるか?」

「ああ、私は知っている。しかし、カリム殿の方が知っているのではないですか?」

「ええ、記録に残っています。古代ベルカに栄えた最悪の国家ガレア。そこで王の直属の戦闘部隊だった親衛隊で使われた制服です。たった十三人で構成された親衛隊は、今では禁術指定された魔法や封印指定のロストロギアを平気で使う集団だったようです」

「例えばどんなのですか?」

「そうですね。毒物や大量破壊魔法は当たり前だったようです。なにせ、数人で敵軍に乗り込んで殲滅するような化け物な人達だったようです。その強さを支えているのが、先程シャーリィさんが言っていた魂を吸収する魔法です。これにより、膨大な魔力を得て身体を強靭な物に作り変えていくそうです」

「命をなんだと思っているんですか!」

「ただのコストだ」

「シグナムっ!」

「事実だ、テスタロッサ。あの時代、特にガレアは狂っていた。何せ、王であるイクスヴェリアが、自国の民であろうが死ねば屍兵として戦場に送り出していたのだ。ましてや、本人は一切戦場にでずにすべて親衛隊が取り仕切っていた」

 

 ベルカは非人道的な事が多かったらしいけど、ガレアという国はとんでもない国だったみたい。

 

「まあ、これでコロナちゃんが使っている魔法がかなりやばいもんやとわかったやろ。で、次や。ご両親の許可を頂いて、彼女の部屋を徹底的に探索させてもろうた。そしたら、こんなんが出て来たんや」

「手記?」

「魔法開発の為のやけど、どうやら研究ノートやね」

 

 一ページには目標として、大きく最年少で世界王者と書かれている。子供にしてはかなり物騒な事を書いている。次のページには打倒エレミア、高町なのはと書かれている。

 

「なんで!?」

「それはわかるねん。ほら、ここに火力ってかかれてるやろ。つまり、これはなのはちゃんに火力で勝つ気満々という事や」

「まさか、高町に喧嘩を売るとは……」

「シグナム、彼女。既になのはの子供の頃のスターライトブレイカーと同じくらいの威力を出しているみたいだよ?」

「化け物め」

「どういう意味かな!?」

「まあ、コロナちゃんがなのはちゃんと同じ火力至上主義やという事は置いといて」

「違うもん。私、火力至上主義じゃないから……」

 

 なのはは火力至上主義だと思うよ? スターライトブレイカーのチャージ時間を伸ばして火力をあげるくらいだし。

 

「で、次のページにはこんなのがあったんや」

「デバイスの設計書?」

「ていうか、これレイジングハート?」

「いや、ルシフェリオンと書いてあるから、べつやろ」

「ルシフェリオンって、それは……シュテルの……」

「あの子ら、元気かな~」

「誰ですか?」

「私らの友達や。っと、今はええやろ。で、次や」

 

「これは素晴らしいが、子供が作るには痛々しすぎる」

「どういう事や?」

「これは対象を確実に殺す事しか考えられていないという事だ」

 

 6歳の少女が考える事じゃないよ。

 

「一応、デバイスマスターの資格は既にもっとるから、これぐらいできんのかな?」

「いや、無理ですよ。これって、複合魔法な上にどんだけ精密操作が求められると思っているんですか。よほど強固なイメージがないと無理です。それこそ見本がないと……」

「なあ、見本があったらできんの?」

「多分、出来ると思うんですけど……あるんですか?」

「ベルカやったらありそうやない?」

「確かにあったかも知れんな」

「話がそれていっています。今、重要なのはこの単語です」

 

 カリムがマリアージュという言葉を赤色で囲っていく。

 

「マリアージュ。これはガレアの王、冥府の炎王と呼ばれし最悪最凶の王、イクスヴェリアが作り出す兵器の名前です」

「それってまさか……」

「フェイトちゃん、そのまさかや。彼女は最初、記憶継承なんてレアスキルを持ってへんかった。でも、家族と海にいって、海の中に潜った時に遺跡を発見して、そこに入って行方不明になったんや。遺跡の中でコロナちゃんは倒れている所を保護されたんやけど、近くには開いた培養槽があったそうや」

「まさか、そこにイクスヴェリアが?」

「いや、でも待ってよ。古代ベルカの王様って事は何千年も前の話だよね?」

「記録では彼女は死んだと断定されたことは一度もありません。今も眠りについていて、何れ目覚めるとはありましたが」

「つまり、コロナちゃんの中にイクスヴェリアっていう凶悪な王様がいるって事なのかな? だから、オッドアイになったの?」

「ベルカの王達はオッドアイが多かったそうですから、可能性は十分にあります」

 

 私の言葉に皆が暗い雰囲気になる。改めて彼女のデータを見ると、心臓の近くに変な物がある。

 

「ねえ、シャーリィ、これは?」

「これはおそらくマザーコアでしょう」

 

 カリムさんがシャーリィの代わりに答えてくれた。

 

「マザーコア?」

「はい。細胞分裂を繰り返してマリアージュのコアを産み続ける物です。どうやら、心臓とリンカ―コアに癒着して存在しているようですね」

「いえ、これは融合という感じです。ほぼ一体化してしまっています。摘出は不可能です。それこそ、コロナちゃんの命を奪う事になります」

「それは絶対にダメだよ」

「どちらにしろ、彼女の中にイクスヴェリアが居るのは確定だ。だからこそ、古代ベルカで使われた戦術を取ったのだろう」

 

 彼女が取った方法は、大きな列車砲で最初の敵を殲滅。次に出てきた敵を列車砲に引きつけつつ、最初の戦いで殺した者達を屍兵器に変えて包囲。包囲を破るには術者を倒すしかなく、敵はますます列車砲に集中する。

 そこで、自分達は大砲の弾丸に似せた脱出装置で逃げる。実際に撃って範囲から脱出した、と思わせて地下を掘り進んで逃げた。その後、敵が列車砲の内部に侵入してきた辺りで容赦なく自爆させる。本当にえげつない。こんなの、六歳の少女が使うものじゃないよ。

 

「いわばこれは戦争だ。そう考えれば色々と納得できる」

「それって、イクスヴェリアにコロナちゃんの意識が乗っ取られているってことなのかな?」

「それがそうとも言えないんや。そやろ、カリム」

「ええ。シャッハ」

「はい。彼女の学校での態度ですが、楽しそうに授業を受けているそうです。その上で主席なだけある学力を持っています。しかし、学校が終わると雰囲気が一変して、無表情がデフォルトになって研究や修行に没頭しているようです」

「つまり、学校で過ごしているのが()()()コロナちゃんで、()()()()がイクスヴェリアって事か」

「その可能性が高いと思われます。普通の記憶継承ではなく本人と融合した事で支配権を取られているのかも知れませんね」

「もしかしたら、コロナちゃんが説得したからDSAAの優勝が目標になったのかも知れないね」

「名声を得るためだけかもしれへんで」

 

 どちらにしろ、色んな意味でコロナちゃんが危険だという事は変わらない。あんな魔法をミッドチルダで使われたら大惨事になっちゃうし。

 

「とりあえず、コロナちゃんの中にはジェイル・スカリエッティなんて目じゃない大変危険な人物が居るという事や。監視対象として様子をみるで」

「それがいいね」

「ご両親の許可はとってるの?」

「もちろんや。むしろ、お願いしますって言われたわ。あの娘、相当無茶をしているようやからね」

 

 結論が出そうになった時。シャマルが緊急通信を送って来た。

 

『大変よ、はやてちゃん!』

「どうしたんや?」

『コロナちゃんが居なくなったの!』

「ちょっ!?」

「えっと、シャマル?」

『まだ寝ていたから、少し席を外したらもぬけの殻に……ごめんなさい~~』

「ねえ、コロナちゃんて管理局を全然信じてなかったよね。だから逃げたんじゃ……」

「可能性おおありやな。なんせ、内部情報が漏洩しているみたいやし。だから、六課で保護したんやけど……どっちにしろ、直ぐに追跡や」

「私達も協力しましょう。シャッハ、シスター達に連絡を」

「はい、カリム」

「どこ行ったかはわかる?」

『それは大丈夫よ。どうやら街の方に向かったみたい』

「スターズとライトニングは街で休暇中やったな。四人に緊急連絡を入れて保護するように伝えるんや! 隊長達も全員で出動や。彼女はジェイルにも狙われているし、奴等に渡したら最悪な事になんで!」

「了解!」

 

 頑張って助けないと。子供が苦しい思いをするのなんて間違っているから。私と同じような思いをさせる訳にはいかない。

 

「ライトニングから緊急連絡! レリックを所持した少女を発見したとの事です!」

 

 次から次へと、問題ばかりおこるよ!

 

 

 

 

 

 

「おじさん、トリプルでアイスをひとつお願いします。味はメロンとソーダ……」

『ストロベリーがいいです、コロナ!』

「ストロベリーで」

「はい、どうぞ」

 

 お金を支払ってアイスを受け取る。街には大砲を使って脱出しました。ベルカ式脱出方法は便利です。服装はバリアジャケットで代用です。子供がコスプレをしている感じなので恥ずかしいけれど、問題ありません。

 

『美味しいですね。食文化は次元世界最高です!』

「これぐらいでそんな事を言っては駄目ですよ。もっとおいしい物がありますから。色々と食べ歩きしましょう」

『そうなんですか! とっても楽しみです!』

 

 アイスを舐めながら、歩いていると裏路地から声が聞こえてきました。気になって入ってみると、そこには鎖を取り付けられ、大きなケースを引きずってきたのか、倒れている金髪の私と同じくらいの少女。

 

「ここで殺したら、私の勝ちですか?」

『やめてください!』

「冗談です。しかし、これはまずい」

『?』

 

 そう言いながら、ケースを開けてレリックを懐に仕舞って、ゴーレムで作った偽物を入れて閉めておきます。

 

「あの、大丈夫ですか?」

「ボク達は管理局の魔導師なんですが……」

 

 ビクゥッと身体を震わせた後、恐る恐る後ろを振り向くと、年上の少年と少女が居ました。これは不味いです。今、管理局の施設から逃げ出した所です。ですが、ここはポーカーフェイスで乗り切りましょう。

 

「あの、女の子が倒れていたんです。管理局なら任せてもいいですか?」

「はい、大丈夫ですよ」

「ありがとうございます」

「キャロも大丈夫だよね?」

「はい。大丈夫です」

「それじゃあ、私は失礼します」

「はい」

 

 てくてくと彼女達の肩に()を置いて励ましてから、その場を去ります。

 

「こちら、ライトニング。裏路地でレリックのケースを持った少女を……」

「ん、メール? 添付ファイル? 緊急で見つけ次第連絡及び確保? 触れられると駄目? 遠距離から魔法で拘束?」

「どうしたの、キャロ?」

「うん、なんだか別件みたい。ちょっと開けてみるね」

「お願い。ボクは警戒しておくから」

「うん。あれ、この子って……」

「「さっきの子だ!」」

 

 ふ、今頃気付いてももう遅いのです。コロナちゃんは進化しています。それがヴィータに使った物だと思わない事です。くっくく。

 

『どう考えても悪役ですよ?』

 

 近衛隊の人達を真似しているのですが、ダメですか?

 

『あの人達、鬼畜外道のろくでなしですよ。私を監禁して全ての罪をなすりつけるぐらいに』

 

 それはそうでした。でも、あの人達の魔法技術は凄いですから、とっても勉強になります。だから、性格も真似ようかと。

 

『止めてください。コロナが穢れちゃいます』

 

 汚染少女コロナ?

 

『そんなコロナは嫌いです。大っ嫌いです』

 

 ダメです、それは駄目です。私がぼっちになってしまいます。イクスまでぼっちになります。それは駄目です。大好きなイクスに嫌われたくないので、止めておきましょう。

 

『そ、それでいいのです』

 

 照れてますね。

 

『照れてません。そんな事より逃げないと不味いのではないですか?』

「そうですね。では、ちょっと遊んで行きましょうか」

 

 お店で服を買ってから着替え、有る場所の屋上に向かいます。そこは周りよりも高く、いろんなところが見渡せる場所です。

 

『何をするんですか?』

「イクス。コロナはこう見えても……執念深いのです。大事なイクスの楽しい遠足を台無しにされて、あの程度で終わらせると思って貰っては困ります」

『コロナ、嬉しいのですが無茶はしないでくださいよ?』

「大丈夫です」

 

 設置が終わったので、手を床から離して別の場所に向かいます。それをひたすら繰り返していくだけの簡単なお仕事です。さあ、こちらの舞台は整いました。後はゆっくりと役者が揃うまで待つとしましょう。

 

『コロナ、給水塔の上に座って足をぶらぶらさせるのは危ないですよ。コロナはまだ飛べないのですから』

 

 様式美です。と、いいたいですが危ないの止めましょう。それに隠れておきましょう。飛行術式はまだ覚えていません。何せ、優先度が低いですから。DSAAはあくまでも地上戦ですからね。それに飛んでいたら落とすだけの話ですから。

 

 

 

 

 

 

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