そして独自設定……は、いつもの事ですね。
夕日の赤が辺りを照らし、周りにはそれに焚き付けられたか、いつもより一層騒がしい声が響いてくる、今日のこの時である。
「ったく、騒がしいことが好きなこったな、川神学園の生徒は」
川神学園は本当に毎日うるさいが、今日の比ではない。なぜかと言えば、明日から行われる東西交流戦による戦略とかその他もろもろで煩い。
「適当にやり過ごせば良いものを………バカ真面目というか…バカだな」
基本、弾けているのはバカだからな。
そんな不変の事実を考えながらも、足はある場所へと向かっていた。
「この習性と呼べるレベルになっちまったのは、どう考えても傍若無人の平塚先生が悪い」
ちょうど一年前くらいに下らない理由で呼び出され、下らない先生の心を傷つけてしまい、アラサーで少年心が存在している先生に強制労働させられていたら、いつの間にかこうなっていた。
………ムッ、どこからともなく殺気らしきものが飛んできた気がするが気のせいだ。
そしていつの間にか、何も部屋の名称も書かれていない扉の前に立っていた。
「………うーっす」
少しだけ躊躇った後、扉をガラガラと開けて中に入る。
「あら、遅かったわね。比企谷くん」
そしてそこにはあの川神百代に、毎日と言って良いほど付きまとわれている黒髪のロングの美女がいた。
「ああ、ちょっと明後日のゴタゴタで巻き込まれてたんだよ」
「あら、普段影が薄くて認識されずらい貴方が珍しいわね」
「………そうでごさんすね」
うんうん、初めて会った時よりかは幾分ましになったと思っているよ?
最初だったら存在否定してくると思うし。
「それに比企谷くんがこんな祭のノリに参加するとは思っても見なかったわ」
「そりゃそうだ。俺も思っても見なかった。それより俺は体力が少ないのに戦闘要員に入るとは思ってなかったわ、雪ノ下」
美女こと雪ノ下雪乃は俺の言葉を聞き、はぁ、とため息をつきながら辟易と答えてくれた。
「私が川神先輩に追い回されているのはもう知っているわね?」
「おお、噂になってる」
「そのお陰…いえ、そのせいで私の体力は以前とは大分ましになったのよ」
「…あ、ああ………まあ、結果オーライだろ」
返す言葉が見つからず、適当に返した。てか、川神先輩は飽きないな。毎日毎日が同じならば人は飽きる生き物だけど、噂では入学式から狙われているとか、いないとか。聞けば一発だが、それだと今の雪ノ下には忍びない。
「そういや、由比ヶ浜は東西交流戦に出るのか?」
「ええ、彼女も出るわよ。比企谷くんも知っているとは思うけれど、彼女人気だから」
「…そうだったな。男子の希望で何とか救護班になっていたとか噂で聞いたわ」
「貴方は随分と耳が良いのね。そんなに噂を拾えるだなんて」
「ああ、俺の休み時間中は寝て過ごすか、イヤホンつけるか、ボーッとするのどれかだからな」
「ごめんなさい。配慮が足りなかったわ」
「謝られたほうが惨めになるからやめて」
今日も今日とて、仲が良いのか悪いのかわからない状況でこの奉仕部は周りに流されずに通常運転してるのである。
「やっはろー!!」
そして、一番うる…賑やかな巨乳な少女こと由比ヶ浜結衣が奉仕部に到着した模様である。
「いやー、救護班の説明を受けてて遅くなっちゃった!」
相も変わらずテンションは高くて着いていけない。そしてそれは雪ノ下も同じだが…
「て言うか、由比ヶ浜は説明を受けて理解したのか?」
「あ、当たり前だし!バカにしないでよね!」
「なら、雪ノ下は本当のところどう思った?」
「ごめんなさい、由比ヶ浜さん。私も思わず比企谷くんと同じ事を考えてしまったわ」
「ええっ!?うぅ…ひどいよ、ゆきのん!!」
「ゆ、由比ヶ浜さん。いい加減抱きつくのはやめてくれないかしら」
そう言いながらも、頬を赤らめる雪ノ下。いつもの事だが、ユリユリの空気が漂うことなんて当たり前すぎて、今ではもう視界に入ろうが気にせず自分の事をできるまでになった。
「そう言えばヒッキーは攻めるの?守るの?」
未だに雪ノ下とユリユリしている状態で俺に戦場の配置を聞いてきた。
「その事か。俺はどちらかと言えばどっちもだな」
「どっちも?」
「明確に決められなかったんだよ」
「どういうこと?」
「由比ヶ浜さん、察してあげなさい。要するに忘れられてたのよ」
「あ…ごめん、ヒッキー…」
「だから君たちは謝るタイミングを間違っているから」
3人で東西交流戦の事を話していると、奉仕部に根付いてしまっているもう一人が来るのを俺の見聞色の覇気で察知してしまった。
正直に言えば、俺はこいつらとの時間を悪くないと思い始めている。勿論、一番大切なのは揚羽さまとの時間だがな。
………でも、それは今の比企谷八幡の話であって、昔の比企谷八幡の事ではない。
過去を精算してあらためて大切だと思えるのは、かろうじて揚羽さまとだ。
「どうしたの、ヒッキー?」
「そうね。難しい顔をしているけれど」
「あ?いや、どうやって逃げ回ろうかと考えてたんだよ」
「貴方はそんなことを考えなくとも、体でどうやって逃げるかが分かっているのではないの?」
「そうだよね!ヒッキー逃げるのだけは上手そうだからね!!」
「…そうだな。俺のステルスは常備されてるからな。それより由比ヶ浜がしっかりとできるのかが心配だわ」
「だ、大丈夫だし。ヒッキーが怪我しても私が治してあげるから!」
「そりゃどうも」
「せんぱーい!!こんにちはー!」
3人で会話しているところに、一つ下の学年である亜麻色の髪をした少女、一色いろはがノックもせずに入ってきた。
それに雪ノ下は諦め顔をしながら、他の話題をふる。
「一色さん、サッカー部の方に行かなくても構わないの?」
「私って奉仕部にも入っているじゃないですか?」
「いえ、そんな事実はないわよ」
「そんな固いことを………」
俺はこの時間や九鬼での時間をどこか愛しいと思う反面、どこか退屈だと思ってしまう部分があるのは、恐らく昔の俺がこの時を否定しているのだろう。
"こんなくだらない事をしているより人で遊ぶ方がマシだ"と思っているのだろう。
そんな昔の俺を今の俺は否定する。
ーーーーーーーー
忘れがちであるが、奉仕部は仲良しこよしをするところではなく、生徒の手助けをするためのところである。
しかし、依頼が来ることはほとんどない。ま、来たとしても、ろくな事じゃないから来なくていいが。
前に一度川神先輩が「ずっと避けられている後輩と仲良くしたい」という依頼が来て、その相手が依頼を頼んでいる雪ノ下だったとか、くだらない事が合ったりして、兎に角面倒だ。
したがって今日も、いや、今日はそんな悩みを打ち消すほどのイベントがあるから、来るやつはいないだろう。
来るとしても、俺みたいな孤高を気取っていてる痛い奴だけだ。
そして、何事もなく時間となり、何事もなく教室から退出して、何事もなく3人と1人に別れて今日の学校は終了だ。
………1人は俺なのは周知の通りだ。
「あ~、明後日はどうやって逃げ回ろうか………」
ぶっちゃけ、出たくもなかったが、あの忍足のせいで…昨日の「話しかけんな!!」のくだりは「お前も東西交流戦に出ろ!!」から始まった。
「八幡」
「…はぁ、何で考えてたら出てくるのかね。噂なんてしてないのに」
「何独り言を言ってんだよ、キモいぞ」
「はっ!!いつも九鬼英雄さまに無い尻尾を振ってる女王蜂に言われたくねぇよ」
「喧嘩売ってんのか?」
「………いや、よく考えたらここ学校だし、キモいって言われることなんか慣れてたわ」
「…何か悪いな」
いつものメイド服姿で俺の前に現れた忍足あずみ。学校では時間帯とかでめったに会わないはずだから…用があるのか。
「で、何の用だ?」
「………クローンを東西交流戦の時にお披露目するかもって言ってたぞ」
忍足は俺の近くまで来て、耳元で呟いた。おそらく、確実にまだクローンの情報を公開していないからの対処だろ。
「わかった。気にはとめとく。で、結局2年生の部は勝てそうなのか?」
「あ?あのメンツで勝てないと思うか?」
「念には念をというやつ。絶対は無いんだ。だから気を付けるのに越したことはない」
「相変わらず慎重な性格してんな」
「うるせぇ。ま、俺は東西交流戦を見物でもしとくから」
「戦えよ。お前は立派な戦力だろ」
「戦う理由が無いだけだ。負けそうになったら手伝ってやらんこともないが」
「あたいに対してよく上から目線で言えるな」
「別に負けそうになったらの話だ。そんなことが無いように応援しといてやるよ」
「じゃあ、あたいが危なくなっても助けてくれるのか」
「そんな敵が現れるとは………」
「もしもの話だ」
「……一度だけ助けてやる。じゃあな」
「そ、じゃあ」
俺は自らの仕事をするためと明後日に向けて、九鬼へと戻っていった。
あんまり俺ガイルキャラが出せませんでしたね。
設定は、一年生の時にほとんどの事が起こっているとか理解してくださると嬉しいです。
一色は二年に上がってから出会ったという設定で。