GW前~ネコ・あの日の夕暮~
登校途中。
「?、しず、どうした?」
やおら立ち止まり、塀の上をじっと見つめているしず。
壁の段差のせいで何を見ているのかわからない。
近づいてその視線の先を見る。
その先には───
「ああ、なんだニャンコか」
「……ニャンコ?」
「…………ネコ」
丸っこいネコがいたのだ。
………というよりおなかが大きい。
あれは赤ちゃんがいるのかな。
「……子猫、増える?」
「ああ、たぶん近々産むんじゃないかな」
「ほぉ………」
しずが
何というか……ネコ、すっごい
あ、いっちゃった………。
「備考:
「……なんだ、その『えぬまるまるひとさん』って」
「先ほどのネコの個体番号」
「おまえ結構ドライだね?!」
「ドライ。………乾燥?」
「いやべつに乾き具合じゃなくて。ふつう番号じゃなくて可愛い名前とか付けないか?! ネコ
「可愛い名前ですね」
「……
「というかしず、一匹一匹に番号ふってるのか?」
「うん、この地域に三匹、
あの公園のネコまで把握してんのか、すごいな……。
「………あれ?、しずちゃんさっき13番目のカウントしてなかった? 一匹足りなくない?」
「そのとおり、先ほどのネコは13番目に発見した個体。この町では
「………さらにもう一匹足りなくなったわね。その……足りない
「
しずが一瞬
「……
ああ、
まああそこは敷地デカいし、ネコが
◇
4月28日 木曜日
木曜日にもかかわらず、今日は学校として
そう、明日からは……ゴールデンウィークである!
「と、いっても5月2日は普通に学校あるし、休み
大変だなー、先生も……。
「そんなわけでGW中はくれぐれも問題起こさないでね、
俺の同情を返せっ。
「あ、そうそう。
ああ、あそこは涼しくていいところだったな……。
空気もきれいだった……。
というか長野からの帰路にトンネル抜けたら都会の空気の
「で、その間は
「……あー、
「で、あるな」
「ま、どうせいずれ回ってくるもんだろ」
「がんばってねペテル」
「
「はい! では
先生の立場でいうことか?!
「宿題出てる教科もあると思うからちゃんとやってくるように! では日直! 号令よろしく!」
「きぃりぃつ♪」
フワワン
「きょぉつけぇ♪」
フワワワン
「れぇい♪」
ポワァァァァン
「………いまいち
それが
◇
流れるぅ 雲をぉ 数えていたらぁ~♪
高校A棟
しずも
今このベンチに座ってるのは俺
なんだか、
あの頃は、ただひたすら
それでもやはり……最初は
なにせ、この学校は中高一貫制だ。
大方のやつは中等部
別にいじめられやしなかったさ。
ただ、すでに出来上がっていた仲間の輪の中に、
で、まあ、休み時間とかはこういう
そんでもって、こうして歌を
「流れる 雲を 数えていたら
いつのまにか こんなにも
……むかし、父さんが鼻歌で歌っていたのを
「
あったかな風も ひえたくなり」
そう、そんなとき………
「♪遊んでた子供たちもどこへ~ だっけ?」
うしろから声がかかったんだった。
……?!
「
ゆ、
「はい、由利さんですよ。……なんか見覚えのある光景だな~、と思ってたら」
うん、ちょうどあの時もこんな感じで由利と鍋原が後ろにいて、由利が今みたいに歌詞を
「若者よ、まだ
「……なんかますます先生みたいになってきたな………」
「それは言いっこなしよ………」
「はい…………」
「さて、あとはシズだけですね」
そんな鍋原に由利は
「ええ……そこに隠れてるけどね」
しずは玄関の
……いやマジでその探知能力どういうことなの由利センセー………。
◇
「そういえばみんなゴールデンウィークはどっかいくの?」
「う~ん、特にこれといった
「お兄ちゃんがそういうなら同じく」
「私も特には」
「みんなインドアね……。鍋原さん、実家に帰省とかしないの?」
「……私には他に帰る場所など『この世界』にはないし」
……なんかすごい重い事サラッと言ったぞこいつ。
「……まあそれでもいいわ。私も家の仕事に
へぇ、なんかお店でもやってるのかな、由利の実家。
お店……そういえば
その買い物をしとかないと。
「しず、たしか一年は長野に行くんだよな?」
「うん、三泊四日の
遠征……って試合じゃないんだから。
「あそこけっこう夜は寒いから、少し防寒対策の買い物しておいたほうがいいな。帰ったら持ち物確認しとこう」
「
~
「というわけで」
「長野に行くための準備のための」
「お小遣いをくださいっっ」
「……いつもの二人に加えてさらに一人増えたぞ」
「ん~? ああ、あの学校の遠足ね」
「遠足………」
「小学生
「長野楽しみだよねっ」
……アイが目をキラキラさせている。
「アイのハイテンションが」
「うらやましい」
「ふぇっ!? 楽しみじゃないの?!」
「……いまさら
「物珍しくもない……」
むしろ修行の頃を思い出して「あい へいと いっと」
「………そうかなぁ……みんなでお
「アイは」
「お子様だー」
「こっっっ子供じゃないもんっっ!!!」
「はいはい、とりあえずお金渡しとくから、必要なもん
「感謝」
「感謝」
「か、かんしゃ」
……これだけあれば少しくらいお菓子を……
「……たくさんお金あるからってお菓子とか買ってくるんじゃないよ!?」
「…ッそんなこと」
「…ッしない……ッ」
「おいラキ、こいつらお菓子買う気マンマンだ」
なぜバレた。
筋肉兄貴め、我らの目的を邪魔する気か。
「私よりティアたちの方が子供じゃん……っ!」
「……アイに預けとくから。いい? この二人の
「ふぇっ!? はいぃっ!!」
「……こいつスゲェ頼りねぇぞオイ」
小さい頃、けっこう引っ越すことが多かった時期がありました。
しかも海外。
まだ小学校に入る前の時期だったので使える英語なんて数字とアルファベットの数え歌、それとなぜか知っていたいくつかの単語のみ。
ある意味これも異世界に飛ばされるのと似たようなもんですよね。
モンスターとかいないだけで。
でもまあ何とかなったから不思議なもんだった。
そんなもんです、異世界ライフって。
今回の話は…まあつなぎのようなものだったからあまり楽しめないかもしれない。
ただ、サトルたちも生きているんです、いろいろな記憶や想いもあります。
いずれはそこも書いていければいいな、と思っています。