ナザリック学園 ~カラクリ仕掛けの小劇場~   作:兄浜隼矢

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後見人制度や管財人ってちょっと複雑ですが…
基本的に未成年が社会で生きていくには何かしら後ろ盾が必要なものなのです。
あと筆者は現行の教育費用事情(特に高校)はそこまで詳しくないので穴があったとしても…

みっ見逃して!!


朝~登校・校庭~

校門をくぐる俺たち冒険者パーティー。

 

もとい、鈴木(すずき)サトルと登校仲間たち。

…いや、ほかになんて言えば。

 

『登校』なんて学校に行く行為の名称だし、その対義語は『下校』だ。

その登校した先の建物群を見渡す。

 

 

『私立ナザリック学園』───

 

 

中高一貫制で、衛守堤世(えすてぜ)市西部─まあつまりこの蘭照(らんてる)町にあるわけだが─にある私立学校だ。

といっても普通に他の中学からこの高校に入ることもできるし、ここの中等部からほかの高校に進むことも可能だ。

実際、俺もしずもすぐそこにある地元中学から入った口だ。

 

ここの学園長はなかなか粋な計らいをしてくれる。

俺もしずも基本的に孤児の類だ。

普通私立学校になると保証人やらなんやらの類で結構難儀をすると聞く。

しかしこの学校はそういった類には結構ゆるく、ちゃんと結果を示せれば後見人の世話もしてくれる。

私立であるこの高校を目指したのはこのためだ。

現に未成年の孤児の身である俺たちがこうして後見人を得て二人暮らしができるのもこの学校のおかげである。

しかもしずは学費免除だ。

両親─そして親戚の分もなんだが─の残してくれた遺産で暮らしてる身としては渡りに船だった。

まあ未成年ゆえ、そう自由にはできないが…。

 

二人で暮らしていける環境──

これが10年間ずっと待ち望んでいたものだった。

特にしずの──

……もうよそう。

現在(いま)現在(いま)だ。

 

 

ふと、脇を過ぎる銅像に目を向ける。

『ナザリックの威光』

その銅像はそう呼ばれている。

それは雄々しく、力強く、躍動感に満ち溢れていて今にもどこかへ走り出していきそうな…。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

なんというか…。

 

 

なぜだろう、なんで『残念な子』って言葉が頭をよぎるんだろう。

残念な子はこの愛しい妹をうゆうゆと頬ずりするメガネっ子委員長だけで十分だ 。

「………なにか?」

「いえ、なんでも」

この委員長───侮れん!

 

 

実はわが学園の朝の登校風景にひとつ、名物がある。

それは──おっと、噂をすれば───

 

校門のところに現れる一台の黒塗りの車。

絵にかいたようなVIP登場の絵面だけど実際そうなんだ。

降りてきた女子生徒は──

 

彼女は園理(えんり)江毛園理(えもう えんり)

しずと同じ学年の一年生でクラスメートでもある。

土地管理で名を馳せる狩根(かるね)グループの…御曹司(おんぞうし)の女性版ってなんていうんだっけかな…。

御令嬢(ごれいじょう)

ありがとうしず。

とにかくそこのお嬢様だ。

実際本人もこの歳で運営に手腕を発揮しているというメチャクチャVIPな女子高生だ。

「中央線を跨いだ向こう側の狩根町(かるねちょう)の町名の由来でもあるわね、狩根家は」

とは由利(ゆり)の弁。

「ふ~ん……。あれ、でも彼女の名前って…」

「ええそうね、江毛さんはお母さんが狩根の血縁だから。でも血は争えないわね。

 あの一族の人間は何かこう…人を引き付けるのよ…」

「ああ、そういう事か……しかし妙に詳しいなセンセー」

「え!? ああ、いやまあ……うちのお母さんが古くからの知り合いなのよ…」

?、何をあわててるんだ?

普段なら「センセー」の語句にツッコミが入るのに。

 

「彼女はすごい」と、しずは語る。

「?、うん、すごいよね」

「脱ぐとすごい」

「……………………すごいの?」

「すごい」

どうすごいのか詳(略)

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

おっと横道にそれた。

そして彼女だけではない。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

彼女に「ンフィー」と呼ばれた彼。

詳しい名前は忘れたが狩根町に引っ越してきた海外のバイオ工学だかなにかの権威みたいな人がいて、

彼はそのお孫さんなんだとか。

「彼自身も理系、特に化学に秀でている」

「そうなの?」

意外なところからフォローが入る。

しずだ。

「うん。この前の学力テストで僅差で学年二位だった」

ほぉ、それはすごい。

僅差…つまりトップにわずかに及ばなかったということか

「…ちなみにトップは?」

ビシッと己自身を指さすしず。

無表情ながら鼻の穴が若干開き気味だ、これはしずのドヤ顔だな。

ホントおにいちゃん、出来すぎの妹がまぶしすぎるよ…。

 

まぶしすぎるといえば…

「あいかわらずあの二人はまぶしいわね…」

「ああ、本当に…」

もうノロケですかってくらい幸せオーラがまぶしい。

「…てっきり婚姻関係にあると思っていたのですが違うんですか?」

「いやいや鍋原(なべら)、この国じゃ15歳は結婚できないから」

 

「彼はまどるっこしい」とは園理、ンフィーとクラスメイトのしずの弁

「そうなの?」

「うん。もう目に見えて明らかなのにいまだに仲を進展させようとしない」

「あー…、まあ本人たちのペースを大切にしないとな…」

「それじゃダメ、そんな悠長だといつかトンビにかっさらわれる」

「おお…しずいつのまにそんな恋愛に達観した?!」

「と、SPの人たちが言っていた」

 

SP、という単語にふと視線が園理らの背後に行く。

『Security Police』

一般的に要人警護担当の私服警察官の事をさすが、たまに民間のボディーガードをそう揶揄することもある。

しかし…

「あの人たち、本当にいざとなったら拳銃で応戦してきそうね……」

「あのスーツケース、MP(エムピー)5 Schies Koffer(シィーズコッファー)の特徴あり」

そう、園理には常にボディガードが張り付いているのだ。

下手したらスジ者…と言わんばかりのスーツで身を固めた男たち。

ナザ学生からは畏怖を持って「SP」と呼ばれている。

 

「……しず、お前あの人たちとそんな話してるの?」

「"あの二人の事、よろしくおねがいします"ともいわれた」

たまにしずが別の意味ですごいと感じる。

 

そんな仲睦まじいカップルを見送ってると…

「SPさんたち何やってるんだろ…」

たまに見るんだが、あのSPの人たちはなぜときどきポージングをするんだ?

お、ダブルセップス。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「あれは肉体言語」と由利(ゆり)に肉体縛りされているしず。

「…殴り合い?」

「違う、文字通り肉体を使ってコミュニケーションをとる言語。

 例えばフロント・ダブルバイセップスは『今がチャンス』、

 ライト・サイドチェストは『攻め続けろ』」

「あれにはそんな意味が…」

「さらにアナザーサイドポージングとしてそのポーズと対になる組み合わせが存在する。

 例としてリアダブルバイセップスは『危ない、踏みとどまれ』、

 レフト・サイドチェストは『耐えろ』」

さらにしずの講義は続く。

「これはリアダブルバイが背後から奇襲される図を表し、レフトサイドは盾を構え防御に徹するローマ兵を模したとされる」

 

「しず、そんな言語学に対する反逆はやめなさい」

 

 

そんな他愛もない談義をしながら俺たちは下駄箱へと向かう──。

 




某画像掲示板に投下当時、ポージング言語でいろいろ盛り上がりました。
…ちなみにライト・サイドチェストは『武器を持った手を強調しているケルト人』を模しているとされており(略

しかし不思議なものです。
データ量抑えるのも兼ねて画像を小さくしたらかえってデータ量が増えるという…。

さあ、次回はしずの片鱗が垣間見えるエピソード…に、なる予定です。
お楽しみに。
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