週番とか早起きしたな…
ってほかの学校はあるのかなこの制度
さて、下駄箱へ向か…、あれ、そういえば今週って…。
「しまった!! 俺今週、
日直はクラス単体の業務当番に対し、週番は学校全体における業務当番である。
敷地内の自動販売機などのごみ箱の片づけや食堂関連の美化、日誌の記帳etc…
一クラスにつき二名がそれに当たり、それが週単位で回ってくる。
「うそ!? もう遅刻じゃない!ほら早くいって!!」
「お、おう!」
ていうか三週目にもう「さ行」の俺に回ってくるとか、もうちょっと「あ行」と「か行」の名前のやつ入れろよマイクラス!!
~side
行ってしまわれた。
ついていくべきなのだろうがあまり無理を通すと『あの方』がお怒りになられる。
別のアプローチで当たる必要がある。
それにしても…日直とは別の当番があるとは。
そういえば先ほどルプーが叫んでいた「遅刻、遅刻」とはこのことだろうか…。
…いや違う、ルプーは「ら行」だ。
順番で言うならかなり末尾の方だ。
ならルプーは何を急いでいたんだろう…。
今度問い質す必要があるかも。
「じゃあ鍋原さん、私も職員室寄っていくから先にクラス行っててね」
「わかった」
「…しずちゃん一緒に来るっ!?」
ブンブンブンブンと首を横に振るシズ。
しゅん…とうなだれるユリ姉さん……ではなく由利さん。
「じゃあまたお昼に会おうねしずちゃん!」
ランラランラとステップを踏み由利さんは教員棟の方へいった。
「……シズ」
「わかっている。あれは厳密には『違う』」
「そうなんだけど…それにしても……あの姿とあの声で…あの振る舞いはどうも調子が狂うわ…」
「まったく同一の容姿ではない。ユリ姉と比べると…若干、”若い”」
「フフ、本人の前では言えないわね……」
「それはどっちの『本人』?」
「どっちにも、よ……」
~side
おはよ~!
私、
…ああ、なんか二年の先輩の口癖がうつったっポイ。
私立ナザリック学園高等部の一年生です!
つまり新入生組!
入学から三週間目、そろそろクラスメイトの顔も覚えてそれぞれグループができてるこんな時期。
かくいう私もクラスメイトのルミちゃんやアイちゃんと一緒に登校なのですっ!
校門を通り運動場脇を通り──
野球部が練習してますね。
そういえば部活どうしよう…
「ねえ、二人とも、部活とか決めた?」
「んー…わたし特にやりたいものとか見当たらないんだよねー」とはアイちゃん。
「わたしは放送部かな…しゃべるのとか音楽とか結構好きだから…」
「おお!ルミちゃんあれか!ジャッキーになりたいのか!!」
「ほあたーっ!ってそれを言うならジョッキーね、ディスクジョッキー」
…ルミちゃんそれ違うカンフー家……。
「あれでしょ?レコードこすったり回したりする…」
「たぶんスクラッチのことを言ってるんだと思うけど…確かに『DJ』ときくとそっち連想しがちだけど、わたしの言ってるのはパーソナリティとかそっちの方ね」
「お昼の放送なんかで流れてるああいうのかぁ…」
「わたし音楽を紹介するのとかも好きなんだ。音楽ってさ、いーっばいあって、でも知られてるのはごくわずか。知られないまま埋もれていったり、時期が過ぎて聴く機会逃すのとか。そんなのもったいないと思うんだよね」
「わたしたちが把握できてるのってテレビや雑誌で取り上げられる極一部だもんねー」
「うん、しかもそれは日本だけじゃなく世界にもあるんだよ。星の数ほど存在するといっても過言でもない。それを証明するかのようにじつは───」
たしかにルミちゃんしゃべるの好きなんだね……。
もう独壇場だ。
…わたしもこんな風に打ち込めるのってなにがあるかな…
キンッ
「あぶないっ!!!」
え?
グラウンドから何かが飛んでくる。
なんだろう。
あれ。
あれ野球のボール。
うそ。
やだぶつかる。
あぶ……!!
バスッ!!!!!
………………
…………………
すごい音がした。
あんな音がしたんだ、すごい怪我してるかも。
でも。
なんで痛くない?
「…そんな
「そうもいかない。この子たちを見て」
「…?、…なんてこと…この子たちまで…」
うっすらと目を開ける。
そこには
「もしかして…この子たちも?」
「そう、彼女たちもフェイク、ただの
えと…たしか…、
すずき…そう、
眼帯以外あまり目立った印象がないクラスメートと、たぶん二年生…?のポニーテールの女子生徒が立っており。
その右手には、おそらく。
『たった今受け止めた』であろう野球のボールが握られていた。
「きみ、大丈夫?!」
息せきながら野球部の人たちがやってきた。
「大丈夫、問題ない」
「いや、でも?!硬球を素手で…っ!?」
なんなのこの子…。
「志久ちゃん大丈夫!?」
アイちゃんが肩をつかんでくる
「え、あ、うん、大丈夫…」
そんな私たちの眼前を鈴木さんは悠然と去ろうとする。
お礼を。
お礼を言わなきゃ。
「あ!えっと!あひぎゃとう…」
噛んだ。
「大丈夫、問題な…ッ?!」
唐突に鈴木さんが近くの軽自動車に駆け寄る
?!
え?
な、なに!?
すると。
「ニャー」
そんな鳴き声が聞こえてきた。
あ、ネコ?
鈴木さんは車の下を覗き込む。
ネコが好きなのかな、でも車の下にいるから触れない…
ああそうだね、車を持ち上げれば触れるよね。
本当になんなのこの子?!
~side 鍋原~
教室棟エントランス脇テーブルにて
「シズ、さすがにあれは目立ちすぎ」
「”あれ”、とは?」
「さっきの車を持ち上げたところよ。あの子たち目を白黒させてたわよ?」
「大丈夫、人はどんな常識を超えたものでも一度見てしまえばそれは”現実に存在したもの”として脳が処理し、やがて『ちょっと変わった常識』として存在が許される。そう……」
”夢”など、しょせん現実の写し身なのだから───
「…適当なことを言って。それこのまえシズが貸してくれた漫画の中のセリフじゃない…!」
「あれなかなかおもしろかったでしょ」
「ええ、今度続きの巻も…じゃなくて。もう少し力を抑えなさい。私が言えることじゃないけど、あなたの力は『この世界』では驚異すぎるわ」
「わかった、通常モードの出力を抑える。目安としてはどれくらい抑えればいい?」
「そうね、1/10程度でちょうどいいんじゃないかしら」
「了解、パワーゲイン、10%に設定」
ヒュ…、ヒュヒュヒュヒュン………
気のせいかそんな音がシズから響いてきた。
だから目立つなと言ってるでしょうに。
ガンっ!!
!?、シズが突然テーブルに頭突きした?!
いや、頭突きというよりテーブルに突っ伏した…?
「シ、シズっ?!」
通り過ぎる生徒たちがちらちらとこちらを気にしている。
ああもう、この子はなんでこういちいち注目を集める…。
「なに、どうしたの…?」
こちらをじろりと見上げるシズ。
「だ…」
「だ?」
「だるゥ……出力が下がりすぎて各部関節系の駆動が困難……」
「やりすぎ」
行動パワーを10%に下げるんであって本体の機能を下げてどうするの…
「とりあえず日常行動に支障でない範囲で出力を抑えなさい。あなたはたまに抜けてるところが………なに?」
シズがこちらをジッッッッと見つめている。
見つめるというより何かを訴えかけるような。
「…しゃべるのもダルいから目で通じないかなと」
「戻しなさい。いつも通りの出力でいいから」
そろそろホームルームだ。
とりあえず教室へ向かおう……
「ヒュ、ヒュヒュヒュヒュ…」はスター●ォーズでよくきくあのエンストのSEを思い浮かべてください。
あのSE地味に好きなんです。
さて、作中でも触れましたが「音楽を紹介したい」
じつはこの音楽が一体年間どれくらい誕生するかという統計を調べようとしましたが、何処にもないんですよね。
JASRACにすら…
というか把握してる人類はいないんじゃないかな…
そう思うと、「実はとても素晴らしい曲なのに一生出会うことはできない」ということに、私は一抹の寂しさを覚えます。
(気になったので挿絵一枚描き直し)