ナザリック学園 ~カラクリ仕掛けの小劇場~   作:兄浜隼矢

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はぁ……エントマちゃんかわゆ……


朝~ホームルーム~

~side 鍋原(なべら)

 

「あら、鍋原(なべら)さん、まだ教室いってなかったの?」

後ろから声をかけられた。

教員棟から戻ってきたらしいユリ姉…由利(ゆり)さんだ

「ああ、ちょっとシズと話し込んでて……いっとくけどシズならもう一年の教室へいったわよ」

キョロキョロ見回してる由利さんにそう告げると彼女は見るからにガックリきてる。

 

………こうも『本物』との落差があると調子が狂う。

たしかにユリ姉さん(みんなもなんだけれど)はシズの事をすごく気に入っていた。

が、ここまで……言っちゃ悪いけど、ここまで偏執的だったろうか。

 

「ねえ、由利…さん、前から聞きたかったんだけれど」

「?、なあに?」

「どうしてシズにそこまでこだわるの?もう溺愛の域まで達しているように見えるのだけれど」

「…ああ、なんだ、そういうこと」

そういうこと。

……………………いやどういうことなんだろう。

 

「言うまでもなく可愛いから………よッ!」

 

よッ よッ よッ……

 

…まあ確かに可愛いわね。

「うちは一人っ子だからね。なんかこう………ああいう()っちゃくてかわいい子ってなんかこう…ホニャァってなっちゃう!」

なんかこっちも可愛いな。

 

……”一人っ子”………ね。

なんか寂しいな。

 

「なんというか、あれね。縁側で寝そべって本読んでたら窓のところからじっと興味深そうにこっちを観察してる子猫って感じで」

ああ……なるほど。

確かにシズって何かに興味を持つと無言でひたすら観察してたわね。

……たまに無言のまま対象を持って帰ろうとするけど。

言われてみれば猫っぽい。

 

「大丈夫よ、みんなもしずちゃんのこと大好きだから。」

はぁ。

なにが大丈夫なんだろう。

 

…………『みんな”も”』?

 

「鍋原さんも気に入っちゃったんだね、いつも”しず”って呼び捨てにしてるし」

 

…………いや”シズ”って本来は通称で使ってたわけで。

 

「誰もあなたからしずちゃんをとったりなんかしないわよ」

 

なぜそうなる。

 

 ◇

 

教室につき、自分の机に向かった───ら、机の上になにかが載っている。

ベローンと。

あれは……

 

「ナーちゃんおはゆぅ」

フワンフワンとどこかへ飛んでいきそうな声でその謎生き物はあいさつをしてきた。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「はいはい、おはゆおはゆ」

「おはよう、演真(えんま)さん」

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

この生き物の名前は演真(えんま)ケイ。

私の席の前に座ってる。

なんというか…クラスのマスコット、というか愛玩動物に近い存在だ。

でも。

まあなんといっても。

そう、この子は…………。

ハァ…。

「…やっぱりあなたの変わり様が一番慣れないわ……」

「ん~?なんかいったぁ?」

「……なぁんぅでぇも」

()()()()ほっぺたをムニムニと撫でると、その生き物はウキュウキュ♪と異音を発した。

 

 

 

~side 鈴木サトル~

 

はあ、大目玉くらった。

週番の集合に遅刻した俺は担当教員に絞られ、罰として今週は放課後のごみ処理の最終チェック係を押しつけられてしまった。

あれ一番最後まで残らされるから帰る時間が遅れるんだよなぁ……。

やれやれ…。

 

俺は足早に教室に向かい、教室後ろ側のドアを静かにそっと開け………

 

「………………………」

「………………………」

 

教壇の先生と目があった。

 

「………………………」

「……ネコのケンカじゃないんだから無言で後ずさらないっ!ほら早く席に着きなさい!」

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

すぃましぇ~ん!

そそくさと自分の席へ向かう。

 

「おはゆぅ、スーキくん」

「おはゆ、演真chang(ちゃん)

 

この舌っ足らずな子の名前は演真(えんま)…え、もう鍋原が紹介しちゃったって!?

「すみません」

クラスのマスコット的な……も紹介しちゃった?!

「申し訳ございません!」

虫にすごい詳しいところとかもッ!?

面目(めんぼく)次第もござ…!、………ああ、いえ、そこはまだです。」

 

よかった。

では気を取り直して。

………コホン。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

この舌っ足らずな子の名前は演真(えんま)ケイchang(ちゃん)

俺と同じこの教室でホームルームが一緒、という時点で分かる通り、俺のクラスメイトです。

しずも可愛いけどあいつは猫のような動物みたいな可愛さに対し。

演真changは謎生き物のような可愛らしさだな。

先述したとおりクラスのマスコット的な存在だ。

虫に関してかなりの知識を持っており、同じく虫の名前をたくさん知っている鍋原ともたまに虫談義に小一時間費やすこともあった、昼食の時間も含めて。

 

お願いしますそれは勘弁してください。

 

実は何気にこの娘も頭がいい。

………が、この娘の場合、しずのような頭のよさとは違う。

 

先ほど出た虫の知識もそうなんだけど、博識、ではあるのだがそれが勉強に結びつかない。

なんと言ったらいいんだろうな。

しずが最新鋭コンピュータだとしたら、演真changは大辞典ってところか。

 

ちなみに俺の事を呼ぼうとすると鈴木(すずき)くんではなく『スーキくん』になる。

……はぁ……かわゆ………

 

「…はい、では、こんなところかな。ホームルームは以上です。日直さん、…森下くん、号令」

「起立!」

ガタッ

「気をつけ!」

びしっ

「礼!である!」

ぺこっ

 

「だからその語尾はいりませんッ!」

 

 ◇

 

 

【挿絵表示】

 

 

その(まなこ)は、なにを見つめるのか………

 

 

【挿絵表示】

 

 

その(ひとみ)は、なにを映すのか………

 

 

【挿絵表示】

 

 

…………二人して何を見つめあって………

 

 

【挿絵表示】

 

 

!?

………いまいっしゅん鍋原の顔が…

×の字口に………?!

 

 

【挿絵表示】

 

 

フぶしっ!!と演真changが吹き出した。

ニヤリ…と鍋原が不敵に笑った。

 

勝者、鍋原。

 

「うひゃひゃひゃ! ねぇ、その『×の字クチ』ってどうやんのぉ?」

「これ? これはまず余計な雑念は捨てたあと、口の中心を吸い込むようにして…」

 

できるのか?!

 

「あはぁは~! できたぁ~!」

 

できたのか!!!




さあ、エントマ…もとい演真chang登場です。
作中で「柔らかいほっぺた」とあるように…
この世界では、彼女も含めて原作での何人かは「人間形態(ヒューマンフォーム)」として登場します。
最初は慣れないでしょうが…我慢してください!!
オナシャスっ!

今回登場した担任の先生、名前はまだ登場してないので書けませんが…。
モデルは漫画版オーバーロードに出てくる冒険者ギルドの受付お姉さんです。
…すいません、あのフギン先生の描く素朴なお姉さんが描けません…!
実はもう一人受付嬢モデルの先生もいるのですが…そちらはまた次回、かな?
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