ナザリック学園 ~カラクリ仕掛けの小劇場~   作:兄浜隼矢

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いまの英語の教科書、(20年前と比べて)だいぶ変わりましたね…。
絵柄とか…。


授業中~四時間目・昼休み~

四時間目………。

 

わが二年三組は英語の授業の時間だ。

 

さて、学校の授業風景というと……まあだいたい退屈なもので。

必死に黒板の板書をノートに写し続ける日本史や世界史は除くとして、講義型の授業では教師の解説を子守歌として居眠りをしたり、昨日のテレビの内容を思い出したり。

空想に(ふけ)って上の空とか、ノートに落書きしていつの間にか画力があがってたりするものなんだが。

 

……え?俺だけだって?

まぁたまたご冗談を。

 

…………………え、ウソだといってよ。

 

それは置いとくとして。

そんな授業の中、異彩を放っているものが一つだけあった。

──それは────

 

「I'll never Die! never!!(俺は絶対に死なん!絶対にだ!!)」

男の叫びが教室にこだまする。

 

「Company!! Protect me!! I Must Survive!!Never Die!!(みな!!俺を守れ!!私はこんなところで死んでたまるか!!)」

自身の生存のためあがく男。

 

「Double!! Double fee I'll Reward!!(二倍だ!!報酬は二倍払うぞ!!)」

生への執着はこうも見苦しいか……。

もういい……そろそろとどめを………。

 

ちがう。

つい俺まで戦争の犬みたいな思考回路に!?

 

 

───縁巣(べりす)先生の英語の授業である───

 

 

 

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この先生の授業は一味違う。

ルーチンワークに陥りがちな授業とは異なり、この先生のそれは一歩先が見えない、そんな状況で輝くものだった。

それはある一つの本能に基づく。

 

この先生の授業の本質はいわば──”生存本能(せいぞんほんのう)”だ

 

「現場は刻々と変わっていく。その中で生き残るのに必要なのは臨機応変さ(アドリブ)だ」

戦士(せんせい)はこう続ける。

「無謀な戦士ほど前に出て武勲を立てたがる。しかしそんなものはただ死に急いでるだけだ。”勇敢(ゆうかん)”と”蛮勇(ばんゆう)”をはき違えちゃいかん。戦功なんぞ死んじまえばただの紙の上の文字に成り下がる。よくてどっかの記念碑に名前が刻まれるだけだ。勲章は棺桶の肥やしか…どっかのオークションで”故人の遺品整理です”とばかりに出品されるのがオチだ。だから──」

 

 

「──生き残れ(リブ)。たとえ惨めったらしく生き延びたとしても、”生存(サヴァイブ)”は”生存(サヴァイブ)”だ。後ろで転がってる死体(ボディ)じゃない。勇者(ブレイバー)なんざ犬に喰わせろ。なるなら生存者(サヴァイバー)だ」

 

そんなことを言ったような、言ってないような。

彼は崇高な”死”よりも卑小な”生”を(たっと)ぶ。

人は彼を卑しむだろう。

 

彼はどんな手を使ってでも最後まで生き延びる。

人は彼を”卑怯者”と蔑むだろう。

 

彼が生き残る限り、部隊は存在し続ける。

 

───ゆえに先生は、隊長(キャプテン)と呼ばれる──

 

……ホントに俺どうしちゃったんだろう…。

 

 

この先生にかかれば英語の教科書もアドリブによって『ジャンル:サバイバルホラー』に早変わりだ。

………まさか「Lesson.1 Shopping(買い物に行こう)」の次が「Lesson.2 Escape(死都よりの脱出)」になるとかだれが予想しえよう……。

 

……いやこれ学習指導要領以前の問題のような。

 

 

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演真(えんま)!!続きだ!!(やく)も一緒に!」

「ハイですわぁ♪」

 

ここで演真changを投入!?

こういってはなんだが彼女は………

 

「のーぼでぃ れすぽーんど ひす えんとれーとりぃ♪ …えとぉ、『だぁれもぉ、彼の懇願にぃ、応えようとしませんでしたぁ』♪」

 

フワワン

浮き上がるような軽さが教室を満たす。

 

…うぃずあうと わん! のー、はーふ おぶ わん! …『ひとりをのぞいてぇ、いや、その半分がぁ』♪」

 

フワワン

「わん!」のところなんかまるで犬の鳴きマネみたいな……、「みたいな」というか確実に犬の鳴きマネだ。

 

「おぼぼぼぉぉぉぉぉぉ♪ ……えっと、『おぼぼぼぉぉぉぉぉぉ♪』」

「ああいや、ゾンビのうめき声は(やく)す必要ないから。……ちなみにこの『おぼぼぼぉぉぉぉぉぉ』はうがいをするような音だ。これはノドの中を血が(略)」

「はぁい♪」

 

………うん、どんな凄惨な(ゴア)シーンも彼女にかかれば一気に春の暖かさに満たされたメルヘン・フィールドだ。

 

 

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 ◇

 

授業が終わり、昼休みに入った。

さて、ランチターイム。

 

「あら、またお昼、外で食べるの?」

教室を出ようとした俺に由利(ゆり)が問いかける。

「ああ。いい天気だしな、しずも呼んでそこのベンチで」

「あら!いつもいないと思ってたらそんなことしてたの?!私も呼びなさいよ!」

「わたしもご一緒させていただいてよろしいでしょうか?」

鍋原(なべら)も話に乗ってくる。

「ああ構わないよ。一緒に行こうぜ」

 

こうして俺、鍋原、由利はしずを迎えに教室を後にするのであった……。

 

 

 ◇

 

~side 志久(しく)

 

待ちに待ったお昼の時間です!

「おーなかすいたぁ~!食べよ!はよ食べよ!」

アイちゃんが机をくっつけ早くもランチフォーメーションを整える。

「その前にジュース係決めよ?」

「…………私は最初パーだそうかな…」

ポツリとつぶやくアイちゃん。

 

あ、これはグーだしてくるな。

となりのルミちゃんを見る。

コク……とうなずいてきた……。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「最初はグゥ!じゃんけんほいっ!!」

「ふきゃぁ!!」

ほらね。

「はい、いってらっしゃい。レモンティーお願いね」

「わたしいちごミルク」

「ほーい……しっかしなーんで勝てないかなー?」

たまに負けてあげてるでしょ、たまにね。

 

アイちゃんを見送ると、ふと視界にしずちゃんの背中が映った。

とくに誰かと一緒ではないようだ。

 

……そうだ、しずちゃん誘おうか?

 

ルミちゃんにも尋ねてみようかと彼女の方を向くと、

「うん、いいんじゃないかな」

いやまだ何も言ってないんだけど。

恐るべしコミュ(りょく)魔王。

 

「あ」

魔王がなにかをみて声を漏らす。

?、どうしたんだろう。

あ。

 

しずちゃんがお弁当箱を持ってドアへ向かう。

その先に……今朝しずちゃんと一緒にいたポニーテールの女子生徒…と、髪をアップにしたメガネのお姉さん、それと…。

男子生徒……?

誰だろう。

 

しずちゃんを連れだって一行はどこかへ行ってしまった。

「残念、先約アリのようね。また今度誘おうよ」

 

うむむ…今度…かぁ。

見た感じ誘えるスキがないんですが………。




はあ、いがいと絵で手こずった…。
星占いで投下目安の日とはいえこんな時間に投稿することに…。

前書きにも書きましたが本当に近頃の英語の教科書も変わりましたね。
というか調べてて知ったんですが教科書の続編とか闇堕ちver.なんてあるのか!!

……本当に変わったなあ……
今度買ってみよう。


そうだ、前回書き忘れましたがキャラの補足。
志久ちゃん…モデル 一般メイドのシクスス。
アイちゃん(狭間(はざま)アイ)…同じく一般メイドのフォアイル。While「~の間に」の意味からとって「狭間」と命名。
ルミちゃん(光田(みつだ)ルミ)…またまた一般メイドのリュミエール。フランス語で『光』を表すことから「光田」と命名。

礼文(れぶん)先生…王国・レエブン候。最初は数学か社会の教師にしようか迷ったんですけどね。ちなみにこの世界でも愛子家です。彼の気持ちホント判ります。いとこに娘さんが産まれたのですがこれが可愛くて……! なにあの可愛い生き物…。
美術の先生…アニメ版冒険者ギルドの受付のお姉さん。名前どーしよっ。
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