ナザリック学園 ~カラクリ仕掛けの小劇場~   作:兄浜隼矢

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ゆとり教育ってなんなんでしょうね。


授業中~午後~

午後に入り次の授業、『現国』だ。

 

ちなみにこの授業の先生は我が二年三組の担任、衣珠(いしゅ)先生だ。

 

ただ、この先生の場合、ちょっと問題があって……それは───。

『そういえばさ』

この言葉が出たときがその合図である。

 

「そういえばさぁ……」

そしてその機会は訪れた。

 

 

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「みんなの小学校の時さ、学芸会ってどんなだった?」

いや、どんなだったって言われても……。

 

───たまに授業中脱線するのである。

 

「私の小学校の時さ、なぜか知らないけどやたら保護者会が強い時期があってさ」

ああ、なんか無理な要求突きつけたりとかありましたね。

「そうそう、”モンスターペアレンツ”とかいう単語流行(はや)ったわよね」

今もたまに聞きますけどね、もしかしたら表沙汰になってないだけでいまだそういうのが多いかもだけど。

 

「みんなの学芸会ってさ……白雪姫(しらゆきひめ)って一人だった?」

 

………はい?

「白雪姫って……あの白雪姫ですよね……?」

「そう、『鏡よ鏡、この世で一番美しいのはだぁ~れ?』のあれ」

由利(ゆり)の問いに先生はそう返した。

 

まあ童話の基本だよな、白雪姫、原題「Schneeweischen」

たしか王妃である継母が魔法の鏡に『世界で一番美しいのはお前の義理の娘でしたッッッ! 残念ッッッ!』とか言われてブチ切れて猟師雇って暗殺しようとした話だっけ。

で、結局暗殺役の猟師に同情されて、殺されずに七人の小人(こびと)(かくま)われてその後も次々繰り出される暗殺を回避するという修羅の生活を送って……。

しかしついに毒リンゴによる毒殺が決め手となり白雪姫は死んでしまう。

小人たちは白雪姫の遺体を囲んで悲しみに暮れていたところ、通りかかった王子が彼女を見初め、遺体を所望。

……今考えるとこの王子、屍収集家(コープスコレクター)とかとんでもないヤツだな。

そして小人たち、それに応じるお前たちもな!!

 

まあ結局それが功を奏して毒リンゴ吐き出して蘇生するのだが。

いやおかしいって、毒効いてないじゃん脳死しててもおかしくないじゃん!!

 

まあ大まかに説明するとこんな………。

 

……ちょっとまて、先生さっきこう聞いてたな。

白雪姫(しらゆきひめ)って一人だった?』

 

「そう、先生が小学生だった時のはね、白雪姫、七人いたの」

 

ま さ か の 逆 転 。

 

七人(しちにん)白雪姫(しらゆきひめ)

救いを求める村のために敵と戦いそうだな、野武士(のぶし)とか。

 

「なんでも『主役は一人じゃない』とかいう妙な意見が強くなってて、学芸会の主役が増やされてたの。後で知ったんだけど、どうも保護者会側から学校にそんなクレームが来てたみたいでさ」

なにそのオンラインゲームのキャッチコピーみたいなの。

「ああ、それかもねぇ…。当時流行(はや)ってたし、家庭用ゲーム機のネットゲームとか」

 

「え、じゃあ小人は一人?!」

由利の問いに先生は。

「いいえ?ちゃんと七人いたわよ、」

まあそう…

「一人につき」

だろうな。

 

まて、なんだその『一人につき』って。

「英語で言うと"Seven Person per each"……でいいんだっけ? 七人の姫それぞれにつき七人」

 

小人(こびと)総勢四十九人?!

「途中二人脱落したわね。毒の櫛でうっかり指さしたのと、毒リンゴについてた青酸カリなめちゃったの」

 

 

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シビアだな。

「毒対策を(おこた)っていた者の落ち度ね……」

いや鍋原(なべら)、ふつう毒食らえば死ぬから。

 

「それで姫が半分以下になったところで小人たちが反撃の狼煙(のろし)を…」

「まつのである。『半分以下になった』とは? 七人いたうちの半数はどうなったのであるか?」

「まあ、死んだわね。一人は猟師に()られ死に……」

「ああ…見逃してもらえなかったんだ………」

「一人は計略で締められた腰縄に胴体を轢断(れきだん)され……」

「うわっグロっ」

「また一人は櫛に仕込まれた毒に倒れ……」

「小人にも初の殉職(じゅんしょく)者が出た件か」

「毒リンゴにより姫と小人一名ずつ命を落とした」

「たまんねーっす」

 

…………最初を除いてそれ全部白雪姫がのちに蘇生したのばっかじゃないか。

 

「どこまで話したっけ」

「『反撃の狼煙(のろし)を…』のところです」

いつの間にかみんな真剣に聞き入っていた。

 

「そう、そして小人たちが立ち上がった……」

 

 ◇

 

白雪の舞う十二月十四日・深夜。

しんしんと雪降り積もりつつある道を黒装束の小人の一団が()く。

その数、四十七(しじゅうしち)人。

各々(おのおの)が思い思いの武装をしている。

やがて一団はある邸宅前にたどり着く。

王妃であり、白雪姫たちの継母(ままはは)、その御所である。

 

 

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否、彼らにとってもはや姫たちの継母でもなければ王妃でもない。

自らが愛する姫を手にかけた、あるいはかけようとしている冷酷な殺人鬼(キラー)なのだ。

 

二隊に分かれた集団は、やがて突入を開始する。

これが(のち)の世に伝わる『殺人鬼(キラー)()()り』である。

 

───もう白雪姫の成分、かけらも残ってない……

 

王妃も()かりはなかった。

手勢(てぜい)の部下に迎い撃たせたのである。

 

 

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「見せたかったわ、私のクロー(さば)き」

あ、先生、王妃の手勢役だったのね。

(むら)がる小人どもをちぎっては投げ、ちぎっては投げ……」

先生、それじゃ仇討(あだうち)になりません。

 

 

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まあ先生(幼)の学芸無双(むそう)は置いとくとして。

 

…………深夜の奇襲もあり、手勢を退(しりぞ)けた小人たちはついに敵の首魁(しゅかい)を発見しました。

「お覚悟(かくご)!!」

小人たちは皆いっせいに襲い掛かりました。

 

……四十七人全員でか、容赦(ようしゃ)ねえな。

「たまんねえっす」

……狼布須(るぷす)、なぜそこでハァハァする。

 

みごと御首級(みしるし)を挙げた小人たちは亡き姫たちの墓前(ぼぜん)へ報告するべく森へ帰っていきました。

 

まて、この作品けっきょく王子出てきていない……。

「墓前にいたのよねその王子」

けっきょく(しかばね)にしか興味ないんかこの王子!!

 

その時、チャイムが鳴った。

「さて、ちょうど話が落ち着いたところで授業が終わったわね」

まて、生き残りの三人の白雪姫はどうなる?!

「え、今のでオチがついたの!?」

「救いがないのである……」

仁那(にな)君と森下君のいうとおりである。

 

「はい、日直号令!」

「起立!」

ガタっ

「気を付け!」

びしっ

「礼!」

 

「「「「「「である!」」」」」」

 

()つった。

 




とりあえず担任の方の名前決めました。
イシュペン→衣珠(いしゅ)先生です。

ゆとり教育世代の先生ということで子供のころはいろいろとあったんでしょうね。

最初は例の『ごんぎつね』の学芸劇の話でもと思いましたが…まあ盗作みたいになりそうだから止めときました。

ちなみに作中に登場した仁那(にな)くん(?)、森下君は…まあ後々解説されるでしょう。
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