そして、運命の会食時間である1930……
「……何が出るかな♪何が出るかな♪」
「まだかな……まだかな……」
ハリーとロンは会食に出される料理を心待ちにしているのか、子供特有の落ち着きの無い挙動不審な行動に陥っていると幽々子と総副司令官そして
ただ……
「落ち着きなさいハリーにロン……ジュル……
「そうよ、料理は逃げないから落ち着いてね……ヤバッ、涎が出てきた」
「御気持ちは分かりますが、皆さんを見習っては?……ジュル……」
「ゴクン!この『待っている時間』を味わうのも日本人の嗜みですよ……ジュル!!」
「上官相手に『あるまじき発言』をしますが……説得力が皆無だぞ、お前達……後、加賀さん……貴女はもう少し自粛してください、露骨過ぎます……ん?どうやら幽々子の御通しが来た様だな」
涎を滴ながら説得していたのだ
椛は涎を
「お……お待たせしました……これが提督お手製の御通し『乾燥ワカメの胡麻和え』です……」
ドン!!
「「デカッ!?こ……これが『超弩級盛り』……しかも御通しだけで、このボリューム……す……素晴らしい!!こんな量を毎日食べれるなんて……私達も至急、御願いします!!」」
「「うわぁ~……凄い量……」」
「ゲ!?椛ちゃん……これって……勇人君の……」
「……そういう事でしたか、相変わらず『えげつない事』を……」
「あら~♪流石、勇人ね♪私にとって、
幽々子は総司令官が調理した料理と量に心踊らせながら箸を持ち、手を合わせた後、そのまま胡麻油が絡まっているであろう光沢感のある乾燥ワカメを箸で軽く摘まみ、そのまま自身の口に運んだ、その時……
パリッ!
パリッ!
ジワッ……
「ッ!?」
幽々子の身体に電気が走ったかの様に強い衝撃が走った
何故なら幽々子の口内から乾燥ワカメ特有のポテトチップスに似た歯応えのあるパリパリ音が聞こえ、咀嚼された乾燥ワカメは幽々子の唾液によって溶けるかの様に乾燥ワカメが幽々子の口内で
そう、今の幽々子は『御通し』と言う名の『戦場』を
幽々子は総司令官が調理した御通しが気に入ったのか、満面な笑みを溢しながら言った
「う……旨すぎる!!最初はポテトチップスみたいな食感になり、後から胡麻油と唾液によって潤けたワカメの舌触りの変化が私の
パクパク……
パリパリ!
ゴクゴク……
「うわぁ……勇人君以上に凄い食べっぷりだね……」
「……そうですね……まぁ、この後『
「……泣けますね、主に私達が
「「う……羨ましい……」」
総副司令官と椛そして赤城は『
「気に入ってくれたか?俺の御通しは?」
「ええ!!妖夢だけではなく貴方も此処まで料理の腕前が上がっていたとはね♪ゴックン!!はい、完食したわよ♪お代わり無いの?」
「ええーっ!?も……もう完食しちゃったのですか!?アレを!?しかも、まだ食べるのですか!?」
「早ぇな……こりゃホグワーツが食糧難に陥る訳だ……しかし本当に全部食べるとは……まぁ、その方が此方としては
「……そうですね」
総司令官と妖夢は幽々子が二人の作戦に嵌まった事による悪意丸出しの笑みを隠す様に、わざとらしく驚くと幽々子は二人の演技を見抜けなかったのか自慢気に微笑みながら言った
「失礼しちゃうわ、これ位………ん?これが例の『
幽々子は運搬車の上に乗せている蓋をした料理を見て首を傾げながら聞くと妖夢と総司令官は会食料理を幽々子達の机の上に乗せながら答えた
「そうですよ、勿論これはハリーさん達の分なんで横取りしないで下さいね」
「今、幽々子と妖夢の方の一航戦の分を作っているから少し待ってな……何せ三人共『超弩級盛り』を頼んだからな」
「フフフ♪それは楽しみね♪」
「私達の為に、ありがとうございます総司令官♪」
「これは気分が高揚しますね……本部の人達の士気が非常に高い理由が分かった気がします」
幽々子と
「うわぁ……香ばしくて良いニオイ……これもジョジョさんが作ったのですか?」
「ジュル……きっとそうだよハリー……だって、あのサイギョウジ先生が絶賛した程の腕前だよ……そうですよねジョジョさん?」
二人は蓋の隙間から滲み出ている照り焼き特有の食欲をそそるタレが焼けた香ばしい臭いが二人の鼻腔そして食欲を刺激されたのか、料理のニオイを堪能するかの様に鼻で深呼吸をし、興奮しながら総司令官に聞くと、総司令官は二人を驚かせるかの様に少し悪意のある不敵な笑みを溢しながら
そう、それは外国の……イギリスの風習に慣れ親しんだ二人にとって『一番あり得ない人』が
それは……
「……残念ながら
「そうですよ♪ハリーさんにロンさん……驚きました?」
「……え?ジョジョさんではなく『
「嘘……こんな可愛い人が……『ハーマオニー』に見習せたいな……」
そう、
ハリーは妖夢が会食料理を調理した事に驚き、ロンもまたハリー同様に驚きつつも妖夢が作ってくれた事に自身の友人を少し貶しながら言うと偶々、近くに座っていたハーマオニーがロンの呟きを聞いていたのか、少し悔しそうに言った
「うるさいわね!!私だって出来るわよ……お菓子なら……」
「本当にぃ~?」
「しつこいわね!!」
「まぁまぁ、『夫婦喧嘩』は後にして……そろそろ蓋をとっては?」
妖夢はロンとハーマオニーの喧嘩を総司令官仕込みの洒落の利いた言葉を交え、笑みを溢しながら仲裁するとハーマオニーは「結婚してないわよ!まだ子供だから!」と洒落が通用していなかったのか、妖夢に正論で返しつつも妖夢の指示に従い、会食料理の蓋を外した
そして蓋を外したハリー達は……
「え!?こ……これ本当にヨームが作ったの?」
「……凄い!!」
「嘘……でしょ……レベル高過ぎるわよ……これが貴女が作ったの!?」
……あまりにもレベルの高い料理を見て目を見開き、動揺し、狼狽えてしまったのだ
ハリー達の目の前に置かれている料理は副菜である『千切りにしたキャベツ』に『可愛く乗っかったミニトマト』主菜である鶏股肉を皮ごと照り焼きを施した『和製チキンステーキ』そして汁物である『豚汁』そして日本人の
しかも、動揺しているのは三人だけではなく……
「えぇーっ!?こ……これがヨームが作ったの!?」
「
「日本人は
「……提督とタメ張れる位の腕前じゃないか!!此処は高級レストランか!?」
「……死んだプリンツ達に食わせてあげたいわ、この絶品料理を……」
……とポグワーツの参加者と本部の艦娘達全員が妖夢の料理に狼狽えながら絶賛したのだ
妖夢はポグワーツの参加者が自身が調理した料理を絶賛した事に飾り付けで乗せたミニトマトの様に赤面しつつも微笑みながら総司令官に言った
「み……皆さん、ありがとうございます……では勇人さん……いえ上城大将『例の言葉』を……」
「分かった……では皆さん、俺の言葉を
「御唱和?ジョジョさん、御唱和って?」
ハリーは総司令官が言った『御唱和』について聞くと、総司令官の代わりに総副司令官が微笑みながらハリーの質問に答えた
「『誓いの言葉』みたいなモノよ、ほら食事の前に御祈りをする……アレの事よ」
「あぁ~……そう言う事でしたか……」
ハリーは総副司令官の説明に納得すると総司令官は皆が黙り始めた事を確認し、
だが、その台詞が……
「では……此処では……お残しは……」
「「「許しません!!」」」
「何故なら?」
「「「作ってくれた人や私達の為に命を捧げてくれた動植物に申し訳ありませんから!!」」」
「え……何この『忍〇ま』に出てきそうな台詞は……」
……某国民的な忍者アニメのベテラン調理師が言う様な台詞だったのだ
幽々子は本部の艦娘達が力強く発言した台詞に少し呆れながら呟くと総司令官の母親であり『艦娘 三笠』である朱里は幽々子と
「まぁ、この会食の
朱里は微笑みながら幽々子に指示を出すと、幽々子は少々、面倒臭そうに少し顔を顰めながら自身も含めハリー達に総司令官の台詞を復唱した
だが、それは………
「え~……私にとって
「「「お残しは許しません!!何故なら作ってくれた人や私達の為に命を捧げた動植物に申し訳ありませんから!!」」」
朱里が本部の艦娘達に仕込ませた『真っ赤な嘘』だと言う事に……
そして……
「フフフ……
「「「いただきます!!」」」
今から幽々子にとって『空腹より辛い地獄』を味わう事になろうとは知るよしも無かった……