わたしも彼も名前くらいは知っている。   作:bert-nab

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やっと、第3話ができました。
読み専なんで、1話、2話を投稿したら満足しちゃって、
3話目書かなきゃなぁと思いながら、他の書き手さんの作品を楽しんでおりました。

それでは第3話です。


第3話 わたしが比企なんとか君と入れ替わるなんて夢に違いない。その2

 

冷たい水で顔を洗って頭は冴えてきたのに、夢からは醒めてくれない…。これ本当に夢だよね?

よりにもよって、あの比企なんとか君になっちゃうなんて笑えない夢だよ…。

どうせなら、イケメン男子ならよかったのに。あっ…、イケメン男子でも葉山君だったら笑えないか……。

 

 

 

 

「お兄ちゃ~ん?」

 

キッチンの方から妹ちゃんの急かす様な呼び声が聞こえてくる。

夢だとしても、いや夢なんだけど、、、ここで、

「わたしはお兄ちゃんではありません!海浜総合高校2年の仲町千佳です!」

なんて言っちゃったら、更に笑えない夢になっちゃう…。

ここも話を合わせるしかないのか…。う~ん…。

 

「もうちょっと待ってろ、制服に着替えてくるから!」

これでOKなはず…。どうだ!?

 

「早くね~!」

よし、正解!

 

 

 

 

洗面所から比企なんとか君の部屋に戻る時に、緊急事態が発生した。

 

うぅ、どうしよう…。トイレに行きたくなっちゃった…。

夢なのに、夢なのに、生理現象から逃れられない…。

普通に夢ならここで目が覚めるんじゃないの!?

 

仕方なく、本当に仕方なくなんだからね!トイレに入り、パジャマの下とパンツをおろして洋式トイレに腰を掛ける。こ、これが男の子のっ///!お父さんのですら、こんなにまじまじと見たことないのに…///。あれ?、このまましちゃったらトイレを汚しちゃうんじゃぁ…?あ~、もうっ!仕方なく、これも本当の本当に仕方なくなんだからっ!指であれの方向を定めようとする。しかし思いとは裏腹に、逆に排尿し難い形になっていく……///。

もう、いやぁぁぁ……!そ、そうだ!こ、こ、こういう時、男子は意識を別方向に向かわせるんだっけ?!・・・そうだ、素数を数えよう!

3.14159 26535 89793 23846 26433 83279 50288 …、これ円周率じゃん!どんだけテンパってんのよ!?

修行僧の如く心を無にし、恥辱に打ち勝ちトイレを済ませた。

うぅっ~、乙女に何てことをさせるのよ///

 

 

 

 

恥辱にまみれ悪戦苦闘の末にトイレを済ませて、比企なんとか君の部屋に戻る。

パジャマから総武高男子の、『男子の』制服に着替える。

パジャマを脱いだ時に、『比企なんとか君、結構がっちり筋肉付いてて細マッチョじゃん』なんて思った。男子の体なんて体育の水泳くらいでしか見ないし、まあ夢だから細マッチョかどうか実際には分からないけど。

 

 

 

 

制服に着替えて鞄を持ってキッチンに向かう。妹ちゃんを随分と待たせちゃったよね。

 

「お兄ちゃん、遅いよ~」

 

ここは『すまん』か『ごめん』かどっちだ?少なくとも『ごめんねー♪待たせちゃった?』じゃないのは間違い無い。

「す、すまん、じゅ、準備に手間取った」

若干噛んでしまったのは問題ありだけど、遅くなった言い訳はできたはず…。

 

「お兄ちゃん、いつも前の日に準備してるのに珍しいね?」

 

え~?追撃ぃ?…う~ん…。

「その…あれだ。昨日は疲れてて、準備する前に寝ちゃt・・・寝ちまったからな。」

 

「そ、じゃあ、朝ご飯食べよう!」

今度はスルーですか!?だったら、『珍しいね?』なんて聞かないでくれたらいいのに。

 

「「いただきます」」

 

ご飯食べながら妹と会話なんて無理だよ~。ここは黙々と朝食を済ます……いや、そんなわけにもいかないか。とりあえず、朝ご飯を褒めよう。ご飯の話題なら、会話に無理もないはず…。

妹ちゃんの朝ご飯は本当に美味しいし。確か妹ちゃんの名前は小町ちゃんだったな。

 

「小町の朝ご飯は美味しいな」

 

「そう?いつもと同じだよ」

 

「小町の作ったご飯はいつも美味しいよ」

 

「お兄ちゃん?」

 

「な、何?」

 

「何か隠し事してない?」

 

「な、なんで?」

 

「料理を褒めるにしても捻デレてないし、てきとーな褒め方でもないし、何かあった?」

 

普通に『美味しい』って褒めただけなのに、何なの?褒めたら、なんで逆に追及されちゃうの?

あとヒネデレって、何?

 

「何にも隠し事なんて無いし、何にもない。美味いものを美味いって言って、なにかおかしい?」

 

「そんな事ないけど、今日のお兄ちゃん、なんかいつもと違うなぁって」

 

さすがは兄妹。ちょっとした変化でも何か違和感を感じちゃうんだ。

ちょっとした処の騒ぎではなくて、中の人が違うって大きな変化が有るんですが…。

でも、ここは上手く誤魔化してやり過ごすしかないよね。

「いつもと変わらないぞ。そんなに変か?」

 

「う~ん、なんだかなぁ…?お兄ちゃん、いつもと違うんだけどなぁ…。まっ、いいか!」

 

『まっ、いいか!』で済ますなら、そんなに追及しないでよ!されても困るけど…。

 

その後は適当に相槌を打ちつつ、朝食を済ませた。

こっちから朝食を褒めて会話をなんて考えずに、話し掛けられた事に『ああ』とか『おう』とか答えとけば良かったんじゃん。なんだか、墓穴を自分で掘りに行った感じ。

 

 

 

 

「はい、今日のお弁当。」

と、小町ちゃんからお弁当を渡された。朝ご飯からお弁当まで、なんてできた妹なんだろう。

わたしとお姉ちゃんなんて朝ご飯からお弁当までお母さんに頼りっきりなのに。小町ちゃん凄いなぁ。

 

 

「ありがとう♪」

素直に感心して、つい普通に喋っちゃった!

 

「へ?ここは『小町さんや、何時もすまないねぇ』って、言うところでしょ。」

そうなの?比企なんとか君、いつもどんな会話してんのよ!

 

「あっ、ああ、そうだったな。いつものお約束忘れてたわ」

お願い、小町ちゃん。変な追及しないで、この返事で精一杯なの!祈りつつ、小町ちゃんの言葉を待つ。

 

「何のんびりしてるの?、早く行こうよ!小町まで遅刻しちゃうよ!」

どうも登校の時間みたい。助かった~。

 

「あぁ、うん、そろそろ行こうか」

 

「じゃあ、小町外で待ってるから、早く出てきてね!」

 

「え?なんで、待つの?」

 

「何言ってんの。いつも自転車で送ってくれてるでしょ!」

 

「どこに?」

 

「学校に決まってんじゃん!お兄ちゃん、やっぱり今日はいつも以上に変だよ?」

いつも以上にって事は、比企なんとか君っていつも変なの?これ夢だから、いつもの比企なんとか君なんか分からないけど。取り敢えず謝っておこう。

 

「ごめん。そうだよな、いつも自転車で送ってるよな!」

 

新たなミッションの発生だぁ!小町ちゃんを中学校に送り届ける。

でも、ここから小町ちゃんの中学校ってどうやって行けばいいの?

メールを確認するふりをして、グーグルマップを起動、現在位置と中学校の位置を確認、ルートを検索する。

 

「お兄ちゃん、なに携帯見てるの?」

 

「いや、メールの確認を…」

 

「お兄ちゃんにメールなんて、メーラーダエモンさんかアマゾンさんからしか来ないじゃん」

 

「ぅぐっ…………」

 

え~っ!小町ちゃん手厳しい…。返す言葉も無いよ…。仮にも兄だよ!中身は女子高生だけど…。

それにメーラーダエモンさんかアマゾンさんからしかって……。

 

もう!何なのこの会話!?比企なんとか君主人公一択のギャルゲー??なら、せめて会話の選択肢くらい出してよ~!言葉まで自分で考えないといけないなんて、激ムズだよ!無理ゲーでクソゲーだよぉ!

 

でも、この会話の間に中学校までの道順は分かった。あとは小町ちゃんを中学校まで送っていくだけ。

 

「じゃ、小町後ろに乗れ」

 

「あいさ!」

 

「それじゃ、行こうか!」

 

と、わたしは小町ちゃんを自転車の荷台に乗せて、ペダルをこぎ始めた。

自転車の二人乗りなんていつ振りだろう?それもわたしが前って…。

 

 

 

 

無事、中学校に到ー着っと!簡単な道順で良かったぁ。右折と左折の繰り返しの複雑な道順だったら、絶対間違えちゃってたよ。

 

「お兄ちゃん、ありがとー!」

 

って、自転車からひらりと飛び降りて校門へ駆けて行く小町ちゃんを見送る。あっ、鞄忘れていった!

しばらく待っていると、校舎から小町ちゃんが涙目で戻ってきた。

鞄を取り、校舎へ走っていく小町ちゃんを再度見送る。

小町ちゃんって、しっかりしている様で意外と残念な子なのかもしれない。

 

 

 

次は中学校から総武高かぁ、もう一度グーグルマップでルート検索っと!

夢から覚めるまで、比企なんとか君主人公のギャルゲーを続けることになるのかな…。

 

 

 

 




千佳が小町を中学校まで送り届けるだけで、一話になってしまいました。
このペースだといつ完結するのか、完結する前にエタっちゃうかどっちかですね。

凄いペースで面白い作品を投稿される書き手さんって、やっぱり凄いんですね。

できれば、感想など頂けると今後の励みになります。
次話がいつ投稿できる分からないですが、頑張ります!

それでは。
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