Harry Potter Ultimatemode 再会と因縁の章 作:純白の翼
1991年7月21日。ミネルバ・マクゴナガルは、ブライトンの一際大きいビルの入り口前に来ていた。ここが「生き残った女の子」の双子の兄がいるビルだ。どんな仕掛けが襲い掛かってくるのだろうか。マグルなら問題なく入ってこれる。しかし、魔法使いはすぐに追い出される。中には、半殺しにされた者もいるほどだ。だが、入らない事には何も始まらない。マクゴナガルは、勇気ある一歩を踏み出した。
建物の中に入る。その瞬間、警報アナウンスが鳴った。
『WARNING!!WARNING!!魔法使いの侵入を確認しました。これにより、対魔法絶対防壁を起動します。総員出動、全兵器解禁。魔法使いの排除の開始をして下さい。』
そのアナウンスが終わった瞬間、壁や天井のありとあらゆる場所から重火器とミサイル、投げナイフに槍の発射台が現れた。そして、少し離れた場所に散弾銃を持った人間がマクゴナガルに銃を向けている。おそらく、こちらは魔法は一切使えない可能性が高い。後ろにある入り口も逃亡防止用にロックされているだろう。内心焦りを感じていたマクゴナガル。万事休すかと思われたが、攻撃はなかった。
「皆。この人には何もしなくていい。今までのクズな魔法使いよりは大分話の分かる人だ。大方、ハリーに用のある人だ。」
アランが組織の人間に攻撃をするなと釘を刺す。
「しかし、会長!」
「君達の職務に対して真面目なのは大いに評価している。だが、この方はお客様なのだ。……ああ、すまないねミネルバ。先ほどまでの無礼を許してほしい。」
「アラン。セキュリティに力を入れるのは大いに結構ですが、いくら何でもやり過ぎです。死人が出たらどうするつもりだったのですか?」
「フン。マグルをいつまでも見下し続ける魔法使いなどいなくなって当然だ。ここに悪意をもって来訪する奴が悪い。まあ、話を戻そう。今日はハリーと話しにでもしてきたのだろう?最上階でハリーが待っている。」
マクゴナガルは思った。確かに、中世にて魔法使いはマグルに迫害された歴史がある。それが、純血主義の正当性を表に出た。魔法族とマグルの溝はそう簡単に埋まらないだろう。確かに、これから魔法界の発展にはマグルとの全面協力が必要になるのは分かっている。だが、一部の純血主義者はそれに反対してくるし、そうでない者もマグルに対して良い印象を持たない。
アランはそういった意味でもかなり特異な存在とも言える。寧ろマグルや、魔法界を見限った魔法使い達の味方なのだ。それにあんな事があっては、魔法族に見切りをつけるのは仕方ない。だが、今はそれを言わない。何故なら、ここに来た最大の目的はハリーにホグワーツ入学の最終確認をしに来たのであるのだから。その話題を蒸し返したら、今度は問答無用で追い出される可能性の方が高いのだから。
ロイヤル・レインボー財団本部の最上階。アランとマクゴナガルが到着する。謁見室には、既にハリーがいた。見た目は、かつての教え子のジェームズだ。違いは眼鏡を掛けていないのと、髪は清潔感溢れる様に整っている事。それに、ジェームズと違ってとても穏やかな表情をしている。目は、リリーだ。そんな印象だった。
「ミスター・ポッターですね?」
「はい。おばさんは、誰ですか?」
悪意はないにせよ、初対面の人間をおばさん呼ばわりするハリー。
「私は、ミネルバ・マクゴナガルと言う者です。ホグワーツ魔法魔術学校の教授です。変身術を担当しています。本題に入りますが、手紙は受け取りましたか?」
「はい、マクゴナガル教授。バッチリ届いてます。日本で受け取りました。」
ホグワーツからの手紙を見せるハリー。
「今日私がここに来たのは、ホグワーツに留学するかの確認とあなたの素性を明かしに来ました。」
「なあんだ。そんな事ですか。」
「そんな事とは、どういう事ですか?」
「もう俺の決意は決まっている、という意味ですよ。勿論、留学はするつもりですよ。キチンと話し合いましたので。それに、俺の素性も全て知っているからご心配なく。」
「そ、それは意外です。色々な意味で予想を上回っていますね。どこで、自分の素性を?」
「義祖父ちゃんが、俺が持っていた手紙を基に独自のルートで調査した結果ですよ。それを惜しみなく教えてくれた。モデラート卿が俺の両親を殺して妹を殺そうとして失踪。どこかに送られる途中に、俺が何かしらの邪魔者が現れた。赤ん坊の俺はめでたく空から叩き落とされて、ロイヤル・レインボー財団に保護されたって言いたいんですよね。」
「モデラートではなくて、ヴォルデモートです。それに、あまり名前は口に出さないようにしておきなさい。魔法界ではタブーです。」
「みんなモデラートのことを何と言っているのですか?」
「『例のあの人』や『名前を言ってはいけないあの人』と呼んでいます。そして、モデラートではなくて、ヴォルデモートです。ものには適切な名前をお使いなさい。」
「分かりました、先生。で、そいつ今何処にいますか。今すぐにでもあの世に送ってやりたいんですが。」
「アラン。この子をどんな育て方をしたら、この年でこういう物騒な事を言える様になるのですか?」
「さあな。」アランは、シラを切っている。
「ポッター。あなたの質問に答える方に話を戻しましょう。それが良く分かっておりません。通説では、命からがら生き延びたが、何も出来ない位弱っているとも言われています。」
「成る程。ヴォルデモートは今、犬畜生以下の死に損ないというわけですね。」
「簡単に言えばそうなる訳ですが。」
マクゴナガルは、ハリーを末恐ろしい子供だと感じた。ふざけている様で、その実あまりにも大人びいているのだ。それに、時折感じる彼自身の魔力。普通の魔法使いよりも多い位だ。ダンブルドアやヴォルデモート、歴代のブラック家の魔法使いの様に量が突出しているわけではない。それでも、一般的な水準から見れば極めて上位に食らいつくが。だが、問題はその魔力の質だ。このクリアな魔力は。そう。白く、暖かく、神々しい感じだ。だが今の所は、敢えてそこは言わなくてもいいだろう。
「そういう事ですので、入学はしますよ。予習した範囲がどこまで通用するか試してみたいですし。」
「分かりました。それでは、私の方から返事を書いておきましょう。」
マクゴナガルは、学校行きの汽車のチケットを渡した。情報も詳細に伝えた。
「それではポッター。9月にまたお会いしましょう。」
「はい。本日はお忙しい中、俺の所に出向いていただき、ありがとうございました。」
「いいえ、こちらこそ。」
こうしてマクゴナガルは、ロイヤル・レインボー財団本部を後にした。残ったのは、ハリーとアランの二人だ。
「ハリー。私のマネーから学用品を揃えておこう。200ガリオンあれば十分だろう。受け取りなさい。残りは、好きに使うといい。まあ、ポッター家の金庫も併用していきなさい。」
ハリーは、金貨の入った袋を受け取った。
「いいの?今まで義祖父ちゃんから受け取ったお金から株や投資を始めて、国家予算レベルまで資産が膨れ上がった俺の資産からそこから出していこうと思ったんだけど。」
「子供は、無理して自分の金を消費しなくてよろしい。それにな。その稼いだお金は、独り立ちの資金として残しておきなさい。私に遠慮しなくて良い。足りなくなったら、私に連絡しなさい。」
「ありがとう。義祖父ちゃん。」
「買い出しは、7月31日にしよう。もしかしたら、生き別れた妹のエリナに会えるかもしれない。それでいいかな?」
「うん。構わないさ。」
ダイアゴン横丁へは、7月31日に行くことが決まった。
一方、プリペッド通りでは。
「何だろうこれ?手紙?」
「どうしたエリナ?」
「ボクに手紙来たんだけど。」
「へえ~。珍しいな。良かったじゃん。」
ぶくぶく太った少年が、背の低い赤毛の髪の美少女にそう言葉を返した。
「小娘!さっさと…………ま、まさかこれは!?」
豚の様な見た目の中年男性が怖気付く。首の長い馬の様な女性も狼狽える。しかし、反応は違った。
「……いずれ、来るとは思ってたわ。ねえバーノン。どこかの寄宿学校に入れたと近所に言えば、少しはマシになるんじゃないかしら?」
首の長い馬の様な女性はすぐに冷静な表情に戻った。こうなる事は分かったと腹を括ったようだ。だが中年男性にとっては、相当危険視しているものらしい。故に彼は、3人にこう告げたのだ。
「ダメだ!今夜ここを出発する!」
その後、ここの一家は1週間と3日ほど遠くへ遠くへと逃避行を続けていった。ここで、逃げた先で大男に遭遇するのはまた別の話になるのだった。