Harry Potter Ultimatemode 再会と因縁の章   作:純白の翼

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1週間ぶりになります。アズカバンでのやり取りになります。


第26話 監獄での会話

 ここはアズカバン。魔法使いの監獄。ハグリッドが送られてから、ハリー達が秘密の部屋を脱出するまでの時間帯まで遡る。

 

「シリウス。どうしてお前さんは、ダンブルドア先生様の言いつけを守らなかった?ペティグリューに役目を託した事を後悔して仇を取ろうと思うのは、俺でも理解は出来るが。あの時、時を待てと言いなすったんだ。」

 

 ハグリッドは、怒りと悲しみの入り混じった表情で男に問いかける。

 

「ハグリッド。全て、全て俺が悪いんだ。俺が最初から役目を全うしていれば、ピーターに任せなければ、ハリーとエリナからジェームズとリリーを引き離す事は無かったんだ。だから、その責任を取ろうと、俺は1人でピーターを追い詰めたんだ。」

 

 シリウスと呼ばれた男は、後悔と悲しみを持って答えた。

 

「でも良かったよ、ハリーが生きていてくれて。ロイヤル・レインボー財団なら、完全に守ってくれるのだから。」

 

 シリウスは、今度は希望に満ちた顔でそう言った。すぐに、表情を戻したが。

 

 何しろ、ここの看守は喜びや希望と言った感情を糧にしていて、吸い取るのだ。

 

「俺もだ。あの虹の目を持った男とバイクの護送中に鉢合わせした。ハリーを寄越せって。自分の後継者に相応しい、と言ってたんだ。そんな碌に素性も分からん奴にハリーを渡す気は無かった。だが、奴は只者じゃないってのは、出会った瞬間によく分かったわけよ。」

 

「それでハリーが樹海に落ちたって事かい?」

 

 シリウスが、ハグリッドに聞く。

 

「ああ。その戦闘中にハリーが落っこちてしまったんだ。ダーズリー家に届ける手紙と一緒にな。だが、アランに引き取られたのは、本当に幸運だった。」

 

「その目の男に見当は?」

 

「分からん。だが、虹の目を持った奴で不死鳥の騎士団員。それでいてロイヤル・レインボー財団との懸け橋になったのが1人いるだろ。お前さんの3つ下のグリフィンドール出身の。」

 

「アルフレッド・ローガー…………か。だが、アイツは死んだ筈だ。所属が決まった3週間後に。ヤックスリーが主犯の死喰い人達に殺されて。死体は発見されてないけどな。」

 

「アルフレッドの祖父であるアラン・ローガーがダンブルドアを信用してないのは、もっと理由はあるが、それが最大の原因だ。先生様は、何とかアランとの関係修復をしようと奮闘したが、今も拗れたままだ。ハリーの生存確認を入学直前まで確認出来なかったのも、それが大きく影響している。」

 

「確か、協力関係を結ぶ時に、ダンブルドアはアルフレッドを不死鳥の騎士団の一員としてアランに提供させた。ハグリッド。アランへの見返り、ダンブルドアはどうしたんだ?」

 

「強力な保護魔法だけだった。団員を差し出さなかった。」

 

「これは。校長が悪いですね。」

 

 1人の男も割り込んできた。クィリナス・クィレルだ。

 

「クィリナス。君も聞いてたのかい?」

 

「ええ、シリウス。あなたの正気を保つやり方を実践していると、イヤでも聞こえています。虹の目ですか。それって、天虹眼と呼ばれる物ではないでしょうか?」

 

 クィレルは、2人にそう説明する。

 

「何だ、それって。」

 

「私も詳しくは分かりません。ですが伝承として、こう記されているのです。世界が混乱に陥った時に、生まれながらにその目を持って万物を司る、全知全能の絶対なる神の子が生まれてくると言われています。一説によれば、所有者の命と引き換えに死者を完全蘇生させる力もあるらしく、ダンブルドアはその力を持つ彼を手元に置きたかったのではないでしょうか?何かあった時の為に、それを彼に使わせる気だったのでは?」

 

 2人は言葉を失う。だが、すぐにハグリッドが声を荒げる。

 

「アルフレッドは死んだんだ。間違いねえ!それに、あんなに愛情に溢れた優しい奴が、赤ん坊のハリーを手に入れる為に、あんな酷い事をする筈がねえ!」

 

 しかし、クィレルは静かに言葉を返す。

 

「分かりませんよ、ハグリッド。愛情の正反対は憎しみだとよく言われますが、そうではありません。実際は無関心です。憎しみは、愛情と表裏一体です。その愛情が強ければ強い程、裏切られた時の憎しみは強くなるのです。」

 

「もし、ハグリッドと対峙したのがアルフレッドだとしたら、ダンブルドアの希望に散々応えたのに裏切られたと感じてそういう手段を取る可能性も否定出来ないって事か?そう言いたいのかい?クィリナス。」

 

「ええ。そもそも、天虹眼を持った人間なんてそうそういやしませんからね。今の所、確かな事は全く言えませんが、ハグリッドの出会った虹の眼の男とはアルフレッド・ローガーかも知れませんよ。」

 

「俺の出会った男は、アルフレッドとは似ても似つかねえ。アルフレッドの奴は鮮やかな赤い髪だったが、そいつの場合は透き通る程の銀髪だったんだ。それに、お前さんら2人に入っておかなきゃなんねえ事がある。ダンブルドアは誰かを使い捨てにするなんてそんな事はしねえ!誓ってもいい!断じてだ!!」

 

 ハグリッドが声を荒げる。それだけ、ダンブルドアを絶対的な存在と見ている証だ。だがシリウスは、若干冷めた様な顔になる。

 

「それならば、私をいつでも捕らえる事は出来た筈です。最悪、去年度の学期の初日にでも。なのに、最後の最後でポッター兄妹と他4人をぶつけた。つまり、最初から私と闇の帝王に勝てるのは無理だと見越して戦わせた感じがしますよ。この事から考えるに、彼は結構、冷酷な策士な一面もありますよ。私は一度、闇にいたから分かります。」

 

 そうして、3人の会話が終わった。独房には他の囚人もいたが、皆それどころの状態ではないので、誰も聞いていなかった。

 

 ふと、クィレルが向こう側の女囚人を見る。女の名前は、確かベラトリックス・レストレンジ。吸魂鬼の監視が特に強い囚人の1人で、ただボーっとしていたのだ。クィレルがハッとなった。

 

「俺の親愛なる従姉を見て、どうしたんだ?」

 

「そう言えば、私が1年間の修行の旅をして時の記憶を思い出しましてね。奇妙な2人組を見たんですよ。」

 

「?」首を傾げるシリウス。

 

「その内の1人の男。どこかで見た事があると思ったら、今分かったんです。その男は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

 クィレルの証言を聞き、驚愕するシリウスとハグリッド。

 

「何だと!?どんな奴だったんだ!?」

 

「その時の彼は、見た感じ大体20になるかならないか位の年齢だった筈ですよ。何せ、4年も前の話ですから。」

 

「レストレンジに1人息子がいるというのか?だけど、そんな話。俺は聞いた事が無いぞ。闇の印にこんな話があってな。闇の印は、植え付けられた者の体の作りを急激に変えてしまう。男ならば、余程体が弱くなければ体の機能に支障をきたさない。だが、女にとっては子供が作れなくなるそうなんだ。」

 

「シリウス。あなたの話が真実だとするならば、ベラトリックスに子供がいるのはおかしいと言いたいわけですね?」

 

「ああ。そっくりさんだとしか言えない……そうだ。体が弱い男のくだりで思い出した。確か、アルフレッドの弟のイーニアス。あいつ、実はマルフォイ、クラッブ、ゴイルに誘拐されて闇の印を無理矢理植え付けられた事があったんだ。生まれつき体が弱く、何かと病気になりやすいってアルフレッドから聞いていたんだ。その後検査をしたわけなんだが、残念ながら男としての機能を完全に失った。」

 

「彼は、今でもロイヤル・レインボー財団で魔法科学者として海外で活躍していると聞きましたが?」

 

「まあ、程無くしてマンダンガスが救ったわけなんだけどな。碌でも無いと言われるあいつの数少ない美点の1つが、そのイーニアスの救出の一件なんだよ。」

 

*

 

 そして、数日が経った。ハグリッドの釈放が、ファッジから正式に言い渡されたのだ。

 

 ハグリッドは出て行く時に、シリウスに対してこう耳打ちしたのだった。

 

「良いか、シリウス。ペティグリューを捕まえん事には、残念ながらお前さんの無実を証明出来ん。だから今はひたすら、耐え忍ぶんだぞ…………安心しろ。ホグワーツには、ダンブルドア先生様がいらっしゃる。去年度から、最強の戦闘一族の末裔で元闇払いのフォルテもフリットウィック先生の後任として所属している。ペティグリューを捕まえたら、すぐに解放するから待ってろ。くれぐれも、昔みたいに突っ走って、挙句の果てに脱獄しようなんて考えるなよ。」

 

「…………」シリウスは、黙ってハグリッドの話を聞いていた。

 

「ハグリッド。本当に済まない事をしたね。さあさ、君は自由だ。ホグワーツまで送っていこう。」

 

 ファッジが気さくにハグリッドに話しかける。ハグリッドは、一瞬シリウスを見る。そして彼は、アズカバンを後にしたのだった。

 




午後に次話を、つまり秘密の部屋編最終回を投稿致します。
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