酔っ払った提督たちの戯言から始まった、とある艦これ世界の一幕。
これは駆逐艦の、そして那珂達の挑戦の物語である。


前作が会話文が多かった気がしたので、もういっそ、と文体をガラッと変えてみた挑戦作。

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艦娘あいどる計画

話をしよう、あれは愛すべきば、親友たちの話だ

 

彼らは水雷屋だ、軽巡洋艦駆逐艦を主とする水雷戦隊だ

 

両者共に練度極まり、その点においては尊敬に値する

 

だが、人間である以上たまにはハメを外すこともある。酒を飲み、タガが外れ、気を使わずともよい友がいて、ちょっと、こう、いきすぎただけなんだろう。

 

彼らは水雷屋だが、多少なりと差異があった。

かたや軽巡重視、かたや駆逐重視だ。

あぁいや重視というだけで両者共にそうでない艦をないがしろになどしていない、これは誓ってもいい。

 

そうだな二人のことは軽巡提督と駆逐提督としておこうか。

最初はよかったんだ。あの遠征は割がよかった、あの航路は危険だ、だの、な。

いつしか酒も進み、下らない話も増えてきた、鳳翔の居酒屋では立場上酔い潰れられない、瑞鳳の卵焼きはそのままか醤油かはたまたマヨネーズか。このあたりもまだいい、ここからだ。

男が集まり酒を飲んでまわりに普段はいる艦娘もおらず、まぁ女性の好みの話になった訳だ。

 

あ、食いついても内容は話さんぞ、流石に男の秘密というやつだ、 まぁあいつらはご想像通り軽巡洋艦たちと駆逐艦たちを推した訳だ。何々型はあんな魅力がある、何々型はバラエティー豊かだと、あーだこーだとな。

問題が出たのは軽巡提督の一言だ、普段なら気にせんし突っ込んでも笑い話で済む話だ。

 

アイドルやれる艦は那珂しか居ない。

この一言に駆逐提督が食いついた、うちの駆逐艦だってアイドルとしてやっていける位の子はいる、とね。

 

飲み会していたのが駆逐提督の鎮守府だったのもいけなかった。

彼は酔った勢いのまま自室を出ていきその日は戻らなかった。私たちは出ていったとはいえ彼の自室はそこなのだからそのうち戻るだろうとあまり心配せず就寝したわけだ。

軽巡提督はちょっと言い過ぎたかもしれないと言っていたが、この程度ならばたまにあったいさかいなので引き摺るようなら改めて謝るということになった。

翌日起きたら駆逐提督は普通に雑魚寝に混じっていたし、いつも通りの雰囲気で前日のことも話題に出さなかった。その日は朝食を食べ解散とあいなった。

 

私と軽巡提督は油断していたのだ、あの話は終わったものだと。

数日後だった、青葉の新聞にて駆逐艦アイドルデビューと見出しを飾った。そうだうちの那珂が五月蝿かったあの日だ。私は軽巡提督に連絡をとり、仲が拗れる前に連れだって謝りに向かった。

だが、だ。駆逐提督も知らなかったらしくこんなこともあるのだな、と笑っていたのだ。

私たちの早とちりだったかと笑い話として終わらせる所だったのだが、その日その時駆逐提督の秘書艦の時雨が言ったのだ。僕たちをあんなふうにしたのに提督はなかった事にするの?とだ。

私と軽巡提督は話の流れは読めずとも駆逐提督から一歩後ずさったね。

焦った駆逐提督が時雨から事のいきさつを聞き出すと私たちが集まった日、駆逐提督が夜遅く時雨と夕立と春雨の部屋に乱入、すわ夜這いかと期た、警戒したら彼女らをアイドルデビューさせると発言したらしい。どうやら駆逐艦を無理矢理手込めにした鬼畜はいなかったと私と軽巡提督は距離感を戻した。

そして三人を連れ軽巡寮に向かい、川内型の部屋に突入、夜戦!?と驚く?喜ぶ?川内、敵襲かと警戒して飛び起きた神通をしりめに那珂を叩き起こし、この三人にアイドル衣装をあつらえろ、そう命令したらしい。アイドルと聞いて一気に目を覚ました那珂だが、自分じゃなく時雨たちのアイドル衣装?と頭にハテナマークを飛ばす。そこで軽巡提督が那珂以外にアイドルが出来ない発言をしたこと、悔しかったことを熱烈に語ったらしい。那珂本人に。苦笑いしか出てこない。覚えていないらしい当の駆逐提督は頭を抱えている。さもありなん。それを聞かされた那珂本人も苦笑いだったそうだが、そういうことならと衣装箱から一着の衣装を出し、私の衣装着てみる?と時雨たちに聞いたらしい。

ええ子や。

だがここで酔っぱらいとんでもないことしでかしてた。それならさっそくと手近に居た時雨を脱がせたらしい。着替えさせたではなく、手ずからひっぺがしたと。おい、おい。

駆逐提督は本当に覚えてないらしく目を見開き口を大きく開けた阿呆面をしていたよ。その後駆逐提督は眠たくなったのか那珂の布団に潜り込もうとした所を川内神通に支えられ自室に帰ったらしい。こいつ何しとん。その後部屋に残った那珂と時雨夕立春雨はアイドルデビューするにはどうしたらいいか話し合ったらしい。デビューするならと衣装を用意し、楽曲を提供し、青葉に広報を頼んで、アイドルの後輩のためならと三人を後押ししたらしい。

ほんまええ子や。

しかも順次他の駆逐艦もデビューしていくと。那珂がアイドルじゃなくてプロデューサーになっている。それがあの日私たちが酔い潰れた裏で起こった一幕だった。駆逐提督は最後まで聞くと流れるように土下座した。時雨は仕方ない提督だなあ。と許し、丸く収まったわけだが、影で動き出したアイドル騒動は終わらなかった。

 

時雨夕立春雨のみならず、駆逐提督の駆逐艦はどんどんデビューしていった。

最初は白露型からだったか、白露や村雨を含んで5人でとか、改白露型コンビとか。それから陽炎型だったか、暁型が歌って踊るのは微笑ましかったな。

吹雪型は叢雲が曙と満潮の三人で組んでデビューしたんだったか。他の吹雪型はなんか無人島で村作りしてるらしいな、農作業する吹雪とか大工仕事する深雪とか料理する白雪とか皆で艤装背負って漁だとか、このあいだは深海棲艦かちあって戦闘シーンまで流していたな、軍規とか大丈夫なんだろうか、まあコアなファンがついてるな、あれはアイドルなのか?

そして秋月型はグルメ番組だったか、あの配役は見事だな、何を食べさせても良いリアクションが見れる。

海外艦くくりなのかレーベマックスリベは日本文化に触れる触れ込みで様々な日本的な事に挑戦している。吹雪型の島にて陶芸にチャレンジもしてたな。

 

駆逐艦アイドルデビュー計画は順調だ。それこそ誰も予想しなかったほどに。

だがここでその勢いに待ったをかけた艦がいた。

そう「那珂」である。私こそ元祖アイドルでありセンターは譲れないと駆逐艦アイドルに食いついたのだ。もちろん駆逐提督の那珂ではない。彼女は軽巡提督の那珂、軽巡提督にアイドルは那珂しかできないと言わしめた艦である。しかし彼女は一度は幾多の駆逐艦アイドルに人気で追い抜かれたことから学んだか、ソロではなかった。彼女の姉たちと共にアイドル界に殴り込みをかけた。はっちゃけ夜戦バカ川内、普段おっとり中身ガチ神通、そして艦娘内最初期からアイドルであると声を張り続けた那珂。彼女らは人気を博した。たった三人で複数のアイドルグループと名声を二分した。

ただ、それはあの日までの栄光だった。

青葉新聞、人気投票。二位三位、二位川内、三位神通。那珂?11位だった。いれぶーん!と叫んで倒れたらしい、翌日の一面を飾った。

その後、駆逐提督の那珂に弟子入りしたらしい。

 

ちなみに一位は睦月型を筆頭に駆逐アイドルをまとめる駆逐提督の天龍だ、本人はデビューしたつもりはなく寝耳に水だったそうだ。

 

それでだ、うちの艦隊もアイドルデビューさせようと話を持って行ったんだが、なぜかダメだと駆逐提督と軽巡提督に止められてしまった。

うちの艦隊は公衆電波に乗せるのははばかられる、と。

 

何でだろうな?

なぁゴーヤ




駆逐提督はその後責任を取って時雨とケッコンカッコカリしたそうな。


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