”ウバメの森”にある祠から通じている異空間である”
彼らが足を踏み入れた世界は何とも言えない色の空間が広がっており、まるで空を飛んでいる感覚だが飛んでも足を動かしても前に進める不思議な空間だった。
だが、不思議な空間なのは移動時だけでなかった。
ポケモンリーグでのルギアとホウオウとの戦い
チョウジタウンの外れでロケット団の大軍勢を相手にしていくレッドとアキラの姿
ゴールドとシルバー、クリスの三人が初めて会った瞬間
周囲を見渡して見ると様々な過去の場面が見えては流れる様に消えて行った。
それも進めば進む程、最近の出来事から更に昔の過去の一場面が浮かび上がる様になっていた。
「これが”
「過去の出来事が現れては消えていく」
知っている過去もあれば、この場では本人しか知らない過去も流れるので先頭を進むゴールド達三人は驚きを露にしていた。
後に続く五人も次々と現れる過去の場面には驚いてはいたが、気にしつつも前に進むことをなるべく優先していた。
「色んな過去の一場面が浮かぶわねぇ。これってひょっとして知られたくない過去とかも流れちゃったりするんじゃない?」
「そんなのを気にしている場合じゃない」
「俺としては寧ろ、トキワの森で倒れていた以前に何があったのか知れるかもしれないから願ったり叶ったりかな…」
誰にだって知られたくない過去はある。
軽く言っているがその事をブルーはさり気なく忠告したのだろうが、グリーンは全く気にせず、アキラに至っては正直言って願ったり叶ったりであった。
彼としては、この場にいる面々で知られたくない過去についてはこの世界にやって来る以前くらいなもので、この世界に来てから隠すことは特に無かった。
そもそも意識を失ってから気が付いたらトキワの森に放置されていたのだから、寧ろその理由と謎を解く切っ掛けが欲しいくらいだ。
こんな形ではあるが、過去の場面を客観的に見る形で何か手掛かりは得られないものか。
だが良いのか悪いのか、時たまにアキラがこの世界で過ごした過去も浮かび上がるものの、それらの場面は日々の日常や何時かの戦いだったりと重要度は低かった。
「…ひょっとして、今は過去に遡っているから過去の場面ばかり流れているけど、この空間って未来も見れるのか?」
「…かもしれないね」
何気なくレッドは呟くが、セレビィの別名が”ときわたりポケモン”なのを考えると、彼の思い付きも当たっているとアキラは思う。
今はヤナギの後を追っているのでそんな余裕は無いが、もし未来が見れるのなら見たいという気持ちはある。
それこそアキラが知っているのよりも正確な――自分がこの世界にいるまま、この世界が辿るであろう未来の出来事がわかる。
可能なら把握していない将来あるであろう騒動や戦いについて対策を立てる為にも知りたい。
そして、自分自身がどうなっているかもだ。
「! 見ろ!」
そんな時、何かに気付いたシルバーがある方角を指差した。
皆の視線が向けられた先には、とある過去の一場面が流れていた。
吹雪いている夜の氷原の上を一人の青年と二匹のラプラスが進んでいたが、何の前触れもなく彼らの足元の氷が裂け始めた。
彼らは急いで逃れようとしたが、危機的状況に咄嗟の判断が遅れた影響か回避し切れず、二匹のラプラスが割れた氷の裂け目へと落ちていった。
しかも単に落ちて行くだけでなく、崩れた氷に巻き込まれている光景からもわかる生存は絶望的な出来事。
そして残された青年が悲しみに打ちのめされている最中、持っていたタマゴから小さなラプラス生まれ、青年は生まれたラプラスを優しく抱えながら何回も謝罪の言葉を口にしながら再び体を蹲らせていた。
「見たな」
不意に聞こえた声に反応した八人は周囲を見渡すと、先程まで見えていた過去の一場面から少し離れた場所にヤナギとラプラスの姿があった。
彼の言葉と先程まで見えた過去に映っていた青年とラプラス、それが誰なのかわからない者はこの場にはいなかった。
「ヤナギ! てめえが取り戻したい過去っつーのはまさか…」
「そうだ。私はこのラプラス――ヒョウガの為に過去に戻る。あの時失ったラ・プリスとラ・プルスを救う為に!」
ゴールドの問い掛けに返す形でヤナギが告げた内容に多くは衝撃を受けた。
過去に戻りたがっているということや悪事の数々から、グリーンなどはヤナギの目的は自分に都合の良い過去改変だとは考えていた。
実際、その推測は正しかった。
だが、過去へ戻れる術を求めていたのは、かつての手持ちを失ったという過去を変える為――或いは救うためとは思っていなかった。
あれ程までの悪事を働き、多くの人達を傷付けたり危険に晒し、そして運命を狂わせて来たにも関わらず、ヤナギが望んでいたものはあまりにも規模が小さかった。
「それだけの為に…たったそれだけの為に! 今まで全部の計画が…ロケット団や伝説のポケモンを利用して、多くの人達を傷付けてきたっていうの!」
「たった…それだけのこと?」
思わずクリスが発した言葉にヤナギは見たことが無い程に怒気を露にする。
触れてはならない逆鱗。
ヤナギが乗る氷人形の腕が伸びる形で振るわれてクリスが乗るスイクンを襲うが、先に察知していたアキラとカイリューが回り込んで弾いた。
それを切っ掛けにレッド達も打って出て、”
「お前達にとってはそれだけのことであっても! 私にとっては生きていく全てだったよ!!」
ヤナギの激昂に傍にいたラプラスも呼応する様に怒りの声を上げた。
今でもハッキリと思い出せる。彼らと過ごした幸せだった日々。
それを”たったそれだけのこと”で済まされるのは許し難いことだった。
それからヤナギの膝の上に乗るウリムーとラプラスが”ふぶき”を放つが、エンテイの”かえんほうしゃ”とその炎を”ものまね”をしたカイリューが対抗して威力と性質を弱め、リザードンとバクフーンの火力も合わせることで完全に相殺。
その隙にゴールドの乗るライコウが背後に回り込もうとしたり、レッドのフシギバナが”はっぱカッター”を撃ち出して、ヤナギかラプラスのどちらかの気を引こうとする。
しかし、それらの試みはヤナギ自身が乗り込む氷人形や共にいるラプラスが撥ね退けていく。
その気迫は凄まじく、彼らが激しく動いたり声を上げる度に強烈な冷気が周囲に放たれてまともに近付くことが出来ない程だった。
「お前達にはわからんだろ! あの時私が感じた絶望と後悔! 産まれてすぐに会える筈の親を必死になって探すヒョウガの姿を見て抱いた私の気持ちが!」
「あぁ、俺達はお前じゃないからわからないだろうね。
アキラ自身でありながら彼とは別人みたいな声色が混ざった声で、カイリューは”りゅうのいかり”を放つが、氷の盾を展開してヤナギは防ぐ。
感覚の余韻が残っていたお陰もあるが、この土壇場でアキラは何時もよりも格段に早く再びカイリューと意図せず同調していた。
「ポケモンリーグ会場で俺達がお前に言った言葉を覚えているか? 別れってのは望む望まない関係無く、
「そんなものはわかっている! 生あるものは何時の日か死ぬ! だがな、何の前触れも無く唐突に愛する存在を失い、その直後に生まれたこの子には会える筈だった親がいない! 与えられる筈だった愛も無い! こんな残酷なことを受け入れられるものか!!!」
ラプラスが放つ”れいとうビーム”をカイリューは”つのドリル”で弾きながら防いでいくが、鬼気迫る威力にアキラを巻き込みながら後方に大きく下がっていく。
「ポケモンリーグ会場での話を持ち出すなら私も改めて言おう。私はこの子――ヒョウガの為なら何だってやる。あの時失ったラ・プリスとラ・プルス、私が愛する存在を取り戻す為にも!!」
「だからって…だからって他の人達が同じ様な目に遭っても良いの!?」
「何とでも言えブルー! お前達が余計なことをしてくれた所為で私の計画は何年も遅れたからな!」
怒りが籠った勢いでブルーとカメックス目掛けて氷の腕が振るわれるが、グリーンとリザードンが彼女を庇って弾き飛ばされる。
それを見たアキラはすぐさま背負っていたロケットランチャーを抜くや片手で狙いを定めて、追加装備として準備済みであったアンカー付きケーブルを彼ら目掛けて撃ち出す。
こんな訳の分からない空間でバラバラに離れたりして逸れたら何が起こるかわかったものじゃなかったので、流れる過去の一場面にグリーンとリザードンが接触する前に彼らは撃ち出されたケーブルに繋がっているロープを掴み、ギリギリで逸れるのを免れる。
「私を許さないと言うならブルーとシルバー、お前達はどうなんだ! 私の元から逃げ出してから盗みや詐欺を働いていたらしいな」
「二人をそこまで追い詰めた原因の貴方が、自分の事を棚に上げて彼らを責めないでください!」
ヤナギに対してイエローは珍しく声を荒げると、二匹のピカチュウが”10まんボルト”を放つ。
ブルーとシルバーが過去にやってきたことは確かに悪いが、そもそもヤナギが誘拐しなければ彼らが生きる為にそんなことに手を染めることは無かっただろうからだ。
それ故かシルバーは毅然とした眼差しで、ピカチュウ達の攻撃を防いだヤナギを見据えた。
「お前との全ての決着を付けたら、どんな裁きを受けても構わない。元より覚悟の上だ」
「だそうだ。お前はどうなんだヤナギ!? 別の時代で暮らすとか言っていたな。自分がやったことに目を背けて逃げるつもりか!」
「うるさい!!!」
シルバーとゴールドを黙らせるかの様に、”れいとうビーム”の青白い光線が襲うが、二人を乗せているライコウやエンテイも負けじと反撃する。
「そんなに叶えたい願いがあったなら、こんなことをせず祠の神様にお願いすれば良かっただろ!」
「お前みたいに! オーキド同様に生まれついてポケモンと心を通わせられる才能に恵まれた奴が!! 簡単に言うな!!!」
今度はレッドが声を上げるが、それもヤナギに触れられたくない逆鱗の一つだったのか、彼は再び激高した。
彼らのやり取りは撃ち出したケーブルを巻き取ってグリーンとリザードンを回収していたアキラの耳にも聞こえており、不本意ながらヤナギの言う通りそんな上手くいくとは思えなかった。
レッドの主張はわかるが、幻のポケモンがそう簡単に一個人の願いを叶えてくれるとは思えない。何なら、こんな大悪事に踏み出す前に既にヤナギはやっていたとは思う。
セレビィはウバメの森に祠が建てられて祀られている様に神様みたいな扱いをされている。なので調べれば内容は表面的ではあっても、色々な情報は簡単に得られる。
実際、ヤナギは過去にセレビィに会った際、レッドが言っていた様にお願いをしただろう。だけどその願いを断られるなどで叶えてくれなかったので強硬策に出たと言ったところだろう。
「オーキドはお前みたいに無自覚にポケモンと心を通わせていた! キクコは嫉妬していたみたいだが、私はその姿に憧れた! そしてようやく心を通わせることが出来た! 新しい家族も生まれる! 全てが幸せだったんだ!」
怒りで荒れ狂うヤナギにレッドは何を言っているのか上手く理解出来ないままフシギバナと一緒に突き飛ばされたが、アキラはポケモンリーグ会場でヤナギと問答を交わしながら戦っていたこともあったので、彼が何を言っているのか理解した。
妙にこちらの奥の手について詳しいと思ったが、やはりと言うべきか。
ある可能性に行き着いたアキラは、カイリューと共にヤナギとラプラスへ突撃しながら、”げきりん”を纏ったドラゴンポケモンの拳をなみのりポケモンが作り出した氷の盾に叩き込みながら真っ直ぐヤナギを見据えた。
「ヤナギ…お前がここまでの凶行に走ったのは、俺とリュットみたいな一心同体の感覚も強く影響したのか」
そう伝えた直後、ヤナギがアキラに向ける目付きが更に鋭くなる。
どの個体のラプラスかは知らないが、親として子どもの誕生を楽しみに待っていた気持ちや向けられていた愛情を同調した際にヤナギは感じ取っていたのだろう。
アキラもカイリューがその場にいなくても、カイリューが強い感情を抱くであろう場面に遭遇すると彼の気持ちが良く理解するのと思考や考えがそちら寄りに傾いてしまう時がある。
親と変わらない喜びを感じると同時に本当の親に会わせることが出来ない。
この世を去ったラプラスの両親が生きていたら抱いていたであろう感情をヤナギは感じ取り、尚更罪悪感を感じたのだろう。
「だからなんだ! この世を去った彼らはそんなことを望まないとでも言うのか!」
「そんなことを言って止まるなら、とうの昔に止まっているだろう。
その程度で止まるのなら、ここまで大規模な悪事に手を染めることは勿論、伝説のポケモンを圧倒出来るまでに強くなることは無かっただろう。
アキラとしても、全く想像もしていなかった突然起きた不幸だけでは済まされない最悪の出来事に思うところはある。だが、だからと言ってあらゆる悪事に手を染め、更には何も反省の様子を見せずに逃げ切ろうとする姿勢は許せるものでは無かった。
しかもロケット団と言った悪の組織まで利用してまでなりふり構わなかったのだから、その時点で自分達に害を与えるであろう倒すべき相手だ。
”げきりん”をもう一撃叩き込んで氷の盾を粉砕するが、突破した時点でヤナギとラプラスは大きく距離を取っていた。
「しつこい、どこまでしつこいんだ! お前達に構っている余裕など無い!」
「
この段階まで来たらヤナギの勝ち逃げに近いが、それでも黙って見過ごす訳にはいかないし、実際に過去へ移動したら何が起こるかわかったものじゃない。
連行出来るなら連行して、ちゃんとした罪相応の罰を受けさせるのが望ましい。
当然ながらラプラスもヤナギ同様に長年の願いが叶う目前なのもあり、死に物狂いで抵抗をする。
相手にダメージを与えると言うよりも吹き飛ばしたりすることに重点を置いた猛烈な”ふぶき”で、自分に敵対する存在全てを冷気の暴風で吹き飛ばす。
「そのままどこかの時間軸へ消えろ!」
「消える訳ないだろ!」
無重力の様である程度の足場がある様に感じられ、そして空中戦みたいなことも出来る”
吹き飛ばされた八人と各々のポケモン達はそれぞれ、吹き飛ばされていた体でまるでそこに足場があるかの様に明確に踏み止まる。
そして一際足腰に力を入れたカイリューが、”つのドリル”のエネルギーを頭部の突起に纏ってアキラと共に真っ直ぐヤナギ達目掛けて突っ込む。
対抗してラプラスも”つのドリル”を纏い、一直線に飛来したドラゴンポケモンと激しく頭部のドリルの火花を散らせながら鍔競り合いをする。
「失せろ!」
「嫌なこった!」
”
そうして双方が螺旋回転するエネルギーと共に鍔迫り合いと睨み合いを続けていた時、互いに過去の一場面が流れる。
アキラの視点では若かりし頃のヤナギがラプラスと共に、同じく若い頃のオーキドとガルーラを相手に楽しそうにポケモンバトルをしていた過去の出来事が見えた。
ヤナギの方からはアキラがレッドとバトルを繰り広げて、少しの差でレッドに敗北して頭にタンコブを作ったハクリューと一緒に悔しがる過去の一場面が流れた。
両者共、相手の過去が見えたことには気付いていたが目の前の敵との戦いには一切集中を切らさなかった。
お互いに相手の過去に興味が無い訳では無い。どちらも事前調査や戦いの最中などを通じて、目的や過程の善悪はあれど、幾度となく悔しい経験や敗北を重ね、その度に諦めずに立ち上がって来たことをわかっているからだ。
激しく鍔競り合った末に、両者は距離を置く様に互いに弾かれる。
当然それで終わりではない。
すぐさまラプラスは青白い光、カイリューは黄緑色の光をそれぞれ口内に収束させて放った。
”れいとうビーム”と”げきりん”
互いのタイプのエネルギーを光線にして放った両者の攻撃は眩い光を放ちながら激しく拮抗し合うが、やがて破裂する様に相殺される。
しかし、衝撃波そのものは最後の最後で押されていたアキラとカイリューだけを襲い、彼らは上下すらもわからない空間で遥か後方へと吹き飛んでいく。
「アキラ!」
「大丈夫だ! すぐ戻って来る!!!」
レッドがすぐに助けに向かおうとするが、アキラは問題無いことを伝えながらカイリューと一緒に何の抵抗も無くそのまま遠ざかっていく。
ヤナギはアキラが手出しが出来ないまでに遠くへ飛んで行くのを見届けると、すぐさま目的の過去の時間軸へ目指し始めたのでそちらの方に何名かは意識が向く。
「待ちやがれヤナギ! その
ライコウに乗ったゴールドが真っ先に果敢に挑むが、氷の腕の一振りで軽く一蹴される。
そこにエンテイやスイクン、更には他のポケモン達も挑むが、ラプラスとヤナギが乗る氷人形や膝の上に乗るウリムーは巧みにあらゆる方向から仕掛けられる攻撃を捌いたり防いでいく。
エンテイの炎を当てたとしても、ヤナギは即座に触れた個所を砕いて、炎の影響を受けていない部分から再生させるので中々決定打にならなかった。
「どんな理由があろうと、てめぇみたいな悪党に良い様に使われちゃ可哀そうだ!」
「何とでも言え!! お前などにわかって堪るか! ヒョウガのタマゴを孵した時の私の気持ちが! ラ・プリスとラ・プルスを失いたった一匹生まれてきたヒョウガをこの手に抱いた時の気持ちが!!!」
狂気じみたヤナギの叫びとそれに応えたラプラスの攻撃により、彼らは瞬く間に一蹴される。
長年の目的の成就が目前とあって、ヤナギもラプラスもなりふり構わなかった。
背を向けて更なる過去へ向かおうとするが、そこにゴールドが負けじとライコウに放り投げられる形で追い掛け、しがみ付いて呆気無く振り払われるも諦めなかった。
「あぁわかるぜ! 俺は”孵す者”だからな!」
ヤナギの言葉にゴールドは正面から堂々と返した。
無我夢中でピチューのタマゴを守り、ピチューを孵した時、ゴールドは不思議と彼の意思や伝えたいこと、気持ちがわかった。
ヤナギも今戦っているラプラスを孵した時に同様の経験をしたであろうことが何となく察せた。それに先程のアキラの言葉ややり取りから、親の気持ちも自分の事の様に理解していたであろうから、どれだけ絶望に突き落とされたことか察するに余りある。
だけど、例えどんな理由であろうと多くの人達やポケモン達を傷付けたことには変わりない。
絶対に許せない悪だからでは無く、これ以上罪を重ねさせない為にゴールドはヤナギを止めることを決めていた。
「ゴールドに加勢するんだ!!!」
レッドの呼び掛けにフシギバナは”ソーラービーム”、彼のバクフーンは”かえんほうしゃ”を放つもそれらラプラスでは無くてヤナギの膝の上に乗っているウリムーの”ふぶき”で掻き消されて届くことは無かった。
だけど彼らに注意が向いた時間を活かし、ゴールドの肩を踏み台にピチューが跳び上がった。
何をするかと思った時、生まれたばかりの小さなポケモンは突如としてライコウから放たれた強烈な電撃をその身に受けた。
狙いを誤ってしまったかのように見えるが実際は違っていた。
ゴールドは無意識にピチューの考えや狙いを理解していた。
小さい体に溢れんばかりの力が漲ってきていることもだ。
ゴールドの脳裏に、巨大な氷山を一撃で粉砕するアキラのカイリューの姿を過ぎった。
今なら出来る。
何の根拠も無かったが、自分達にも彼らみたいな特別とも言える大技をだ。
「行くぜピチュー! ”
アキラとカイリューが身に付けたオリジナルと言える技に倣い、勢いで技名を叫んだゴールドに合わせてピチューはその小さな体から想像出来ない程の強烈な電撃を放つのだった。
時間のはざまでの決戦を繰り広げ、ゴールドがピチューと共に大技を放つ。
本作でのヤナギは手持ちのラプラスと心を通わせられたことで、彼らが子どもが生まれることを楽しみにしていたことや向けていた愛情、そしてこの世を去る瞬間とその時に抱いた気持ちを感じ取ってしまったという風に考えています。
それにオーキド博士達とも仲が良かったのやポケモンを愛しているのですから、レッドの言う様にセレビィに会った当初は必死になりながらもお願いをしていたと思います。
でもセレビィはヤナギの願いを叶えることはしてくれなかったので、彼は力づくでも捕獲することに方針を切り替えたのではないかと思っています。
次回、時間のはざまでの戦いが続く中で思わぬことが判明します。