狩人の証   作:グレーテル

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お久しぶりです。生きてます。


第22話「電竜ライゼクス」

 「体に電気を纏った時? あの状態のライゼクスの攻撃は苛烈です。それでは先のようにこちらが追い詰められてしまうのでは……」

 

 ライゼクスは体の各部位に電気を充填させて戦闘能力を強化する性質を持っているモンスターである事が分かった。それぞれ頭部、両翼、そして尻尾に電気を纏って繰り出す攻撃の威力を飛躍的に高める事が出来る。そして、そんなライゼクスの能力を目の当たりにしたうえで、ガッシュはライゼクスの身体に電気を溜めさせようというのだ。

 これに対してアンジェは戸惑い、彼の意図が上手く読み取れずにいた。先程の大タル爆弾を使った待ち伏せの他にもまだなにか策があるというのだろうか。

 

 「ところがどっこい。あいつにとっても良い事だらけって訳でもなさそうなんだよな」

 

 一般的な飛竜種の骨格をしていながらそれらとは全く異なる戦い方を繰り広げるライゼクスとの戦闘はガッシュにとっても今までにない強烈な印象を以て記憶に刻まれるものがある。その中でも特に気になっていた場面があった。それはライゼクスの猛攻によってアンジェが窮地に立たされ、そんなアンジェを庇おうとするキッカがライゼクスへ果敢に立ち向かった場面であった。

 

 「あいつの翼……もっというと電気を纏ってる場所だな。で、そこにキッカの投げたブーメランが当たったんだよ。そしたらな、そこから血が出てたんだ。最初攻撃してた時にはうんともすんとも言わなかった場所がだ」

 「え、そんなの覚えてないにゃ。そんな事があったのかにゃ旦那さん」

 「うんお前少し黙ってな」

 

 ガッシュにとってキッカはあの強敵に止めの一手を加える手がかりをくれた大事な存在だったが、当の本人はそんな事はまるで覚えていなかったらしい。こいつはどこまでいってもこいつなんだと、ガッシュは内心ため息をつきながらアンジェに話の続きを伝える。

 

 「つまりな、あの状態になった時のあいつは肉質がかなり柔くなってる。お前のランスだって弾かれないしボウガンの弾もきちんと刺さる」

 「爆弾の影響で甲殻が破損した今なら、より多くのダメージを与えられる……?」

 「おう。そういうこった。だから頭も翼も尻尾もビリッとさせて、フルパワーになったあいつにこっちもフルパワーでぶつかる。それであいつをぶっ倒す。それでめでたくクエストクリアだ。ただし、弾の準備に時間がかかる。だからそれまで時間を稼いでくれると物凄く助かる」

 「分かりました。任せて下さい」

 

 以上が、キッカの行動がもたらしたヒントを基に練られたガッシュの作戦だった。これに加えてガッシュがポーチに忍ばせている『とっておき』も使って全て終わらせるのだ。そこへ至る道程は苦しくなるだろうが、ガッシュは決して悲観はしていなかった。

 

 

 

 

 

 ライゼクスが降り立った場所は先程と同じエリア4。擦過痕のある土や放電によって焼け焦げた草などが散見される。激しい戦闘の跡が残るこのエリアをライゼクスは闊歩していた。どうやらここはライゼクスにとってお気に入りの場所らしい。ガッシュ達のような縄張りを荒らす侵入者がいないか、首を大きく上げて周囲を見渡している。ガッシュ達は岩陰に隠れながら息を潜め、その様子を窺っていた。

 

 「ボク達を探してるみたいにゃ」

 「ならここにいるってきちんと教えてやらなきゃな。そらよっ!」

 

 岩陰に隠れながらポーチの中を探り、手に握った閃光玉を投擲。視覚をかく乱されたライゼクスの悲鳴が聞こえると同時に岩陰から身を乗り出し、アンジェとキッカが武器を抜刀してライゼクスに接近する。

 

 「たぁっ!」

 「えいにゃーっ!」

 

 走る勢いをそのまま乗せたランスはライゼクスのひび割れた甲殻に深く突き刺さる。穂先の振動が柄に伝わり、柄を握る手に確かな手応えを感じていた。

 

 (凄い……今まで上手く傷を付けられなかった甲殻が、こんなに……)

 

 ランスを振るう一突き一突きに意識を集中させながら、アンジェは絶え間なく通常弾を撃ち続けているガッシュの姿を一瞥し、すぐさまライゼクスへの攻撃を再開する。

 

 (必ず成功させる。彼らの努力を無駄にしない為にも、必ず……!)

 

 今の自分は独りではない。ここには力になってくれる仲間がいる。声を掛けあい一丸となって立ち向かっていく状況に、胸の底から湧き上がる熱がアンジェを奮い立たせる。久しく忘れていた感覚を思い出したアンジェは、いつしか最初の頃の陰りと迷いは鳴りを潜めていた。

 

 

 

 

 

 「ギオオオオォォッ!!」

 「よし、この状態だ! ここからチャンスを作り出す!!」

 

 戦闘開始から数十分程が経った時の事だった。ライゼクスが雷を充填できる部位すべてにエネルギーが満ちた状態へと変化したのだ。ガッシュ達が当初予定していた作戦通りに進めたいが、相手も生き物である以上万事が滞りなく進む訳ではない。この状態から繰り出される攻撃を凌ぎながら、尚且つ最高威力の攻撃を以て反撃するのだ。

 

 「にゃうう、ヒゲがピリピリするにゃ」

 「ネコさん。なるべくでいいので、私の傍から離れないで下さい。危なくなったら守ります」

 

 翼を広げ、帯電させた翼爪から稲妻を迸らせるライゼクス。それと同時に鶏冠を伸縮させながら尻尾を開閉してさらに電気を発生させている。森丘一帯の穏やかな天候は一転し、ライゼクスが立て続けに行っている放電によってまるで大嵐の中へ突っ込んでいるかのような騒々しさに包まれていた。

 

 「ガッシュさん!」

 「あぁ、何だぁ!?」

 

 ライゼクスの発する放電の音に掻き消されまいと、アンジェの声は自然と大きくなる。ライゼクスと相対したまま背後を振り返らず、背の向こうにいる安心感の源へ胸中の素直な思いを投げかけた。

 

 「信じています! あなたの事を、あなた達となら、必ずやり遂げられると……!」

 

 このクエストが失敗する事など、もう頭にはなかった。目の前の相手にひたすらに立ち向かい、そして勝つ。そんなアンジェの思いに、ガッシュは二つ返事で応えた。

 

 「当たり前だろ! 任せとけって!」

 「攻撃は私とネコさんが食い止めます! 時が来るまで隠れていて下さい!」

 「頼む! 時間稼ぎは任せたぜ!」

 

 ライゼクスが翼を羽ばたかせて滞空したのを皮切りにアンジェはランスを携えたまま片膝を地に着けて盾を構え、キッカがアンジェの背中に両手を添えて支える。

 

 「ギッキギ、ギキオオォ!!」

 

 翼を広げ、空中からアンジェへ目掛けて一気に滑空していくライゼクス。着地と同時に翼爪を交互に地面に叩き付けていく。その巨体と電荷状態となった翼の放電はアンジェの構える盾に容赦なくぶつかる。翼爪が盾に傷を付け、爆ぜる稲妻が更に深い傷を刻んでいく。衝突した際の衝撃がレイア装備を軋ませ、しかしアンジェはキッカの支えも借りてこれに耐えた。滑空状態から突撃を行ったライゼクスは今、アンジェとキッカの背後にいる。

 

 「ッ……やああぁ!!」

 

 膝を落としていた状態からアンジェはライゼクスのいる背後へと振り返り、ランスを突きだす。片膝をついた状態から立ち上がる際の踏み込みと振り返る際の腰の捻りを加えた一撃はライゼクスの鋏状の尻尾を穿った。痛みを感じたのか、ランスが貫いた尻尾がびくりと波打つ。

 

 「ボクがいる事を忘れてもらっちゃ困るにゃ! うらにゃーっ!」

 「ギアアァァッ!!」

 「ひーんごめんなさいにゃーっ!」

 

 アンジェの反撃に続こうとライゼクスの側面へ回り込んだキッカがブレイブネコランスを構えて翼を狙おうと振りかぶるが、近寄って来るなと言わんばかりのライゼクスのブレスがキッカを狙う。最初にガッシュを襲った柱状の雷が二つ同時に吐き出される。ある程度進んで軌道を変えると同時に、それぞれの柱が二つに分裂する。合計で4つの柱が移動しながらキッカに襲い掛かっているのだ。これにはキッカも堪らずじたばたと逃げ回り、偶然アンジェの傍を通りがかった際に彼女の盾に隠れて難を逃れる事が出来た。

 

 「ネコさん、大丈夫ですか?」

 「ふにぃ、危ない所だったにゃ。ありがとうにゃ」

 「ギ、ギ、グウゥゥ……ッ!」

 

 唸り声を上げ、怒りを露にしたライゼクスはアンジェへと振り返り鶏冠から雷の刃を発生させる。頭部を振り回しながら迫るライゼクスの動きを、アンジェはレイアヘルム越しにじっくりと見つめ、軌道を予測していく。そうしてライゼクスの雷の刃が盾に接触する瞬間、アンジェは盾を装備した腕でキッカを抱きかかえると盾を斜めに構えて雷の刃を受け流しつつ背後へとステップを踏んで更に衝撃を緩和させる。

 ライゼクスの攻撃を凌ぎ、しかしアンジェの両目は次の一手へ向けてただ一点を注視していた。ライゼクスの頭が振り切り終わったタイミングを見計らい、今度は前方へとステップを踏んでライゼクスとの距離を詰めながらランスを突きだす。ステップの勢いが合わさり、丁寧な手入れが施された鋭い穂先は鶏冠の甲殻を貫きライゼクスを出血させた。

 

 (もっと時間を稼がないと……っ!?)

 「凄いにゃハンターさん。よーし、ボクも─────」

 「待って! あれは─────」

 

 一歩も引かぬ覚悟でライゼクスの猛攻を凌いでいくアンジェ。ランスを握る手に力が入る中、ライゼクスが再び翼を羽ばたかせて飛翔した。先程のような滑空攻撃をするのかと考えたが、そうするにはアンジェとの距離が近すぎる。ガッシュは再び岩陰に隠れて気を窺っており、キッカはまだ腕の中にいる。ブレスによる攻撃をするのでもなく、ライゼクスは一層強く翼を羽ばたかせて高度を上げていく。アンジェのカウンターに続こうと腕の中から出ようとしたキッカを、アンジェはランスを放り投げて盾の裏に隠すように抱きしめた。

 

 「ギオオオオォォォォッ!!」

 

 空中で両翼を大きく広げ、電荷状態になった翼爪を一層輝かせたライゼクスがアンジェを狙って一気に降下。着地と同時に翼を地面に叩き付け、充填させた電気を一気に開放する。大タル爆弾の爆発に勝るとも劣らぬライゼクスの大放電を受けたアンジェは即座に構えていた盾ごと吹き飛ばされ、レイア装備を身に纏った小柄な体は一しきり地面を転がった後に岩壁に叩き付けられて静止した。

 

 「あうっ!? っ、ぅ……」

 

 ライゼクスの急降下と大放電の威力から立ち直る事が出来ないのか、キッカを腕の中に隠したアンジェは倒れたままうずくまっていた。やはり全身が電荷状態になったライゼクスの戦闘力は圧倒的で、先程まで攻勢に出ていたアンジェ達の形勢があっという間に逆転してしまったのだ。未だに身動き一つとれていないアンジェに止めを刺さんと、ゆっくりと歩を進めていくライゼクス。そしてアンジェを叩き潰す為に、電荷状態の翼を大きく振り上げる。自力で逃げる事も出来ない絶体絶命の状況に陥ったアンジェを救ったのは、彼女の盾に隠れた小さな勇者だった。

 

 「こんにゃろー! ハンターさんはボクが守るにゃー!!」

 

 盾の裏から飛び出したキッカがライゼクスの頭に飛び掛かり、そのまま背中の方へとよじ登っていく。棘のある甲殻を器用に避けながらライゼクスの背中に跨り、キッカは腰のポーチから魚を模ったアイルー用の剥ぎ取りナイフを手に持った。

 

 「フェニーと鍛えたボクのロデオ、お前に味わわせてやるにゃー!」

 「グッグギ、ギギッギギオオォォ!!」

 

 背中に張り付いたキッカの感触が不快なのか、ライゼクスは頭を左右に振り回し、小刻みにジャンプしている。そんなライゼクスの背中から振り落とされまいとキッカはトゲにしがみつきながら手に持ったナイフを甲殻の割れ目に何度も突き立てていた。

 

 「ネコ、さん……」

 

 キッカの勇気ある行動に救われたアンジェは、自分が未だに窮地から脱していないのも忘れてライゼクスの背に跨るキッカの姿を見つめていた。そんな彼女の身体に吹きかけられる、緑色の霧。岩陰から姿を現したガッシュの放った回復弾だった。

 

 「悪い! 待たせたな!」

 「ガッシュ、さん……」

 

 アルバレストを小脇に抱えたまま片手でアンジェの首根っこを掴んで引き摺るガッシュ。少々乱暴なやり方だったが、至近距離で暴れ回っていたライゼクスから距離を離す事が出来た。

 

 「ごめん、なさい……私、役に立てなくて……」

 「なに言ってんだよ。全然そんな事ねぇって! あんなデカブツ相手に逃げも隠れもしないんだからよ。お前が頑張ってくれたおかげで準備は万端だ。サンキューな」

 

 アンジェと協力関係になる事が出来れば、このクエストは成功する。そんなガッシュの予想は先程のアンジェの立ち回りを見て再度間違ってはいなかったと確信に至るものがあった。彼女との信頼が無ければ今行おうとしている作戦も成功してはいなかっただろう。ガッシュは感謝してもしきれない思いだった。

 

 「うらにゃー! いい加減、観念しろにゃー!」

 

 ガッシュの放った徹甲榴弾と拡散弾によって傷つけられた甲殻に、キッカの持つナイフが深々と刺さる。背を刺激する鋭い痛みに堪らなくなったライゼクスは翼を出鱈目にばたつかせながら地面に倒れ込んだ。

 

 「旦那さん、今がチャンスにゃ! ビシッと決めちゃえにゃ!」

 「おっしゃ、行くぜ!」

 

 二つ折りにされたアルバレストの機関部にガッシュの用意した『とっておき』が装填される。そうしてフレーム同士を連結させて抜刀状態のアルバレストを形成。トリガーを引くとアルバレストの銃口から僅かに赤い光が灯り、光は徐々に大きくなっていく。やがてフレームの連結部分からも漏れて見える程大きな光になると、アルバレストの銃口から大きな炎の弾が射出された。

 

 「光れええええええぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 射出された弾丸はのた打ち回っているライゼクスの胴体に着弾すると同時に大爆発を引き起こした。アンジェが先程見ていた大タル爆弾の比ではない。ライゼクスの身体が丸ごと包み込まれる程の、まるで地上に太陽が下りてきたのかと錯覚するほどの巨大な炎がライゼクスの身体を焼き焦がしていた。

 

 「─────、─────!!」

 

 炎の中で、黒い影が暴れ回っている。ライゼクスの物と思われる悲鳴も、その体に充填した電力が許容量を超える損傷を受けて爆ぜていく音も、全てが激しく燃え盛る炎に掻き消され、ライゼクスは炎が収まると同時にその爆心地の中心で息絶えていた。

 

 「これが、とっておき……」

 「おし、これでクエスト完了だな」

 

 アルバレストを折り畳んだガッシュがライゼクスに近付いていき、適当な鱗と甲殻の欠片をポーチに入れていく。クエストが完了した証明として、ギルドに提出する為である。

 

 「しっかし、大丈夫かなーこれ。状態が良くないから駄目だーとか言われねぇかな。なあアンジェ、お前証人になってくれ……なにやってんの?」

 

 一通り剥ぎ取り終えては、剥ぎ取った素材の状態を見てぼやくガッシュが目にしたのは地面にぺたりと座り込んだままのアンジェの姿だった。

 

 「その……やっと終わったと思ったら、足が……」

 「ハンターさん、ホッとしたら腰が抜けちゃったのかにゃ?」

 

 強力なモンスターが多く存在する飛竜種であるライゼクスとの激闘を終えて、アンジェは緊張の糸が途切れていたようである。キッカが立たせてあげようと手を貸しているものの、一向に起き上がる気配がない。しばらくは治りそうにないと見かねたガッシュがアンジェに背を向けてしゃがみこんだ。

 

 「マジか……しょーがねぇなぁ。ほらよ」

 「……あの、これは?」

 「負ぶってやるから乗っかれよ。歩けねぇんだろ?」

 「いえ、恥ずかしいので私は……ひゃあぁっ!?」

 「ほらほら、ハンターさんはえむぶいぴーなんだから遠慮しないでいいにゃ。思う存分旦那さんを使ってにゃ」

 「ね、ネコさん!?」

 「お前あとで覚えてろよ」

 

 ガッシュの提案に抵抗があるアンジェだったが、そんな彼女の背中をキッカがぐいぐいと押し出し、無理矢理ガッシュに負ぶらせる。パニックになってきょろきょろと辺りを見回すアンジェだが、ガッシュ達にされるがままになっている状況は変わらぬままだった。

 

 「うし、そんじゃあキャンプに帰るか」

 「え!? このままですか!? あ、あのっ! えぇっ!?」

 

 羞恥で顔を紅くするアンジェと、そんな彼女を負ぶってキャンプへの道を歩むガッシュ。二人の得物を担いでのしのしと歩を進めるキッカ。彼らの顔に陰りはない。成すべきを成した晴れやかな雰囲気が彼らを包んでいる。

 ガッシュ、アンジェ、キッカ。彼らの奮戦により、ライゼクスの狩猟は見事成功に終わる事が出来たのだった。

 

 

 

 

 

 「恥ずかしい……」

 「んだよ。まだ言ってんのか?」

 

 ライゼクスの討伐が完了してから翌日の事。ガッシュ達はアプトノスの牽引する竜車に揺られながらココット村へ戻る道を辿っていた。アンジェの傍らではキッカが鼻提灯を膨らませている。

 

 「しょうがねぇだろ歩けねぇんだから。あのまま置いて行く訳にもいかねぇって」

 「それは、その……。え……?」

 「んあ? ……何だ、やけに人だかりが多いような」

 

 会話の途中で唐突にアンジェの表情が固まったのを見て、ガッシュは彼女の視線の先を追った。ココット村はもう目と鼻の先にあり、そこには多くの人がガッシュ達の乗る竜車を待ち構えていた。そこには村人とは異なる意匠の衣服を身に纏っている者達もいる。村の外から来た観光客というのも考えられるが、ガッシュはどうも様子が変に見えてならなかった。

 

 「アンジェ! アンジェー!」

 「お父、様……?」

 「は? 親父だぁ?」

 

 そんな人だかりの先頭に立つ、大きく腕を振ってアンジェの名を呼ぶ男性の姿にアンジェは信じられない物を見ているような素振りを見せていた。男性の傍らにはメイド服に身を包んだ女性の姿も見える。明らかにそこらの村人には見えないのだ。

 

 「なんだありゃ? おいアンジェ。どういうこったよ」

 

 手っ取り早く疑問を解決したくなったガッシュがアンジェに詰め寄る。そんなガッシュに対し何か思い詰めていたような顔をしていたアンジェは、やがて意を決したように神妙な面持ちで、静かにガッシュに話しかけた。

 

 「……まだお話していませんでしたね。ガッシュさん。あなたがベルナ村の生まれならば、アルミエーナ家の事は御存じですね?」

 「そりゃまあ、俺の村じゃ知らない奴はそうそういないと思うぜ。龍歴院が持ってる飛行船を使って流通経路を作って商売を始めた大金持ちだってな。ベルナ村と他の村とを飛行船で行き来させて自分ち村の特産品を相手の村に売ったり買ったりして、そうしていく内にいつの間にかハンターも行き来するようになってたんだっけな。……で?それがどうしたよ」

 「……私は、その家の娘です。本当の名はアンジェリカ・アルミエーナ。今まで隠していた事をお詫びします」

 「あーなるほどね。つまり金持ちん所のお嬢さんだったって事。はっはーんなるほどね。……ん? あー? あ?」

 

 

 

 

 

 「はああああああああああ!?」




 ライゼクス格好良いですよね。防具もいいデザインしてるし適度に強くて戦ってて楽しいし、いいモンスターだと思うんですよね。青い方? ……さて、何のことでしょう。

 さて、今回も最後の方で独自解釈というか私の勝手な妄想が出て来ました。はい。
 MHXになってから過去作の村との行き来が出来るようになったのはなんでかって話なんです。どうしてだろうって思ったんですよ私自身。
 そこでふと思いついたのが龍歴院の飛行船でした。龍歴院が使ってるあの飛行船を研究のための移動以外にも使おうとした誰かがいたんじゃないかって思ったんです。そんでもって過去作の各村との繋がりを持たせようとしたんじゃないかって思ったんです。全部私の妄想の中のお話ですしこれから先の物語にどこまでかかわっていくか分からないけどそう思ったんです。
 少しだけ本音を言いますと最初の方の話のあとがきでも食材とかは飛行船に乗って運ばれてくるって書いたのをそれっぽくつじつま合わせしてみたかっただけですハイ。これからこの要素が本編にどう絡んでくるのかと聞かれると上手くお答えできないです。今回限りで出て来なくなる可能性も無きにしも非ずなので。

とにもかくにももう少しでココット村でのお話も終わりになります。続きも少しずつ書いていきますのでもうしばらくお待ちください。
感想評価お待ちしております。

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