これで解放されるんだ。
夜の夜景を眺めながらアイツを待っていた。
世界を壊した原因の化け物を殺すために。
「やぁ、久しぶりだね天災」
俺の前に化け物は姿を現した。
「こうしてお話するのは久しぶりだね、いっくん」
俺をその名で呼ぶな。
吐き気がする。
「ここに来たってことは分かってるだろ」
俺はナイフを突きつけながら言う。
「束さんを殺しても世界は変わらないよ」
「知ってるさ、化け物が消えても世界は変わらない戦争が起きるだけさ」
「それがいっくんの願いなの」
「あぁ、間違えた化け物への祝罪だよ」
一瞬で相手の懐に駆け出しナイフを振るうが空を切る。
化け物は宙に回避していた。
その行動は知っていたから懐に隠していた銃を取り出して撃っていくがそれでも化け物は避けていく。
「天災って本当に規格外だよ」
「知ってる、束さんはまだ死ねないから」
相手の着地を狙いスカートにナイフを投げたがそれを知っていたかのように体を捻ってナイフを避けた。
俺はこの化け物を殺すことができるのだろうかと思うが殺せる。
その為の準備はしてきているのだ。
化け物が着地する場所には微量な火薬が仕込まれている、そこに向かって火炎瓶を投げる。
ここまではお互いの動きが読めているようだがここからは違う。
爆破する前に銃を構え直す仕草をする。
これだけで相手の脳に次の意識を持たせておく。
爆破した瞬間に駆け出してナイフで火の海を切り裂く、手ごたえがない。
それは知っている。
後ろに気配を感じる。
ここまでが俺の計画だ。
見えなくても感じる、素早く腕を後ろに向けて銃を撃つ。
「残念だよ」
そんな声が聞こえた、銃弾は当たらなかった。
相手の足が脇腹に入ってくる。
内臓を潰すかのような衝撃が襲った時には柵にぶつかっていた。
「ガッ、だから化け物は嫌いなんだよ」
口から血を吐きながら相手を見るが服が焦げているだけ。
「無駄だよ、いっくんに束さんは殺せないよ」
あぁームカつく。
憐みの目で見られるのは癇に障る。
天災が凡人を見つめる目だ。
「それはどうかな化け物?」
俺は柵に手をかけながら立ち上がる。
「ここまでして束さんは無傷だよ」
「へぇ、天災は痛覚も死んでいるのか」
そう、天災の腹部には血が出ている。
「袖の中にも隠してるんだ」
痛みを感じないかのように言われた。
「まさかここまでの化け物だとは思わなかったよ」
俺は立ち上がり笑う。
絶望で笑みしか出ないわけではない本当にこいつは化け物だと再確認して笑ってしまった。
「俺が銃弾に細工しないとでも思ったのか?」
化け物でもそこまで考えていなかったようだ。
「まさかいっくんが罪歌を持っていたなんて」
束は腹部をさすりながら確認した。
「そうだね、一本は上げたけどそいつは色々試すのに使っていたんだよ」
立ち上がり、一歩ずつ近づいていく。
「君はこれで終わりだよ」
脳天に銃を突きつける。
「みたいだね、体が動かないや」
「じゃ、好きだったよ」
「知ってるよ、私も同じだから」