ひゃーーーはっはっはっはっはぁーーーっ
いやあ、漫画版ロックマンX3のヴァヴァは格好いいですね……(ヴァジュリーナから目を逸らしつつ)
運営さんはもっと改二を増やしてもいいと思うの。
高雄とか愛宕とか天龍とか龍田とか雷とか電とか島風とか雪風とか球磨とか多摩とか大鳳とか……
「――ふぅ……」
横島は叢雲達との通信を終え、深く重い息を吐く。
それは安堵の溜め息。危ない所もあったが、何とか初の出撃を乗り越えることが出来た。
戦闘中、叢雲と白雪が敵の砲撃に飲み込まれた時、横島は本当に焦った。これが現実の世界での戦闘ならいつものように取り乱し、馬鹿なことを言いながらふざけ、上司である美神の指示に従うだけで良かった。
だが、ここではそうもいかない。ゲームの中とは言え、
現状頼れる者は自分のみ。自分ほど信用出来ないものほど存在しないと公言したこともある横島だが、それでも彼は冷静に、堂々と指揮を執ってみせた。そうしなければ、2人が撃沈するからだ。
「ふぅ……」
横島は今度は短く息を吐き、軽く腹をさする。胃が痛みを発しているのだ。
横島にとって、誰かに指示を出すという行為は初めてではない。以前美神がオカルトGメンに勤めた際、所長代理として助っ人を雇い、辣腕を揮ったのが横島だ。
しかし、今回と前回とではあらゆるものが違う。戦闘の方法もそうだが、何より違うのは戦う者の経験値だ。片やゴーストスイーパーとして数々の戦闘を行ったことがある者達。片や軍艦だった記憶があるだけの者達。
言ってしまえば玄人と素人だ。咄嗟の判断も動きも、差がありすぎる。そして横島自身の不慣れな戦闘指揮。除霊の現場でシロやタマモに軽い指示を出すこともある横島だが、さすがに今回のような指揮は初めてだった。
経験が浅い故に無茶をする。経験が浅い故にそれを許してしまう。お互いにまだまだ未熟だったというわけだ。そんな状態で指揮を執っていたのだ。普段の横島からすれば、今回の結果は充分と言っても良いだろう。
「ん……」
しかし、横島が冷静さを失わないで済んだのには、更に理由がある。失神した吹雪だ。彼女が失神したからこそ、横島は自分が何とかしなくてはならないという意識が芽生えたのだ。そしてそれだけではない。
魘されることで汗をかき、より強さを増した吹雪の匂い。その汗によって頬に張り付いた髪から齎される外見に似合わない色気。寝相によってめくれ上がったセーラー服から覗く小さなへそ。同じくめくれ上がったスカートから見える、汗でしっとりと肌に張り付き、食い込みが少々強くなった下着。今はまだほっそりとした白いフトモモ……。それらが逆に横島の理性を保つことに繋がったのだ。だって可愛いとは言ってもロリには手を出せないから、戦闘に集中するしかない、という謎の超理論。何とも訳の分からない理屈である。
――ありがとう、吹雪。お前には助けられたよ。色んな意味で。
横島は由来不明の感謝を胸に、未だ魘されている吹雪の頭を撫でる。彼にしては優しくあったそれも、吹雪の意識を覚醒させるには充分の刺激となったらしい。吹雪は苦しげな声を出しつつも、ゆっくりと目を開けた。
「……あれ、私……?」
「あ、目が覚めたか吹雪?」
吹雪が目を覚まし、横島と視線を交わしてたっぷり十数秒。吹雪は現在の自分の状況を確認し、上体をガバっと起こして膝枕の状態から脱した。
「すすす、すみません司令官!! わ、私、いつの間にか気を失ってて!! 司令官にご迷惑を……!! ……それから白雪ちゃんはどうなったんですか!? 叢雲ちゃんは!? まさか、撃沈――」
「あー分かった分かった!! 混乱してるのは分かったからまずは落ち着いてくれ!! はい、深呼吸!!」
勢い良く詰め寄ってくる吹雪の圧力に押されながらも、横島は吹雪を何とか落ち着けようとする。吹雪は司令官の言葉に忠実なのが幸いしたのか、横島の言う通りに深呼吸し、徐々にではあるが気を落ち着けていく。
「さて、結論から言うけど2人は大丈夫だよ。叢雲は中破しちゃったけど、敵の主力艦隊はぶっ潰したし、新しい艦娘も見つけたからさ」
「……そうですか、良かったぁ……」
横島の話を聞き、吹雪は涙ぐみながら安堵の息を吐く。しかし、それもほんの一瞬。吹雪は横島に向き直り、深々と頭を下げる。2人とも座っていることから、それは土下座にも見えた。
「お、おい吹雪……?」
「本当に申し訳ありません司令官! 本来なら私は司令官の補佐をしなければいけないのに、2人が沈んだと思ったら失神してしまって……!! 司令官が秘書艦に選んでくれたのに、私は、こんな……!!」
吹雪は頭を上げず、つまりながらも横島に謝罪の言葉を述べていく。秘書艦に抜擢され、横島の補佐をしていき、立派な鎮守府を作っていこうと夢を抱いていた吹雪だ。理想と現実の自分の違いに心が折れかけているのだろう。
それを見る横島はそれはもう取り乱している。何せ可愛い女の子にここまでのことをさせてしまっているのだ。横島は混乱からどうしたらいいのか分からず、彼までもが涙を浮かべてしまう。
――いや、落ち着け!! クールだ!! クールになれ横島忠夫!!
横島は内心で叫ぶ。叫ぶクールさなどあろうはずもないが、それでもその言葉を出すことは、冷静さを意識することに繋がった。そして彼に浮かんだ思い。それは『お互い様』というものだった。横島は吹雪の上体を何とか上げさせ、視線を合わせて語りかける。
「……そう、だな。確かに吹雪が失神しちゃって、この先大丈夫なのかとも思ったけど……」
「……っ」
「けど、それはまあ、お互い様というか。元はといえば俺が叢雲達をちゃんと説得しなかったのが悪いわけだし……」
横島は内心を偽ることをしなかった。吹雪は融通が利かないとまで言われるほどに真面目な艦娘だ。ただ慰めるだけより、ただ気にするなと言うより、悪い所は悪いとはっきり示すことの方が良いのだと判断した。
「俺が吹雪も出撃させていればこんなことにはならなかっただろうし、1回目の戦闘終了時に帰還させていれば、ってのも考えられるし……まあ、今更なことなんだけどさ。他にも叢雲や白雪の戦闘に対する認識も甘かったってのもあるし……」
横島は自分達のどこが悪かったのかを挙げていく。要は吹雪だけでなく、皆にも悪い所はあったのだと言いたいのだ。やはり横島は女の子には甘い。もし相手が男だった場合、自分の悪い所は白雪に言った通り大きな棚にぶち上げ、ネチネチと小言を言いまくったことだろう。
吹雪は横島の言葉を聞き、頷く。彼女は真面目な性格だ。悪い所が分かったのならば、それを直そうと努力していくだろう。
「俺達はさ、やっぱり色々とダメな部分が多いんだよな。今回の出撃でそれが分かったし、これから本腰入れて頑張っていかねーと……」
「……はい」
神妙に頷く吹雪の頭を横島は優しく撫でる。何だか吹雪の頭を撫でてばかりだ。横島はそう思いつつもやめられない。吹雪の髪の質感が気持ちいいのだ。
「……あの、司令官そろそろ……」
「あ、ごめん」
撫でられるがままとなっていた吹雪の頬は真っ赤に染まっている。嫌がっているわけではないようだが、純粋に恥ずかしいようだ。横島の手が離れた後も吹雪は真っ赤な顔を俯かせ、沈黙を続ける。それが何か妙な雰囲気を発生させ、何やら横島も気まずい気持ちが溢れてきた。
『――司令官、聞こえるー?』
「……っ! お、おう、何だ叢雲ー?」
そんな微妙な雰囲気が漂う空間に、叢雲からの通信が割り込んできた。
『ん? 何かあったの? 慌ててるみたいだけど……』
「ああ、いや、ちょっとまったりしてた時に急に通信が来たから、ちょっと驚いたんだよ」
『そうなの? まあ何でもいいけど……それより、もうすぐ鎮守府に戻るわ。補給と入渠の準備、お願いね』
「おお、了解。鎮守府に帰って休むまでが出撃だからな、気を付けて帰って来いよ」
『遠足じゃないんだから……。分かってる、流石にそこまで無様を曝す叢雲様じゃないわ。それじゃ、また後で』
プツリと通信が切れる。叢雲も少々落ち込んではいるようだが、それでもその自信は失っていない様子。そんな叢雲の姿を見た吹雪は、ぐっと唇を引き結ぶと、両頬をパンと叩き、気合を入れていた。
「お姉ちゃんがいつまでも落ち込んでちゃダメ……。叢雲ちゃん達に負けないように、頑張らなくちゃ!」
どうやら吹雪の中で折り合いはついたようである。むんと両手に力を入れる姿は可愛らしい。両頬に真っ赤な手形があり、目に涙を浮かべている所がそれを助長させる。力加減を間違えたようだ。
「何か、話してる間に結構な時間が経ってたんだな」
「そうですね。1番近い海域とはいえ、もう帰還するみたいですし」
横島は立ち上がり、吹雪に手を差し出す。吹雪はその手をきょとんとした表情で見た後、慌てたように手を制服で拭い、少し申し訳無さそうに横島の手を取り、立ち上がった。吹雪はその横島の手をぼんやりと見つめる。こうして支えてもらうのではなく、これからは自分がこうやって支えるのだと。吹雪は決意を新たにする。
「司令官、私、頑張ります!!」
「うん? ……おう、何か良く分からんが頑張れ!!」
横島は燃える吹雪の宣言に、何をどう頑張るのか分からないままに応援をする。吹雪が頑張ると言っているのだ。その内容が分からなくても、可愛い女の子を応援するのは横島にとって当たり前の事。
横島は吹雪の柔らかな手の感触を堪能しつつ、表面上は真剣な顔で頷いて見せた。
「それじゃあ、行きましょう司令官!! 白雪ちゃんと、叢雲ちゃんと、新しい艦娘の子を迎えに!!」
「おう、行こうか」
吹雪は横島を先導して走り出す。目指すは港だ。横島は吹雪が手を離さないことに驚き、バランスを崩しかけるも何とか追走し、横並びになる。そんな横島の姿に、吹雪は嬉しそうに笑みを浮かべる。
今は失敗を繰り返しても、こうして手を取り合い、司令官と並んで成長していく。そう考えると、吹雪は胸の奥から何か熱い感情が湧き上がるのを感じた。
横島は吹雪の思いに気付いていない。ただ、吹雪が嬉しそうに笑っている姿を見て、自分も釣られて笑みを浮かべる。
今は2人だが、次は白雪と、その次は叢雲と、そのまた次は電と――。そうやって、皆と手を取り合い、笑い合って進んでいこう。
いつか、世界の海を取り戻す為に。
「俺達の“艦隊これくしょん”は、これからだ――――!!」
横島は、自分でもわけが分からない程にまで上昇したテンションが命じるままにそう叫んだ。
第六話
『俺達の戦いは、これからだ!!』
~了~
ご愛読ありがとうございました!!
煩悩日和第七話にご期待ください!!
そういえば限定グラが1番多いのって曙なんですよね。(急激なクールダウン)
運営さんのお気に入りなのかな?