高一、春。
千葉に来て四年が経つ。
地元は埼玉で小学校の時の友達とは今でも会ったりもする、ホントたまにだけど。
中学で三年間千葉に染まりお陰様でマリーンズも好きになれた。
土地柄埼玉には無い潮風が吹く千葉が好き。だから高校進学もこのエリア、海浜幕張か総武で迷った。
総武に行く友達は居なかったんだよね...何故か...でもまぁ...
総武の方が家も近いし生活しやすいし。新しい環境に溶け込むの苦手だけど...
___________
pipipi...pipipi...pipipi...
「......んっ...」
pipipipipipiPIPIPIPIPIPIPIPIPI!!!
「うわっ!!」
初日からやってしまった...汗
両親は共働き、やっぱり緊張して寝れなかったのが仇に...汗
真新しい総武の制服に身を纏いバッチリ寝癖でキメた髪を靡かせダッシュ開始。
初日の醜態やばぃぃっ汗
高台にそびえる実家の周りは階段と曲がり角のオンパレード。ハイカットのコンバースのソールを焦がしながら走る。
今日に限って出会い頭なんてそんな事は起きないっ?起きるっ?大丈夫っきっと!
「「ドンッ!」」
「ぅぁっ!!!」
『っつ......』
ブロック塀の続く緩いカーブ、T字路に差し掛かった死角から
水色の長い髪を靡かせていたであろう僕より背の高い女の子
同じく真新しい総武校の制服を着込んだその子が飛び出して来た、事を確認し避ける間も無く不慮の接触が起きてしまった。
「あ、あの...ごめんなさいっ!遅刻しそうで急いでてっ今日初登校日でっ大丈夫ですかっ!」
『あ、あれ、そうなんだ。うん。私は大丈夫。それよりそっち血が出てるよ。とりあえず急ごっか、私も初登校日だから。』
緊張して外傷なんて気付かないくらいに焦ってしまっていた。女の子は割りと落ち着いていて、怪我もしていないみたい。逆にこっちの気遣いまでしてくれている。ん?でも、初登校日が同じ...制服も総武...
「えっあっ...そのっ!総武ですか!?1年?!」
『そうそう、とりあえず説明と手当ては後回し。行こっ。二人して遅刻しちゃうから。』
凄く頼れる、失礼かな。″冷静″な対応、アタフタしてしまった僕の手を引いてその子は走り始めた。
髪...長いなぁ...足長い......足速い速いっ!
『もうちょっとだよっほら、見えてきた。』
カモシカのような彼女の脚はスカートが捲り上がらんばりにアスファルトを蹴り上げ後ろ髪を靡かせる。
歩幅が合わないっ...!
『はぁ。とーちゃく、お疲れ。』
「ぜぇ...ぜぇ...はぁ...っ...うん...間に合った......良かった...」
________________
校内に無事ゴールインした二人は少しゆっくり目で校庭を歩く。
『まずクラス票見よう。一旦教室に行ってから体育館、そのあとアンタは保健室だよ。』
「う...うん...そうだね。」
息切れの回復まで時間がまだかかってしまいそう...
クラス票の場所までテクテクとその子に付いていく。校舎には新入生が教室内に収まっている様子が校庭から伺える。
『えっと、......私C組だ。』
「......んっと...。僕は、あっC組っ一緒だっ」
『よし、なら一緒に行こう。脚平気?ほら。』
少し乱れた水色の髪を耳で描き上げ膝をはたいてくれる。
「あっうん。大丈夫、我慢する。ありがとう」
『よし、良い子。行こう。』
寝癖頭をポンッと撫でてその子は少し笑っていた。
「あっその、僕は○○。君は?」
『私は川崎沙希、よろしくね○○』