水色デイズ   作:パントマイム

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いじわるしないで。

新入生、全クラスがハンガー着艦と共に総武高校の入学式が始まる。

 

木の匂いや革の匂い、ゴムの匂いが入り交じる空間。

 

辺りを見渡すと天井がとても高くて中学校の体育館とは比べ物にならない位広い。

 

暗幕で良く見えないけど人もいっぱい居そう。なんか緊張してきたよぉ...

 

 

戸「っべ~これは暗いでしょ~っ☆シアター始まっちゃうわ~♪」

 

 

三『あーしジェットプールみたーいっ♪』

 

 

戸「あんなダメダメヒーローダメでしょ~♪」

 

 

三『戸部が言うなしっw』

 

 

なんか戸部くんも三浦さんも全然緊張してないし...楽しんでるし...

 

 

 

 

 

 

『緊張してる?』

 

 

 

 

 

 

薄暗い館内、暫く喋らずに居ると僕にだけに聴こえる声でその唇が僕の耳に微かに触れる。

 

 

「ちょ...ちょっと...川崎さん...やめてよ...緊張なんて...してない...」

 

 

とても恥ずかしくて...驚く声を押し殺すように小さな声で答える。

 

 

 

『終わるまでちゃんと私が隣に居てあげる。居なくなったりしないから。』

 

 

 

俯き小さく頷く。

 

 

 

「耳...くすぐったい.........バカッ」

 

 

 

『唇...当たっちゃった...?』

 

 

 

耳元で放たれたその言葉には吐息が混じっていた。

 

 

真っ赤に染まった僕の顔を覗き込むと彼女がクスッと笑う。

 

 

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『C組、川崎、○○は居るか?』

 

 

沙『はい、遅れてすいません。』

 

 

「居ます...お、遅れてごめんなさい...」

 

 

『良し、とりあえず居るなら構わん。が、今後は気を付けたまえ。』

 

 

初日から怒られちゃった...担任の先生...なのかな...

 

 

『ん?○○。私が怖いか?そんなに怯えないでくれ。』

 

 

「え...」

 

 

恐る恐る顔を上げると先生は僕の両頬を撫でニッコリと笑ってみせる。

 

 

「うぅ...頬っぺた離してくださいっ先生...」

 

 

ほんのりタバコの匂いを漂わせた先生は僕の要求に悪戯な笑みで応えた。

 

 

 

 

『川崎、○○、私はC組担任の平塚静だ、宜しくな。二人とも今日は後ろで構わない、そのまま式に参加したまえ。ではまた後でな。』

 

 

颯爽登場。僕のほっぺを弄くり担任宣言。長い黒髪を靡かせ前列へ去っていく。

 

 

 

 

先生が去ったあと三浦さんが振り向いて頬っぺたに手を伸ばしてくる。

 

 

三『あーしも良い♪?』

 

 

「もー、ダメだってばぁ」

 

 

断るのわかってて言わないでよぉ。

 

 

戸「○○くん、俺負けねーからっ♪」

 

 

「え?な、何に負けないの?」

 

 

戸「先生の心まで掴むなんて憎いわ~♪」

 

 

「二人とも茶化さないで前向いてよぉ...シーッ...」

 

 

 

ヘラ顔の二人の背中を押し列の乱れを力いっぱい修正する。

 

はぁ...もぅ顔が熱いっ...

 

 

 

沙『○○、″また″赤くなってるよw』

 

 

「もぉ...いじわるいわないでょ...」

 

 

″じゃあ″と呟くと同時に僕の耳元に水色の髪が流れ込む。

 

ゼロ時間の様な一瞬がゆっくり進む。

 

そしてそれは決して前の二人には聴こえない声。

 

 

 

『優しくしてほしい...?』

 

 

 

覚えたての唇の感触、先程の微かな感触は上書きされ吐く息で擽るように彼女が問う。

 

 

 

「ふ...ぁ...っ.........ぅんっ...」

 

 

 

耳元に押し付ける彼女の唇の感触と吐息に声が震え、鼓動が強く鳴り続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『沙希って呼んでくれたらね。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...っ......沙...希............いじわるしないで......」

 

 

 

 

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