魔法絶対失敗するウーマン&圧政者絶対殺すマン 作:デトロイト
あぁ何と今日は朗らかな一日だろうか。空は晴天、風は穏やかに木々を揺らし、草花は爽やかな香りをその風に乗せどこまでも広げてゆく。今日、魔法使い達に召喚される使い魔達は自身がこの上ない幸福な日に呼ばれ、使役する喜びに身を震わせる事だろう。そんな日に魔法使いとして華々しいスタートを切るであろう少女こそ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。通称ゼロのルイズ。何でも、行う魔法全てが失敗に終わるからゼロのルイズだとか。そんな彼女は当然召喚魔法もうまくいかず、夢であった使い魔を呼ぶことすらなく召喚の儀は終わろうとしていた。しかし、ルイズが杖を振るうと同時に突如として起こった爆発から事態は急変する。
砂埃が舞い、その場にいた全ての人物が服の袖やローブで顔を覆い一刻も早くこの砂埃が風に飛ばされ、晴れることを願っていた。勿論それを起こした張本人であるルイズもその一人であった。しかし、彼女の胸中にはそれとは別にある一つの確信を抱いていた。爆発により粉じんが舞う瞬間、彼女の両の目は捉えていたのだ。一瞬ではあったが、あの爆発の中心にはここにいる誰かではなく、自らが呼んだであろう使い魔の姿を捕えていた。何という奇跡だろうか。今の今まで魔法を失敗し続けて来たのは今日この時の為だったのだ。そんな事を思う彼女ははやる気持ちを抑え、爆発の中心地へと向かう。今日の為に着て来たいつもより高めのシャツやローブが舞い上がった砂に汚れることもおかまいなしに、彼女は爆発の中心地へたどり着く。彼女は足元を目を凝らしてみるが何もいない、自分が呼んだのは獣類ではなく鳥や浮遊する類の生物なのだろうかと思い、顔を上げるとその目の前にいたのは自分よりも見上げる程背が高く、拘束具を身に纏い、不気味に笑う大男だった。
「ヒッ」
ルイズはそう悲鳴を上げると後ずさりし、小石に躓き尻餅をついた。あれだけ舞っていた砂埃は晴れていき、ルイズが起こした爆発に文句の一つでも言ってやろうと数人の少年少女達がルイズの元へ集まろうとした時であった。砂埃の中から現れた不気味な大男とその足元で這っているルイズ。あまりにも背徳的かつ有りえない光景に多くの少年少女達は状況が飲み込めないでいた。
「ミス・ヴァリエール。大丈夫ですか」
そうルイズに声を掛け、彼女の元にやって来たのはルイズ達の教師であるコルベールである。この状況で誰よりも早く行動出来たのは、彼が冷静であろうと努めた結果なのかそれとも年の功かは定かではないが、ルイズは自分が知っている人物が現れたことで幾分冷静さを取り戻しつつあった。彼女は直ぐに立ち上がりパンパンとお尻を軽くはたき汚れを落とす。そして、自身の目の前に現れた男を見る。男は何も言わずにやにやと不敵な笑みを浮かべたまま彼女の前に佇んでいる。ルイズは万が一の可能性を考え男の周りを見るが彼の周りに使い魔らしき生物は存在しなかった。
「ミスタ・コルベール!召喚の儀をもう一度やらせて下さい!これは何かの手違いです」
ルイズはこの結果に納得できず思わず声を荒げて教師であるコルベールに異議を申し立てた。コルベールは少し困った風に顔を歪ませ、ルイズの訴えを下げた。
「ミス・ヴァリエール。召喚の儀とは、魔法使いにとって非常に重要な儀式であり伝統です。貴方の言い分は十分に理解できますが、こうなってしまった以上もはや変えることは出来ません」
激昂するルイズとは対照的に落ち着いた声のコルベールに諭されルイズは納得していないながらも、何とか目の前の事態を受け入れようと善処はしていた。ルイズは男の前に立ち、男の顔を見上げる。
「-----?」
男はルイズに向け何かを言葉を話すが、ルイズや周りの人物からは何といっているのか皆目見当もつかない。ルイズは考える事は後回しにし、男の手を取った。コントラクト・サーヴァントの契約を交わす為には使い魔との接吻が必要だが、ルイズと男との身長差は彼女が背伸びをした所で届く訳でもなかったため手の甲にしようという彼女なりの配慮のつもりであった。コルベールは、ひとまずは安全だと判断し彼女の元を離れる。
「私にこんな真似させるんだから、死ぬまで尽くしなさいよね。駄犬」
ルイズはキスの直前そんな事を呟いたが、その呟きは囃し立てる他の生徒達の声にかき消された。ルイズの唇が男の武骨な手に触れ、男の体が一瞬淡く輝いたかと思うとルイズがキスをして左手の甲に契約の証であるルーンが浮かび上がる。
「ふん!これからは粉骨砕身、私に使える事ね!」
ルイズは腕を組み、そう強がって見せた。例え今まで魔法が使えなくとも、人間を使い魔としたとしても、召喚の儀は成功したという事は自分にはまだ可能性があるのだ。そう思えるだけでも今日はそれなりに良い日だとルイズは思った。それに自分に相応しい人物が呼ばれたのだとしたら、もしかすればこの男はどこぞの名のある剣士や魔法使いなのかもしれない。もしそうなら今自分を馬鹿にしているあいつらは手のひらを返した様に羨望の眼差しを向けるかもしれない。そんな思いがルイズの心を飛び交っていた。男は左手のルーンを1度見ると始めて動き出し、頭を下げてルイズの顔を正面から見つめる。一度も笑顔を崩さない男に底知れない恐ろしさを感じながらもルイズは、負けじと睨み返す。
「何よ、その顔。これからあんたは私の使い魔よ。それなりに敬意を払う必要があるんだから」
ルイズがそういうと男はさらに口角を上げ、右腕を掲げた。ルイズはこれがこの男なりの誠意の見せ方なのだろうかと思っていると男は急に叫び出した。
「おぉ圧政者よ!汝に愛ある死の抱擁を!」
男はいつの間にか手にしていた短剣をルイズの首筋に突き立てようと右腕を振り下ろした。ルイズが呆気にとられ自らに振り下ろされる短剣を眺めていた。短剣の切っ先がルイズの首筋に触れようとした時、ルイズの横を炎と突風が通り抜け男を包む。燃え盛る炎は男がじたばたと地面をのたうち回っても消えず、吹き荒れる突風を喰らいさらに勢いを増し続けた。
「なにやってんのよ、ルイズ。どう見たってそんな奴がまともな思考してる訳ないじゃない」
「・・・」
「タバサ、キュルケ」
ルイズはふと我に返り目の前で焼かれ苦しむ男を眺める。そして自分の首筋からツーと流れる血に触れ、事態を理解しようと努めた。使い魔とは主に仕え、その全てを捧げる存在。使い魔は召喚した主を好きになるようになり、主も又使い魔に好意を持つようになる。はずなのだ。
「あぁ圧政者、汝はいつもそうやって我に愛をくれる。あぁ堪らない」
プスプスと肉の焦げる匂いと共に炎に包まれた男は立ち上がりそう笑って見せた。自ら攻撃した筈のキュルケとタバサは只の人でありながら、笑って魔法を受けるこの男に恐怖を抱いていた。男は全身に致命傷になりえる傷を受けても、それでもなお短剣を振りかざしルイズに襲い掛かろうとする。恐怖を振り払いタバサとキュルケの二人は続けて魔法を放つ。つららが男の腕や体に突き刺さり、出来た刺し傷を炎が歪に焼き焦がす。しかし、男の歩みは止まらない。不死身。それが二人の恐怖の正体であった。例えどんな大魔法使いであろうとも体を貫かれれば苦しむ、だがこの男はその痛み苦しみを是として受け入れあまつさえそれを欲している素振りすら見せている。
二人の猛攻を受けながらも男はルイズの目の前に平然と戻って来た。恐ろしさからルイズは腰を抜かし動くことすら出来ない様でいた。男は順手に持っていた短剣を逆手に持ち替え、ルイズを押し倒し馬乗りになる。男がルイズと密着したことでタバサとキュルケの魔法が止む。
「我の愛と痛みを汝に返そう。おぉ圧政者に気高く汚れた死よあれ!」
死ぬ、ルイズが今まで生きてきた中でそう確信したのはこの時だった。喉元に当てられた短剣、少し力を加えるだけで切っ先はたやすく喉仏を切り裂き、小さなルイズの肢体は赤く染まるだろう。自分に向けられた純粋な殺意の目、一呼吸すら相手に委ねられた状況でルイズは呼吸すら忘れてまるで路肩の石を眺めるように、自分に馬乗りになる男を見ていた。
その時だった。今までうめき声すら上げなかった男が突然苦しみ始めた。頭を抑え苦しむ男の左手のルーンが光を放ちバチバチとスパークしていた。男は手放した短剣を再び手に取りルイズへ向けた。
「神よ!汝からの寵愛しかと受け取ったぁ!」
そして短剣をルイズの喉元目がけ振り下ろす。しかし、トスと力なく短剣はルイズの首筋の横数センチの地面に突き刺さった。そして男は白目を向き、口から泡を吹きながらルイズに覆いかぶさるように倒れる。
「ルイズ!」
「ミス・ヴァリエール!」
コルベールやキュルケが急いでルイズの元へ走る。完全に気を失った男をどかし下敷きになったルイズを助け出す。白かったルイズのシャツは男の血でどす黒く染まり、ルイズは放心し光の宿らないその眼は虚空を漂っていた。タバサは気を失った男を魔法で縛り上げ氷の枷で手足を固める。コルベールは混乱する生徒たちに自室に戻るように指示し、キュルケは力なく体を傾けるルイズを抱き小さく震えるルイズの手を握っていた。ルイズはうまくつながらない頭を何とか働かしてキュルケの手を借りて何とか立ち上がる。
「大丈夫、ルイズ」
「・・・えぇ何とかね。あいつはどうなったの」
「あの男ならそこで完全に伸びてるわよ。タバサがガチガチに固めてるから心配ないわ」
ルイズは痛む頭を抑えながら倒れている男の元へ行く。彼は本気で自分を殺そうと襲い掛かってきた奴だというのにルイズは不思議と彼に対して敵意を抱かなかった。使い魔との契約をする事で、主もまた使い魔に好意を抱く。この男はルイズに対して殺意を抱いていたが、ルイズはこの男を悪くは思えなかった。
「・・・ねぇタバサ、キュルケ、ミスタ・コルベール。この人を許してあげて」
「はぁ!?何言ってんの、ついに頭も可笑しくなったの」
「ミス・ヴァリエール。貴方がこれと契約を結んでこの男に好意を向けているのは分かってますが、流石に今回の事は穏便に済ませることは出来ません。使い魔が主に刃を向けるなどあってはならない事なのです」
コルベールはルイズの肩を優しく叩くとそう言った。間もなくその場に教師達が集まり、この事件は秘匿されることとなった。過去、気性の荒い魔獣を呼び出しケガを負った魔法使い達は数多くいたが、契約を結んだ使い魔が主を殺そうとする事などどんな文献にも記載されず、また人間を使い魔として呼んだケースも記されていなかった。多大なストレスを抱えたルイズを心配した学長のオスマンは、ルイズを一時休学とし、ルイズの使い魔として契約した男を徹底的に調べ上げた。
「では、始めから聞くがね。生まれは?」
「・・・」
「年は?」
「・・・」
「なぜヴァリエール君を襲ったのかね」
「圧政者には相応しき末路を」
「彼女は政治的指示をするような立場の人間では無いと思うのだがね」
「執政者であるかなど、些事でしかない。他者を強いる者全てが圧政者であり、全ての圧政者は華々しく死するべきである」
「はぁ、また聞くがね、お主本当に只の人間?体中焼かれて氷で貫かれたのに生きてる人間なんて儂初めて見るんだけど」
「我は英雄の座より召喚に応じ、現れただけ。我が肉体は只々圧政者を殺すことのみを欲している」
「これじゃ話にならんな。所でどうじゃお主、お前さんの主はお主を許すとゆうておるそうな。お主が首を縦に振ってくれれば縛を解いてやらん事もないぞ」
男はニィと笑い首を横に振る。
「あの女に会わせてもらえるのならば考えよう」
「そ、そりゃぁ難儀な話しじゃのう。いくらミス・ヴァリエールがお主を許しておるからというて、ミス・ヴァリエールを殺しにかかったお主と合わせるとなるとなぁ。ん、なんじゃミス・ロングビル。おぉもう手筈が整うておるとは流石、胸の大きさと仕事の出来は比例するのぅ」
ギギィと幽閉牢の扉を開き、ルイズが中に入る。ルイズの服装はあの日来ていた血に染まったシャツを着ていた。男から話を聞き出そうとしていたオスマンは蓄えた顎髭をさすりながら用心する。今は魔法で男をガチガチに縛り上げているが、この男が本当にそれで止めれているかは謎だ。ルイズは男の前に立つと男の頬を叩いた。乾いた音と共に男はギラついた眼でルイズを見つめる。
「これでお相子よ。あー痛かった、もう縄を解いてもいいわ」
「・・えぇ。ミス・ヴァリエールそんなんでいいのかの」
「もういいです、オスマン学院長。彼を離してください」
呆れ顔のオスマンが杖を振ると男を縛り上げていた縄と錠が次々と解けていく。男は縛が解けると直ぐにルイズに飛びかかる。しかし、男がルイズに触れる前に左手のルーンが輝き途端に男はあの時と同じように苦しみ始める。暫く悶えた男は不思議そうに左手のルーンを眺め、初めて感情を露わにした。
「私に何をしたぁ!」
「・・・分からないわ。でも、なんでだろ私の直感が教えてくれてる。そのルーンのお蔭でアンタは私を傷つけられない」
ルイズがそう告げると同時に男は躊躇いなく自身の左手に噛みつきそのルーンを皮膚ごとはぎ取ろうとするが、ルーンは不思議な力により守られバチバチと音を立てるのみであった。男は親の仇の様にルイズを睨み、再びルイズに襲い掛かろうとするが、ルーンによりその行いは全て未然に防がれた。
「あの時は、契約の力でアンタを嫌いになれなかったのかもしれない。けど、時間が経って色々と考えて分かった気がする。私はアンタが知りたい、アンタがどうして私を圧政者って呼んだのか、どうして圧政者をそうまでして憎むのか。アンタの事が何もわからない、だから知りたいのよ。私はアンタを使い魔なんて呼ばない、だからアンタの名前を教えてくれるかしら」
ルイズは男の目の前に膝をつくと地面を這うその手で優しく顔を撫でた。男の顔から僅かに険が取れ、再びあの嫌らしい笑顔に戻る。
「バーサーカー、スパルタクス。好きに呼ぶがいい、我がマスターよ」
「スパルタクス、だけだと少し呼びずらいわよね。スパルティとかどうかしら。まぁそれもその内考えてけばいいわね。さ、行くわよ。私の横に立つんだから半裸は止めてよね」
男は今までの事など何もなかったかのようにスッと立ち上がりルイズを見下ろした。ルイズはフンと鼻を鳴らして誇らしげにスパルタクスを見上げると、彼を連れて幽閉牢を出ていった。後に残されたオスマンと牢の外で待機していたミス・ロングビルはお互いに顔を見合わせると不安そうに廊下を歩いていく二人を見つめていた。オスマンは懐からパイプを取りだすと、それを吹かす。いつもはロングビルが止める所だが、あの男がオスマンに取ってどれだけ悩みの種になっているのを彼女は知っている為、今回だけは見逃すこととした。オスマンはぷかぁと煙を輪の様に吐き出して、絞り出すように言った。
「雨降って地固まる、って所かの。最もあの男だと血の雨が降りそうじゃが」
「・・・同意です」
大男を連れて血まみれのシャツを着ているルイズが悪いのだが、いい加減に周囲からの奇異の視線に耐えかねたルイズは、メイドの一人にカーテンの布を持って来させるとそれをスパルタクスに被せた。しかし、スパルタクスが動く度に被ったカーテンの隙間から、彼の筋骨隆々な体がちらちらと顔を覗かせ返って周りからの注目を集めるようになった。幽閉牢ではああやって大見栄を切ったが、やはりルイズも年頃の女の子である。恥ずかしい物は恥ずかしいのだ。ルイズはスパルタクスにまともな服を着せる為腐れ縁のキュルケの部屋へ行く。
「アンタが変わり者だと薄々思ってたけど、こうまで来ると呆れて物も言えないわね」
胸元が肌蹴たシャツのキュルケはスパルタスクを連れて入室したルイズを見てそう言った。
「あの時アンタが私を助けてくれたお蔭で、私の中でのアンタの好感度はもう打ち止めレベルよ。悪いけど、彼に合うような服とか持ってないかしら。アンタ程男をとっかえひっかえしてるんなら、彼に合う服もどっかにあるんじゃない?」
「あら、意外と好感度が高くて嬉しいわね。そこの彼に合うほど大柄な服は流石に無いわね。どうしてもっていうなら知り合いにどデカい服ばっか作ってる仕立屋がいるから、お願いしてみようかしら」
「お願いね、キュルケ。ほら、キュルケがアンタに似合う服を仕立ててくれるんだからお礼でも言いなさいよ」
スパルタスクはキュルケの前に膝を付き軽く頭を下げた。
「あら、思ったより紳士的なのね。それによく見ればな中々にイケメンな気もするわ。今晩どうかしら?」
いつもの様にキュルケの悪い癖が出て、キュルケはスパルタクスを誘惑する。しかし、色仕掛けに動じる程彼は弱くなく、スパルタクスはルイズに連れられ自室に戻る。自室に戻ると、スパルタクスはカーテンを脱ぎルイズに自らの肉体美をさらけ出す。ルイズはベットに座り、まじまじとスパルタクスを眺める。
「で、どうしてアンタは圧政者を恨むのよ」
「私の事は名前で呼ぶのではなかったのかな、マスター」
「全然いい名前が思いつかなかったから、暫くはアンタかバーサーカーって呼ぶわ。で、結局私の問いに対する答えは何なのかしら」
「?。反逆するのに理由が必要なのか?人が生きる為には水と空気が必要な様に、私が生きるためには苦難が必要なのだ。だから私は反逆する、圧政者とは即ち、強者だからだ。圧政者から与えられる苦痛は愛となり、我が体を駆け巡る。その時、私は神からの寵愛を感じるのだ」
まるで母に話す時の様に爛々と目を輝かせそう話すスパルタクスにルイズは何と答えて良いのか分からず、ははと愛想笑いで答えた。ずいとスパルタクスはルイズの前に顔を持って行き、顔を真っ直ぐに見据えて話した。
「今までの者達の言動から見るに、マスターは何やら特殊な立場におり、虐げられていると見受けられるが、間違っているかな?」
「うっ痛いとこ付くわね。そうよ、私は魔法使いなのに魔法の使えないゼロのルイズ。でも、今私を笑ってる奴らもその内地べたに這い蹲らせてやるわ。なんたってアンタを呼んだって事は私にも才能はあるってことの証明に他ならないんだからね」
「いいぞ、その精神、心意気。自らを虐げる者への反骨こそ、人生の誉れ。我がマスターよ、流石である」
今までの様な嫌らしい笑みではなく、純粋な笑顔でスパルタクスはルイズへ微笑んだ。ルイズはその時感じたのだった。なぜこいつの事が知りたくなったのかを。こいつは自ら望んでではあるが常に自分を虐げる存在と戦い続けていたのだ。家、姉、親友、学友、ルイズの周りでは常にルイズよりも優秀な者達がいた。その中でルイズは絶えず戦い続けて来たのだ。自分の弱さを知っているからこそ、自身を磨き常に優秀たろうとしていた。その土俵は違えどルイズとスパルタクスは同じ境遇だったのだ。同類を感じるシンパシーなのかどうかは分からないが、スパルタクスも又ルイズに対し自身と同じ匂いを感じ取っていた。
「はぁ今日は疲れたわね。態々シエスタに頼んでこのシャツ洗わないで置いたのよ。もう酷い匂い、直ぐにでもお風呂に入りたいわね。どうせ明日も休学期間だし、今日は早めにお風呂に入ろうかしら。アンタも一緒にどうかしら」
「ほほぅここにも風呂があるとは、是非とも入らせてもらう」
言うが早いか、スパルタスクは全身を包む拘束具の留め具を外し、残すは腰蓑1枚となり、スパルタクスはその1枚に指を掛けた。ルイズはキャーキャーと叫び、口頭で風呂の場所を伝えると、彼は直ぐにそこへ向かう。ふうと一息ついたルイズはあることに気付き、自身もすぐに支度し彼の後を追った。先ほど伝えた風呂の場所は男性用の風呂だ。あの反逆精神に満ち満ちている男が、貴族のボンボン達ばかりの風呂へ行けば即風呂場は血だまりに変わるだろう。そうならないために直ぐにあの男を捕まえて、個人用の風呂へ連れて行かなければならない。既に外では、おそらく全裸の彼を見た女生徒たちの歓声交じりの悲鳴が轟いている。ルイズは、はしたなく部屋の扉をバンと閉め、この後彼を探す為学園中を走り回ることとなるのであった。
バーサーカー
真明:スパルタクス
属性:中立・中庸
好きな物:逆転
嫌いな物:一切の反撃を許さない波状攻撃
天敵:圧政者
マスター:ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
筋力:A
耐久:EX
敏捷:D
魔力:E
幸運:D
宝具:B+
スキル
狂化:EX
被虐の誉れ:A
不屈の闘志:A