三国時代にやって来た男   作:シャト6

3 / 5
第3話

「あ~悪い。少し道を聞きたいんだが」

 

「はい?」

 

「道を訪ねたいんですが。近くの町か村には、どうやって行けばいいですかね?」

 

俺は近くに偶々いた女性に話しかけた。だって、このまま迷子は嫌だし、やっぱこの世界の住人に話を聞くのが一番手っ取り早いしさ。

 

「そうですね…この道をまっすぐ行って、左右に別れてる道がありますので、そこを左に行けば、孫家がおさめてる呉に到着します」

 

「そうですか。ご丁寧にありがとうございます」

 

「いえ、道中お気を付けて」

 

「そちらもお気を付けて」

 

道を聞いた人と別れ、俺は教えられた道順を歩いていく。そしてようやく町が見えたのだ。

 

「あれが呉か。何にせよ、転生早々死ななくてよかったよかった」

 

町を見て安堵の表情を浮かべた俺は悪くない。で、町に入ってみると、中々賑わっていた。

 

「へ~、昔見た時代劇の世界に来たって感じだな。建物の感じはまるっきり違うけど」

 

人通りが多く、店も多くあった。すると、いい匂いがしてきた。

 

「…いい匂いだな~」

 

匂いを嗅いだ瞬間、俺の腹が悲鳴をあげた。

 

「そういえば腹減ったな。ここに来てから、まだ何にも食ってなかったな」

 

とはいうものの、残念ながらこの世界の通貨を持っていない。

 

「…まずは、仕事探さないとな」

 

そうボヤきながら歩いてると、1軒の店に人だかりが出来ていた。

 

「なんだ?」

 

気になり見に行くと、店内で男が女に剣を向けていた。

 

「テメェ!もっぺん言ってみろ!!」

 

「だ~か~ら~、私より弱いあんたに着いていくわけないでしょ」

 

「この女~!」

 

ピンクの髪に褐色肌の女が、酔っぱらいながら男にそう言い放つ。

 

「おいおい、酔っ払っててえらい強気だなあの女」

 

「全くだ」

 

野次馬連中がそう言う。しかし…

 

(…強いなあの女。酔ってても全く隙がない)

 

俺は、あの女から出てる気を感じる。だが、男の方はそれに気が付いてないな。その時点で、男が女に勝てるはずないのは事実だな。

 

「もう、めんどくさいわね」

 

「ふざけんな!!」

 

男は持ってた剣を抜く。おいおい、流石にそれはマズいぞ。

 

「投影・開始」

 

俺は刀を一本作る。これで万が一があっても対処できる。

 

「あら、自分の言う通りにならなければ、今度は力づくってこと?」

 

「そんなのはもうどうでもいい!!俺を馬鹿にした事後悔させてやる!!」

 

男は女に斬りかかる。が、そうは問屋が卸さないってね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガキン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

『!?』

 

俺は先程投影した刀で男が振り下ろした剣を受け止める。

 

「オイタはそこまでだ」

 

「邪魔すんな!!」

 

「別に邪魔してなんかいない。ただ、お前が一方的にこの女にちょっかい出してただけだろ」

 

「ぐぬぬ…」

 

男は図星を言われ黙る。さて、これ以上相手をするのも面倒だし、さっさと終わらせるか。

 

「紅葉切り!」

 

俺は素早く移動し、男の背後に立つ。刀を鞘におさめると、男はそのまま気絶し倒れた。

 

「へぇ…」

 

その時、女が俺の事を何か企みながら見てた事に気が付かなかった。

 

「さて、見た感じ怪我はなさそうだな」

 

「ええ、おかげさまで」

 

「なら、俺は行かせておらう」

 

そう言い残いし店を出て行こうとする。しかし、俺の腕に女が抱き着いて移動できない。

 

「…離れてくれ」

 

「ちょっと待ってよ。折角助けてもらったんだし、お礼くらいさせてよ」

 

「しかしな~」

 

そう言った瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グゥ~…

 

 

 

 

 

 

 

俺の腹が豪快に鳴いたのであった。俺はあまりの事に顔を赤くする。

 

「あら?貴方お腹が空いてるの?だったら、ウチで食べて行って!」

 

そして女は俺の返事も聞かず、そのまま何処かに連れて行く。で、やって来たのはこの場所を仕切っている王が住んでる館。

 

「えっと…」

 

「さ、入って入って」

 

女は俺をそのまま中へ入れ、ある場所に連れて来た。それは台所だ。

 

「祭~」

 

祭と呼ばれる女が台所にいた。

 

祭「雪蓮殿!!今まで何処におられた!!冥琳が探してましたよ」

 

雪蓮「やっば…」

 

雪蓮と呼ばれる女の顔が一気に青くなる。

 

祭「ところで、後ろにいるのは誰じゃ?」

 

雪蓮「おっとそうだった。私が町で飲んでた時に助けてくれてね。お腹空いてるみたいだったから連れて来たの」

 

「ども」

 

あれだよな。このパターンってもしかして…

 

「騒がしいと思ったら雪蓮、帰ってたのか」

 

雪蓮「お母様」

 

えっ!?お母様!!?って事は、この人はこの国で一番偉い王の妻で、助けた奴はその娘って事!!!?マジかよ!!!

 

「ん?そいつは?」

 

祭「町で襲われたところを助けてもらったそうじゃ堅殿」

 

「そうか」

 

すると、女は俺の前にやって来る。

 

「娘が世話になったみたいだな。礼を言う」

 

「い、いえ」

 

「俺の性は孫、名は堅、字は文台だ」

 

孫…堅…もしかして、孫文台!!?女なのかよ!!

 

「は、初めまして」

 

ヤバい…色々とありすぎて思考が追い付かん。

 

「俺…私の性は山田、名は飛翔です」

 

孫堅「ほう、字がないとは珍しいな。後、話しにくいなら普段通りに話せ。その方が楽だろ」

 

「…いいのか?悪いが敬語なんか話さないぞ」

 

孫堅「そっちの方が俺も楽だ」

 

すると、祭が俺達の会話に割って入る。

 

祭「堅殿!王がその様な振る舞いをされては困ります!!」

 

孫堅「別にいいだろ。俺が許可したんだ」

 

祭「しかし…」

 

孫堅「いいんだよ!」

 

次の瞬間、台所が物凄い空気に包まれる。

 

(なるほど。流石は呉の王だけはある。物凄い殺気だな。ってか、あんたが王だったのね)

 

祭「も、申し訳ない」

 

孫堅「気にするな。それより…飛翔」

 

「ん?」

 

孫堅「お前かなりの腕前なようだな。軽くだが俺の殺気を喰らっても物怖じしねぇとは」

 

「そうか?」

 

すると孫堅は、何か考えだす。なんだろ…碌な事じゃない気がすんのは気のせいか?誰か気のせいだって言ってくれ。

 

孫堅「おい、俺と勝負しろ」

 

はい当たりました~!!おめでとうごさいます~!!って、そんな事思ってる場合じゃない!!

 

「勝負?」

 

孫堅「そうだ。お前の実力が気になってな。だから、俺と戦え!!」

 

「…断れば」

 

孫堅「今すぐこの場でテメェの首が、胴体と分かれるだけだ」

 

それって最早強制だよな!?やれやれ仕方ない…いっちょ揉んでやるか。

 

「分かった。その勝負受けよう」

 

孫堅「そうか!なら、早速…」

 

「っとその前に!」

 

『??』

 

「戦う前に何か食わしてくれないか」

 

雪蓮「そう言えばお腹減ってたんだったわね」

 

「ああ。流石に腹減りじゃ力が出ないからな」

 

孫堅「そうか。なら祭!こいつに何か食わせてやれ」

 

そして俺は無事に飯にありつけたのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。