Angel Beats! ~expressionless boy~ 作:ヘビガラス
少女の指示通りの方向に歩いていると、
成る程、確かに銀髪がいた。
...いたのだが。
そこにいたのは、どう見ても戦争をしているようには見えない少女(幼女と表現しても良いかも知れない)だった。
てっきり完全装備しているものだと考えていたが、完全装備どころか手ぶらだった。
自分の抱いていたイメージとは全く異なり、
間違っているのではと不安になる。
だが銀髪の人間がそう沢山いるとは考えにくい。
少年は意を決して天使との対話を試みる。
「すいません、少々お伺いしたい事があるのですが、宜しいですか?」
「?...ええ、構わないわ。」
よし、どうやら話は通じそうだ。
...さて、何から質問するべきか?
相手は本当に天使なのかを聞きたいところだが、
いきなりは流石に相手も警戒してしまうだろう。
まずはこの世界について質問してみることにする。
「単刀直入にお聞きします。ここは死後の世界なのですか?」
「...ええ、そうよ」
「死後の世界だという確固たる根拠はありますか?」
「...あるわ」
「では、その根拠について教えてくだ」
「Gird skill ...Hand sonic 」
「!?...ッッ!」
な、なんだ!?
突然少女の腕から剣が生えたと思うと、
物騒なことにソレを自分の胸に突き立てようとしてきた。
一応警戒はしていたものの、あまりに唐突すぎた為に大きく体勢を崩して、辛うじて回避する。
「...すいません、少し落ち着いて頂けますか?」
「...?」
よ、よし。何とか止まってくれたようだ。
とりあえず、何か失礼な事を聞いたかどうかを振り返ってみるが、それらしきものは思い付かない。
なので、話を続けることにする。
「えっと...コレは一体何を意味しているのですか?」
「...?」
「...つまり、何故私を殺そうとなさったのですか?」
「...根拠の証明の為...なんだけど?」
あぁ...成る程。
死後の世界を証明する為に、死なない事を証明しようとしていたのですか。
せめて警告程度して頂きたかったですが、まあいいでしょう。
動きに全く躊躇いが無かっただけで十分分かりましたし。
「非常に良く分かりました。有難うございます。
ついでと言ってはなんですが、この世界について、他に何か知っていることを教えて頂けますか?」
「...?」
「例えば、この世界では死なないですよね?
これと同じように、生前の世界ではあり得ない法則についてお願いします。」
「...分かったわ。
ここでは、やり方さえ知っていれば物質を他の物質に変える事が出来るの。少し例外はあるけど。」
「成る程、ではその剣もその類いですか?」
「...そうね、近いものだと思うわ。」
何と便利な法則だ。
生前の世界の原子保存の法則が完全に破綻している。
この世界では錬金術が実現しそうだ。
...話が逸れた。戻そう。
「...あとは、そうね。
この世界は人間とそれに近いもので構成されているわ。」
「もう少し詳しくお願い出来ますか?」
「...私達と同じように、元々生きていたけど、ここに来てしまった者が人間。
そして、それ以外はこの世界に最初からいる住人よ。」
成る程、少々見分けるのは難しそうだ。覚えておこう。
......ん!?
今、この天使は「私達」と言ったか?
どういうことだ?
今目の前にいるのは戦争を繰り広げている「天使」では無いのか?
いやしかし、さっきの身のこなし方は明らかに素人ではないはず。
とりあえずは聞かないつもりだったが、計画を変更する。
「突然ですが質問させてください。
貴女は天使なんですか?」
「...違うわ。私も人間よ?」
「...質問を変更します。
貴女は現在、戦闘的活動をしていますか?」
「...ええ、しているわ。」
これは一体どういうわけだ?
目の前にいるのは、腕から剣を生やしていた少女なので、多分間違いなく戦線の敵だ。
しかし、本人は天使では無いと述べている。
...どちらかが勘違いしているのか?
だとすれば、どちらが?
初対面の印象から判断するに、目の前の少女の方が説得力がある。
「...あの」
突然少女から話し掛けられる。
「あ、はい、何でしょう?」
「もう遅いし、帰りましょう?」
「...え?どちらへ?」
「この世界にきた人は皆ここの学生なの。
だから、貴方も今日から寮で暮らすの。」
成る程、ソレもここのルールか。
「...学校についての説明は、貴方のポケットにある生徒手帳を見て。
部屋の番号とかクラスも書いてあるわ。」
あ、確かに。それらしきものが入っている。
後で読んでおこう。
「私は放課後、生徒会室にいるわ。
詳しい話はまたしましょう?」
「はい、分かりました。」
「...男子寮は向こうよ。お休みなさい。」
「...有難うございました。」
少女と別れて、男子寮に入る。
指定された部屋に入ると、既に同室の人は寝ていたようだ。
起こすのも悪いので、挨拶は朝にする。
今日はもう寝よう。
それにしても、何とも不思議な気分だ。
私は死んでいたのか...。
だが死に際を覚えていない。
それどころか生きていた記憶すら無い。
生徒手帳の名前の欄にかいてあったので、名前はわかった。
天城 諭支...
本当に自分の名前なんだろうか。
確信が持てない。
だが、今はそう名乗るしかない。
いつか必ず記憶は戻る。
その時までの辛抱だ。
いつか、そう、いつか必ず...
ついに名前を知った主人公さん。次回からは天城と表記します。
今回は天使さん初登場ということで、キャラ崩壊してないか非常に不安です。台詞を何度も書き直しました。(笑)
こんなペースではダメですね、もっと頑張ります!