Angel Beats! ~expressionless boy~   作:ヘビガラス

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三話~胎動~

...ヨシッ、昼休みだッ。

事務室に直行だッ。

 

天城は自分でも驚く程ご飯を渇望していた。

頭の中はご飯で一杯である。

その為、自然と歩行から疾走に変わっていた。

 

「はぁ、はぁ...

すいません、奨学金を頂け、はぁ、ますか?」

 

「あ、あぁ、キミ、大丈夫かい?」

 

事務員もビックリである。

まだ昼休みになって1分と経たない内に、目にも止まらぬ速度で事務室に突っ込んできたのだ。

当然の反応だろうが、天城にはどうでもよい。

ここはご飯を得るための過程に過ぎない。

 

「...(だ、大丈夫かな...)。」

 

事務員の心配を他所に、これまた食堂まで全力疾走である。

 

 

よし...遂に辿り着いたぞ!

さぁて、何を頂こうか...。

ん?服の裾を引っ張られているような気が...。

 

「...廊下は走ってはいけないわ。」

 

「た、立華さん!?」

 

そ、そうか、生徒会長だったな。

わざわざ注意しに来てくださって...

いやそうじゃなくて、いつの間に!?

 

「...約束して。もう走らない?」

 

「...はい。」

 

しまった...。私としたことが。

このような醜態を晒してしまうとは...。

 

(本人は気付いていないが、天城は走っていたのだ。

天城はかなり足の速い方だった。

その天城に立華は余裕を持って追い付いていた。

恐るべき身体能力である。)

 

「...お腹すいているんでしょ?

早く食べましょう?」

 

「...あ、はい。」

 

そうだ、早くしなければ。

もう身体は限界を遥かに越えている。

 

券売機の前で天城は少し悩んでいた。

白飯に一番合うものはどれだろう、と。

すると、隣で立華が麻婆豆腐なるものを購入していた。

 

なんだろう、麻婆豆腐とは?

食べたことが無い気がする。

いや、記憶が無いだけで、あるのかもしれない。

美味しいのだろうか...?

ええい、時間が惜しい。同じのにしよう。

食事とは冒険だッ。

 

 

...ほう、中々美味しそうな香りを放っている。

見た目が赤いのは、相当な量の香辛料のせいか。

どれ、一口...。

...

......美味しいぞ。

これはイケる!

丁度いい辛さがご飯を進ませる。

なんと素晴らしい料理だ!

立華さんは単品で食べているようだ。

ご飯追加無しとは少々勿体ない気がするが。まぁいい。

そんなことより早く食べなければッ。

 

両者共に激辛な筈の麻婆豆腐をあっという間に平らげる。

食堂中の学生が驚愕と尊敬の眼差しで見つめていた事は言うまでもない。

 

「…ご馳走さまでした。」

 

ふぅ、中々に良いものだな。

これは、他の料理も期待出来そうだな。

明日からがまた楽しみだ。

 

さて、後は午後の授業か。

お腹は膨れたし、集中できそうだ。

 

 

 

午後の授業が終了した。

午前中とは違い、時間の流れがとても早く感じた。

やはりご飯の力は偉大だ。

...あ、そう言えば、生徒会室に来るよう言われていたな。

確か、戦う理由について、だった。

これでやっと核心に近づける、というわけだ...。

 

コン、コン...

 

「...どうぞ。」

 

生徒会室を開けると、中には立華さんしかいなかった。

人払いをしたのだろうか?

 

「...来たわね。そこに掛けて。」

 

「はい。...あの」

 

「...戦っている理由ね。約束通り話すわ。」

 

「...。」

 

「...この世界にいる人は、皆何か未練があるのは知っている?」

 

「ええ、知っています。」

 

「...彼ら、〈戦線〉が私と戦っている理由も?」

 

「少しだけですが、一応は。」

 

「...そう。

私が戦っている理由は2つあるわ。」

 

「2つ...ですか?」

 

「...彼等は、生前に強い未練がある。だから、自分達のやりたいことを好き放題しているわ。

...私は生徒会長の立場の人間として、彼等を止める責務がある。」

 

「...2つ目は?」

 

「...彼等は神に復讐する事を最終的な目的としているようね。

そして私のことを神に近い存在、〈天使〉だと考えている。」

 

「ええ、そのようですね。」

 

「...だから、私と戦うことは、彼等の未練を晴らす事に繋がっていると思うの。

...でも、いつか私は彼等に伝えたい、気付かせたいの。」

 

「...何を、ですか?」

 

「...貴方達の過ごしてきた人生は、貴方達だけの大切なもの。

貴方達が考えている以上に、貴方達の人生は素晴らしかったんだって。

今は分からなくても、未練が消えればきっと気付くと信じているの。

そのためにも、彼等を正しい道に導かなくてはいけないわ。」

 

成る程...。

彼女は、彼等と戦いたいのでは無く、救ってやりたいのか。

例え己の存在を誤解され、否定されたとしても。

自己を犠牲にして、彼女は戦い続けているのか。

なんて強くて、そして、悲しい人なんだ...。

 

「...もし、もしですよ?」

 

「...?」

 

「私が貴女を支えたい、と言ったら、その戦いに私を加えてくださいますか?」

 

「...貴方にしなければならない義務は無いのよ?

...それでもいいの?」

 

「構いません。これは私の意志です。」

 

同情もある。が、しかし。

どちらかといえば、何かしたかったのだ。

私は生前の記憶が失われている。

だから、未練などは勿論、神への復讐の気持ちはほとんど無い。

そんな私だからこそ、出来る事があるのではないか。

彼女と彼等、双方の為に。

 

「...わかったわ。会長権限において特別に、今日から貴方を生徒会役員にします。

皆には私から話しておくわ。」




前半は、前回と同じご飯ネタになってしまいました。
天城は基本的に白飯と合えば何でもいけそうです(笑)
後半では、遂に決意の時が来てしまいました。
いよいよ主題なので投稿が遅くなるかもですが、
小さな脳をフル回転させて頑張ります!
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