教会───。そういえば、この学園の敷地内には何故か教会が建っている。私も予選の頃は、教会の前にある噴水広場で、焼きそばパン片手に一成とよく眼鏡談義をしたものだ。
しかし、実際に教会の中には不思議と入ろうという気が起きなかった。だから、私は教会がある事は知っていても、その中で何が行われているのかは全く知らない。
普通に考えれば、祈りを捧げていると思うのが妥当だ。だが、ここはムーンセルの電子の海の中。データ処理が当たり前のこの仮想世界で、祈りを捧げるだけ──なんてのは、正直考えられない。
きっと、そこでしか出来ない何かがある。だからこそ、アヴェンジャーはそこに行こうと言ったのだ。
───そう、具体的には、
「教会にはもう、足を運んだかね? あれはシステムの管轄外だが──サーヴァントの強化が出来るはずだ。有効だと思うなら、利用するがいい」
───こんな具合に。
階段を下りた所で、私は言峰神父と遭遇したのだ。いや、もう何度目だよってくらいの、階段移動後の遭遇率なのだが。
私はとりあえず頭を下げて、そのまま言峰神父の横を通り過ぎようとしたのだが、
「待ちたまえ」
と声を掛けられては、止まらざるを得ない。声を掛けられ、私はピタリと止まると、素直に彼へと向き合った。
「ふむ…
なるほど、だから次の階層に進めなかったのか、と納得している私に、この神父は盛大なネタバレの追い打ちを仕掛けてきたのである。
「伝えるべき事は伝えたぞ。──ああ、それと……。一つ、伝達を忘れていたようだ。教会にはもう、足を運んだかね? あれはシステムの管轄外だが──サーヴァントの強化が出来るはずだ。有効だと思うなら、利用するがいい。さあ、これで伝達事項は全てだ。存分に殺し合うがいい──」
伝達事項を伝えた彼は、さっさとどこかへ去って行った。まだ伝えていない他のマスターを探しにでも行ったのだろう。
私はといえば、アヴェンジャーが教会で何かしらステータスを元に戻す手段があるという期待が、こうもあっさりと知らされる事となり、思い切り肩透かしを喰らった気分になっていた。
「……なんというネタバレ」
『………』
霊体化しているアヴェンジャーが、絶句しているであろう姿が容易に想像出来てしまう。
その……ドンマイ。
『……別にヘコんでなんかないし。ほら、分かったなら早く教会に行きますよ……ん?』
ヘコんでないと言いつつも、どこか不機嫌そうなアヴェンジャーだったが、何かに気付いたらしく、私も周囲を確認する。すると───
「きーーしーーなーーみーーさーーん!!!!」
───虎が、猛スピードで私に向かって突進していた。
「ごぶっ!?」
『マ、マスターーーーー?!!』
猛烈なタックル(としか言いようのない抱き付き)を受け、私の体が藤村先生が来た職員室と反対側の廊下へと、すごい勢いで転がっていく。
視界はミキサーにでも掛けられたかのごとく、グルグルと超速で回転し、耳には遠ざかるアヴェンジャーの叫び声が。そして衝撃が全身に襲い来る。
体は教室二クラス分を転がり終えて、ようやく止まり、私は衝撃の為に何が起きたか分からない。
つまりは、かなり混乱していたのである。
「な、なに、が───!?」
訳も分からず、目を白黒させていると、
「ご、ごめんねー!! つい勢いのあまり……」
向こうの方から、藤村先生の声が近付いてくる。そうだ、そういえば、こうなる前に藤村先生が私に向かって走ってきていたではないか。
という事は、犯人は虎───!!!
「ごめんで済んだら火炙りの刑なんて要らないわよ! この猛獣教師!」
と、アヴェンジャーが現界し、藤村先生へと詰め寄っていた。
どうやら、私がとてつもない勢いで跳ね飛ばされた事が、彼女にとっても想定外に衝撃的だったらしい。想定外すぎて、いつもよりすごく取り乱した感じだ。
「ほんとにごめんね、岸波さん! この前頼んでた事が気になってて、つい……」
「……ああ、そういう……」
なるほど、理解した。藤村先生にとって、竹刀はアイデンティティにも等しいアイテムなのだろう。
だって、予選の頃から藤村先生といえば、『虎、竹刀、熱血』で構成されたかのような先生として、あらゆる生徒から認識されていたし。
「あの、これ……アリーナで回収しておきました」
私は端末から、データ化して仕舞っていた竹刀を取り出し、未だガクガクと震える脚を支える杖代わりにして、藤村先生に竹刀の無事を視覚として伝える。
「あ、私の竹刀! ありがとー。見つけてくれたのね」
私はアヴェンジャーに肩を貸してもらい、藤村先生に竹刀を返還する。竹刀を受け取った彼女は、満面の笑みで竹刀を胸に抱き締めた。
まるで、我が子を愛しく抱く母のような、慈愛に溢れた姿だ。
うん、見ていて微笑ましく感じる。
「ところで、ついでで悪いんだけど───」
……せっかく良い感じに締めようとしてたのに、タイガーが良からぬ言葉を口にする。
まさか───
「岸波さん、もう一つ、先生のお願い、聞いてくれない?」
oh……やっぱりか。いや、どうせついでだから、別にいいんだけど。出来れば無理難題はご遠慮願いたい。
「まあ、いいですよ」
「ありがとー! 実はね、先生ちょっとみかんが必要なの。アリーナの第二層なら、きっとみかんもあるわ。一回戦の間に取ってきてくれたら、先生、とっても嬉しいなー」
いや、いくらなんでも、おかしい。アリーナでみかんて……。それは場違いにも程がある。
というか、本当にそんなものがアリーナに……?
「取ってきてくれたら、お礼に素敵なインテリアをあげちゃうわ。じゃあ、お願いね!」
頼むだけ頼んで、藤村先生は職員室へと消えて行った。
よく考えれば、みかんくらい自分で取り寄せられないのだろうか。購買とか食堂に行けば、どうにか手に入れられない気がしないでもないが……。
「頼むくらいだから、あの猛獣教師じゃ自分で入手出来ないのでしょう。それにしても、調子狂うわね、あの女が絡んでくると……」
肩越しにアヴェンジャーが愚痴る。アヴェンジャーとタイガー……確かに、相性は悪そうだ。一方的にアヴェンジャーが頭痛に苛まれるのが、目に見えて分かる。
「で、マスター? 足の調子は? そろそろ一人で立ちなさいな」
促され、私は歩けるかどうか確かめる。
うん、どうにか一人でも大丈夫そうだ。
「そっ。じゃあ、教会に向かいましょうか」
アヴェンジャーは私がしっかりと自分の脚だけで立てているのを確認すると、貸していた肩を離して、姿を消した。
いや~、まさかアヴェンジャーがあんなに取り乱すところを見られるとは。体中が痛いけど、おかげで良いものが見れた。眼福眼福……。
さあ、気を取り直して教会に行こう。教会へは、保健室のすぐ前にある扉から通じている噴水広場を通して行ける。距離は少しあるが、時間はそこまで掛からないはずだ。
噴水広場には、他のマスターはほとんど居ない。一人の女子生徒が噴水を眺めているくらいだ。
喧騒とは離れた、静寂の空間。聞こえてくるのは、噴水のジャバジャバという水音だけ。
ここだけが、聖杯戦争から切り離された空間のような、少し異質で歪な空気が漂っている。
かといって、邪悪であるとか、禍々しいとか、そんな事はなく、不思議と神秘的な印象さえ受ける。教会という聖なる領域と、噴水という癒やしを作り出す装置が、そんな印象を与えているのかもしれない。
扉へと手を掛け、荘厳な造りをした教会の中へと入る。
重い扉の先は薄暗い世界が広がり、そこは完全に外からの音を遮断しているようにさえ感じられた。
先程の噴水広場が聖杯戦争から切り離された空間のようなら、こちらは、この場所だけ世界から切り離されているかのような印象を受ける。
並んだ長椅子には誰も座っていない。
しかし、正面に目をやると、鮮やかな赤と青の色が目に飛び込んできた。
長い赤髪の女性と、短めの青髪の女性。見た感じシスターではなさそうだが、かといって聖職者には全然見えない。
何故こんな所に居るのだろうか。
私は中の薄暗さに少し不気味さを覚えながら、ゆっくりと彼女達の元へと足を運ぶ。
少し距離を置いて座る二人の中心、台座らしきものの上では、乱回転する一つのキューブと、それを包むように回る二つのリングが。
教会にしては異質過ぎるその光景が、ここが本来の教会としての役割を果たす場所ではないと実感させてくる。
私が来た事は、ここに入った時から分かっていたのだろう。二人のうち、赤髪の女性が私に声を掛けてきた。
「はあい、ようこそ教会へ。君も魂の改竄をしにきたのかな?」
フランクな感じの女性が私に声を掛けた事で、何やらデータ処理らしき作業をしていた青髪の女性も、私の存在に今気付いたらしい。
「ん、お前は確か……なんだったかな。……ふむ。私が物忘れとは、珍しい。ま、細かいコトはいいだろう。被験者が多い分には問題ない。ようこそ
魂の改竄? 聞き慣れない言葉を二人続けて口にされ、私が返答に困っていると、状況を察したのか、私からの返答を待たずして、向こうから言葉を掛けてきた。
「あら、魂の改竄を知らないできたんだ。ってことは貴方、本当に、素人の中の素人ってコト?」
「素人か…。簡単に説明すると、魂の改竄とは、そうだな……。君の魂とサーヴァントの魂を
つまり、マスターとサーヴァント───私とアヴェンジャーの魂の繋がりを外部からの干渉により連結させ、ステータスの底上げをする……と。
「そんなところかしらね。んで、私はその改竄をする役についてるの。いろいろあって成り行きで、ね。ちなみに、姉貴は居る意味なんてまるでないけど」
姉貴……という事は姉妹なのだろうか。聞いてみようとも思ったが、二人の間にはそれをさせまいとする無言の圧力が存在していた。
「とにかく、大体の事は分かったでしょ? 魂の改竄をしてほしかったら、私に声を掛けてね。そこの女はまったく、これっぽっちも、カセットテープ程の役にも立たないから」
赤髪の方が、青髪の方を貶すが、そんな罵倒も不敵に笑って流すと、
「そういうお前は眼鏡拭き以下だがな。またぞろ失敗して、ムーンセルからの苦情が来ないよう、注意するコトだ」
負けじと赤髪の方を貶し返していた。
「ちょっ、アレはマスターが悪かったんだってば! 違法スレスレで改竄してくれ、って言うから、スキルを幾つか付加しただけじゃない」
「は。そのオチが、
「くっ……このクソ姉貴。後でビームかましてやる……!」
なるほど。うん、分かった。この二人、すごく険悪だ。今にも殺し合いを始めてもおかしくないくらいには、仲が悪いし、憎しみ合っている。
藪をツツいて蛇が出ないように気をつけないと……。
「っと。そういやまだ名前を言ってなかったわね。私は蒼崎青子ね。よろしく、新米マスターさん」
「……私は蒼崎橙子だ。ま、気楽にな」
えっと、赤髪の方が、蒼崎青子。そして青髪の方が、蒼崎橙子……と。
うん、なんか髪の色と名前が逆な気がするが、ツッコまないぞ。だって地雷踏んだら怖いし。
にしても、だ。これがアヴェンジャーの言っていたとっておきか。ステータスの向上──もとい、魂の改竄。魂を扱う時点で、それがとてもデリケートな作業だというのは、考えずとも分かる。
それを踏まえた上で、先程からの話を聞くに、どうも、赤い方の女性はあまり器用ではないようだ。
……いや、言い直そう。魔術師としての自覚がない自分でも感じ取れる程、蒼崎青子はこの手の作業に向いていない。
精密作業よりも殴り合いとかの方が似合っているようにすら思える。
魂の改竄、サーヴァントの霊格施術はこちらの女性──蒼崎橙子の得意分野と思われるのだが……?
「うん? そりゃそうだ、改竄は私の方が上手いよ。青子の十倍は効率よく強化出来る。ふむ、君は人を見る目は素人ではなさそうだな」
「ぐっ……悔しいけど、ここは我慢してあげる。橙子の嫌味なんて日常茶飯事だし」
勝ち誇った橙子に、わなわなと拳を震わせる青子。しかし、十倍は言い過ぎではないだろうか?
“お前は私の一割以下”と言っているようなもので、青子が橙子に殴りかからないのが不思議なぐらいだった。
「不思議じゃないさ。嫌味じゃなく、純然な事実だからね。本当のコトを言っているだけだから、青子も黙るしかないだろう」
「うぐぐぐぐ……」
今度はぎりぎりと歯を鳴らす青子。橙子の言い分は分かったが、それならどうして彼女は改竄係にならないのだろうか?
「答えは至ってシンプルさ。私は私でやるコトがあってね。うちの坊やの頼みで人を探しているところなんで、君達の世話を焼いてる暇がない。今は不肖の妹が、君達に迷惑を掛けないよう、最低限の監視をしているだけだ。なので、私の事は無視してくれて構わないよ。魂の改竄は、そこの壊すコトしか能のない女に頼むがいい」
「……ムカつくわ~、マジ。いちいち監視とかいらないし、迷惑だっての」
歪な姉妹関係なのは分かったから、早く魂の改竄とやらをしてほしいのですが?
姿の見えていないはずのアヴェンジャーが、いつ姉妹喧嘩という名の殺し合いが始まるのか、ウズウズしてるのが、なんとなく伝わってくるし。
「…はいはい。なんかやる気削がれたわ~。仕方なく私に頼るとか、ちょっとお姉さん傷つくな~」
「しょうもないコト言ってる暇があるなら、さっさと改竄してやったらどうだ?」
「もう喧嘩は止めて! 私の為に争わないで!?」
ホント、胃がキリキリと痛んでくるから。あんなラブコメ風な台詞を、違う意味合いで使う事になろうとは……。
どうにか喧嘩を仲裁し、私は魂の改竄をしてもらうべく、アヴェンジャーを現界させる。
「へえ…アヴェンジャー、『復讐者』のサーヴァントね。これはまた珍しいサーヴァントと契約したもんね」
「ふん。道化じゃあるまいし、私は見せ物ではないのですよ? 早く魂の改竄をしなさい」
まじまじと自身を眺め回す青子の視線が気に入らないのか、それとも、この教会という空間に長居したくないのか。アヴェンジャーは不機嫌さを隠さない。隠そうともしない。
「ごめんごめん。本当に珍しいからさ。エクストラクラスなんて、私がここに来てから初めて見たもん。あ、でも無駄な事じゃないからね。観察して、そのサーヴァントをよく知っておく事も、魂の改竄では重要だから」
純粋に、物珍しそうにアヴェンジャーを観察していた青子。しかし、一応それなりの理由がそこにはあったらしい。
「どうだか……」
しかし、言葉通りに信じようとしないアヴェンジャー。どうにも彼女は、何かを信じるという事を嫌っている節があるようだ。
私の事も、マスターとして信じてくれていないのだろうかと思うと、少し不安になる。
「……何か?」
と、アヴェンジャーが疑問を口にした。顔に出ていたかと思い、彼女の方へと顔を向けるが、どうやらそれは私への言葉ではなかったらしい。
アヴェンジャーが視線を送る先、そこに居たのは、蒼崎橙子だった。
彼女は、少し神妙な顔をしてアヴェンジャーを見ていたが、首を小さく横に振ると、クールに笑って答える。
「いや、君の声が私の探しているヤツの声と似ていてね。少し驚いてしまっただけだよ。うん、そうだな……。一つお願いしてもいいかな?」
今度は私の方を見て、橙子が話し掛けてくる。その目は真面目そのもので、真剣に頼み事をしようとしているのが伝わってくる。
「君のサーヴァントの声に似た女を見かけたら、私に教えてほしい。そうすれば、私もお役御免になるからね」
「アヴェンジャーに……? それはいいですけど、その人の特徴とかは?」
まずそれを知っておかねば、声が似ているというだけでは、人違いの可能性は潰えない。
「特徴…か。そうだな……着物を着てて、その上にジャンパーを羽織ったおかっぱ風の女だ。年は……20歳くらいで、男口調なのが特徴だな。まあ、見て、声を聞いたらすぐに分かるだろう」
着物の上にジャンパー……。変な組み合わせだ。
「確かに変だが、もし本人に会っても絶対に言ってくれるなよ。機嫌を悪くして殺されても、私は責任を負いかねんからね」
怖い! 出会い頭に「着物にジャンパー、変なの~」とか言ったら殺されるとか!?
なにその人すごい野蛮!!
「気まぐれな猫みたいなヤツだからね、アイツは。それに、並みのサーヴァント程度なら瞬殺してのける実力は持っているから、怒らせたら面倒だぞ?」
「私も同じような眼を持つ子を知ってるけどさ、その着物女、ただの人間なのにサーヴァントでも簡単に斬り殺せちゃうからね。身体能力で言えば、人間離れはしてるかも」
やだ、怖い。もし会っても、絶対に怒らせないようにしよう。命が幾つ有っても足りないぞ……。
「ふーん……。サーヴァントに生身の人間の身で勝てる女、ですか。面白いわね」
楽しそうにしてるけどね、アヴェンジャー。絶対に喧嘩ふっかけたりしないでね?
私は未熟、アヴェンジャーも不完全。そんな状態なのに、サーヴァントに勝てる人間なんて、戦っても勝てる気がまるでしないもの。
それより、今は魂の改竄だ。まだ見つけてもいない着物の女性については、この際置いておいて。
早くアヴェンジャーの霊格を少しでも上げたい。今まで焦らされたのだから、エネミーを討伐してきた成果をすぐにでも確かめたいのだ。
「それもそうね。姉貴の頼みなんてついででいいんだからね? さ、それじゃ始めよっか」
青子はアヴェンジャーに台座のキューブ前に立つように指示を出し、アヴェンジャーの少し前でデータ処理の準備を始めた。
ついに、大量のエネミーを討伐してきた事が結実するのだと思うと、なんだか私は感無量な気持ちになる。
ああ、やっと、アリーナを何度も駆け巡ってエネミーを討伐した事に意味が持てるのだ。
「感動しているところ悪いけど、あの程度で私のステータスが戻る事はありませんからね」
「………え」
「当たり前でしょう。狩っていたといっても、たかが低級のエネミーばかり。まだまだ霊基の完全なる再現に至るまでは足りません」
そんな…バカな……!
──なんて、実はそこまで驚きはない。それもそうか、そんな簡単にいく訳がない。最低ランクにまで落ちてしまったのだから、もっと苦労しなければ、元のステータスにまでは戻せないだろう。
しかも、本人がそれを自己申告しているのだし。これは気の遠くなりそうなリハビリになりそうだ。
「さて、こっちは準備OKよ。それじゃあ、作業に入るとしましょうか」
青子も支度が整ったようだ。アヴェンジャーが光の柱に包まれ、その体が宙へと独りでに浮いていく。
「マスター。確かに道のりは果てしなく遠いでしょう。ですが、復讐者の本懐は、その執念深さにあります。ですから、私は決して元の霊格を取り戻す事を諦めませんから、そのおつもりで」
ふふん、と自信たっぷりの笑顔で、アヴェンジャーは告げてきた。それなら、私だって負けてない。だって、諦めが悪いからこそ、今こうしてあなたと私は契約出来ているのだから───。
アヴェンジャーの体が強い光に覆われていき、やがて全身が完全に見えなくなった。
アヴェンジャーの魂の改竄が、蒼崎青子の手によって開始されたのである。
私は、それが終わるのを黙って見届けていた。
少し心配なのは、青子がミスしないかという事だが……。
「またその話!? ちょっとはお姉さんを信用しなさいよね!? いいかげん私も怒るわよ!?」
第7特異点、もうすぐですね。
エルキドゥが来る可能性もですが、赤セイバーが同一視されるバビロンのアレも、来る可能性有るんですよね。うん、マザーハーロット。出るとしたら、確実に敵側だろうな~。
はてさて、今度のメインとなる味方サーヴァントは誰になるのやら。ギルは味方であっても、今までのような感じの味方では無さそうな気がしますし。前のオジマンさんの時みたいな感じになりそうな予感……。